上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

新型コロナへの対応が問われた2020年度、最終の補正予算に討論

2021-03-02 22:02:35 | 熊本市議会
2020年度の最終補正予算が審議された3月2日の本会議、提案されていた「2020年度補正予算」の問題点を指摘し、討論を行いました。
新型コロナへの対応にかかわって、事業者への支援、医療機関・医療従事者への支援、保健所や環境総合センタの体制確保・充実、熊本城ホールへの減収補てんの問題点等について、意見を述べました。

新型コロナ感染症への対応が市政の最重要課題
議第22号「2020年度熊本市一般会計補正予算」について、問題点を指摘し、反対討論を行います。
 今回の補正予算は、新型コロナ感染症への対応が市政の最重要課題として迫られた年度の最終補正であり、新型コロナへの市の対応が予算上も問われていると思います。
 新型コロナ対策として、学校における感染症対策等への対応のために学校教育活動継続経費が1億7440万円予算化され、学校への配当予算が1校当たり80万円から240万円増額されたこと、またPCR検査など感染症対策課におけるコロナ感染症対策経費の増額、妊産婦総合支援事業として里帰り出産のできなかった妊産婦へのヘルパー利用に対する支援他、積極的な対応が評価できる事業もあります。
 しかし一方では、問題ある対応がありました。
 第1に、新型コロナ感染症の影響を受けて大きな打撃を受けている地域経済、事業者への支援は極めて重要かつ大きな課題です。
飲食店等の環境整備に対する助成金として実施された飲食店等感染防止環境整備支援事業は、予定件数1500件を上回る2200件の申請があり1億310万円が増額補正されました。しかし、感染が急拡大している最中の12月31日に申請が打ち切られたことは問題です。申請件数が多かったということは、事業者のみなさんに歓迎されているということであり、感染防止に今後も効果のある事業として、早々に打ちきりにするのではなく、申請期限を延長し、もっと利用していただくべきであったと考えます。一方、活用されずに減額となった事業もありました。市独自の緊急家賃支援事業は、3699万円減額されました。店舗等が賃借のみを対象とされたために、1万件を予定していたものの、申請が5867件に止まりました。廃業した事業者の早期の再起を支援する助成金である「再チャレンジ支援事業」は予算の7割以上にあたる3500万円が減額されました。40件の予定に対し、申請はわずか1件しかありませんでした。しめくくり質疑で指摘致しました「小規模事業者緊急支援事業」は、140事業者の申請を見込みながらわずか3件の申請しかなく、予算の96%にあたる4110万円を減額しました。質疑では「多くの希望者が国の制度を利用したので必要な支援が受けられた」と答弁されましたが、せっかく予算化するのであれば、活用される制度設計にすべきであったと思います。新型コロナ対応融資の利子補給では、昨年6月時点での実績により補給額が予算化されていましたが、予算の約4分の1にあたる12億3900万円が減額されました。予定されていた利率が低かったこともありますが、融資実績が想定通り伸びなかったことは、融資で乗り切ることが厳しいという事業者の現状を反映しているのではないでしょうか。そういう意味では、貸付でなく、落ち込んだ事業の補てんに対し、給付による支援を拡充、強化していくことの必要性があると思います。国に対し、持続化給付金や家賃支援の再支給を求めるとともに、市独自にも業績の悪化に対し、新型コロナで収益の落ち込んでいるすべての業種を対象にした給付型の支援を検討・実施していただくことを要望しておきます。
 第2に、長期に及ぶ感染拡大の中で、医療現場は医療従事者の人手不足と長期戦による疲弊も重なり、コロナによる減収で経営状況も厳しい状況にあります。新型コロナ患者の受け入れ・治療はもちろん、地域住民のいのちと健康を守るため、そしてワクチン接種をスムーズにすすめていくためにも、今医療現場の機能をしっかりと守っていくことは極めて重要です。
今回の補正予算では、質疑で取り上げた救急医療対策経費では、休日夜間救急センター運営事業に対し、減収補てん1億6167万円が予算化されました。これは医療の収益源に対し補てんの必要性を認めたもので、この考え方に立つならば、市内の各医療機関に対し減収補てんを検討していくべきです。市長は、国へ要望していくと繰り返し述べられてきました。そのことはもちろん大切ですが、質疑で指摘しましたように、今や154もの自治体が、独自策に足を踏み出す中、本市でも自治体独自の支援を積極的に打ち出し、実施していくべきではないでしょうか。質疑で紹介した千葉県市原市における支援をはじめ、全国の取り組みに学び、検討・実施していただくようお願いしておきます。
また、新型コロナウィルス感染症対応の窓口として、相談業務や感染経路の探索など、重要な役割を担ってきた保健所、そして重要な検査業務を担ってきた環境総合センター、残業が前提となっているような現状を放置すべきではありません。いずれについても体制確保には特段の配慮が必要だと考えますので、よろしくお願いいたします。
 第3に、新型コロナ禍において、生活に困窮する人たちが増えている問題についても、真剣に考えなければなりません。
教育市民委員会では、特別会計・奨学金貸付事業の貸付事業費が予算の4割近い3820万円も減額されている点を指摘しました。新型コロナの影響で、保護者の収入減や学生自身のアルバイトの減少などによって、困窮する学生が増え、民間では、学生を対象にした食料等の配布支援が広がっています。一般の方々を対象にした物資の支援等も行われています。こんな時こそ、奨学金がきちんと利用されるような運用に努めることが必要です。小中学校の就学援助でも、まとまった費用が必要となる新入学学用品費の申請が入学式で打ち切られていることや1月までに申請しなければ支給が6月になってしまうなど、困窮した子どもと保護者の立場に立っているとは思えない運用は直ちに改善すべきです。
生活保護費の給付では、扶助費が8億円増額補正されましたが、保護制度においても、困窮した世帯が速やかに申請・受給に至るよう、「生活保護の申請は国民の権利」であることを周知し、制度を必要とする人が躊躇なく利用できるよう、厚生労働大臣が「義務ではない」と明言した「扶養親族への照会」は速やかにやめていただくようお願いしておきます。格差と貧困、生活の困窮が広がるコロナ禍、今こそ、公の責任でその解消に努めていただくよう要望いたします。
第4は、熊本城ホールへの指定管理料の補てん問題です。
2019年度の収支は約500万円の黒字でありながら、2600万円もの補てんが行われたことは、絶対に理解できません。補てんについては、指定管理者である企業体と協議することになっているので、黒字とわかった時点でルールの見直しを提案し、補てんはしないという協議をすべきであったと思います。さらには、各ホールの稼働日数・稼働率は落ち込み、メインホールで73%、シビックホールが84%と、利用が大きく落込みました。収入は年間で約5億2000万円、65%の減収となりましたが、支出は1億7865万円、22%の削減にとどまりました。収入減に対する企業努力がどのようになされたのか、見えてきません。
また、MICE整備基本計画では、年間の維持管理経費を約5億3000万円と定められていました。しかし、質疑で答弁されたように、現在の指定管理者は管理経費を年間約8億円で運営しています。年間約3億円も増えています。管理経費が大きいほど、収入が落ち込んだ時には管理費が負担となります。施設整備の時に想定されていた維持管理費のどこが増えているのかを明らかにし、それは収入減のもとで、縮減することができなかったのか、検証すべきです。そのことなくして、収支の差額を漫然と補てんすることに、市民の理解は得られません。雇用調整助成金で1000万円の国支援があったと報告されました。年間の維持管理費が約8億円です。パートアルバイトも支給対象となる雇調金の積算はどのようにされたのか、持続化給付金はなぜ申請されなかったのか。いずれも、企業の経営努力が問われる点です。
一般の企業は、新型コロナ禍で収入が減っても、1回きりの持続化給付金や家賃支援、雇用調整助成金など、それが減収に見合うものでなくても、その他は融資等によって乗り切ることが求められています。しかし、熊本城ホールの運営では、収支の差額すべてが税金によって、運営企業へ補てんされています。しかも2019年度分では、黒字なのに税金を給付しています。
熊本城ホールの管理業務は、企業が1円の説備投資もせず、施設使用料も払わないで収益を上げる仕組みになっています。契約では、利益が出れば市へ還元するとなっていますが、還元は最大でも5年間で1億円まで、一方、今回のように損失による税金の補てんは1年間で3億4000万円というのには、到底市民の理解や納得は得られません。ましてや企業努力が見えなかったらなおさらです。しかも、新型コロナの収束はまだ見えず、このような状況がいつまで続くのかも分かりません。そういう点で、熊本城ホールへの莫大な税金投入は大きな問題です。徹底した情報公開と説明責任をお願いいたします。
以上、補正予算の主な問題点を指摘して、討論を終わります。
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