上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

公立図書館は、指定管理でなく直営で。さらなるサービスの拡充を!

2015-12-17 12:40:06 | 熊本市議会
12月議会最終日、駅前にある「森都心プラザ」の指定管理に係る問題で質疑を行いました。
以下、質疑の内容です。

公立図書館は「直営」に戻し、すべての区に設置することや司書の処遇確保・資料購入費の拡充など、サービスの充実と専門性の向上が求められます

経済委員長報告に関連して、森都心プラザの指定管理者指定について伺います。
 森都心プラザは、2011年10月に開館し、図書館・観光情報センター・ビジネス支援センター・ホール・会議室等を有する複合交流施設として運営されてきました。開館当初から指定管理者制度が導入され、今期の4年半は、(株)九州総合サービス・(株)パブリックビジネスジャパン・(株)紀伊国屋・(株)雇用促進事業会・(株)朝日放送・(株)メディアプランニングによって構成される「くまもと森都心プラザ管理運営共同企業体」が管理運営してきました。今回は、2回目の指定となり、前回と同一の共同企業体が選定されました。
 森都心プラザの指定管理者指定には、一つは指定管理者制度そのものに係る問題点、もう一つは指定管理者制度になじまないと以前から指摘されてきた図書館の指定管理という問題点です。それを踏まえてお尋ねいたします。
① 図書館は、長期的視野に立った専門性の高い運営が必要です。司書資格者の配置はもちろん、配置された職員の専門性の向上が極めて重要です。森都心プラザ図書館では、職員の研修はどのように行われているのでしょうか。
② 指定管理者制度は、経費縮減もその効果の一つとされています。森都心プラザの募集要項に示された指定管理者制度指針に基づく森都心プラザの人件費額と、今回の指定管理者指定にあたって「くまもと森都心プラザ管理運営共同企業体」から提出された事業計画に関する収支予算書に示された森都心プラザの人件費をお示しください。そして、その内、図書館分もそれぞれお示しください。
③ 熊本市立図書館設置条例では、第2条「事業」の項で「移動図書館に関すること」が掲げられ、大江本館・植木・城南に移動図書館があります。森都心図書館でも、移動図書館の設置、あるいは団体利用など、西区にある図書館として、これまで以上に利用を広げていくような取り組みはできないのでしょうか。
④ 図書館は、図書館法はもとより、教育関係法の定めにもありますように、教育委員会が所管することは、明らかです。森都心プラザ条例の規則では、プラザ図書館も教育委員会の所管であるとは定めてありますが、市立図書館の分館の位置づけにはなっていません。本館に次ぐ蔵書数を擁する市立の図書館として、教育機関の役割をより一層鮮明に発揮し、他の図書館との連携をスムーズにしていくためにも、是非市立図書館の分館に位置づけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
⑤ 図書館への指定管理者制度導入は、以前からなじまないと指摘されてきましたが、昨今全国的には「書店」が管理運営にかかわる図書館で、選書をめぐる不正常な事態が発生したり、膨大な個人情報の管理の問題なども指摘されるに至っています。そういう点で、果たしてプラザ図書館を指定管理者制度の下におくことが適切であると言えるのでしょうか。
関係局長にお尋ねいたします。

(答弁)

 いろいろ答弁いただきましたが、まずは人件費の問題です。
森都心プラザ全体では、市が指定管理者制度の指針に定めている基準額を上回る金額を、事業者側の予算として計上されています。要するに人件費の総枠は決して削減されていません。ところが、プラザ図書館の部分に限ってみますと、仕様書通り34名の人事配置をしながら、指定管理の事業者が予算化している額は、市の積算額の約7割です。図書館部分の人件費はかなり低く抑えられています。安く雇用されている訳です。
1番目の質問で、図書館職員の方々の研修について伺いましたが、民間事業者としても、一定の努力をしているという答弁であったかと思います。公立図書館は、住民の知る権利・学習権を保障するための公共機関です。人々が多様な知識や情報に接することで人生の質を向上させ、その主権を十分に行使し、日々の生活、生業を豊かなものにしていく、そこに欠かせない役割を持っているのが公立図書館ですから、そこで働く図書司書の方々の役割もまた極めて重要です。司書資格を持つことはもちろん、日々の研修、経験の蓄積が絶対に必要だと思います。研修には力を入れているが、その処遇はなおざりということで、求められる業務に対してレベルの高い仕事ができるでしょうか。私どもは、指定管理者制度の問題点の大きな一つがそこに働く人の処遇が保証できないということを、繰り返し指摘してきました。
そこで、教育長にお伺いします。プラザ図書館では、市の積算の7割という低い賃金で仕事をされています。それで、専門性の高い業務が日々行っていけると思われますか。市の積算賃金と変わらない処遇で働いていただくべきではないでしょうか。

(答弁)

 もともとプラザ図書館の市の積算そのものも、正職員であれ、嘱託であれ、各区分の最低ランクで計算されています。そのことも問題だと思います。これは、他の市立図書館にも共通する課題だと思いますが、図書司書の資格は専門課程を経て得られるものではありますが、国家試験を受ける国家資格とは違うために、その専門性が評価されにくく、一般事務職として扱われています。この点は、一定の改善を図り、専門課程を経た専門員としての処遇をすべきではないかと思います。指定管理になれば、今回指摘しましたように、おのずと人件費が削減され、専門性が求められながらその処遇が悪くなってしまいます。2008年6月の参議院・文部科学委員会では、文部科学大臣が「公立図書館への指定管理者制度の導入は、長期的視野に立った運営が難しくなり、図書館になじまない」とも答弁されています。知と情報の専門機関として求められる役割を十分に果たしていくためにも、図書館の指定管理者制度は見直し、直営とすべきであると思います。
 また、最初の質問の答弁で、プラザ図書館は指定管理であっても、図書の選書については市立図書館が一元管理していることや、モニタリングによってのチェックも市立図書館で行われているので、指定管理による問題の発生は心配ないとのことでした。そのことは、市立図書館が公設であるからこそできることです。一方、指定管理で、管理運営を民間に任せてしまえば、住民は消費者となり、指定管理者の提供するサービスを購入するということになり根本が変わってしまいます。このようなあり方が社会教育として適切なのかも、問われるのではないでしょうか。
 熊本市は政令市になりましたが、東区には図書館がありません。他の政令市では国複数の図書館を持つ市も少なくありません。より多くの人が利用でき、誰もが公平なサービスを受けられるよう、身近なところに図書館をつくるべきであり、せめて区に一つは図書館が必要だと思います。
 また、プラザ図書館では、5年前に1億300万円あった資料購入費が、昨年度は約2割も減って8900万円弱になっていました。資料費は図書館のいのちです。市立図書館全館に共通する課題として、年々減っている資料費の拡充も合わせて要望いたしまして、質疑を終わります。

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熊本市議会最終日・・・・・補正予算の問題点を指摘

2015-12-17 11:59:17 | 熊本市議会
12月17日、本会議が終了し、11月27日から開催されていた12月市議会が終了しました。

最終日の本会議、提案されていた補正予算について問題点を指摘しました。
以下、討論の内容です。


議第262号「平成27年度熊本市一般会計補正予算」に対する反対討論を行います。

問題を残したまま廃止ありきですすんできた食肉センター
 第1に、食肉センター機能代替施設整備関連経費として2266万7千が増額補正されています。センターの廃止に伴う敷地内にある卸売2者に対する建物・工作物・動産移転料等の移転補償関係費です。
食肉センターの移転については、廃止条例が提案される以前からの、長年にわたる問題を引きずっています。廃止条例提案の時点では、牛・豚・馬の解体処分について、利用業者など関係者とのコンセンサスもないまま、豚や馬の処理施設の問題も解決されていませんでした。施設改修を先送りにし、施設の老朽化を理由に廃止を決めたことが関係者間のコンセンサスに大きな障害となりました。累積赤字の問題でも、処理頭数の減少はありましたが、雇用開発協議会や解体補助業務の委託等の問題が改善されないままに事業が行われてきたことも大きな原因であり、さまざまな問題を残しながら、見切り発車的に市が廃止を決めすすめてきたことに大きな責任があると言わなければなりません。
現在、牛・豚がようやく業務を移転し、馬を残すのみとなりましたが、委員会でも報告されましたように、補正予算として計上はなされたものの、実際は移転に係る補償費についての協議は継続中であり、合意に至っていません。これまで根拠もあいまいなまま雇用開発協議会への多額の補償を行ってきたこととの整合性の問題もありますが、食肉センター問題では、再三にわたって指摘してきた「最初のボタンの掛け違い」が是正されず、ほころびが広がってきたことが今に至っていると思います。関係者の合意も得られないままの補正予算になってしまっていることが第1の問題です。
 しかも、市は12月末廃止と言うゴールだけを決めて廃止をすすめてきましたが、実際には移転先における屠畜料金に関する利用業者の合意形成に時間がかかったことや、移転先施設の屠畜の許認可にも手間取り、結局は県の認可がなされないまま廃止の期限を迎えてしまいました。1カ月廃止が延びることと合わせ、現食肉センターの管理費用等に1か月分400万円ほどかかるということです。当局は、予算の執行残で対応すると説明されたそうですが、本来ならば、そんな場渡り的な対応でなく、もっと早い時期に説明し、きちんと補正予算として提案すべきであったと思います。12月末をもって廃止と言うならば、せめて11月末には、移転先の屠畜許認可を受けて12月には試験屠畜ができるような準備が必要ではなかったかと思います。
 移転補償に係る関係者の合意形成、移転先の許認可等移転の準備の問題、いずれにおいても、市としての説明責任の不十分さ、対応の不十分さは問われるべきであると思います。
 
職員の長時間労働は是正を
第2に、時間外勤務手当の不足に伴い、3億4944万6000円の増額補正が行われています。昨年2014年度は前年に比べ残業時間が減ったためにこのような補正は行われませんでした。時間外労働時間の年次推移を見ますと、この間残業時間の縮減に取り組んできたこともあり、2012年度をピークに、2013年度・2014年度と減少してきました。しかし、一人あたりの平均時間外労働時間数で見たときに、本年度は12月1日時点で昨年度を上回る17・6時間となっています。長時間勤務の解消は、事務事業の効率化という面だけでなく、職員のメンタル的な面からも、健康で働ける条件の一つとして重要です。メンタル不調による休職者数は横ばいではありますが、心の相談室への相談件数や臨床心理士によるカウンセリングサービスは激増しています。時間外勤務が常態化している部署もあり、働きやすい職場環境づくりの面から、人員配置の拡充等によって、時間外労働時間の削減に努めていくべきであろうと思います。
 

第3に、今回の補正予算には、年度当初からのスムーズな事業執行のためということでかなりの数の債務負担行為が提案されています。いくつかの問題点を指摘致します。

ワーキングプアを後押しする民間委託の実態
 一つは、多数の委託業務が含まれています。以前に比べると随意契約ではなく、入札へと切り替わっています。しかし、委託事業の入札の場合、予定価格がなく、コンサル業務など一部を除き最低制限価格がないために、競争が激化するとかなり低額での落札も出てきます。事例をあげますと、教育委員会における「共同調理場廃棄物収集運搬処理業務委託」は、今年度分で520万円の予算が予定されていましたが、入札によって270万円で契約されました。予定価格は公表されないので、予算額と対比すると約5割の価格です。しかし、「安上がりでよかった」と手放しで喜べるでしょうか。委託契約でも最低制限価格を設定しているものは、大体予定価格の7割強です。市の行った積算が妥当であれば、それを大幅に下回る契約は、その金額でまともな仕事ができるのか、あるいは委託の場合ほとんどが人件費となるものも多いので、そこで働く人の賃金がかなり安くなってしまうということが懸念されます。そうなれば、市が民間のワーキングプアを後押ししていることになります。「民間でできるものは民間で」という安易な委託は、まともな業務の執行と働く人の処遇確保に反することにもなります。事例として挙げた「共同調理場廃棄物収集運搬処理業務委託民間委託」は、数多い委託の一つであり、他にも大なり小なりそのような事例が見受けられました。この間ごみ収集運搬業務などもかなり拡大されてきましたが、民間委託には、さまざまな問題点があるということを指摘しておきます。

子どもたちの学ぶ環境をよくするためにプレハブ教室は解消を
 また、債務負担行為の一つに、教育委員会のプレハブ教室設置経費1億300万円があります。現在熊本市には、小中学校合わせて95教室のプレハブ教室があります。今回の補正予算は、小中学校合わせて10教室を新たにプレハブで設置するものです。一方、次年度より学校の新設や増改築で22教室のプレハブが解消されますので、差し引き12教室のプレハブが減ることになります。プレハブ教室の解消は、今後の児童・生徒数の推移と大きく関係しますので、一挙に解消というのは大変難しいかとは思います。しかし、子どもたちの安全・快適な教育環境ということで考えるならば、なるべく早急に、着実に解消すべきであると思います。速やかなプレハブ教室の解消と子どもたちの教育環境整備の推進を強く要望しておきます。

住民要求にこたえる事業は年度当初から速やかに執行できるように取り組んでほしい
 また、提案された中に、「舗装打換経費」があります。この経費は以前は債務負担とはされていませんでした。先にも申しましたように、年度当初から市民の要求にスムーズに答えられるようにと、一昨年前から、予算の一定額を債務負担として、前年度に補正されているとのことであります。このように年度当初からのスムーズな業務執行が必要な分野においては、現在債務負担の補正がなされていない事業でも、一度各事業検討して適切な処置をなされることを、合わせて要望しておきます。
 以上、主な問題点を指摘して、反対討論といたします。

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