東京多摩借地借家人組合

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処分事例 雨漏り及び敷金の承継の説明不備

2009年02月13日 | 宅地建物取引業法
《要旨》
 雨漏り等の欠陥を説明せず、敷金の承継の説明も不十分であったとして、媒介業者が7日間の業務停止処分とされた。


(1) 事実関係
 買主Xは、業者Yの媒介で、築30年の4階建てのビルを買い受けた。
 Xは、「4階に事務所を構え、階下の6部屋を賃貸する予定であったが、4階や3階は雨漏りによる傷みが激しく、このような物件であることを事前に知っていたら購入はしなかった。また、購入した時点で3人の賃借人がおり、そのうちの1人が退去したが敷金155万円の返還をめぐってトラブルになっている。」として、相談のため行政庁に来庁した。

(2) 事情聴取
 行政庁で調べたところ、本件建物には、4階と3階に雨漏りの箇所が多数あるなど欠陥があったが、Yは売主側から現況渡しであると言われていたことなどから、調査を行わず、欠陥を認識していなかったため、雨漏りの欠陥等についてXに説明していなかったこと、敷金について、3人の賃借人から合計で321万円が差し入れられていたが、Yは売主側から敷金の承継について説明を受けていたにもかかわらず、重要事項説明書に記載せず、口頭で「(売主からは)敷金は戻らない、出どこはない」と説明するのみであったことが判明した。
 また、Yは、「Xは他にも不動産を所有し、大学の経済学部の教授であることなどから不動産取引について専門的な知識を持っている。売買代金についても650万円の値引きをした。」などと主張した。


(3) 処 分 
 行政庁は、Yは、Xに対して雨漏り等の欠陥を説明しなかった、敷金がXに承継されることの説明は極めて不十分であるとして、Yを7日間の業務停止処分とした。 (不動産適正取引推進機構)



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