羽田正『新しい世界史へ 地球市民のための構想』(岩波新書、2011年11月)
これまでイスラーム史を専攻されてきた羽田正氏による世界史教育本です。これからの世界史教育のあり方として、「ヨーロッパ世界」や「中国」などの中心を敢えて据えない、時系列史にこだわらない、「世界はひとつ」というメッセージさえ込められていればどのような描き方でもよい、といった提案は面白いですし、頷くところも多いのですが、正直「私は具体的にこういう風にやりたいんです」と、指導要領案なり教科書なりを出して貰わないとピンと来ない部分もあるなあと。
著者は世界史教育に関して複数のプロジェクトを進めているということなので、将来的に何か具体的な形になって出て来るのでしょうけど。
本書を読んで、歴史教科書だけを対象にして学習指導要領を視野に入れなかった某会の活動は、(イデオロギー的な面はさておくにしても)根本的な所から間違っていたのだなあと思いました(^^;)
あと、小ネタで面白い指摘があったので、1つ2つ紹介しておきます。
○他国の歴史教科書を見た場合、日本の世界史の教科書みたいに全地域・全時代を網羅しようとしているのは実は少数派。
本書ではフランスと中国の例が挙げられてますが、フランスの高校の歴史教科書では自国史と世界史とが分けられておらず、教科書の内容も必然的にフランスが中心となっています。(他のヨーロッパ諸国でもだいたい同じ形式とのこと。)そして中国では日本と同様に自国史(中国史)と世界史との二本立てになっており、世界史の教科書の構成は日本のそれと近い部分もあります。(自国史と世界史とのリンクや「イスラーム世界」の扱いなど、異なる部分も当然あるのですが。)
○本書の記述より。「最近は、中国中心の歴史の見方を、中央ユーラシアから見直そうという主張が大きな力を持っている。」「しかし、逆に、中央ユーラシアを世界史の中心に置き、中央ユーラシアが世界史を作ったと唱えては、せっかくの提言が台無しである。」
これは一体誰のことを指して言っているのでしょうか(^^;)
これまでイスラーム史を専攻されてきた羽田正氏による世界史教育本です。これからの世界史教育のあり方として、「ヨーロッパ世界」や「中国」などの中心を敢えて据えない、時系列史にこだわらない、「世界はひとつ」というメッセージさえ込められていればどのような描き方でもよい、といった提案は面白いですし、頷くところも多いのですが、正直「私は具体的にこういう風にやりたいんです」と、指導要領案なり教科書なりを出して貰わないとピンと来ない部分もあるなあと。
著者は世界史教育に関して複数のプロジェクトを進めているということなので、将来的に何か具体的な形になって出て来るのでしょうけど。
本書を読んで、歴史教科書だけを対象にして学習指導要領を視野に入れなかった某会の活動は、(イデオロギー的な面はさておくにしても)根本的な所から間違っていたのだなあと思いました(^^;)
あと、小ネタで面白い指摘があったので、1つ2つ紹介しておきます。
○他国の歴史教科書を見た場合、日本の世界史の教科書みたいに全地域・全時代を網羅しようとしているのは実は少数派。
本書ではフランスと中国の例が挙げられてますが、フランスの高校の歴史教科書では自国史と世界史とが分けられておらず、教科書の内容も必然的にフランスが中心となっています。(他のヨーロッパ諸国でもだいたい同じ形式とのこと。)そして中国では日本と同様に自国史(中国史)と世界史との二本立てになっており、世界史の教科書の構成は日本のそれと近い部分もあります。(自国史と世界史とのリンクや「イスラーム世界」の扱いなど、異なる部分も当然あるのですが。)
○本書の記述より。「最近は、中国中心の歴史の見方を、中央ユーラシアから見直そうという主張が大きな力を持っている。」「しかし、逆に、中央ユーラシアを世界史の中心に置き、中央ユーラシアが世界史を作ったと唱えては、せっかくの提言が台無しである。」
これは一体誰のことを指して言っているのでしょうか(^^;)