博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『半妖傾城』その5(完)

2016年08月27日 | 中国近現代ドラマ
『半妖傾城』第17~最終20話まで見ました。

傾城が父親から思い出話を聞いている間に、妖怪の実在を信じているということで精神病院に放り込まれていた江雪舞が、彼女に好意を寄せる弁護士王少棠によって救出されます。自分を名前で呼んでくれない雪舞に対し、王少棠が「雪舞、私の名前を言えるか?」と問い掛けると、「王…何棠だっけ?」と返されるのが悲しいです (^_^;) 雪舞が恵まれた境遇にある傾城に対して「こんなの不公平よ!」と怒りをぶつけるシーンは、于正作品のお約束ですね。

雪舞から逃れるために、上海から蘇州へと戻ることにした傾城と明夏ですが、その列車内で王少棠の手の者によって傾城が拉致。事態を知った冬眠中の幽瞳が駆けつけ、傾城を救出。上海の路上で幽瞳と傾城に追い詰められた雪舞は、路面電車に轢かれて死亡。この一件から明夏では傾城を守れないということで、2人は別れを決意します。傾城は花月濃から上海中の「妖」や「半妖」たちの指導者「万妖之王」の座を譲られた幽瞳のもとに身を寄せ、一度は彼との結婚を承諾します。

轢死したかと思われた雪舞ですが、実は彼女の遺体と思われたのは妖怪ハンターの同志が用意した等身大の人形で、彼らによって救出された彼女は、軍閥の支援で秘密裏に建てられた妖怪ハンター養成学校で修業に励むことになったのでした。いきなり妖怪ハンター養成学校なんてのが出てきましたが、さすがにちょっと展開が唐突すぎやしませんかね…… そして雪舞は、色々あってやっぱり一緒になることにした傾城と明夏の結婚式に乱入し、明夏の脳天に五寸釘のような矢を命中させます。


結婚式場から脱出し、空を飛んで逃亡する傾城と幽瞳ですが、仲間の操縦するグライダーの羽根に捕まって追い詰める雪舞。崖っぷちでの激闘の末、最後は幽瞳が我が身もろとも雪舞を崖から突き落とします。幽瞳の犠牲によって雪舞が倒されたと思ってその場を立ち去る傾城でしたが、雪舞は実は生きておりました。「半妖」の身の幽瞳は息絶えて生身の人間の雪舞はきっちり生きているという結果に釈然としませんが、その雪舞も妖怪ハンター養成学校から無断で兵器を持ち出して脱走したということで、後を追ってきた仲間たちによって粛清されてしまいます。


で、幽瞳から後を託されて新しい「万妖之王」となった傾城。配下の「妖」たちに、病院のベッドで瀕死の状態にある明夏を助けるための「内丹」を差し出すかわりに、彼女が二度と人間に関わらないことを求められ……

【総括】
ということでラストの詳細は省略しますが、ぶっちゃけて言うと特にオチはありません。雪舞を粛清した妖怪ハンター養成学校の面々と傾城とが戦うという展開もありませんでしたし、明夏のその後も何だか中途半端なので、続編を意識しているのかなという気もしますが…… 于正作品らしく展開の速さとハッタリは維持されていますが、終盤の展開が投げやり気味になっているのが残念。
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『ゲーム・オブ・スローンズ第五章 竜との舞踏』その2(完)

2016年08月25日 | その他映像作品


『ゲーム・オブ・スローンズ第五章 竜との舞踏』第6~最終10話まで見ました。

旅の途中で奴隷商人にヨロシクニキーされてしまったジョラー&ティリオンですが、敢えて剣闘士として買われる道を選び、ミーリーンの闘技場で観戦するデナーリスへの接近を図ります。そして闘技場でジョラーからの「ギフト」としてデナーリスとの対面に成功したティリオンは、女王の相談役となりますが、ジョラーはやはり追放処分に。

しかしなおもデナーリスの側近として戻ることを諦めきれないジョラーは剣闘士を続け、二回目の「天覧試合」を迎えます。苦戦しつつもバトル・ロワイヤルに勝ち残るジョラー。しかしその時、観客席に異変が。実は反女王派の「ハーピーの息子たち」のメンバーがデナーリス一党を虐殺しようと客席に潜んでおり、試合の終了を見計らって一斉に襲撃に掛かったのでした。「ハーピーの息子たち」に包囲されるデナーリス。その時、行方不明になっていた龍のドロゴンが飛来し……

一方、キングズ・ランディングでは、サーセイが庶民の信仰を集める七神正教最左派の指導者「雀聖下」(ハイ・スパロー)と接近し、彼に従う「雀」たちを利用し、ロラスの男色趣味を告発させ、ロラスと、その妹でトメン王の王妃としてサーセイを脅かす存在となっていたマージェリーを捕縛させます。ロラスも捕らえさせたのは、死んだタイウィンの計画では、トメンの即位後にサーセイをロラスと結婚させ、王太后としての権限を剥奪するということになっていたからですね。邪魔者をすべて排除し、我が世の春を謳歌するかに見えたサーセイですが、今度は「雀」の一員となっていた従弟のランセルが、自分との不倫を理由にサーセイを告発し、収監・訊問されることに…… ここらへんは今までの所業が所業なので、m9(^Д^)という感想しか浮かびませんがw

「壁」ではスタニスがウィンターフェルへと出征。メリサンドルが「王女のシリーンを「光の王」の生け贄として差し出せば我が軍の勝利間違いなし!」とスタニスを焚き付け、本当に娘を火刑に処してしまいます。なんやこの邪教(´Д`;)で、「光の王」のご加護により、ウィンターフェルへの道を閉ざしていた雪は解けましたが、従軍していた兵士や傭兵たちがドン引きしてその半数が逃亡。ウインターフェルを守るボルトン家の軍勢に大敗を喫します。メリサンドルはしれっと「壁」へと逃亡。「光の王」の力とは一体何だったのか。スタニスは、彼をレンリーの仇と狙うブライエニー(ウィンターフェルに潜伏していた)に捕捉され……

その「壁」では、野人と協力して「ホワイト・ウォーカー」との戦いを進めようとする新総帥ジョンへの不満が爆発。反対派によってたかって斬殺されますが……

ということで、だいぶ原作との違いが目立つようになってきましたね。ジョンの死因も原作とは異なっていますし。(まあどちらにせよ「光の王」の邪術偉大なる力により復活するんでしょうけど)その一方で、原作では死んだと見せかけて生きていたという設定の人物が死んだままにされていたり、 最後の皇太子レイガー・ターガリエンの遺児「若きグリフ」の存在がスルーされていたりします。第六章からは原作がまだ未刊行ということで、いよいよ本格的に原作読者にとっても未知の世界に突入するはずですが……
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『ゲーム・オブ・スローンズ第五章 竜との舞踏』その1

2016年08月18日 | その他映像作品
『ゲーム・オブ・スローンズ第五章 竜との舞踏』第1~5話まで見ました。

前章の最後で父親を殺害し、ヴァリスをお伴に王都から逃亡したティリオンですが、ペントスで更にデナーリスから追放処分を受けたジョラー・モーモントに拉致され……ということで、前章あたりからブライエニー&ポドリック、このティリオン&ヴァリス(あるいはジョラー)、そしてミアセラ奪還のためにドーンへと向かったジェイミー&ブロンと、2人旅が目立ちます。

そしてアイリー城に匿われていたサンサは、ピーター・ベイリッシュの説得により、故郷ウィンターフェルを占領して北部総督の座に収まったルース・ボルトンの子ラムジーとの婚約に応じることに。「ルース・ボルトンが怖い」と漏らすサンサに対し、「夫となるラムジーを手懐けろ」と、実状を知っている視聴者からすればかなりずれたアドバイスをするピーター。何でも見通しているかのようだったピーターが、現実を知らないことを露呈してしまうのが面白い所です。

案の定、ラムジーがすっかり洗脳されきったシオンさんをサンサに対面させて古傷に塩を塗りたくるようなことをしたり、かと思えば、ルース・ボルトンの方も非嫡出子から嫡出子の身分に引き上げたラムジーに対して、「新妻が身ごもった。たぶん男の子だ」と宣言して、暗に「お前なんかいつでも廃嫡できるもんね」と揺さぶりをかけたり、ウィンターフェルパートは見ていて大変胃が痛むような状況になってます (^_^;) 一方のブレーヴォスへと逃れたアリアも、妙な新興宗教団体というか自己啓発セミナーみたいなのにとっつかまっちゃってます…… アリアの方もしっかりしているように見えて、こういう所はサンサの妹なんだなと。

そしてお待ちかねのメリサンドルさん。前章の終盤から「壁」に駐屯しているスタニス御一行ですが、メリサンドルさんは平常運行で、ナイツ・ウォッチの新総帥に選ばれたジョン・スノウと二人きりのところ、いきなり胸をはだけて誘惑にかかりますが、ジョンの方は戦死したイグリットのことが忘れられずに拒絶。別れ際にどや顔でイグリットの口癖「何にも知らないのねジョン・スノウ」を発するのが怖いです (^_^;)

で、「壁」からウィンターフェルへと進攻することになったスタニスは、出征前に「灰鱗病」に冒されている娘のシリーンとしんみりと親子の語らいをしておりますが、娘に対して普通に親としての情愛を示せる人物が、何でメリサンドルとか「光の王」などという邪教を信仰しているのでしょうか……
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『シン・ゴジラ』

2016年08月16日 | 映画
『シン・ゴジラ』

色々話題で、周りでも薦める声が多かったので見てきました。

ネットで議論されている作品の「政治性」については、「今時はリアルなゴジラ映画を作ろうと思ったら、色々面倒くさいことにこだわらないとアカンのね」と思った程度。また、本作にノリが似ている作品として、過去のゴジラシリーズのほか、『パシフィック・リム』や『マッド・マックス 怒りのデスロード』などが挙げられていますが、個人的に雰囲気が似ていると思ったのはこの2つ。(URLはそれぞれ本ブログでの感想ページ)

『超強台風』(中国映画)
http://blog.goo.ne.jp/xizhou257/e/95d0b8f60703d0e0d45b165eb542a4b8

『グエムル 漢江の怪物』(韓国映画)
http://blog.goo.ne.jp/xizhou257/e/6d463372afed69d06be165b365867ea7


本作で環境省の尾頭ヒロミというキャラクターがネットでもてはやされていますが、『超強台風』に登場する「市長さん」こと主人公の小学校時代の恩師は、本作の尾頭ヒロミと防衛大臣、そして2~3人ほど登場する異端の科学者の性質を兼ね備えたキャラクターとなっています。

それぞれの作品の方向性が、

『シン・ゴジラ』→対米従属からの脱出&日本はまだまだできる!
『グエムル』→政治と社会の闇を暴く。
『超級台風』→市長さんは凄い。とにかく凄い!


というあたり、それぞれの特徴がよく出てるなとw そして『シン・ゴジラ』と『超級台風』がそれぞれある種の理想を描くのに注力する一方で、『グエムル』は現実しか描いておりません。この3つの組み合わせの中で唯一爽快感がない(というより胸糞悪さしか残らない)あたりは、(皮肉ではなく本気で)韓国映画の力を感じます。

本作で深い闇を感じるとしたら、「政治性」よりもやたらと異端の科学者とか異能の集団をプッシュしている所ですかね。君たちはそんなに宗像教授みたいなのが好きなのかと……
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『半妖傾城』その4

2016年08月13日 | 中国近現代ドラマ
『半妖傾城』第13~16話まで見ました。

「半妖」の力で何とか江雪舞のもとから脱出した傾城。途中で彼女を捜索していた明夏と合流し、雪舞から逃れるために、ともに蘇州へと向かい、2人で新しい生活を始めることに。夫婦同然の身となった2人ですが、傾城は明夏に自分が「半妖」であることを打ち明けられません。ここでなぜか2人が火鍋店を開くことになり、蘇州の四大料理店と料理勝負を繰り広げたりして、「一体何のドラマだよ」状態となります (^_^;)

しかしささやかな幸せは長く続かず、傾城の妹傾心が雪舞に捉えられたと知った2人は、再び上海へ。この傾心についても、俳優志望の男性と恋仲になったり、彼に捨てられて精神を病んでしまったり、その彼が実は不治の病に冒されていたり、彼女が雪舞に騙されて性転換手術を受けることになったりと色々あるのですが、ここでは省略します。

その傾心が雪舞によって死に追い込まれ、怒りの余り雪舞や明夏の前で「半妖」化する傾城。しかし明夏は彼女が「半妖」であることを知っても、彼女を支える決意をするのでした。そして傾城が「半妖」であることを知っても衝撃を受けない男性がもう1人。姉妹の父親聶如風です。ここで彼の口から、姉妹の母親応蝶との出会いが語られます。


話は光緒21年(1895年)、聶如風がまだ辮髪だった頃、紫禁城で侍衛として西太后に仕えていたところから始まります。お父さんはどう見ても文人……というツッコミはやめましょう。


そんな彼が、西太后の求めに応じて紫禁城にやって来た応蝶と出会います。彼女たち応家一族は、清の太祖・太宗の代から歴代皇帝の墓守と、清王朝の龍脈の保護・管理を司っており、宮廷では格格の待遇を受けています。

で、応蝶の強引なプッシュもあって2人は恋仲となるのですが、西太后の意向により、応蝶は皇族の譚貝勒に嫁ぐことを強要されます。しかしその譚貝勒が結婚1日にして不慮の死を遂げ、2人が望み通り結婚することになります。譚貝勒に何があったのかは(察し)ということでw 一応譚貝勒がクズだったというエクスキューズはありますが…… そして婚礼当日に如風が、彼女が「妖」の一族であると知ってしまったというところで次回へ。
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『ゲーム・オブ・スローンズ第四章 戦乱の嵐(後編)』その2(完)

2016年08月09日 | その他映像作品
『ゲーム・オブ・スローンズ第四章 戦乱の嵐(後編)』第6~10話まで見ました。

「王殺し」の容疑者として裁判に掛けられるティリオン。ジェイミーの仲介で、ティリオンは死罪を免れるかわりに「壁」行きで手打ちのはずが、キングズランディングを離れたはずのシェイがティリオンの告発に加わったことで歯車が狂い、ティリオンが決闘裁判を要求。ジョフリー側の代理剣士に「マウンテン」ことグレガー・グレゲインが名乗りを挙げたことで、ティリオン側は頼みの綱の傭兵ブロンにも見放されますが、「マウンテン」を姉の敵と見なすドーンの公弟オベリンがティリオン側の代理剣士に。しかしそのオベリンも決闘に敗れ、いよいよティリオンは死罪を免れないと思われましたが……?

一方、「黒の城」(カースル・ブラック)にはマンス・レイダー率いる「野人」たちの連合軍が攻め寄せます。この攻防戦が第四章の一番の見所となっております。が、最後は「鉄の銀行」(アイアン・バンク)に「マネーの虎」を挑んで軍資金をゲットしたスタニスが援軍として押し寄せ、マンスらを生け捕りに。「マネーの虎」はアメリカやイギリスなどにフォーマットが輸出されて各国版が制作・放映されているということなんで、「鉄の銀行」でのやりとりは確実に狙ってますね (^_^;)

他のパートでもキャトリンの妹ライサ、イグリットらが原作通り退場していきますが、「ハウンド」ことサンダー・グレゲインがブライエニーと死闘を繰り広げたり、「あんた原作ではまだ生きてるよね?」という人物があっさりお陀仏になったりと、オリジナル展開がぼちぼちと目立ってきました。やはりメリサンドルさんの出番が少ないのが不満点ですが、第五章で動きがあるようなので、期待したいところですw
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『ゲーム・オブ・スローンズ第四章 戦乱の嵐(後編)』その1

2016年08月02日 | その他映像作品
ここんところあっちに手を出し、こっちに手を出し状態で申し訳ありません…… 『趙氏孤児案』が第一部完的な所まで進んだのと、huluでゲーム・オブ・スローンズが全シリーズ配信されているということで、そっちの方に一時転進することに。ということで『ゲーム・オブ・スローンズ第四章 戦乱の嵐(後編)』第1~5話まで見ました。第三章を見たのがかなり前なので、どこまで話が進んだのかすっかり忘れてしまっていますが…… 

キングズランディングでは、ジョフリー王とタイレル家のマージェリーとの婚礼を控えて華やかな雰囲気となりますが、利き手を失ったジェイミーは沈み顔。ティリオンから傭兵のブロンを紹介され、左手で剣を使うための秘密の特訓に励むことに。

そして結婚式を迎えることになりますが、マージェリーの薫陶で少しは言動が改まったかと思いきや、いちいちティリオンに侮辱を加えるといった具合で相変わらずのジョフリー。しかしティリオンが捧げた酒杯を飲み干した途端に窒息死し、ティリオンが王殺しとして収監されることに。実はこの一件、「リトル・フィンガー」こととピーター・ベイリッシュが裏で糸を引いていたようですが、当の本人は混乱の最中にサンサを連れ出し、キャットの妹(すなわちサンサの叔母)の待つアイリー城へと逃亡。ティリオンは牢内で裁判を待つ身となりますが、兄弟仲が良好なジェイミーの手配で、従卒のポドリックはなぜかブライエニーのお伴として、サンサ捜索の旅に出ることに。

キングズランディングではその後ジョフリーの弟トメンが新王として擁立されることになりますが、ラニスター・タイレル家双方の意向によりマージェリーが新王の王妃としてそのままスライドすることに。サーセイの横槍を恐れた彼女が夜な夜なトメンの寝室を訪れ、2人で秘密の約束(意味深)をかわします。マージェリーはレンリー、ジョフリーと2人続けて夫を亡くし、「自分は呪いの女では?」と思い悩む場面がなかなかかわいいです (^_^;)

一方「黒の城」では、ジオー・モーモント亡き後の総帥選挙とマンス・レイダーによる侵攻を控え、混乱と緊迫した状況が続きます。そんな中、ナイツ・ウォッチの反逆者が立て籠もるクラスターの砦にジョンたちが出兵することになりますが、たまたまそのあたりをうろついていたブランたちが反逆者に捕らわれることに。「こんな展開原作にあったかな?」と思う間もなく、ジョンとは見事にニアミスしてしまうことになるのですが……

今回はこんな感じですが、みんな大好きメリサンドルさんと、第三章で鮮烈な印象を残したラムジーの出番が少ないので、全体的な印象は薄いですね。後半に期待です。
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2016年7月に読んだ本

2016年08月02日 | 読書メーター
南冥の雫 満州国演義八 (新潮文庫)南冥の雫 満州国演義八 (新潮文庫)感想
舞台は満州国・中国大陸から東南アジアへと広がる。今巻の読みどころはインパール作戦と言えばおおよその展開が予想できるだろう。直接物語に登場しない東条英機や牟田口廉也のクズさが察せられる内容となっている。
読了日:7月3日 著者:船戸与一

風土記の世界 (岩波新書)風土記の世界 (岩波新書)感想
『風土記』は元来『日本書』の地理志となるはずの書だったのではないかという想定のもとで進められる『風土記』プラス『日本書紀』『古事記』論。『常陸国風土記』においてヤマトタケルが悲劇的な英雄としてではなく、妻のオトタチバナとともに地方を巡行する明朗な天皇として描かれていることから、ヤマトタケルが一時期大和政権の中でも天皇として位置づけられていたのではないかとしている点などが面白い。この人の議論は今まで「えっ、そう?」と疑問に思うものが多かったが、本書の議論はなかなか面白いものが多い。
読了日:7月3日 著者:三浦佑之

インド人の謎 (星海社新書)インド人の謎 (星海社新書)感想
日本も含めた外国人のオリエンタリズムによって「神秘の国」に仕立て上げられてしまったインド。「カースト制度」や宗教、貧困の問題といった硬めの話題から、観光地のタクシーの対処法、インド人とカレー、インド人はインド映画をどう思っているのか、インド人は数学が得意というのは本当かといった話題まで、硬軟取り混ぜてインド人の謎のヴェールをはがしていく。個人的には、日本も江戸時代まではカースト社会だったという視点が面白い。インドは、近現代の歴史の展開によっては日本もああいう感じになっていたのかもしれないという鏡なのだ。
読了日:7月5日 著者:拓徹

「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 (文春新書)「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 (文春新書)感想
もともと中国政府の「中の人」的なポジションながら、(比較的穏健な)民主化運動に関わってしまったことから、毛沢東の「長征」のごとく国内外を縦横に逃亡することになった男の手記。彼を助けるのは地下教会のメンバー、回族の有志のおっさん、中国とミャンマーとの国境付近に割拠する軍閥、訳あり旅客専門のツアコンと多種多様。着実に政治の「中国化」「北朝鮮化」が進む日本で、果たしてこのような「セーフティネット」が形成できるのだろうかと感じた。
読了日:7月7日 著者:顔伯鈞

漢字廃止の思想史漢字廃止の思想史感想
この手のテーマの本としては珍しく、漢字を制限・廃止すべき、あるいは漢字文化を守るべきといういずれの意見にも賛同することなく、淡々とした語り口。漢字の制限と言えば戦後の当用漢字・常用漢字を思い浮かべるが、本書の中心は戦前・戦中。漢字の制限・廃止論が、日本の伝統だの能率だの「ユダヤの陰謀」だの民主主義だのといった思想に振り回されてきた経緯を丁寧に追っていき、それを踏まえて、そんなよくわからないものに振り回されずに、もっと気軽に文字を使ったり使わなかったりできないかという著者の問い掛けは存外に重いように思う。
読了日:7月10日 著者:安田敏朗

南朝研究の最前線 (歴史新書y)南朝研究の最前線 (歴史新書y)感想
後醍醐天皇や楠木正成の実像、後南朝による再興運動というトピックから、建武の新政の評価、戦前の南北朝史研究といった研究史に属する事柄まで、わかりやすい語り口で現在の研究成果を提示した好著。「南朝」だけでこれだけの本を出せるという事実に、他分野の研究者として希望を感じる。
読了日:7月12日 著者:

詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力感想
詩の舞台となった都市や景勝地に注目。その四「洞庭」で、洞庭湖が時代によって大きさが異なるという話と、洞庭を舞台にした詩を絡めているのと、その八「嶺南」で、流謫地としての嶺南が流謫をうたった詩の表現の共有をうながしたという話を特に面白く読んだ。
読了日:7月16日 著者:齋藤希史

天文学者たちの江戸時代: 暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書)天文学者たちの江戸時代: 暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書)感想
『天地明察』で有名となった渋川春海以後の幕府に仕えた天文学者たちの活動や研究の成果をたどる。春海以後渋川家が天文に関わる家として世襲化されたこと、改暦事業には春海以後も常に京の土御門家との関係が鍵となったこと、天保の改革に深くコミットした渋川敬直(渋川家に養子に入った髙橋景保の甥)の運命などを面白く読んだ。
読了日:7月17日 著者:嘉数次人

昭和史講義2: 専門研究者が見る戦争への道 (ちくま新書)昭和史講義2: 専門研究者が見る戦争への道 (ちくま新書)感想
前著を面白く読んだうえに参考になる事項が多かったので買ってみたが、前著よりかなり専門的になっている印象。第7講の、国体明徴制度の影響が限定的とする見解が意外だった。第16講のテーマとなっている大東亜会議については、開催によって何を得るかではなく、今でもありがちだが、開催自体が目的化した面が強いのではないかと感じた。
読了日:7月19日 著者:

天皇 天皇の生成および不親政の伝統 (講談社学術文庫)天皇 天皇の生成および不親政の伝統 (講談社学術文庫)感想
「天皇不執政」は邪馬台国以来の日本の「伝統」であり、真の日本の「国体」であることを論じる。これに「押し付け憲法」論をミックスすれば、日本人よりも外国人の方が日本古来の「伝統」をよくわきまえているということになるが…
読了日:7月24日 著者:石井良助

孫文――近代化の岐路 (岩波新書)孫文――近代化の岐路 (岩波新書)感想
革命のトリックスターとして、また民主と独裁の二つの相い矛盾するものを求める「ヤヌス」のような革命家としての孫文を描く。辛亥革命以後の中国近代史を「放」(国内の諸勢力が分裂を求める動き)と「収」(中央政府が統一をはかる動き)のせめぎ合いと見る視点が面白い。この二つのせめぎ合いは現代中国でも続いているのではないか。中華人民共和国は経済は「社会主義市場経済」、政治体制は「中央集権連邦国家体制」により成り立っていると説明した方がよいのかもしれない。
読了日:7月26日 著者:深町英夫
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