これまでの覇者交代は、大山康晴→中原誠→谷川→羽生から分かるとおり、同世代の勢力変化ではなく新世代の台頭によってなされてきた。昨年の王座戦で、羽生は次世代の俊英渡辺明の挑戦を受け、あわや王座交代に追い込まれたが何とか退けた。秋の竜王戦に登場したのは、数ヶ月前に初タイトルの名人を羽生に奪われた森内である。羽生と森内、この2人は小学生から20年以上のライバルで、肝心な場面では、常に森内は羽生の後塵を拝してきた。今回の竜王戦で3-0と羽生がカド番に追い込まれたときも、7番勝負の3連敗4連勝という囲碁界には何度かあるが将棋界にはない歴史を作るためにこの状況にしたのでは、と真顔で言う人さえいた。しかし、森内はストレートで竜王を奪取し、続く王将戦でも再び羽生を倒し、タイトル数で肩を並べた。
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