東京多摩借地借家人組合

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「高齢者追い出し命に関わる」借り上げ復興住宅問題を一冊に

2019年01月17日 | 地震と借地借家問題
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201901/0011983293.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者向け「借り上げ復興住宅」の入居者が、兵庫県神戸、西宮市から裁判で退去
を迫られている問題を巡り、神戸市灘区の団体職員市川英恵(はなえ)さん(25)が、入居者や有識者
らの主張を示す本「住むこと 生きること 追い出すこと 9人に聞く借上復興住宅」を出版した。「住
み慣れた場所からお年寄りを追い出すと、命に関わる。被災者支援は恩恵ではなく権利」。漫画も交え、
対話形式で分かりやすく伝える。(小林伸哉)

 神戸大在学時、復興住宅の「ふれあい喫茶」で高齢者を支援し、借り上げ復興住宅の退去問題を知っ
た。コミュニティーからの分離や健康上の不安を聞き取り、卒論にまとめた。
 著書は、卒論を基に法制度上の問題点などを紹介し、2017年春に出版したエッセー風の「22歳が
見た、聞いた、考えた『被災者のニーズ』と『居住の権利』-借上復興住宅・問題」(クリエイツかもが
わ)に続く2作目となる。
 裁判の傍聴支援をしてきた市川さんは、提訴された心労などから体重が22キロ落ちたという被災者ら
を目の当たりにし、胸を痛めた。借り上げ期間後の被災者に退去を命じる判決が続き「私に何ができるの
だろう」と思い悩み、執筆を決意した。
 新刊では、住まいを基本的人権とする「居住福祉学」を提唱し、昨年7月に死去した神戸大の早川和男
名誉教授や医師らが、裁判で出した意見書を紹介。高齢者の意に反する転居が、転倒や認知症、孤独死の
リスクを高めると指摘する。
 本書に登場する神戸大大学院の井口(いのくち)克郎准教授(社会保障)は、国際人権規約で社会保障
サービスの平等な受給などを定める「健康権」が「『健康を害する可能性のある』行為を禁止している」
として、退去を迫る施策の違法性を主張。全世帯の継続入居を決断した中川智子宝塚市長は「入居者のい
のちと暮らしを守る使命が行政にはある」と指摘する。
 市川さんは「いつどこで誰が災害に遭うか分からない。健康で文化的な生活を送るために『住まいは人
権』と多くの人に知ってほしい」と力を込める。
 A5判、92ページ。1296円(税込み)。漫画家寺田浩晃さんが前作に続き、イラストを担当。ク
リエイツかもがわから発行。既に書店に並ぶ。問い合わせは編集に関わった兵庫県震災復興研究センター
TEL078・691・4593

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