東京多摩借地借家人組合

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日弁連が罹災法改正案 被災借家の利益両立へ 

2011年03月20日 | 地震と借地借家問題
 日本弁護士連合会(日弁連)は20日、阪神・淡路大震災にも適用された「罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災法)」の改正案をまとめた。被災した借家人が同じ場所に住み続けられる「優先借地権」を認めた法律だが、借家人、家主ともに負担が大きいなど、時代に合わないと指摘されていた。改正案では優先借地権を廃止する一方で、借家人の一時的な土地使用権を設け、借家人、家主双方の利益を両立させた。


 同日午前、日弁連が東京都内で開いた理事会で改正の意見書を決議した。今後、国などへの働きかけを強める。

 同法はもともと戦災後のバラック建設などを想定していた。災害にも適用されるようになったが、阪神・淡路大震災のときは終戦直後に比べて地価が格段に高く、借家人が優先借地権を行使するには多額の権利金の支払いが求められた。

 優先借地権が残ると土地の売却もしにくいため、家主側が「解決金」を支払い、借家人が権利放棄する例も続出した。

 改正案では、優先借地権を廃止。代わりに、借家人が生活再建のために同じ場所を一時的に使用できる、とした。10年間を想定している。また借家人の承諾があれば、公的な仮設住宅の敷地として一時使用できることにしている。

 「優先借家権」も見直す。震災時は再建後に家賃が上昇し、元の借家人が払えないケースが目立った。改正案では、家賃補助などの公的支援制度の創設を明示。家主が明け渡しを求めることができる理由に「解決金の支払い」「都市計画」なども挙げた。

 同法は震災後、改正の機運が高まったが、その後15年が経過。日弁連災害復興支援委員会の永井幸寿委員長は「この法律はすでに今の社会に合わなくなっている。発生が懸念される首都直下地震などの災害では対応できない。きちんと修正しておく必要がある」と話している。

(災害特報班・岸本達也)


 【罹災法】関東大震災後にできた法律を基に1946年に制定。災害などで住宅や店舗を失った借家人が、再建された建物に入居できる「優先借家権」と、再建されない場合、借家人が借地人になることができる「優先借地権」を認めている。

(2010/10/2 神戸新聞0

日弁連 罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災法)」の改正案
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被災地の借地借家保護、臨時処理法を適用へ

2011年03月20日 | 地震と借地借家問題
 法務省は14日の政務三役会議で、東日本巨大地震の被災地に対して「罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法」を適用する方針を決めた。


 関係省庁と協議し、近く具体的な適用地域を定めた政令を閣議決定する。

 同法は、借りていた建物が震災で倒壊、焼失するなどした場合、〈1〉再築された建物を借家人が優先的に借りられる〈2〉建物が借地上にあった場合は復興時に優先的に借地権が与えられる――ことなどを規定している。

 同法は、1995年の阪神大震災と2004年の新潟県中越地震でも被災地に適用された。

(2011年3月14日18時43分 読売新聞)
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大規模災害で建物が滅失してしまった場合 借地権・再築はどうなるのか

2011年03月20日 | 地震と借地借家問題
問)借地上の建物が大災害により倒壊・焼失・流失等で滅失した場合は借地人の権利はどうなるのか。


(答)借地契約が借地借家法施行(1992年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される。借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合、借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。判例も「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。

  問題は、借地人の建物が滅失している間―例えば建物の再築が資金繰り等で長引いている間に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。しかし建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ない。だが「借地借家法」は建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る(借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。

  大規模災害があった場合は政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法)が適用される。12年前の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。「処理法」は借地権の存続期間に関しては建物の再築を容易にするために残存期間が10年以下の場合は一律に政令施行日から10年間に延長される(処理法11条)。また政令施行日から5年間に限り建物が滅失のままでも前記掲示をしなくても新所有者に借地権を対抗することが出来る(処理法10条)として借地借家法10条よりも救済措置が強化されている。



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