日本弁護士連合会(日弁連)は20日、阪神・淡路大震災にも適用された「罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災法)」の改正案をまとめた。被災した借家人が同じ場所に住み続けられる「優先借地権」を認めた法律だが、借家人、家主ともに負担が大きいなど、時代に合わないと指摘されていた。改正案では優先借地権を廃止する一方で、借家人の一時的な土地使用権を設け、借家人、家主双方の利益を両立させた。
同日午前、日弁連が東京都内で開いた理事会で改正の意見書を決議した。今後、国などへの働きかけを強める。
同法はもともと戦災後のバラック建設などを想定していた。災害にも適用されるようになったが、阪神・淡路大震災のときは終戦直後に比べて地価が格段に高く、借家人が優先借地権を行使するには多額の権利金の支払いが求められた。
優先借地権が残ると土地の売却もしにくいため、家主側が「解決金」を支払い、借家人が権利放棄する例も続出した。
改正案では、優先借地権を廃止。代わりに、借家人が生活再建のために同じ場所を一時的に使用できる、とした。10年間を想定している。また借家人の承諾があれば、公的な仮設住宅の敷地として一時使用できることにしている。
「優先借家権」も見直す。震災時は再建後に家賃が上昇し、元の借家人が払えないケースが目立った。改正案では、家賃補助などの公的支援制度の創設を明示。家主が明け渡しを求めることができる理由に「解決金の支払い」「都市計画」なども挙げた。
同法は震災後、改正の機運が高まったが、その後15年が経過。日弁連災害復興支援委員会の永井幸寿委員長は「この法律はすでに今の社会に合わなくなっている。発生が懸念される首都直下地震などの災害では対応できない。きちんと修正しておく必要がある」と話している。
(災害特報班・岸本達也)
【罹災法】関東大震災後にできた法律を基に1946年に制定。災害などで住宅や店舗を失った借家人が、再建された建物に入居できる「優先借家権」と、再建されない場合、借家人が借地人になることができる「優先借地権」を認めている。
(2010/10/2 神戸新聞0
日弁連 罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災法)」の改正案
同日午前、日弁連が東京都内で開いた理事会で改正の意見書を決議した。今後、国などへの働きかけを強める。
同法はもともと戦災後のバラック建設などを想定していた。災害にも適用されるようになったが、阪神・淡路大震災のときは終戦直後に比べて地価が格段に高く、借家人が優先借地権を行使するには多額の権利金の支払いが求められた。
優先借地権が残ると土地の売却もしにくいため、家主側が「解決金」を支払い、借家人が権利放棄する例も続出した。
改正案では、優先借地権を廃止。代わりに、借家人が生活再建のために同じ場所を一時的に使用できる、とした。10年間を想定している。また借家人の承諾があれば、公的な仮設住宅の敷地として一時使用できることにしている。
「優先借家権」も見直す。震災時は再建後に家賃が上昇し、元の借家人が払えないケースが目立った。改正案では、家賃補助などの公的支援制度の創設を明示。家主が明け渡しを求めることができる理由に「解決金の支払い」「都市計画」なども挙げた。
同法は震災後、改正の機運が高まったが、その後15年が経過。日弁連災害復興支援委員会の永井幸寿委員長は「この法律はすでに今の社会に合わなくなっている。発生が懸念される首都直下地震などの災害では対応できない。きちんと修正しておく必要がある」と話している。
(災害特報班・岸本達也)
【罹災法】関東大震災後にできた法律を基に1946年に制定。災害などで住宅や店舗を失った借家人が、再建された建物に入居できる「優先借家権」と、再建されない場合、借家人が借地人になることができる「優先借地権」を認めている。
(2010/10/2 神戸新聞0
日弁連 罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法(罹災法)」の改正案