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駐車場の瑕疵につき損害賠償および礼金の一部返還ガ認められた事例

2008年09月10日 | 最高裁と判例集
駐車場の賃貸借契約にいて、貸主の修繕義務の不履行責任が認められ、駐車場の瑕疵につき損害賠償および礼金の一部返還ガ認められた事例 (東京地裁平成5年10月1日判決、判例時報1497号82頁)

 (事実)
 地主から駐車場目的で土地を賃借し、使用を開始したところ、本件駐車場が舗装されれていないため、雨が2,3日続くとぬかるみになり、駐車中の車が脱出するためには他の車牽引を必要とする状態であった。

 そこで、借主は貸主に対し、再三にわたり本件駐車場に砂利をいれるなどして使用可能な状態に改善するよう催告したが、貸主は駐車場の一部に砂利を入れただけで、その他の部分については応じなかったので、借主は貸主に対し、本件土地賃貸借契約を解除し、債務不履行に基づく損害賠償および礼金の返還を求めた。

 (争点)
 貸主が本件駐車場の一部に砂利を入れたがその他の部分には砂利を入れなかった場合、これを債務不履行と認めるか、またはそれを認めた場合借主の損害額および礼金の返還額をどう算定するかである。

 (判決の要旨)
 裁判所は、本件駐車場は雨が降ると地盤が水を含んだ状態となり駐車車両が自力で脱出できなくなる事態が発生し、その都度他の駐車場から本件駐車場まで2トン車を持っていき脱出不能の車両を牽引せざるを得なかったのに地主は本件駐車場の入口付近に約2台分の砂利を入れたに過ぎなかったのでこれにより、本件駐車場の約半分の使用ができなかったとして賃料の半額相当分についての損害額を認定した。

 また、礼金の返還請求については、礼金の性格を契約期間中の本件駐車場の使用収益に対する対価の一部前払と解して、使用収益ができなかった分についての礼金の返還を認めた。

 (短評)
 貸主は借主に対して賃貸物件を使用収益させるべき義務を負い、右使用収益ができないときは、その使用収益に必要な修繕をすべき義務を負っているが、その修繕義務の具体的な内容および程度については、賃貸物件の種類、性質、使用収益の具体的な内容等によって異なる。

 本件は、修繕義務の具体的な内容程度について、具体的な事案に即して、綿密に算定したものであり、参考となる。

 また、事案によるが、敷金の返還請求以外に、本件において、礼金の返還請求を認めている点は評価できる。


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より



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