博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2024年9月)

2024年09月05日 | 中華時代劇
『不完美受害人』
大成グループの会長秘書趙尋は会長成功から性加害を受けるが、何者かがそれを警察に通報し、マスコミにもタレコミする。彼女は警察の取り調べにも頑なに性加害であることを否定するが、事件を担当する女刑事晏明や成功の女弁護士林闞、男性同僚で彼女に好意を抱く陳黙らに励まされ、告発を決意する。現代版『九義人』というか、『夢華録』の監督楊陽による社会派ドラマ。趙尋役の林允、陳黙役の管雲鵬など、キャスティングにも『夢華録』でお馴染みの顔が揃ってます。事件は更に周迅演じる林闞や通報者の元カノの過去の性加害事件とも重なり合っていき……

『四方館』
大雍国の都・長楽の外国人を管轄する四方館。その四方館の顧問元莫は身元不明の女性阿術につきまとわれ、彼女を奴婢にするが、どちらが主人かわからない始末で…… 檀健次・周依然主演の古装推理物。杜淳も出てます。外国人に関する事務を扱う役所を舞台にした推理物ということで設定がちょっと変わってるので見てみることにしたのですが、6話を見たあたりで飽きましたw コンセプトも『唐朝詭事録之西行』とかぶってる気も。

『九部的検察官』
刑事事件の捜査で問題を起こした検察官・雷旭は、未成年の事件を扱う新設の第九検察部に主任として異動することになるが、そこは都子瑜@秦嵐が取り仕切る女ばかりの職場で…… ということで捜査の必要に応じて巧みに変装する「百変検察官」の雷旭を『狂飆』の張訳が演じてます。変装して容疑者宅を訪ねたり地域の校区を見回りしたりと、中国の検察官って警察みたいな仕事をするのかと思いつつ見てます (^_^;)

『度華年』
元夫婦ながらお互い政敵として殺し合う中となった長公主李蓉と丞相裴文宣。同日に相手に殺害された2人は、2人が出会って結婚する直前の20年前に生まれ変わる。前世の知識を生かして今度こそ思うような人生を生きられるか?趙今麦初の古装として評判も上々の本作。8月の河南旅行でテレビで目にして気になったので見てみることに。よくあるリプレイ物といえばそうなんですが、因縁のある相手も同時にリプレイするというのがちょっと新しいかなと。今の所飽きずに見れてますw
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2024年8月に読んだ本

2024年09月01日 | 読書メーター
その悩み、古典が解決します。その悩み、古典が解決します。感想
自己啓発本の体裁をとった古典入門(でいいんですよね?)参照されている古典は江戸時代のものというのが珍しいかもしれない。西鶴、近松、『雨月物語』といったメジャー名作品もあるかと思えば本草書もあり。作品は時によって作者の意図を超えた所に面白さがあるだとか、古典の世界は先行作品を踏まえてなんぼだとか、文学・古典理解に資するような解説もある。
読了日:08月01日 著者:菱岡憲司

日ソ戦争-帝国日本最後の戦い (中公新書 2798)日ソ戦争-帝国日本最後の戦い (中公新書 2798)感想
8/8のソ連参戦から9月上旬までのソ連との戦争について。満洲の状況だけでなく南樺太や千島列島の状況にも紙幅を割いている。日本側の満洲からの引き上げの苦労ばかり語られがちだが、ソ連軍は軍紀は緩かったが情報業務を重視したとか、日本側が中国人に対しては身に覚えがあったので報復を警戒していたが、ソ連に対しては全く警戒していなかったこと、満洲国の崩壊が日本の敗北と直結していたことが国家としての本質を示しているという指摘、シベリア抑留でのソ連兵の「恩義」を感じさせる話などを面白く読んだ。
読了日:08月03日 著者:麻田 雅文

読めない文字に挑んだ人々: ヒエログリフ解読1600年史読めない文字に挑んだ人々: ヒエログリフ解読1600年史感想
前半がヒエログリフなど古代エジプト文字の基礎知識、後半が古代ギリシア・ローマから現代までの研究者列伝という構成。シャンポリオン以前の古代・中世の学者もコプト語との関係に注目するなど、後につながる研究をしていたりしてなかなかバカにしたものではないと感じる。また近世以後の西欧の学者に中国語の研究もしている人が目立つ(ほかならぬシャンポリオンもそうである)。ギーニュは中国文明起源説で知られるが、フン=匈奴同一説も提唱していたことは本書によってはじめて知った。
読了日:08月05日 著者:宮川 創

講義 宗教の「戦争」論: 不殺生と殺人肯定の論理講義 宗教の「戦争」論: 不殺生と殺人肯定の論理感想
世界の宗教は戦争、そしてその前提となる不殺生戒についてどのように議論してきたかをそれぞれの専門家が講義する。総じて当初教義レベルでは殺人を禁じ、戦争には否定的だが、国家とつながりを持つことで戦争を正当化するようになるという流れはおおむね共通しているようだ。徹底的な不殺生を説くジャイナ教が戦争については微妙な態度を採っていること、正教会の教権と俗権の一致の伝統がウクライナ戦争での教会の態度に影響を及ぼしていること、儒教の正戦論が戦前・戦中の日本の戦争観に大きな影響を与えているといったあたりが注目ポイント。
読了日:08月07日 著者:

成瀬は天下を取りにいく成瀬は天下を取りにいく感想
変人優等生・成瀬と凡人の島崎、あるいはぬっきーとの友情物語プラスアルファという感じ。取り敢えず予想とは少し違う話だった。タクローをめぐる話など、成瀬たちの親世代の大人の物語も盛り込まれてるのもよい。個人的に私もその世代なんで、むしろそっちの方に感情移入したぐらい。氷河期世代の読者だとそういう人も多いのではないか?
読了日:08月08日 著者:宮島 未奈

中国共産党vsフェミニズム (ちくま新書 1812)中国共産党vsフェミニズム (ちくま新書 1812)感想
一読して、中国共産党がフェミニズムを槍玉に挙げているというより、習近平政権が社会運動全体を警戒しており、その中にフェミニズムも含まれているだけのことではないかという印象を抱いた(無論それはそれで問題なのだが)。最後の天安門事件の指導者王丹が性加害で告発されたことを取り上げ、彼を含む民連が家父長制的な感覚を持っているということでは共産党と何ら変わりないという指摘は興味深く読んだ。近年中国ドラマでは現代劇も時代劇もフェミニズムが底流にある作品が主流となっているが、それについて全く言及されていないのも不満。
読了日:08月09日 著者:中澤 穣

ヨーロッパ近世史 (ちくま新書 1811)ヨーロッパ近世史 (ちくま新書 1811)感想
複合国家論(あるいは複合君主政論)から見るヨーロッパ近世史。従来中央集権敵性格が強いとされてきたスペインやフランスも実は複合国家としての性質を備えていたこと、複合国家が王権や議会を統合の紐帯とし、その過程で各国でユダヤ人やカトリック教徒などの異分子を排除してきたこと、アメリカ合衆国も州を単位とした複合国家であるといった指摘が面白い。そして各国とも複合国家としての性質を現在も引き継いでおり、それがEUをめぐる問題など現在の欧州地域の問題にも影響しているのである。
読了日:08月12日 著者:岩井 淳

モノからみた中国古代文化 衣食住行から科学芸術まで (東方学術翻訳叢書)モノからみた中国古代文化 衣食住行から科学芸術まで (東方学術翻訳叢書)感想
先秦時代から明清時代までの中国社会生活史、工業史のよい概説。農業、食、服装、建築、家具等々の各方面についての知識と考古学的発見がまとめられている。古文字の解説など所々にアラが見えるものの、春秋時代の餛飩の出土例が存在するとか、胡服の実際、東西の古代の車馬には繋駕法に大きな違いがあること、中国で船の舵が発意されたのは漢代であること、金縷玉衣はあくまで棺の一種であって衣服ではないといった知識が得られる。
読了日:08月19日 著者:孫機

世界の歴史〈10〉フランス革命とナポレオン (中公文庫)世界の歴史〈10〉フランス革命とナポレオン (中公文庫)感想
革命の前段階から革命の展開、そしてナポレオンの登場から退場までをバランスよくまとめている。フランス革命が世界に与えた影響、日本への影響についても紙幅を割いている。革命にはフランス革命的要素とナポレオン的要素とがあり、日本の場合は明治維新以来ナポレオン的要素が先行し、フランス革命的要素は後から着いてくる形になったという。新中国に対する展望があるのも面白い。
読了日:08月20日 著者:桑原 武夫

アメリカ革命-独立戦争から憲法制定、民主主義の拡大まで (中公新書 2817)アメリカ革命-独立戦争から憲法制定、民主主義の拡大まで (中公新書 2817)感想
独立革命時に13州側にも英国王に愛着を抱く人が大半であったこと、「代表なくして課税なし」の実相、異論百出して「妥協の産物」として制定された連邦憲法、それが一旦世に出ると制定会議で異論を唱えた者も憲法を擁護したり拠り所としたこと、建国初期から「帝国」の様相を呈していた合衆国など、最新の研究に沿って独立の前後から南北戦争の頃までのアメリカについて新しい気付きを与えてくれる。
読了日:08月22日 著者:上村 剛

妖怪を名づける: 鬼魅の名は (607) (歴史文化ライブラリー 607)妖怪を名づける: 鬼魅の名は (607) (歴史文化ライブラリー 607)感想
江戸時代の妖怪の(認知と命名の)急増は、江戸幕府がそれまでの政府と違って危機管理としての怪異には関知しないという方針を採ったことや怪異が知的好奇心の対象となったことが影響し、とりわけ俳人が大きな役割を担ったことを指摘する。松尾芭蕉や西鶴、蕪村ら著名な俳人も妖怪の命名に関わり、芭蕉をモデルとしたと見られる妖怪も存在するという。怪異論として意外背生のある議論になっているが、俳諧論としても意外であることだろう。江戸時代の俳諧を研究している人の評価も聞きたいところ。
読了日:08月24日 著者:香川 雅信

物語フランス革命: バスチ-ユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書 1963)物語フランス革命: バスチ-ユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書 1963)感想
フランス革命の背景、展開、ポイントなどを要領よくまとめている。改革派の国王だったルイ16世、「合法性の人」ロベスピエールといった革命の主役たちに新たな光を当て、特にルイ16世に対しては肯定的再評価を行っている。テロワーニュ・ド・メリクール、ロラン夫人、王妹エリザベトといった、今まで知られていなかった人々も含めて女性たちの動きや役割を重点的に紹介しているのも特徴。もちろん日本の明治維新との対比や、革命の日本への影響についても触れられている。
読了日:08月26日 著者:安達 正勝

王の逃亡:フランス革命を変えた夏王の逃亡:フランス革命を変えた夏感想
フランス革命の展開に決定的な影響を与えたヴァレンヌ逃亡事件の経過と、関係者の述懐、諸派の議員たちや国民の反応、その後の展開を追う。逃亡の失敗により、国王に対する国民の敬愛や信頼が失われ、また国王の存在を前提としていた革命後の政治体制や憲法のあり方に疑念が突き付けられ、フランスは君主制から共和制へと向かうことになる。その様子も丁寧に描き出している。真に問うべきは国王がなぜ逃亡に失敗したかではなく、なぜあわや成功しそうになったかであるという視点が面白い。
読了日:08月29日 著者:ティモシー・タケット

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最近見てるドラマ(2024年8月)

2024年08月03日 | 中華時代劇
『唐朝詭事録之西行』
壁画に描かれた魔王が抜け出して殺人を行うという怪事件を捜査しているうちに行方不明になった盧凌風。蘇無名を捜査を引き継いで彼を捜索。そして無事事件は解決したものの、盧凌風が実は公主の子であることが、その政敵である新帝の耳に入ってしまい…… ということで最初の事件の後は蘇無名は免官処分となって長安所払い、盧凌風も地方に左遷されてチーム蘇無名は二手に分かれて西へと旅立ち、更なる怪事件に巻き込まれます。前作と同様に『神探狄仁傑』風味のいい伝奇に仕上がってます。中盤近くまで見た感想ですが、前作より面白くなってると思います。前作に引き続きクリーチャーというかUMAも登場しますしw

『少年白馬酔春風』
こちらは『少年歌行』の前伝。前作の親世代の若い頃の活躍を描きます。今回の主人公は前作でいい酒飲みっぶりを見せた百里東君。意外にも?名門のお坊ちゃんだったようで、冒頭で酒場を開くも客が寄りつかないというのは前作の出だしを思わせます。今作もCGを駆使していい夢のある武侠に仕上がっています。誰が前作の誰の親や師父なのかがわからなくなるので、人物対照表は必須です (^_^;) 
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2024年7月に読んだ本

2024年08月01日 | 読書メーター
古墳と埴輪 (岩波新書 新赤版 2020)古墳と埴輪 (岩波新書 新赤版 2020)感想
古代中国の墓制・葬制の影響という観点から、日本の古墳の時期的な変化と、古墳・埴輪から見出せる葬送儀礼、他界観を議論。キーワードは死者の魂が鳥の先導する船に乗って他界に行くという「天鳥船信仰」ということになるだろうか。中国の影響に関する結びつけがやや安直な気がしないでもないが、古墳建造と王権に関する議論は同時期に出た『王墓の謎』よりは説得力がある。
読了日:07月02日 著者:和田 晴吾

草の根の中国: 村落ガバナンスと資源循環草の根の中国: 村落ガバナンスと資源循環感想
『中国農村の現在』の元になった論集ということで読む。こちらは特に特定の農村を対象として農村のガバナンスに焦点を当てる。自分たちの住む地域の問題について自力更生を図るというのは当たり前のことだという気もするが、インドなんかと比較するとそうではないらしい。道路建設と比べて村の廟の再建については自力更生度が上がるという指摘も面白い。基本的に選挙が存在しないことが、中国農村の個性(ユニークさと言ってしまってもいいだろう)を形作っているということが本書を通して見えてくる。
読了日:07月10日 著者:田原 史起

中国古代軍事制度の総合的研究中国古代軍事制度の総合的研究感想
科研費論集の再版。日本では政治的事情から軍事史研究が手薄と言われることもあるが、本書の研究動向編によると、身近に軍事と接しているはずの韓国でも同様の状況なのだという。論文編では戦車、個別の戦役・戦争、軍功・将軍号といった官制に関わる問題りほか、軍礼についても対象となっている。軍の規模や軍構成と絡める形で戦国秦の戦役についてまとめた宮宅論文、対匈奴・南越戦と比較の上で漢と古朝鮮の戦争について論じた金論文を面白く読んだ。
読了日:07月11日 著者:

沈黙の中世史 ――感情史から見るヨーロッパ (ちくま新書 1805)沈黙の中世史 ――感情史から見るヨーロッパ (ちくま新書 1805)感想
キリスト教、教会や修道院との関係を中心として、西欧中世の沈黙のあり方、そして女性たちが沈黙を破っていくさまを追う。沈黙を破るといっても、その背景、沈黙の破り方は様々なようである。感情史とはどういうものかと思って本書を手に取ったが、文学作品を割と史料として積極的に使っているなという印象。
読了日:07月13日 著者:後藤 里菜

始皇帝の戦争と将軍たち 秦の中華統一を支えた近臣軍団 (朝日新書)始皇帝の戦争と将軍たち 秦の中華統一を支えた近臣軍団 (朝日新書)感想
始皇帝による十年戦争(中国統一戦争)と戦争に従軍した将軍たち、そして六国と李牧など六国の将軍たちの状況と事跡を、岳麓秦簡など近年発見されたものも含めて様々な史料から丹念に読み解く。岳麓秦簡の『算数書』など意外な史料からも戦争に関する記述を見逃さず有効に利用しているのが魅力。始皇帝の近臣集団を漢の高祖集団と比較しているのも面白い。『キングダム』のファンが知りたそうな情報も多く盛り込まれており、ファンには大満足の内容ではないかと思う。
読了日:07月15日 著者:鶴間 和幸

地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明 (講談社選書メチエ)地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明 (講談社選書メチエ)感想
前巻ではペルシア側の視点から見たペルシア戦争を今巻ではギリシア側の立場から見る。近年オリエントの文明の影響を強く受けたと評価されるギリシア文化だが、その関係性や立場は中国文明の影響を強く受けた日本と似通っているという。そして否定的に評価されがちなスパルタの気風について、女性は子どもさえ産んでしまえば放縦でも許されたとか、市民の間に貧富の対立が生じるのを恐れていたのではないかとか、アテナイとは対称的に海外に積極的に領土を求めようとしなかったといったような意外な評価が展開されている。
読了日:07月17日 著者:本村 凌二

日本人 (ちくま学芸文庫 ヤ-2-2)日本人 (ちくま学芸文庫 ヤ-2-2)感想
柳田国男とその門下による、民俗学の立場からの日本論。日本民俗学で話題になるようなことは一通り簡単にまとられている感じで、民俗学の簡易便覧のような趣がある。意外なところでは日本語で漢語が多く用いられていることの問題といった言語学に属するようなトピックも盛り込まれている。ただ、本書のテーマであるらしい「大勢順応の国民性」はどこの国でもありそうな問題なので、日本民俗学というよりは比較民族学とか文化人類学、社会学などの分野で普遍性の問題として考えるべきではないかと思うが。
読了日:07月20日 著者:柳田 國男

吾妻鏡-鎌倉幕府「正史」の虚実 (中公新書, 2814)吾妻鏡-鎌倉幕府「正史」の虚実 (中公新書, 2814)感想
古記録と歴史叙述という相反する性質を具有し、更に頼朝と各世代の北条氏の頭領を称揚し、その正統性を主張するという構想を持ちつつも、そのために曲筆を重ねることで結果として義経をはじめとする敗者の動きや心情も詳述することで豊かな文学的彩りを添えることになったと述べる。このことは『左伝』や『史記』『三国志』など中国の史書との類似性を想起させる。著者は歴史畑ではなく文学畑のようたが、文学研究からの視点が存分に生かされた吾妻鏡論となっている。
読了日:07月22日 著者:藪本 勝治

モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち (講談社現代新書)モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち (講談社現代新書)感想
ジェンダー史の視点から見るモンゴル帝国史。失礼ながらこの著者もこういう切り口から書くのねと思いつつ興味本位で読んだ。「大元ウルスは実質的にコンギラート王朝である」といったような視点が面白い。チンギスの母ウゲルンやフビライ兄弟の母・ソルカクタニ・ベキを高く評価しているのはともかく、とかく悪く言われがちなトゥレゲネ・ガトンを再評価しているのが特徴か。マンドハイなど、他書ではあまり触れられてなさそうなフビライ以降の女性たちの活動についても詳しい。
読了日:07月24日 著者:楊 海英

東アジアの死生学・応用倫理へ東アジアの死生学・応用倫理へ感想
中国古代宗教史を専攻してきた著者による生命倫理・死生学論。この分野の中国や台湾の主要な論者、研究を欧米・日本のそれと対比する形で紹介し、議論するという形を採るが、議論そのものよりは中国・台湾での末期癌の告知や臨終の場所といった終末医療に関係する医療慣行の紹介が興味深い。それらと儒教などとの影響関係についても議論されている。一応著者の元々の専攻の中国古代宗教史とは別立てということになっているようだが、関係の古文献の記述もその都度紹介されている。
読了日:07月29日 著者:池澤優

古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像 (講談社現代新書 2729)古代アメリカ文明 マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像 (講談社現代新書 2729)感想
中南米のマヤ、アステカ、インカ文明の概要のほか、ナスカの地上絵については文字の問題とひっくるめて1章を立てている。マヤやインカを「帝国」と評価することの問題、鉄器や文字のないことが文明の発達が遅れていることを意味しないという議論が面白い。エジプトのそれとは役割や形態が異なるマヤのピラミッド、ナスカの地上絵の制作方法と制作目的についても言及されている。
読了日:07月31日 著者:青山 和夫,井上 幸孝,坂井 正人,大平 秀一
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最近見てるドラマ(2024年7月)

2024年07月03日 | 中華時代劇
『玫瑰的故事』
劉亦菲の新作。亦舒の有名小説を原作としたもので、2001年の北京から物語が始まります。黄亦玫は名門の芸術大学を卒業後に展覧会の企画会社に就職。女社長のティナや上司の蘇蘇に揉まれつつ仕事の関係で知り合ったエリックと恋人同士になるが、彼はフランスに異動。遠距離恋愛は長く続かず…… ということで彭冠英、林更新、林一、ウォレス・フォと相手役が次々と入れ替わるのが売りのようです。ヒロインはどうも地雷男をつかんじゃうタイプのようです (^_^;)

『金庸武侠世界』
金庸生誕百周年記念作という鳴り物入りで登場。『射鵰英雄伝』の物語が展開される『鉄血丹心』全30話を皮切りに、親世代の物語を描いた短編の前伝を数作並べて全60話構成という風変わりな構成。パートごとに監督が変わるのも売りです。『鉄血丹心』は『三体』の楊磊が監督を務め、『射鵰英雄伝』の話をすっ飛ばし気味に展開。元の話を知らない人がどれだけ着いていけるのか疑問に思わないでもないですが、とにかく映像が綺麗でアクションも見応えがあります。アレンジは従来作と同様に控えめですが、楊康や欧陽克といった悪役に対するフォローが多い感じです。

『墨雨雲間』
沈家に嫁いだ薛狸は実家の没落により夫一家に殺害されたはずが、姜家の嫡女の姜梨に助けられ、死んだ彼女と入れ替わって姜家に迎えられ、姜梨の、そして自らの無念を晴らすために尽力することになる。そこへ曲者の粛国公も絡んできて…… 仇討ちが目的の大家族物ということで序盤のフォーマットは『瓔珞』と一緒です。というか制作会社と主演女優も一緒です (^_^;) 1話平均50~55分と変則的ですが、暗い内容に比してあまりストレスを感じずに見られる仕様になってます。
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