7月31日東京芸術劇場プレイハウスで、シェイクスピア作「お気に召すまま」を見た(翻訳:早船歌江子、ドラマターグ:田丸一宏、演出:熊林弘高)。
オーランドー(坂口健太郎)は兄オリヴァー(満島真之介)によって不当に虐げられていたが、ある日、公爵(山路和弘)の開催したレスリング試合で活躍し、公爵の姪
ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちる。だが試合での勝利に嫉妬した兄に命を狙われ、アーデンの森へ逃げ込む。
一方、公爵の不興を買ったロザリンドも宮廷から追放され、いとこのシーリア(中嶋朋子)と共に森へ向かう。女二人では危険なので、ロザリンドは男装し、偽名を名乗る
ことにする。実は、ロザリンドの父である前公爵(山路和弘の二役)は弟に爵位を奪われ、追われてアーデンの森に行き、そこで彼を慕う臣下たちと共に暮らしていた。
そこに身を寄せようというのだ・・・。
以下、ネタバレあり。注意!
客席を多用。役者たちは、客が座っている座席の間を通り抜けたりもする。
始まってすぐ、一人の役者が人物紹介、話の筋も少し解説。
シーリアはロザリンドより年下のはずだが・・・違和感が続いた。
これまで見たどの上演でも、シーリアはロザリンドに対して「お姉さま、どこまでもついて行きます」という感じの間柄に描かれていたが。
だがこれは些末なこと。
考えてみると、中嶋朋子より満島ひかりの方が男装が似合うかもだし。
旧公爵の描き方がひどい。簒奪者である弟の現公爵は威厳ある公爵らしい男として描いているのに、本来ずっと高潔なはずの旧公爵を、女っぽくて、廷臣たちともつれ合う
気持ちの悪い男として描いている。威厳も何もない(これは役者ではなく演出家に言っているのです。念のため)。
場面を短くカットし、他の場面と絡めたりしているが、単なる思いつきに過ぎず、初めてこの芝居を見る人には、かえって筋が分かりにくくなった。
オーランド―はロザリンドに一目惚れしたはずなのに、試合後、彼女を全く見ない。彼女にペンダントを差し出されると、呆然とそれに見とれるばかり。
惚れたのなら目が相手に吸い寄せられて離れないはずだが。まるでペンダントに惚れたかのよう。結局その場面が終わるまで彼女の方を一度も見なかった。
恋する者をちゃんと描いてくれないと感情移入できません!
これも役者さんに言っているのではなく、演出家に言っているのです(念のため)。
アダム役の人は最悪。この人は文学座の重鎮のはずだが最近どうなってしまったのか。全くの棒読みで、劇団の入団テストだったら間違いなく不合格だ。
<2幕>
冒頭、ベートーヴェンの第九の3楽章が流れ出したのには驚いた。
一体どういう意図なのか不明。
ジェイクス(ジェイクィズ)役の中村蒼は声がいい。
今回、どういうつもりなのか、あらゆるシーンに卑猥な要素を入れている。
それで笑いを取りたいのか、そんなことをしなくても、この芝居は十分面白いのだが。
ロザリンド役の満島ひかりはうまいし、声もいいが、男に扮している時、しょっちゅう高い声でキンキン叫んだりわめいたりするので聞き取りにくい。
この人の低い声は美しくて魅力的なのに残念だ。
羊飼いガニミードになりすましている間は、本当に必要な時以外は、低い声で話してほしい。
中嶋朋子は主役ロザリンドをやってもおかしくないのに、シーリア役にするとは少々もったいない使い方だ。
オリヴァー役の満島真之介は好演。
ラストはわざと工夫を凝らしているが、全然面白くない。つまらない。
総じて演出がひどい。
やたら股間(人のやら自分のやら)に手をやることで客が笑ってくれるのか?
そうまでして客の目を釘付けにしておきたいのか?
それって自信の無さの現れ?
いや、どうせ今回のお客はその程度の人たち、と馬鹿にしているのかも。
残念ながら、今まで見た中で最悪の「お気に召すまま」だった。
うまい役者を何人も使ってるにもかかわらず。
オーランドー(坂口健太郎)は兄オリヴァー(満島真之介)によって不当に虐げられていたが、ある日、公爵(山路和弘)の開催したレスリング試合で活躍し、公爵の姪
ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちる。だが試合での勝利に嫉妬した兄に命を狙われ、アーデンの森へ逃げ込む。
一方、公爵の不興を買ったロザリンドも宮廷から追放され、いとこのシーリア(中嶋朋子)と共に森へ向かう。女二人では危険なので、ロザリンドは男装し、偽名を名乗る
ことにする。実は、ロザリンドの父である前公爵(山路和弘の二役)は弟に爵位を奪われ、追われてアーデンの森に行き、そこで彼を慕う臣下たちと共に暮らしていた。
そこに身を寄せようというのだ・・・。
以下、ネタバレあり。注意!
客席を多用。役者たちは、客が座っている座席の間を通り抜けたりもする。
始まってすぐ、一人の役者が人物紹介、話の筋も少し解説。
シーリアはロザリンドより年下のはずだが・・・違和感が続いた。
これまで見たどの上演でも、シーリアはロザリンドに対して「お姉さま、どこまでもついて行きます」という感じの間柄に描かれていたが。
だがこれは些末なこと。
考えてみると、中嶋朋子より満島ひかりの方が男装が似合うかもだし。
旧公爵の描き方がひどい。簒奪者である弟の現公爵は威厳ある公爵らしい男として描いているのに、本来ずっと高潔なはずの旧公爵を、女っぽくて、廷臣たちともつれ合う
気持ちの悪い男として描いている。威厳も何もない(これは役者ではなく演出家に言っているのです。念のため)。
場面を短くカットし、他の場面と絡めたりしているが、単なる思いつきに過ぎず、初めてこの芝居を見る人には、かえって筋が分かりにくくなった。
オーランド―はロザリンドに一目惚れしたはずなのに、試合後、彼女を全く見ない。彼女にペンダントを差し出されると、呆然とそれに見とれるばかり。
惚れたのなら目が相手に吸い寄せられて離れないはずだが。まるでペンダントに惚れたかのよう。結局その場面が終わるまで彼女の方を一度も見なかった。
恋する者をちゃんと描いてくれないと感情移入できません!
これも役者さんに言っているのではなく、演出家に言っているのです(念のため)。
アダム役の人は最悪。この人は文学座の重鎮のはずだが最近どうなってしまったのか。全くの棒読みで、劇団の入団テストだったら間違いなく不合格だ。
<2幕>
冒頭、ベートーヴェンの第九の3楽章が流れ出したのには驚いた。
一体どういう意図なのか不明。
ジェイクス(ジェイクィズ)役の中村蒼は声がいい。
今回、どういうつもりなのか、あらゆるシーンに卑猥な要素を入れている。
それで笑いを取りたいのか、そんなことをしなくても、この芝居は十分面白いのだが。
ロザリンド役の満島ひかりはうまいし、声もいいが、男に扮している時、しょっちゅう高い声でキンキン叫んだりわめいたりするので聞き取りにくい。
この人の低い声は美しくて魅力的なのに残念だ。
羊飼いガニミードになりすましている間は、本当に必要な時以外は、低い声で話してほしい。
中嶋朋子は主役ロザリンドをやってもおかしくないのに、シーリア役にするとは少々もったいない使い方だ。
オリヴァー役の満島真之介は好演。
ラストはわざと工夫を凝らしているが、全然面白くない。つまらない。
総じて演出がひどい。
やたら股間(人のやら自分のやら)に手をやることで客が笑ってくれるのか?
そうまでして客の目を釘付けにしておきたいのか?
それって自信の無さの現れ?
いや、どうせ今回のお客はその程度の人たち、と馬鹿にしているのかも。
残念ながら、今まで見た中で最悪の「お気に召すまま」だった。
うまい役者を何人も使ってるにもかかわらず。
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