上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

国土交通省へ、「立野ダムを中止し、ダムによらない白川の治水を求める申し入れ」

2015-08-17 18:46:25 | 議会活動
8月17日、山本伸弘県議や菊陽・大津の各町議と、熊本市議団で、福岡にある国土交通省地方整備局へ、「立野ダム中止、ダムによらない白川の治水対策を求める申し入れ」を行いました。

立野ダムをつくらずとも、白川の治水は十分できます。国土交通省の資料からも明白になりました。
一方、立野ダム建設には、自然破壊、洪水、河川の機能喪失など、様々なリスクがあります。
しかも、必要な治水効果はありません。河川改修で治水は十分です。

申し入れた内容は、以下のとおりです。


国土交通大臣 太田昭宏様
  2015年8月17日
                日本共産党熊本県委員会
                委員長        日高伸也
                県議会議員      山本伸裕
                日本共産党熊本地区委員会
                委員長        重松孝文
                熊本市議会議員    上野美恵子
                           那須円
                           山部洋
日本共産党北部地区委員会
                委員長        濱元幸一郎
                大津町議会議員    荒木俊彦
                菊陽町議会議員    小林久美子
                
                
河川改修、遊水地などダム以外治水対策をすすめ、立野ダムは中止を

立野ダムは、あまりにもリスク(危険、損害)が大きすぎる
①世界の阿蘇に入り口に高さ90m、幅200mのコンクリートのダムができれば、「世界の阿蘇」の景観、環境、貴重な資源、観光などに取り返しのつかない被害をもたらします。世界農業遺産、世界ジオパークに阿蘇が認定をされ、さらに世界文化遺産登録を目指す阿蘇にとって、立野ダムは重大な障害物です。
現に、仮排水路工事によって、世界ジオパークの重要サイトである立野峡谷の柱状節理が破壊され(写真)、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区の北向き山原始林の下部は、巨大なトンネルによってえぐられています。
 ジオパーク(「大地の公園」「地質公園」)は、「保全」「教育」「地域の持続的発展」をめざすもので、「保全」は、とりわけ重要です。ジオパークには厳格な保存と管理の規定があり、4年ごとに審査があります。ジオパークの重要サイトに巨代ダムが造られ、柱状節理をはじめ大事な資産が破壊されていることが、審査で明らかになれば、阿蘇が世界ジオパークに認定される際、外輪山の採石場が厳しく指摘されたことから見ても、認定が抹消されることは避けられません。阿蘇、熊本、日本が、観光はもとより社会的信用性という点でも大きなダメージを受けるこうした事態は絶対あってはなりません。 
②穴あきダムの直径5メートルの3つの穴が、阿蘇の巨大な岩石、流木、土砂によってつまってしまうことが懸念されます。国交省は、「穴がつまらない」ことを、「爪楊枝」(つまようじ)を切断しての水理実験で検証したと説明していますが、大水害時の阿蘇・立野の状況からして、到底納得できるものではありません。
穴がつまることによって、下流には通常洪水をはるかに上回る被害をもたらします。穴がつまってしまえば、一級河川白川の河川機能が喪失し、農業、漁業、地下水涵養に甚大な被害をもたらします。農業、地下水の問題は、一般にダムがもたらす被害とは次元の異なる大規模な、長期にわたる被害です。
立野ダム建設は、県民にとって、熊本県にとって、取り返しのつかない大惨事をもたらす危険性を抱えています。
③立野ダムの右岸(立野側)は、洪水時に地下水が噴出し、立野層を巻き込んだ大きな浸透破壊につながる危険性がある」(国交省内部文書)など、安全性に大きな疑問があり、徹底した情報開示、説明、第3者的検証が必要です。
④立野ダムの総事業費は当初の2倍余の917億円、県の負担275億円(推定)です。
新国立競技場建設についての都の負担・500億円、都民1人当たり3700円、4人
世帯15000円、が大問題になっていますが、熊本県の275億円は、県民1人
あたり1万5千円、4人世帯6万円に相当します。厳しい県財政のもとでは大変な問題です。新国立競技場は、ゼロからの見直しになりました。
熊本県は、子ども医療費助成、少人数学級、いずれも全国最低レベルであり、過大な財政負担を強いる立野ダム建設は、ゼロから見直すべきです。
⑤国交省が、立野ダム建設に固執してきたことによって、白川の河川改修が遅れました。2012年7月12日の白川水害被害の大半は、立野ダムのために投じられてきた約
400億円を、河川改修に回し、築堤や河道の拡幅、橋の架け替えなどをやっておれば
防げました。立野ダム建設計画が、「7・12」水害の元凶と言えます。
 加えて、①②③④にわたって指摘したように、立野ダムがもたらすリスク(危険、損害)は、重大かつ深刻なものです。
 立野ダム建設は中止し、ハード、ソフトにわたって、ダム以外の「別な道」、ダム以外の治水対策を進めるべきです。
 
河道拡幅、築堤、橋の架け替えで、下流域(小碩橋)では、ダムは不要
 日本共産党は、熊本県議会、2012年九月定例議会で、白川の「現況河道流下能力算定表」(2008年2月)にもとづき、下流域のほとんどのところが目標流量である2300tを上回っている(子飼橋~竜神橋間では、3000数百トンも流下)ことを指摘し、立野ダムではなく、河川改修を進めることを求めたきました。
さる7月12日、「白川大水害3周年集会」で、市民団体メンバーが請求し開示された「現況河道流下能力算定表」(2015年3月)によると、河川改修によって小碩橋下流の国管理区間(熊本市中心部)では、3500t、3600t規模が流れるようになっており、流量がそれより低いところも、進行中の工事が完了すれば、河川整備計画レベル(2300t)はもとより河川整備基本方針(150分の1.3400t)をも流れることになります。
市民団体の「流下能力算定表」にもとづく指摘に対して、国交省熊本河川国道事務所が、「堤防いっぱいの流下能力は安全とは言えず、堤防の厚さや強度不足を加味しないデータが基になっており、立野ダムの必要性は変わっていない」(7・23熊日)と述べたと伝えられています。これはことを偽るものです。
堤防の「厚さ」「強度不足」を考慮したスライド堤防高でも「流下能力」は、すべて2300トンを上回り、そのほとんどが3000tを上回っています。スライド予防高でもほとんど2300トンを上回っています。
堤防嵩上げ、築堤、河道拡幅・掘削などをやれば、リスクが極度に多い立野ダムは不要です。
立野ダム建設事業の検証に係る検討報告書3・1・1「立野ダムの目的」として、「熊本市など下流域における洪水被害を軽減すること」としています。  
堤防嵩上げ、築堤、河道拡幅・掘削、橋の架け替えなどをやれば、白川下流において、リスクが極度に多い立野ダムは不要です。

立野ダム建設のために、抜本的な治水対策が棚上げされた中流域
河川整備計画つくらず、遊水地計画は具体化せず、中流域の安全が、意図的に低く抑えられた
上流域(黒川流域)は、総合的な治水対策がすすめられています。ところが、中流域(未来大橋から立野まで)は、河川整備計画がつくられず、治水対策がなお不十分です。
なぜか?大きな問題が明らかになりました。
①黒川流域で熊本県が進めている治水対策は、河道改修、輪中堤、宅地かさ上げ、遊水地計画など、総合的な治水対策です。
遊水地計画は、小倉遊水地は、掘り込み式(初期遊水地)21ha、2次遊水地(地役権設定方式。売買価格の約3割の補償、通常は農作物可能)65ha、手野遊水地は、初期遊水地10ha、2次遊水地40haとなっています。
県河川課がまとめた資料によると、小倉地区遊水地では地役権対象地権者総数102名のうち不満者数はゼロ、手野地域では地権者総数44名の中で不満者数1名。1名は、買収希望者です。地役権方式遊水地計画は、農家の同意を得るうえで効果的な治水対策と
いえます。
地役権方式による遊水地の設定は洪水調節機能において大きな役割を果たすことが既に明らかになっています。
平成23年7月、新潟県を襲った豪雨災害において、新潟県土木部管理課関係者がまとめたレポートによると、刈谷田川遊水地は毎秒180トンの洪水調節機能を発揮し、一方刈谷田ダムの洪水調節は毎秒100トン。合計280トンの洪水量が低減し、水位を、遊水地により35センチ、ダムにより19センチ、合計54センチ低下させることができたことを明らかにしています。地役権方式遊水地が、ダムを上回る治水効果を果たしたということです。
国交省は、(球磨川の)「ダムによらない治水を検討する場」第1回幹事会で、「大雨が降ったときに、川から水があふれて洪水にならないように、一時的に水を貯めこみ、下流の流量を少なくする(河川水を下げる)働きがあ」るとして、遊水地について、「掘り込まない」遊水地18ケ所で有効貯水容量約330t、「掘り込み」遊水地2ケ所で約330tとする検討諸元を示しています。
熊本県は、「ダムによらない治水検討の場」の第3回の会議で、地役権方式遊水地について提案しています。
②立野ダム事業の検証に関わる検討報告書(平成24年)によると、「中流部の遊水地増設、河道の掘削を行い、河川整備計画で想定している目標と同程度の目標の達成をはかる」治水対策案が検討されています。
この治水対策案では、「遊水地は、地役権方式では必要な治水効果が得られない」ので、遊水地は、「掘り込み方式にする」となっていますが大きな問題点があります。
まず、「地役権方式遊水地は必要な治水効果があげられない」と切り捨てていることです。これは、国交省、県の方針、実際の効果からして、一方的で是認できません。
次に、「掘り込み方式」の遊水地計画を立てていながら、実際の対策では、これも切り捨て、棚上げしていることです。「掘り込み式」遊水地計画の面積は130ha、深さは5~6mです。最大貯水量は約780万トンです。立野ダムの総貯水量は、約1000万トンです。この計画を実現すれば、立野ダム建設の根拠はなくなってしまいます。
中流域において、「地役権」「掘り込み」の遊水地を設置すれば立野ダムは完全に不要です。
 以上の経過と内容は、国土交通省が、立野ダム建設ありきで、「地役権方式」遊水地を葬むり、「掘り込み式」遊水地も図面だけで、計画から意図的に外したと指摘せざるを得ません。
結果として、
①中流域(未来大橋から立野)の安全性は、「河川整備計画で想定している目標と同程度の目標」以下におさえられた。
②中流域の遊水地計画がなくなることによって、下流・熊本市の安全性も、意図的に低く抑えられた。
③立野ダム建設を生き残らせた。ということです。
中流域、下流域(熊本市)の安全を、ともに高めるために、中流域のダム以外治水対策についての提言
①「白川河川整備計画」では、基準点(代継橋)で、毎秒2300tの洪水を、立野ダムによって、200tカットすることになっています。立野ダム以外の治水対策で、200tをカバーできれば、リスク(危険、損害)が著しい立野ダムは不要です。
 なお、想定外の洪水では、立野ダムは、洪水があふれ機能しません。むしろ、穴が詰まったら、被害は想像を絶するものになってしまいます。
②未来大橋~立野間の河川整備計画をつくり、安全を高めれば、その効果は中流域にとどまらず、下流域(熊本市)の安全を向上させることになります。
中流域の遊水地設置は、貴重な地下水の涵養にも一定の効果をもたらします。
中流域の治水対策について、以下の提案を行います。
1-現在進められている、河道拡幅、河床の掘削、堤防補強、橋の架け替えなどについては、住民合意をもとに、速やかに完了させる。
2-県が、黒川流域で具体化し、推進している河道改修、輪中堤、宅地かさ上げ、遊水地計画などのダム以外治水の総合的対策を、中流域で具体化する。
なかでも、「地役権方式では必要な治水効果が得られない」との「立野ダム事業の検証に関わる検討報告書(平成24年)」の一方的な断定、「掘り込み式」遊水地計画の棚上げについて撤回すること。県は、国交省に求めること。
3-流域住民、農家、ダム以外治水に詳しい専門家を含めた「中流域のダム以外治水を検討する場」を設置し、早急に河川整備計画を確定すること。

ハード対策と同時に、情報伝達などソフト面での対策も一層強化充実する
白川防災・減災行動計画(タイムライン)の策定を
①近年の異常気象による大規模水害と被害が、日本でも世界でも増大傾向にあり、「想定外」の大雨、洪水に対して、ハード、ソフト面での備えが不可欠です。
立野ダム建設、あるいはダム以外の治水対策、いずれであっても「想定外」の洪水には対応できません。立野ダムをつくれば、「超過洪水」による被害、ダムによる治水効果を加味したより狭い川幅、低い堤防などにより、被害は増幅することになります。
②「想定外」の洪水に対しては、情報伝達の整備、地域ごとのハザードマップの作成、日常からの避難訓練など、ソフト面の対策の抜本的に強化が求められています。
③国土交通省 水災害に関する防災・減災対策本部地下街・地下鉄等ワーキンググループ「中間とりまとめ」等にもとづいて、避難確保、浸水防止計画、浸水防止用設備(止水版、防水扉等)に対する支援など、「白川防災行動計画」(タイムライン)を下流域、中流域(小碩橋~未来大橋)に策定することを求めます。
中心市街地・地下街、地下空間を有する熊本市中心部対策を急ぐ必要があります。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いのちを生みだす、私たち女性は「戦争法案」を絶対に許しません!・・・・8・16くまもと女性パレード

2015-08-17 18:24:24 | 住民とともに
6月に立ち上げた「戦争法案を阻止するくまもと女性の会」は、瞬く間に賛同者が1000人近くになりました。署名活動にも取り組んでいます。

8月16日、「戦争法案」が参議院での審議に移り、山場を迎えようとしている中で、熊本市中心商店街に集結し、下通りから新市街への「戦争法案廃案」くまもと女性パレードを行いました。

「戦争法案」にレッドカード!
赤いものを身につけて、プラカードや横断幕など、思いを込めて作ったものを掲げてのパレード。
商店街を行く人に、大いにアピールできたと思います。

いのちを生み出し、育てる、私たち女性は、「戦争法案」を絶対に許しません。


戦争法案 許さんバイ
安倍政権は許さんバイ
いのちが大事
平和が大事
戦闘地域は行きません
ばってん 武器は持っていく
そんな話はおかしいぞ
福祉は削って オスプレイ買うな
いのちが大事
平和が大事


と、シュプレヒコールしながら歩きました。





「戦争法案」が廃案になるよう、安倍政権を追い詰めていきたいと思います。
「女性の会」に賛同・署名をお寄せください!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする