上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

復興特別委員会・・・「一部損壊」の方にも支援を!

2016-08-12 17:57:56 | 熊本地震
8月12日、5回目の復興特別委員会が開かれました。

1、非住家へのり災証明の発行・・・(答弁)「被災証明」を発行する
2、一部損壊への支援策実施・・・(答弁)一部損壊でも利用できるメニューの周知や、支援を国へ要望していく
3、公共施設の応急修理・・・(答弁)学校体育館については、修理の対応は年度末まで、建替えの場合は平成30年度をめどに進めていく
4、避難所の閉鎖について・・・(答弁)避難者一人一人に寄り添った対応をしていく
以上の4点を質問しました。

以下質問の内容です。

【8月12日復興特別委員会質疑】
1、まず、罹災証明について伺います。
 り災証明の発行は、8月1日現在、住家の1次調査で99158件の申請があり、80507件の発行、また、2次調査には25512件の依頼があり17716件が発行されています。そのほか、農水産業関係では1854件、事業者では20713件の証明書が発行されています。罹災証明は、災害救助法に基づく様々な支援のもとになるものであり、被災者にとっては、たいへん重要なものです。本市では、住家の場合、対象者は、当該建物に居住していることが発行の条件となっています。よって、被災して大規模な損傷を受けていても、そこに人が住んでいなければ罹災証明は発行されません。一方、事業者については、店舗・事務所・工場等及び事業用設備についても罹災証明書が発行されています。そこでは、寺社等の建物についても罹災証明書を発行しています。農林水産関係でも、6月1日より対象者を拡大し、農業従事者でなくても、農地を所有し農作物を栽培する自給農家も対象としています。私共に、居住していない家屋を所有する方から相談がありました。前震・本震でも大きな被害を受けていたが、続く余震もあり、傾きがひどくなっている。倒壊すれば近隣への影響もあると思われるので、解体ができないものか」ということでした。市は、「住んでない建物にり災証明は発行しません」との回答だったので、他都市の状況を調べてみました。同じ政令市の仙台市・さいたま市などでは、住家のり災証明書は、住んでいることを条件とはせず、基本「建物」であれば、その所有者・居住者・管理者・使用者、あるいは関係者等にも罹災証明が発行しているとのことでした。住んでなくても発行する理由としては、固定資産税も払ってあるし、災害救助法の趣旨は、被災者の救済にあり、被災した人を広く救済していくのが法の趣旨であるからとの説明でした。災害救助法の大きな原則の一つに、被災者の立場に立って、柔軟に運用することがあります。罹災証明の発行についても、他都市で運用されているように、被災者保護・救助の立場で、被災建物については非住家でも罹災証明を発行するべきではないでしょうか。
市長にお尋ねいたします。

(答弁)

 「り災証明がなくても一定の支援は行っている」との答弁でしたが、「り災証明」があれば半壊以上の建物は解体の対象となりますが、「り災証明」がなければ、倒壊の危険等という判断基準となるので、対象が限定されます。固定資産税を払っている建物への公平なサービス提供の視点から問題ではないでしょうか。
 また、一定の支援を行うのならば、なおのこと「被災」を証明するものが必要ではないでしょうか。

(答弁)

 り災証明は、復旧の第1歩です。り災証明の発行から復旧・復興は始まっていきます。被災者を広く、平等に救済していくためにも、他都市の事例にあげましたように、住家・非住家を問わず、被災した建物について、まずはり災証明を発行すべきと考えます。

2、続いて、「一部損壊」世帯への支援について伺います。
り災証明の発行で、圧倒的多数を占めているのが「一部損壊」です。一次調査で発行総数の74%以上、被災者の4人のうち3人が一部損壊ということになります。世帯数で6万を超えています。先ほど紹介しました党市議団主催の「市政懇談会」でも、「一部損壊に何の支援もないのはおかしい。一部損壊でも、かなりの修理費になっている。一部損壊も、程度に応じて何らかの支援をしてほしい。家財が壊れても家の被害が大きくなければ、何の支援もない。」などと、多くの人が、疑問や不満を述べられていました。実際、一部損壊でも、屋根が損傷している場合はどうしても修理しなければなりません。私共に相談があった方のお1人は5百万円もかかるのに、「一部損壊」で何の支援も受けられない。年金暮らしで、あと何年生きられるかもわからないので、借金もできないと、頭を抱えておられました。被災者の大多数が「一部損壊」で、被害の程度には大きな幅があります。数百万円もの修理費負担ともなれば、何らかの支援なしには復旧ができません。
県下の自治体では、先ほどの質問でも紹介された合志市や宇城市のほか、玉名市でも、いち早く「一部損壊」への支援策を独自に打ち出し、復旧工事費が10万円を超えた場合、20万円を上限として一定の計算式で、補助をしています。予算は当初4000万円が計上されましたが、予想以上に利用され、さらに7000万円が追加補正され、総額で1億1000万円の事業費が予算化されています。本市においても被災者の圧倒的多数である一部損壊の方々に市の独自支援を市長の実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長に伺います。

(答弁)

 「一部損壊」であっても利用できる制度があるとのお答えでした。しかし、私の周りではほとんどの人が、「一部損壊には何の支援もない」と、聞こえてくるのは不満ばかりです。一部損壊になった方々への周知は具体的にどのようにされているのでしょうか。また、実際にそれらの制度がどの程度利用されているのでしょうか、実績をご説明ください。

(答弁)

 多額の復旧費用がかかるのに、経済的支援はほとんどないというのが、「一部損壊」世帯の復旧を遅らせている理由にもなっています。
 「一部損壊」で多額の復旧費用が必要な人の場合、ほとんど瓦が落ち、当面はブルーシートでしのいでいますが、台風が来れば、損壊の規模はさらに大きくなり、住めなくなってしまうことも心配です。このような不安をどうやって解消するつもりでしょうか。

(答弁)

初めに申しましたように、被災者の圧倒的多数を占める6万世帯以上が「一部損壊」です。多額の復旧費用が掛かるのに、資金の支援が全くない「一部損壊」世帯が多いというのが、今回の熊本地震の特徴です。圧倒的多数を占める「一部損壊」世帯の方々も含め、速やかな復興がすすめられてこそ、本当に意味での復興になっていくのではないでしょうか。多額の復旧費用が必要な方への何らかの経済的支援を今後の大きな課題として、ぜひ取り組んでいただきますことを強く要望いたします。

3、応急的な公共施設の修理・復旧について伺います。
市議会では、6月議会開催後、閉会中審査ということで、各常任委員会が開催され、所管する施設の被災状況等が報告されました。私の所属する保健福祉委員会の関連では、中央老人福祉センター・希望荘・ウェルパル・アイパルはじめ様々な施設の被害状況が報告されました。やがて発災から4カ月となりますが、ウェルパル・アイパルなどは、避難施設である「階段」の損傷が未復旧のままとなっています。現在示されている復興計画(案)でも、全庁的な公共施設・インフラの被害状況が説明されています。ただいま紹介したウェルバル・アイパルなどは休まずに現在も運用されている施設であり、不特定多数の施設利用者が毎日利用しています。「避難施設」である「階段」などは、復興計画を待つまでもなく、最優先で修理すべきではないでしょうか。全庁的な避難施設の被災状況と、今後の復旧見通しをご説明ください。
 また、今回の地震災害では、小中学校の体育館が指定避難所して重要な役割を果たしました。しかし現在、小中学校で24校、高校1校の体育館が使用不能です。私共のところにも、今災害が発生すれば、避難に支障をきたすのではないか、学校の授業やイベントにも差しつかえる。今の状態が長く続けば、卒業式もできない、と不安の声が寄せられています。様々な点から、学校の体育館は早急に復旧が必要です。午前中の質問で、学校施設は、修繕での対応の場合で年度末、改修の場合は平成30年度がメドになるとのことでした。使用不能の体育館の修繕での対応、改修での対応、それぞれどのくらいあるのでしょうか。

(答弁)

 「施設の利用に重大な支障があるものについては、すでに応急復旧を行い、施設の利用を再開した」との答弁でした。しかし、ご紹介しましたように、ウェルパルやアイパルはメインとなる階段が使用不能のままの利用再開です。エレベーターは非常時止まってしまいます。それぞれの施設に階段が複数個所あっても、利用者はそれを知らない場合が多く、ほとんどの利用者が使うメインの階段が使用不能では、緊急時避難ルートが絶たれてしまいます。発災からやがて4カ月となります。「避難施設」である階段などは、利用に先立ち最優先で応急復旧すべきであると思います。
 また、市役所に隣接する市営駐車場のエレベーターとその横の階段が使用不能となっています。駐車場利用者の方々は、もう一方の階段を利用されていますが、高齢の方が5階までの螺旋階段を上っておられるのは本当に難儀だと思います。エレベーター・階段の速やかな復旧をお願いいたします。
 避難所となる学校の体育館は、震災対応での早急な復旧と、震災復旧での建て替えができなかった老朽体育館の建て替えも次年度以降急ピッチですすめていかれるようお願いしておきます。
 
4、避難所の問題についてお尋ねいたします。
発災から約4カ月、避難生活も長期になっています。最大時11万人ともなった避難者も、500人程度になりました。市では、学校の再開に向けて拠点避難所を設けたりしながら、だんだんと避難所の縮小が行われてきました。今後、中央区では8月14日をめどに、南区では8月16日または28日と施設ごとに、東区では9月15日をめどに、避難所を閉鎖する予定であると説明されています。
しかし、日時を切って機械的に避難所を閉めるというのには無理があると思います。それぞれの区で、予定している期限が来ても、行先が定まらなかった場合、強制的な退去や、遠い別の避難所への移動をお願いするなど、避難者の意に沿わない対応はすべきでないと思いますが、各区の考え方、対応をご説明ください。

(答弁)

 長期の避難生活は本当に大変だと思います。そういう意味で、早く安心して生活できる住まいの確保を急いでいただきたいとは思いますが、どこの区でも、避難所の閉鎖予定が示されていますので、避難者の意に反し、強制的に退去するなどないようお願いいたします。
以上で質問を終わります。

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