https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201901/0011969982.shtml
阪神・淡路大震災の被災者に自治体が賃貸で提供した「借り上げ復興住宅」の入居者らが、20年間の
借り上げ期間後に退去を迫られている問題で、退去に応じた被災者が急激な環境変化に適応できず、心身
の不調を訴えるケースが出ている。住まいを奪った激震から間もなく24年。入居者の多くは高齢とな
り、支援する医師らは「意に沿わぬ転居は命を縮めてしまう」と警鐘を鳴らす。(小林伸哉)
「年を取って引っ越しなんてするもんじゃない」
持病を抱えつつ転居したという男性(84)は嘆く。
転居先は神戸市東灘区の市営住宅の高層階。1人暮らしで、引っ越しの荷物を詰めた段ボール箱の多く
は、半年以上たった今も積み上がったままだ。
「よう片付けんまま住むんやろな。どないしたもんやろ。何が入ってるのか、捜し物が見つからない」
男性は震災で東灘区の自宅が全壊。1997年に同区の借り上げ復興住宅に入った。趣味の観葉植物を
並べ、2005年に病死した妻と過ごした思い出の場所でもある。
17年10月に借り上げ期間が終了。各自治体で借り上げ復興住宅の継続入居要件は異なり、同世代の
被災者でも明暗が分かれ、男性は転居対象になった。「迷惑はかけられん」と市営住宅に申し込んだが、
「本当は残りたかった」。
18年6月に移った市営住宅は約300メートルの距離だが、居住環境は一変。数日後、大阪府北部地
震で戸棚のガラスが割れ、エレベーターに乗るのが怖くなった。転居前は2階で暮らし、買い物や通院に
さっと外出できたが、今はおっくうに思う。
「引っ越してから心臓に違和感があって、少しでも動いたらこたえる」。脳梗塞の後遺症もあり「うま
く眠れない」と漏らす。
訴訟も辞さない市の姿勢に、やむを得ず転居する高齢者が相次ぐ。男性は「みんなしんどい目をしてる
と思うよ。無理はさせんといてほしいなあ」と気遣った。
【借り上げ復興住宅】 兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、最
多時は7千戸超を提供。1月の取材時点では、計約2千世帯が暮らす。前年比で約250世帯減。神戸市
では2019年度以降に18団地で借り上げ期間が終了する。期間後も暮らす住民に対し、神戸市は12
世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。神戸地裁は3世帯に退去を命じ、1世帯が明け渡す内容で和
解した。訴訟を継続する住民らは「入居時に期間終了時の明け渡しの説明は受けていない」などと主張し
ている。
阪神・淡路大震災の被災者に自治体が賃貸で提供した「借り上げ復興住宅」の入居者らが、20年間の
借り上げ期間後に退去を迫られている問題で、退去に応じた被災者が急激な環境変化に適応できず、心身
の不調を訴えるケースが出ている。住まいを奪った激震から間もなく24年。入居者の多くは高齢とな
り、支援する医師らは「意に沿わぬ転居は命を縮めてしまう」と警鐘を鳴らす。(小林伸哉)
「年を取って引っ越しなんてするもんじゃない」
持病を抱えつつ転居したという男性(84)は嘆く。
転居先は神戸市東灘区の市営住宅の高層階。1人暮らしで、引っ越しの荷物を詰めた段ボール箱の多く
は、半年以上たった今も積み上がったままだ。
「よう片付けんまま住むんやろな。どないしたもんやろ。何が入ってるのか、捜し物が見つからない」
男性は震災で東灘区の自宅が全壊。1997年に同区の借り上げ復興住宅に入った。趣味の観葉植物を
並べ、2005年に病死した妻と過ごした思い出の場所でもある。
17年10月に借り上げ期間が終了。各自治体で借り上げ復興住宅の継続入居要件は異なり、同世代の
被災者でも明暗が分かれ、男性は転居対象になった。「迷惑はかけられん」と市営住宅に申し込んだが、
「本当は残りたかった」。
18年6月に移った市営住宅は約300メートルの距離だが、居住環境は一変。数日後、大阪府北部地
震で戸棚のガラスが割れ、エレベーターに乗るのが怖くなった。転居前は2階で暮らし、買い物や通院に
さっと外出できたが、今はおっくうに思う。
「引っ越してから心臓に違和感があって、少しでも動いたらこたえる」。脳梗塞の後遺症もあり「うま
く眠れない」と漏らす。
訴訟も辞さない市の姿勢に、やむを得ず転居する高齢者が相次ぐ。男性は「みんなしんどい目をしてる
と思うよ。無理はさせんといてほしいなあ」と気遣った。
【借り上げ復興住宅】 兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、最
多時は7千戸超を提供。1月の取材時点では、計約2千世帯が暮らす。前年比で約250世帯減。神戸市
では2019年度以降に18団地で借り上げ期間が終了する。期間後も暮らす住民に対し、神戸市は12
世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。神戸地裁は3世帯に退去を命じ、1世帯が明け渡す内容で和
解した。訴訟を継続する住民らは「入居時に期間終了時の明け渡しの説明は受けていない」などと主張し
ている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます