上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

予算決算委員会・・・国民健康保険料の引下げを求めました

2015-12-15 20:19:33 | 熊本市議会
12月15日、いよいよ12月市議会も終盤となり、予算決算委員会の締めくくり質疑が行われました。
私は、日本共産党市議団を代表して、国民健康保険の問題で質疑を行いました。
質疑の内容は、以下のとおりです。

高すぎる国民健康保険料の引き下げを!

今回の補正予算には、国民健康保険会計において高額療養費・5億9400万円の増額補正が行われています。確かに毎年一定の補正はありますが、当初予算化されていた65億1900万円の1割近い補正額です。委員会で、ここ数年の補正額を伺いましたが、昨年の補正額3億円に比べ、2倍近い補正額となっており、高齢化もすすむ中で、改めて医療費の自然増は想定以上に大きくなってきていると思いました。
今回の補正額も含めた今年度2015年度末の国民健康保険会計の単年度収支は、約36億円の赤字と見込まれており、累積収支では56億円を超える赤字となる予測です。収納状況を見ても、かなり厳しい取り立てをしながら、収納率は依然として8割台にとどまっており、保険料支払いの厳しい実態を示しています。
今回補正予算で提案されました大幅な医療費の伸びによる高額療養費の増額補正を踏まえた、国保会計の収支等について、市長にお尋ねいたします。
① 国民健康保険加入者の方々の暮らしの実態をどのように受け止めておられますか。
② 那須議員の一般質問に対し、健康福祉子ども局長は、「被保険者の年齢層が高く、医療費が高い一方、低所得者が多いという構造上の課題がある」との認識を述べられていました。このような国民健康保険の構造的な問題点があるにも関わらず、市長は今年度の予算において赤字補てん分の一般会計繰入を前年度より12億円も削られました。これで、国保会計の収支が均衡できるとお考えだったのでしょうか。
③ 今年度、各自治体の国民健康保険会計に投入された国の保険者支援制度拡充額1700億円の本市への交付額と、その効果についてご説明ください。
④ 平成27年度から29年度の国民健康保険会計収支推計において、保険料の値上げを行うシミュレーションをされています。それは、保険料を総額で5億円引き上げた場合に単年度収支は7・8億円の赤字、10億円引き上げても2・9億円の赤字、14億円の引上げで1・1億円の黒字と言うものです。要するに、このシミュレーションは、仮に保険料を5億円、10億円引き上げても単年度収支は黒字にはならずに、14億円・ひとり年額7920円の値上げをして初めて1・1億円の収支黒字になるという推計です。一方、この場合、赤字補てん分の一般会計繰入は毎年8億円に止められています。減らされた一般会計繰入のもとで、保険料は大幅に引き上げるという推計です。熊本市の国民健康保険料の負担は、所得200万円・4人世帯のモデルケースで比較した場合、今でも政令市20市の中で高い方から2番目です。一般質問の答弁で「保険料の負担感は高いものと認識している」と答弁されています。今以上に保険料を引き上げるようなシミュレーションが妥当だとお考えなのでしょうか。
⑤ こういうシミュレーションで、本市の国民健康保険の問題が解決するとお考えなのでしょうか。
以上、5点お伺いいたします。

(答弁)

 これまでも述べてまいりましたように、国民健康保険は、年金生活者や離職者、自営業者など、生活が厳しく所得水準の低い加入者で構成されていることもあり、高齢化による医療費の伸びが大きいなど、収支の均衡が大変厳しいという構造的問題を抱えています。
 今年5月に行われた国民健康保険法改正にあたっての国と地方の協議の前段で、厚生労働省も、国民健康保険制度は、加入者の年齢構成が高く、医療費水準が高いこと、加入者の所得水準が低いこと、保険料の負担が重いこと、収納率が低下していること、市町村による一般会計繰入・繰り上げ充用が多額に上っていることなどを課題として掲げ、国民健康保険に対する財政支援の拡充、低所得者に対する保険料軽減措置の拡充などを行うことを方向として示しています。
 熊本市には、国保の構造的な課題解決のための保険者支援制度拡充費用は、今年度9億円が投入されるとのことですが、実際には加入者の保険料負担の軽減・低所得者の保険料負担軽減はなされていません。全国的には、約1万円の保険料引き下げが行われています。政令市でも、所得200万円・4人世帯のモデルケースで比較して、20市のうち11市が昨年度に比べ保険料が下がっていますが、熊本市は全く下がっていません。
 特に今年度の1700億円は、「低所得者対策強化のため、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じた財政支援」とされているので、保険料の軽減、特に低所得者の負担軽減として活用されるべきであります。
 また、国民健康保険は、厚生労働省も指摘しているように大きな構造的課題を抱えています。今年度からの1700億円の支援や、平成30年度からの3400億円の支援を示していることからもわかるように、国保会計に対する様々な支援なしには収支の改善や制度の維持が困難です。ところが、熊本市は前市長のもとで行われてきた「国保健全化10カ年計画」が終了した途端、法定外一般会計繰入を大幅に削減しています。健康福祉子ども局長は、一般質問の答弁で、「財政健全化計画にとりくんだ結果、過去最大で82億円あった累積赤字が平成25年度末には14・9億円まで縮小した。しかし、平成26年度は医療費の突出した伸びによって単年度収支が赤字となり、累積赤字は20・4億円となった」と述べられていました。確かに、医療費の伸びもあったとは思います。今回の補正・高額療養費に係る増額補正も医療費の伸びにかかるものではありますが、平成26年度の決算では、前年に比べ、一般会計繰入赤字補てん分を前年に比べ約8億円削ったことが単年度収支で5・5億円の赤字と言う結果を生んでおり、平成25年度同様の一般会計繰り入れを行っていれば、単年度収支で2・5億円の黒字、累積収支でも前年を下回る12億円の赤字に抑えられていたはずです。今年度以降3年間の見通しにおいても、このままいけば平成29年度末には累積96億円の赤字になってしまうとの推計ですが、この推計では今年度以降の3年間、一般会計繰入の赤字補てん分をH25年度と比べ、毎年20億円も削っての財政運営となっており、この点でも、平成25年度水準の一般会計繰り入れをきちんと実施すれば、赤字は3年間で60億円圧縮されて、どんなに医療費が伸びても96億円もの累積赤字にはなりません。
先ほど市長は、一般会計繰入の赤字補てん分を大幅に削ったことに関して、「国の支援制度が拡充される予定であったので、8億円の繰り入れを行えば収支が均衡できるものと考えていた」とお答えになりました。ここには問題が二つあります。第1は、支援制度拡充による財源補てんは9億円ですから、平成25年度と比べ12億円も削って、収支が均衡できると考えられたのは、あまりにも見通しが甘いと思います。もう一つは、今年度拡充された支援制度は、国民健康保険料の負担軽減・低所得者対策が目的とされていたのですから、その財源とせずに、国保会計の赤字の穴埋めに使ってしまったことが問題です。国保会計を語るときに、赤字が増えている原因は医療費の大幅な伸びにあるかのように述べられていますが、それは高齢化の進行の中で、当然の要因であり、それを踏まえ財政の収支均衡を考えていく時、法定外の一般会計繰入を大幅に削減して黒字を見通すということはあまりにも、甘いと言わざるを得ません。構造上の問題があるからこそ、市が一定の財政支援を行うことなしには収支均衡が難しいということを認識すべきであります。
 そこで、市長にお尋ねいたします。
 今まで指摘した点を踏まえて、
 第1に、今年度9億円措置される予定の国の保険者支援制度拡充額によって、国が目的としている国民健康保険料の負担軽減・低所得者対策こそ、きちんと行っていくべきではないでしょうか。
 第2に、大西市長になって大幅に削減されている法定外一般会計繰入の赤字補てん分を、「国保財政健全化計画」実施中の平成25年度水準に戻し、繰入額の堅持・増額こそ行うべきではないでしょうか。
 以上2点伺います。

(答弁)

 いよいよ国民健康保険は、今年の法改正に基づいて、平成30年からの県単位の広域化に向けてすすんでいきます。国民健康保険の広域化もまた、さまざまな問題点を孕んでいます。安定的な財政運営等に中心的な役割を果たす県が、標準保険料を示したり、医療の供給体制を担うことなどから、資格や保険料徴収・保険事業を実施するなど、被保険者に対する直接の仕事を担っていく市町村は、県のコントロールのもとにおかれ、市町村ごとに全く違った状況の中で、保険事業を行っている市町村は様々な矛盾に直面することが危惧されます。
 しかしながら、国の制度の元での大きな矛盾を抱えている国民健康保険は、生活の厳しい被保険者の加入する国民皆保険制度の大切な一つとして、今後も被保険者への適切な医療を提供していかなければなりません。都道府県が国保の財政運営の責任主体にはなっても、市町村は、地域住民との身近な関係の中で、被保険者の実情をきちんと把握し、地域におけるきめ細かな事業を行っていく役割が課せられます。広域化がすすめられても、県とともに国保の運営を担っていく熊本市としての責任をきちんと果たしていかなければなりません。最初の質問への答弁で、市長は、「国保加入者の暮らしの実態については、国保の世帯は被用者保険に比較して、低所得者が多く、相対的に被保険者の保険料の負担が高くなっており、生活が厳しい世帯もあると認識している」と言われました。本当に認識しているならば、シミュレーションとはいえ、一般会計繰り入れを削って保険料を引き上げるような推計を安易に示せないと思います。もともと1700億円の支援制度拡充額は、加入者の所得水準の低いことや保険料負担が重いことなどを考慮して低所得者に対する保険料軽減措置の拡充のためと、国の予算措置がなされています。そのことを踏まえるならば、支援制度拡充財源を保険料の負担軽減・低所得者対策の財源とし、一般会計からの繰り入れも応分に行い、保険料の引き下げにこそ努めていくべきであろうと考えます。現在市が行っている収支推計では、10億円の保険料改定を行えば、一人あたり約5400円の保険料負担となるということですから、仮に国の支援制度拡充分9億円が保険料の負担軽減に使われるならば、一人あたり5000円程度の引き下げが実施できるのではないでしょうか。一般会計からの繰り入れを減らすことなく、負担の限界を超えた保険料の引き下げを強く要望致しまして、質疑を終わります。


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