博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『学術訓練与学術規範』

2011年07月30日 | 中国学書籍
栄新江『学術訓練与学術規範 中国古代史研究入門』(北京大学出版社、2011年4月)

隋唐史・敦煌学などの研究で知られる栄新江氏による中国史学研究入門。まずは本書の構成を挙げておきます。

第一講 伝統古籍的翻閲/第二講 石刻史料的収集/第三講 簡牘帛書的検索/第四講 敦煌吐魯番文書的瀏覧/第五講 版本与校勘的常識/第六講 考古新発現的追踪/第七講 図像材料的積累/第八講 今人論著的査閲/第九講 刊物的定期翻検/第十講 論文的写作(上)/第十一講 論文的写作(下)/第十二講 書評与札記/第十三講 写作規範/第十四講 注釈体例与参考文献/第十五講 専業中英文的翻訳

……とまあ、このようになっておりますが、第一講から第九講までは基本的に関連する工具書・参考図書などを羅列しているだけなので、参考価値はありますが、読んでいて面白い部分ではありません。適当に読み飛ばして下さい(^^;) (しかし著者の専門柄か、欧文書・日文書も積極的に紹介されているのは特徴的と言えるかもしれません。)

本書の真価は第十講以下の論文の書き方や規範などを解説している部分です。中文書で歴史学の研究入門の類は数あれど、こういう基本的な所から解説してくれている本はほとんど無いので、中文で論文などの文章を書く際に参考になるかと思います。

そして「老大家の紀念文集に墓誌の研究を寄稿するなんて縁起の悪いことをしちゃいかん!」とか、「欧米の学者は『吐蕃与唐朝之間』と言うつもりで『Between Tibet and China』なんて書いてたりするが、間違ってもこれを『西蔵和中国之間』なんて訳すなよ!絶対だぞ!」とか、ネタ的に色々楽しいのも第十講以下です。本書は大学院の講義をまとめたものということなんで、こういう余談の類も紛れ込んでいるんですね。ちなみに老大家の紀念文集の話はこの後に「追悼文集ならそういうテーマでもオッケーだよ!」なんて書いてたりするので、どこまで本気で言ってるのかという気もするのですが(^^;)
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『逆水寒』その4

2011年07月29日 | 武侠ドラマ
『逆水寒』第21~27話まで見ました。

ようやく青田鎮に辿り着いた戚少商ですが、時遅く顧惜朝らは既に神威鏢局に手を回しており、高風亮は心ならずも顧惜朝に協力させられ、戚少商と剣を交えることに。そして敢えて戚少商に討たれ、死ぬ間際に「逆水寒」に隠された密書の内容、すなわち丞相の傅宗書が遼国と結託して皇位簒奪を目論んでいることを耳打ちします。戚少商らは傅宗書の野望を打ち砕くべく京城へと発ちます。しかし高風亮もこれまで思わせぶりに何度も名前だけが出て来た割には、あっけなく死んじゃったなあと。

一方、傅宗書は娘の晩晴が密書の内容を知ってしまったことから、顧惜朝に晩晴を殺すよう指令。さすがに愛妻を殺すに忍びず躊躇する顧惜朝。こいつにも人の情というものがあったか…… そして事態を察知した晩晴は顧惜朝の目の前で断崖絶壁からダイブして記憶喪失になったふりをし、秘密を漏らす恐れが無くなったということで父親から助命を勝ち取ります。……そ、そんな展開アリかよ!(^^;)

そんな中ノコノコと鉄手が晩晴のもとにやって来ますが、彼が夫の所業を許さないつもりであると見ると、晩晴は毒蜘蛛「喜蛛児」を仕掛けて彼の記憶を奪ってしまいます。そして記憶は失っても武功までは失っていないと見た顧惜朝は、この事態を奇貨とし、鉄手を騙して手下として扱い、戚少商抹殺に利用することに。……さきほどのコメント、訂正。やっぱこいつ、人でなしです(-_-;)

で、二人して京城への道を待ち伏せ、戚少商らを襲撃しますが、事態の推移に疑問を感じた鉄手は自力で記憶を取り戻し、戚少商の身柄を奪って逃走。鉄手が記憶を失ってから取り戻すまでの間、話数にして1話分。はえーよ!この展開でもうちょっと引っ張れよ!(^^;)

使命に失敗した傅宗書は顧惜朝に「おめー、ホントに使えねえ野郎だな!じゃあさ、死んだ気になって邪派の武功でも身に付けなよ!で、今度こそ戚少商と鉄手を殺るんだぞ?」と、強制的に九幽神君の魔功を修業させます。で、危うく走火入魔して片腕を失いかけながらも魔功の練成に成功した顧惜朝は再び戚少商・鉄手と拳を交えますが、鉄手が雷を招き寄せて相打ちに持ち込み、戚少商はその間に逃亡。雷に打たれて死んだと思われた顧惜朝ですが、魔功の力により難なく復活。死んだのは鉄手だけという結果に。まあ、鉄手の方も実は死んでなかったという展開になるんでしょうけど。

しかしその顧惜朝の前に九幽神君の弟子と称する怪しげな集団が現れ、傅宗書の命により戚少商を仕損じた罰ということで彼らのアジト「魚池子」へと顧惜朝を連行して監禁。一方、晩晴は父親の気まぐれにより再び命を狙われるところを、かつての侍女小玉に救われます。晩晴は彼女に対しても記憶喪失ということで通そうとしますが、再会した時にうっかり「小玉!」と呼びかけてしまい、記憶を失っているふりをしているだけだと見破られます。……一体何やってんですか!(^^;) つーかこのドラマの脚本、細部を詰めるという作業を投げてませんか?

小玉は晩晴を息紅涙のもとへと連れ出し、戚少商の無実を証明するカギとなる密書の内容を告白させようとしますが……
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『昭和史 戦後篇1945-1989』

2011年07月27日 | 日本史書籍
半藤一利『昭和史 戦後篇1945-1989』(平凡社ライブラリー、2009年6月)

同じシリーズの『戦前篇』に続いてこちらも読んでみることに。ただ、ネタとしては『戦前篇』の方が面白かったなあと。タイトルに『戦後篇1945-1989』と銘打ってありますが、実際は昭和47年(1972年)の沖縄返還のあたりまでの話が中心です。以下、本書で面白かったネタ。

1 日本国憲法制定
1945年10月にマッカーサーと会見した近衛文麿。この時にマッカーサーが近衛に憲法の改正を要求したとされますが、実は「constitution」(ここでは(政府の閣僚などの)構成という意味。Constitutionと大文字にすると憲法の意味となる)という言葉の通訳上の取り違いにより、憲法の改正など全く考えていなかったマッカーサーが会談中に改正の必要性に思い至り、また近衛が自分がマッカーサーから憲法改正の仕事を委任されたと思い込んだという説があるそうな……

で、近衛は京大出身の憲法学者佐々木惣一を起用し、松本委員会案などと比べてかなりしっかりした憲法草案を作らせたということですが、この近衛がA級戦犯に指定されるに及んでGHQが「あんたに憲法改正を任せた覚えはない」とぶっちゃけ、佐々木案も闇に葬られることに。その後はご存知のように近衛は東京裁判でA級戦犯として裁かれることを苦にして自殺…… 憲法改正をめぐる話を読んでると、カオスすぎてもう何が何だかという気がしてきます(;´д⊂)

2 東京裁判
その東京裁判ですが、連合国側は当初ナチス・ドイツに対するニュルンベルク裁判と同じような感じで裁判を行おうとしたのですが、ヒトラーをはじめとして責任の所在が極めて明確であったドイツと比べて、日本の場合は首相・閣僚・軍事指導者がコロコロ変わっており、戦争責任の所在が極めて不明確。しかも諸事情により昭和天皇は戦犯として扱わないというのが規定の方針であったので、誰にどの責任を押っつけるかで色々難儀したとか…… 指導者がコロコロ変わって責任の所在が不明確……今と大して変わってませんね。

しかも2年半ほどかけて長々と裁判を行っている間に、米ソの対立が深まるなど世界情勢が緊迫してきて仲良く裁判で検事をやっている場合ではなくなり、A級戦犯を28人裁いたところで、後に首相となる岸信介ら残るA級戦犯容疑者はみな無罪放免ということにし、裁判を強制終了。A級戦犯として処刑された人々と生き残った人々との差は紙一重だったんだなという気が……

3 昭和天皇とマッカーサー
昭和天皇は昭和20年9月から26年4月まで11回にわたってマッカーサーと会談を行い、この会談の内容が随分と占領政策や戦後の体制づくりに影響したということで、本書では戦後日本の占領期間は昭和天皇とマッカーサーの合作であると評価しています。ちなみにこの会談の内容は双方が秘密にするという約束を交わしており、昭和天皇は約束を守って終生会談の内容を口外することはなかったということですが、マッカーサーはお喋りで、帰国後にちょこちょこと秘密をバラしていたらしい。……マ、マッカーサーさんっ!!(´;ω;`)

4 おまけ
「この作者の鋭敏げな感覚はジャーナリストや興行者の域を出ていない。決して文学者のものではないと思っている。また、この作品の美的節度の欠如を見て最も嫌悪を禁じ得なかった。」これは何かというと、石原慎太郎が芥川賞を受賞する時の選考会での佐藤春夫による論評です。当時にあっては佐藤春夫は新しいセンスが分からない頑迷な人物と見られたのではないかと思いますが、今となってはこの評価はいいところを突いていたんじゃないかという気が……
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『逆水寒』その3 北宋末のオーパーツ

2011年07月22日 | 武侠ドラマ
『逆水寒』第14~20話まで見ました。

戚少商と婚約してから5年も放っておかれたということですっかりふて腐れていた息紅涙ですが、崖からダイブして戚少商に救われたところ、「べ、別にあんたのことを嫌ってるわけじゃないんだからねっ!」といきなりツンデレ化し、「双飛翼」を貸すことを承諾。下の画像がその「双飛翼」に戚少商が乗り込んでいるところなのですが……



ハングライダーじゃなくて飛行機ですね。どう見てもオーパーツです。本当にありがとうございました\(^o^)/ 

で、その「双飛翼」を弩で打ち落とそうとして失敗する顧惜朝に対して、火砲で攻撃して確実に戚少商を追い詰める鉄手。何か顧惜朝と鉄手の格の違いが現れてますねえ。もっとも、鉄手の方はダーティな顧惜朝らと一緒に仕事するのにだんだん嫌気が指してきて、「オレ、この任務が終わったら辞表を出して隠遁するんだ。そうしたらもう二度と『不得已』(やむを得ない)なんて言葉を使わないんだ……」なんてボヤいてますが。差し詰め「お上の犬としてブラックな任務を勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」といったところでしょうか(^^;)

鉄手に追い詰められた戚少商は一旦毀諾城に引き返して息紅涙・雷巻らとともに籠城を決め込むことに。……「双飛翼」、結局役に立ってNEEEEEEEE!!一方、傅晩清は父・傅宗書の意が戚少商の殺害ではなく、「逆水寒」に隠された密書の奪還にあることを知り、侍女の小玉に毀諾城に潜入させ、「逆水寒」を盗ませることに。その小玉が潜入した途端、「逆水寒」を持った息紅涙と出くわし、部下と勘違いした彼女から「これ、戚少商に返しといてね」と剣を渡され、いきなり任務に成功。……こんな適当な展開があるかいっ!(^^;)

「逆水寒」をゲットした傅晩清は剣の柄に隠された密書を取り出して焼却し、剣を顧惜朝に引き渡します。「これで惜朝も鉄手もこの任務から解放されるし、戚大侠の命も助かるのよね^^」と浮かれる彼女ですが、当の顧惜朝は後難を恐れてあくまで戚少商を死に追いやる所存。なぜか「逆水寒」を更に鉄手に引き渡し、戚少商を追跡させます。

毀諾城から何とか脱出した戚少商一行ですが、「逆水寒」を鉄手が持っているということで彼を追跡していたところ、当の鉄手が彼らの立て籠もる宿に出現。しかしここで顧惜朝が剣の柄に仕込んでいた猛毒が発動。鉄手をも巻き添えとなって窮地に陥る一同ですが、夫の腹黒さにドン引きした晩清が解毒に回ります。

戚少商は「逆水寒」の柄に仕込まれていた密書が既に焼却されてしまったことを知り、当初の目的通り神威鏢局の高風亮と会うべく青田鎮へと向かうことに…… ということでかなーり長い回り道を経てやっとこさ高風亮とご対面ということになりそうです。
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『昭和史 1926-1945』

2011年07月14日 | 日本史書籍
半藤一利『昭和史 1926-1945』(平凡社ライブラリー、2009年)

文字通り昭和史のうち太平洋戦争の終結までの流れを押さえた本ですが、当時の政治家とか軍人のアレッぷりにいしいひさいちの『鏡の国の戦争』を活字で読まされている気分になりました。でもあっちは漫画ですが、この本に書かれているのは現実なんですよね(´・ω・`) で、本書の中で色々と面白いエピソードが取り上げられていたので、以下にそれを紹介しておきます。

1 ゴーストップ事件
昭和8年、大阪で陸軍の一等兵が信号無視をして道路を突っ切ったところ、大阪府警の巡査が捕まえようとして殴り合いとなる。陸軍側は「たかが信号無視ぐらいでガタガタ言うな!誰に向かって口聴いとるんか分かっとんのか、オラ!」とゴリ押しで大阪府警に謝罪させようとしたものの、府警側は屈服せずに「陸軍か何か知らんけど信号ぐらい守れや、ボケ!」とブチ切れ、陸軍・府警双方の幹部や大阪府知事まで巻き込んだ大騒動に発展。事の次第は天皇の耳にまで入り、結局大阪府警や大阪府にはお咎めなしの一方、陸軍側の幹部が待命処分を下され、陸軍側が悪かったという形で事件は終幕。……大阪人、半端ないな。

2 二・二六事件
戦後になって二・二六事件に関わった四名の青年将校の生き残りにインタビューした著者。岡田啓介首相・鈴木貫太郎侍従長ら天皇の側近を殺害しようとした青年将校たちですが、著者は「彼らを何も殺そうとする必要はなかったんじゃないですか?銃剣で脅してどこかに監禁するだけでも充分だったのでは?」と質問したところ、四人そろって「そうなんだよなあ」と返答。……エエエエェェェェ(´Д`)ェェェェエエエエ 今更それはない……

3 中国の農村で
日中戦争の時に河北省無極の郊外東陽村では村人が自警団を組織して日本軍を追っ払おうとしていたが、この時に攻め込んだ日本軍中隊の隊長が人格者で、村人たちと仲良くなってともに共産党の軍を追っ払ったりした。……( ;∀;)イイハナシダナー そしてこの中隊が別の中隊と交替することになったが、新しくやって来た中隊がタチが良くなかったので、今度は村人たちは共産党軍と手を組んで日本軍を追っ払った。……( ;∀;)イイハナシダナー

4 日独伊三国同盟
ドイツから日独伊三国同盟の締結を打診された時、日本側はこの同盟を結ぶべきか否かで大もめに揉め、首相・外務大臣・大蔵大臣・陸軍大臣・海軍大臣による五相会議が七十回以上開かれて話し合いがなされた。そして日本が半年もの間グダグダやっている間に、ドイツは日本が敵国となると見なしていたソ連ととっとと独ソ不可侵条約を結んでしまい、日本側を唖然とさせる。ドイツ側の言い分。「こっちが早く三国同盟を結びたいと言ってるのに、半年もgdgdやってるそっちがワリいんだよっ!」

5 ノモンハン事件
ノモンハン事件は、実は前線での戦闘だけを取りだしてみれば日本側の大敗というわけでもなく、かなり善戦していた。ただしこれは指揮官の指導が拙劣なのにも関わらず、一線の兵隊が頑張った結果によるものである。指揮官がヘボだけど前線の戦闘員は優秀……今もあんまり変わってませんね。そして当時の軍部のお偉方の意識は「起きると困るようなことは起きないことにする」……やっぱり今と変わってない。
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『逆水寒』その2 僕と契約して幇主になってよ!

2011年07月13日 | 武侠ドラマ
このドラマのキャッチフレーズは「ブラック幇会で幇主を勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」より「僕と契約して幇主になってよ!」の方がいいような気がしてきた今日このごろ。ということで今回は第7~13話まで鑑賞。

「逆水寒」に隠された秘密を知るため、神威鏢局の高風亮を訪ねようとする戚少商一行ですが、神威鏢局のある青田鎮に行くには雷家荘を通らなければなりません。しかし戚少商は雷家荘霹靂堂の堂主雷巻と過去に色々因縁があった模様。(2人は息紅涙をめぐる恋敵であったようです)しかも顧惜朝が雷巻の一族2人を殺害してそれを戚少商の仕業と見せかけ、雷巻は仇討ちのために顧惜朝とともに戚少商の行方を追うことに。

一方の戚少商一行は雷家荘への途上で女性2人と道連れになりますが、彼女たちは実は顧惜朝の妻の傅晩清と侍女の小玉でありました。互いに互いの身の上を知り、気まずい雰囲気になりますが、傅晩清は戚少商らが悪人であるとは思えず、猛毒「至寒箱子燕」に冒された彼らを救おうとしますが、ここで三寨主「紅袍諸葛」こと阮明正がお亡くなりに。このキャラ、サブヒロインとして最後まで出突っ張りかと思いきや、あっさり死んでしまいましたね。快活な女性軍師という珍しい設定で、個人的にお気に入りのキャラだったのですが……

妻が戚少商と同行していたのを知ると、彼女を騙くらかして居場所を突き止め、雷巻とともに「至寒箱子燕」の療養中の戚少商を襲撃する顧惜朝ですが、土壇場で雷巻が裏切って戚少商とともに顧惜朝を攻撃。雷巻曰く、「こいつには色々恨み辛みがあるが、こいつが漢奸だというのだけは信じられないのさ!」ということですが、雷巻さんカッコいい!

で、戚少商&雷巻のタッグに敗北した顧惜朝は命ばかりは助けられますが、簀巻きにされて林の中に放置され、それを朝廷側の将兵や妻に見られてしまうという最高に恥ずかしい状態に…… まあ、こいつの今までの所業を思い出すと、今更どんな目に遭ってもm9(^Д^)プギャーという感想しか出て来ないわけですが。

戚少商は雷巻主従を一行に加えて青田鎮に向かおうとしますが、青田鎮への道は朝廷側に封鎖されてしまい、双飛翼(ハンググライダーみたいなものらしい)で空でも飛ばなきゃ通過できないという事態に。仕方が無いので砕雲淵毀諾城へと足を運び、かつての恋人息紅涙から双飛翼を借りようということに。「僕とヨリを戻して下さい。そして双飛翼を貸して下さい。」と息紅涙に頼み込む戚少商ですが、当然そんなムシのいい頼み事が聞き入れられるはずもありません……

朝廷側にも動きがあり、「四大名捕」の1人鉄手が派遣され、顧惜朝に替わって戚少商を追跡することになりますが、このドラマ、『四大名捕』のシリーズ作だったのか…… その鉄手がかつて妻の晩清と恋仲であったということで嫉妬に駆られる顧惜朝ですが……
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『ふたつの故宮博物院』/『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索』

2011年07月08日 | 中国学書籍
野嶋剛『ふたつの故宮博物院』(新潮選書、2011年6月)

2000年代の台北故宮リニューアルと故宮南院建設計画、北京と台北ふたつの故宮成立史、近年の大陸での文物回収運動(このあたりはメインテーマとはあんまり関係ない話題ですね)、そしてふたつの故宮の交流・統一と、割と内容が盛りだくさんの本です。

特に台北故宮のリニューアルについては関係者のインタビューが豊富に盛り込まれていてなかなか読ませますが、これって当時の民進党政権と結びついた極めて政治的な動きだったんですね。そして国民党の政権奪回とともに揺り戻しがおこり、台湾南部の嘉義県にオープン予定という故宮南院の建設計画については風前の灯火となっているようですが……

大陸での文物回収運動については、フランスでオークションにかけられたりして物議を醸した円明園の十二支像についても触れられていますが、本書ではこの十二支像について中野美代子氏の衝撃的な論考を紹介しています。その論考によると、十二支像は1930年頃までは現地に残ってたようであるということですが……アロー戦争で英仏連合軍に略奪されたんじゃなかったのかよ!(^^;)

川島真『シリーズ中国近現代史2 近代国家への模索1894-1925』(岩波新書、2010年12月)

このシリーズの第1弾を読んだのが随分前のこととなってしまいましたが…… 

今回面白かったのが「中国」という国号についてです。本書ではこれに関して梁啓超の文章を引用していますが、梁啓超曰く、我が国には国号が無い。漢・唐といった王朝名で呼ぶのは論外だし、支那という号は外国人がつけた名であって我々がつけたものではなく、「名は主人に従う」という公理に反することになる。中国・中華という呼び名も自尊自大の気味があってイマイチなんだが、消去法で選ぶと中国しかない。

……ということですが、支那という呼び方は自分でつけた名前じゃないからダメなんですね(^^;) そして中華・中国という呼び方に問題があると認識しているのも面白いところ。そして日本は辛亥革命後にこの中国という尊大な呼び方を嫌ったのか、支那という呼称を採用することになるわけですが……
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『逆水寒』その1

2011年07月03日 | 武侠ドラマ
周りで評判が良いので、温瑞安原作武侠ドラマ『逆水寒』を見てみることにしました。2004年制作、監督は香港TVBの金庸ドラマや新版『水滸伝』などで知られる鞠覚亮です。今回は第1~6話まで見ました。

時は北宋。張智霖演じる主役の「九現神龍」戚少商は連雲寨の大当家(大親分)として、七寨主たちを率いて連年遼との戦いに従事してきましたが、彼は元々連雲寨とは無関係のフリーの侠客で、七人の寨主が大当家の座をめぐって同士討ちを繰り広げているのを見かねた三寨主「紅袍諸葛」阮明正が一年契約ということでスカウトしてきた雇われ大当家。ところが一年で辞められるとまた寨がバラバラになるということで、戚少商は婚約者の息紅涙から愛想を尽かされるのもお構いなしにムリヤリ五回連続で契約更新させられていたという次第。……ブラック企業ならぬブラック幇会ですねw 「ブラック幇会で幇主を勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」というキャッチフレーズを思いつきました(^^;)

で、六回目の契約更新を振り切ってフリーに戻った戚少商ですが、今度は悪漢たちに襲われていた謎の好漢(実はその正体は八十万禁軍教頭の李齢)を助けたことで名剣「逆水寒」を託されますが、実はこの「逆水寒」には敵国遼から丞相傅宗書に送られた密書が隠されており、(つまり傅宗書が遼国と通謀しているということですね)これによって戚少商は傅宗書の手の者に狙われることになったのでありました。……典型的な巻き込まれ型の主人公ですなあ(^^;)

一旦李齢と別れた戚少商は馴染みの酒場で彼と待ち合わせることにしますが、店主の陰謀で法外な料理代を吹っ掛けられて支払えなくなり、あえなく一週間皿洗いをするハメに…… そこで皿洗いの先客として登場するのが鍾漢良演じる副主人公の顧惜朝。出会い方がおかしいというツッコミはこの際置いといて下さい(^^;) この顧惜朝と意気投合した戚少商は彼に連雲寨の大当家の座を押っつけようとしますが、実は顧惜朝、丞相傅宗書の娘婿で、戚少商抹殺と「逆水寒」奪還の使命を帯びて戚少商に接近してきたのでした!……戚少商、まるで人を見る目がないな……

戚少商は顧惜朝を連雲寨の七寨主と引き合わせ、新大当家就任を承諾させますが、大当家就任式の当日に顧惜朝は官軍を連雲寨に引き入れ、遼国と通謀したという濡れ衣を着せて戚少商を襲撃。毒薬「至寒箱子燕」を盛られて内功を封じられる一同ですが、七寨主は次々と我が身を犠牲にして戚少商を逃亡させます。そして顧惜朝は連雲寨を壊滅させたものの肝心の戚少商と「逆水寒」を取り逃したことで微妙な立場に立たされ……

ということで、以下戚少商と顧惜朝との愛憎を中心にストーリーが展開していくようです(^^;) 特に顧惜朝の知謀と武功を正当に評価しているのが不倶戴天の敵となった戚少商だけというあたり、「それなんてBL」という感じなんですが…… 
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『関雲長』

2011年07月02日 | 映画
『関雲長』

劉備の妻妾ともども曹操の客分となっていた関羽。劉備が汝陽の地にいると知った彼は、同郷の出身で劉備の妾となっていた綺蘭を伴って汝陽へと向かうことに。曹操は関羽を止め立てしてはならんと命令を下したはずが、五関を守る武将たちはなぜかみな皇命を盾にして関羽を襲撃し……

ということで『三国演義』の関羽の五関越えをもとにした本作ですが、ドニー・イエン(甄子丹)演じる関羽が姜文演じる曹操と孫儷演じる綺蘭の2人に惚れられて困っちゃうなーという誰得なストーリーが展開されます(^^;) いつものことですが、ドニーさん、調子に乗りすぎですよ!そしてラストでは関羽襲撃の意外な黒幕の正体が明らかとなりますが、個人的に「それはないわー」という気が……

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