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新宿に『限界集落』 大規模都営住宅 65歳以上入居が半数

2008年09月06日 | 国と東京都の住宅政策
 東京都新宿区の大規模都営団地で、住民の過半数が六十五歳以上となる超高齢化が進んでいることが、同区社会福祉協議会の調査で六日分かった。高齢化に加え建て替えで高齢者が集中したことが原因で、高齢化率トップの群馬県南牧村並みの「限界集落」が都心に生まれたことになる。区社協は孤独死の増加も心配されるとして、対策に取り組み始めた。

 中山間地で高齢化率が五割超の「限界集落」は存続が困難とされる。インフラの整った都市の事情は異なるが医療など支援が重要。国立社会保障・人口問題研究所は団塊の世代が多い都市部の都道府県で高齢化が進むとみており、「限界集落」が地域の中心都市に現れる可能性もあり、新たな都市問題となりそうだ。

 超高齢化が判明したのは総戸数約二千三百戸の「戸山団地」。一九九〇年から全十六棟の建て替えが進んでおり、新宿区社協は、約六割の新住民が入居した昨年末以降、成富正信・早大社会科学部教授と調査を開始。

 団地住民が大半を占めるこの地区の住民基本台帳調査で高齢化率が51・6%に達したことや独自調査から、区社協は住民の過半数が六十五歳以上と推定。高齢化率は19・8%の区平均を上回り、七十五歳以上の約六割が独り暮らしとみている。

 約三百四十世帯が暮らす二号棟のあるフロアには、独り暮らしの1DKばかり三十五室が並ぶ。住民の鴛谷幸男さん(79)は「ドアを閉めると中の気配が分からない」と孤立感を話す。共用階段の電球取り換えも、七十歳を超える世話役には危険で維持管理も重荷だ。

 区社協は住民の高齢化に加え、棟によっては1DKが半数近いなど単身者用に偏った建て替えが、独り暮らしの高齢者の増加につながったと判断。家族向けを増やすなど多様な街づくりを工夫すべきだったと指摘する。

 都住宅整備課は「困窮者を優先入居させる必要があり、単身高齢者が増えた」と、住宅政策としては適切とする。しかし、都市の公営住宅に高齢者が集中する傾向は各地でみられ、成富教授は「人間関係が希薄な都会は住民が孤立しかねない」と、対策を訴えている。(東京新聞 9月6日)

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