ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

有料メルマガ投稿記事より

2021-12-02 04:25:26 | エッセー

何年か前に有料メルマガから依頼されしばらく書いていたが、読者が増えず

止めた。その原稿がかなりあるので、これから時折投稿することにしました。

☆幸福感に時の流れを忘れて

 先日雅叙園でやっている「お花の展覧会」のため、友人と目黒駅10時半の待ち合わせをした。

1時間前に出れば十分間に合うと判断し、約束の1時間前に家を出た。

 ところが渋谷行のバスが時間に来ない、でも時間は十分あるからと私はきれいな空

を見上げていた。道路はとても混んでいて、途中のバス停は全部止まっていた。

 私は前の一段高い席に座ったので、視界が広く気分が良かった。

お天気も良いし、認知症の夫を一人置いて外出できるのは有り難いなと思い

ながら突然気がついた。

認知症のリハビリの一つに「回想法」と言うのがあるが、それは、楽しい過去を思い出して

幸せな気分になったり、また現在の自分を確認したり、過去と未来をつなぐ時間の流れを確認

したりする方法だが、私はそれを自然に毎日くり返していて、それも夫の精神衛生上にも大変効果

があったのだと・・・ 夫が中学生、私は小学生の時に終戦を迎えたので、戦争中は空襲警報で恐ろ

しい思いをしたり、家が戦災で焼けたこと、疎開したことなども同じ経験も沢山ある。

 また、戦後にだんだん復興していくプロセスなども、ハッキリ覚えているが、先日も夕立の話に

なり「雷がゴロゴロなって怖かったけど、雨が上がると空にきれいな虹が出た、庭の樹木がキラキラ

光っていて、涼しい風が吹いて気持ちよかった」などなど、共通の話題がいくらでもある。

 行政で開催している「高齢者認知症介護家族の会」に時折参加するが「夫(妻)父(母)を

殺して自分も死にたい」と言う言葉は何度も聞いたが、それぞれの家族は凄惨な介護をしている

ようだ。それに比べると私は幸せな介護をしてのだと、改めて思ったら何だかとても幸せな気持ち

になり、涙が出そうになった。私の大好きな淡島通りを通り渋谷についたら、何と10時20分だったが

待ち合わせには遅れたことがないのに、幸福感に酔っていたので、時間の流れが気にならなかった。

 

急いで渋谷駅へ走り山手線に乗ったが、そんな時必ずメールをするのに、それもすっかり

忘れていた。私は一つのことに集中すると、音も聞こえないし、周りのことが見えなくなる

癖がある。3・4分遅れて友人に会えて謝ったが、友人は私を見てホッとしたようだ。

いつも時間に正確な私がこないので、家に電話したり、私に電話したり、メールしたりなど

随分迷惑をかけてしまった。でも、時間恐怖症的な私が、それを忘れるほどの、幸福感は

何とステキだろう。まさしく「ベルグソン時間」で、そんな時は、きっと心に幸せなエネルギーが

タップリチャージされるのだろう。私脳天気で得な性格だと改めて感じた。

コメント
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