博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ

2023年01月09日 | 中華時代劇
『県委大院』
胡歌主演のお役所物。前任者が解任された光明県の県長に胡歌が就任。産業に乏しく問題山積みの状態で、更に不祥事の引責辞任のような形で、彼をサポートしてくれていた県委書記まで異動となり、胡歌が書記に昇格。……という感じで会議の場面がやたら多く、お役所物として辛みのあるリアリティに満ち満ちていますw スケールとしては『人民的名義』と『山海情』『大山的女児』の中間に位置するということになりましょうか。

『少年歌行』
全く客の来ない酒楼を経営する皇子様の蕭瑟のもとに荒くれ者たちが到来。そこへたまたまやって来た雷無桀が荒くれ者たちを追い出しものの店を破壊してしまい、蕭瑟は弁償を求めるが、手持ちの金がないという。そこで金のアテを求めてともに雪月城へ……とベタベタな出だしの武侠物ですが、展開がスピーディーでとにかく面白い! (^_^;) ツッコミ所も多く、2000年代の武侠物を思わせる展開が続きます。アクションシーンはCG効果バリバリですが、却って私の好みには合ってますw 今一番のお薦めの時代劇です。
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2022年12月に読んだ本

2023年01月01日 | 読書メーター
ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世 (講談社現代新書)ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世 (講談社現代新書)感想
初代神聖ローマ皇帝オットー大帝の一代記。カール大帝に比べて地味な印象があり、知名度も劣るが、大帝のイタリア遠征を通じて「ドイツ人」という民族の他者認識が生まれ、それが後に自己認識につながり、また逆に国内の分裂の種となるなど、その事績やはり重要な歴史的意義があるようだ。また当時のドイツ諸侯が相続をめぐって一族内で分裂し、それが複数絡む形で戦乱となるといった動きはどことなく日本中世の戦乱を連想させる。日本中世の比較対象としても面白い素材であるかもしれない。
読了日:12月01日 著者:菊池 良生

現代語訳 南海寄帰内法伝: 七世紀インド仏教僧伽の日常生活 (法蔵館文庫 ぎ 1-1)現代語訳 南海寄帰内法伝: 七世紀インド仏教僧伽の日常生活 (法蔵館文庫 ぎ 1-1)感想
玄奘、法顕と並ぶ中国の留学僧義浄のインド、東南アジア体験記だが、「中国ときたら~」と今で言う「出羽守」のような言動が目立つ。現地の風習を紹介するというより中国仏教の批判を主眼とした書で、紹介される風習も仏教寺院でのものが大半。そこらへんの事情は巻末の解題で解説されている通りである。しかし中国でそうした風習が改変された事情に納得できるものもありそうなだけに、解題に言及されているようにこの書を読んだ中国の仏僧の反応や評価が気になるところである。
読了日:12月08日 著者:義浄

33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全感想
中国版ケンミンショー的な内容で、各省の歴史、観光地、名物料理、省民の気質などを紹介。中国の三大渋滞都市、省民に省としての一体感がない江蘇省、意外と受験激戦区の山東省など色々愉快な話が盛り込まれている。方言に関するネタも多いが、方言が細分化されすぎていて同じ地域でも会話に支障が生じるので、普通話で会話されるというのは盲点だった。観光地や料理の話題はネットでも拾えるが、省民性についてはそうでもないので、中国の地方理解の取っかかりとしては面白い本だと思う。
読了日:12月09日 著者:ヤンチャン

洋装の日本史 (インターナショナル新書)洋装の日本史 (インターナショナル新書)感想
制服や女性の服装を中心に検討。洋装の導入は廃藩置県を機に行われ、外見から四民平等を図るという意図があった、特に女性の洋装がコストの問題などでなかなか根付かず、逆にある階層に一旦根付くと戦争に突入しても洋装をやめようとしないなど、面白い見解が随所に盛り込まれている。ただ私が日本の洋装史にこれまで無関心であったこともあり、衣服改良運動の際に朝鮮の袴が資料として参照されたとか、著者の強調したいポイントとはずれた枝葉の部分に興味を持ってしまったが。
読了日:12月12日 著者:刑部 芳則

中国における正史の形成と儒教 (早稲田選書)中国における正史の形成と儒教 (早稲田選書)感想
「史の記に基づき自らの思想を表明するための書」であった『史記』から始まり、儒教に従属するものとしての中国の史学の展開を追った、前漢~唐代を中心とする中国史学概論。大筋はおおむね納得できるものであり、この著者の一般書としては最も出来がいいのではないかと思う。司馬遷が明らかに虚構の物語を『史記』に取り入れた理由も面白い。ただ、特に『史記』に本当にその時代なりの西欧近代歴史学に通じる営みがなかったのかは疑問に思うところであるが。
読了日:12月14日 著者:渡邉義浩

越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年 (講談社選書メチエ)越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年 (講談社選書メチエ)感想
中国の華南の少数民族、客家、下層の漢人といったマイノリティの視点からの清代史ということになるだろうか。官吏など中上層の漢人から虐げられて移住してきた下層の漢人や客家が、今度は現地在住の少数民族を踏みにじる側になるといった相互の角逐や対立を活写する。科挙が地位を上げる手段となるなど、マイノリティにとっての科挙や儒教の肯定的側面にも触れられているのが印象的。現在の中国での反政府・民族運動、あるいは台湾の立ち位置に対して少し違った視点を提示しうる内容となっている。
読了日:12月18日 著者:菊池 秀明

「奥州の竜」 伊達政宗 最後の戦国大名、天下人への野望と忠誠 (角川新書)「奥州の竜」 伊達政宗 最後の戦国大名、天下人への野望と忠誠 (角川新書)感想
本人による文書を中心に読み解く政宗の生涯。細かな事実関係よりも、政宗と母保春院や子どもたち、家臣との関係、最上義光ら敵対したライバルにして縁戚たちとの関係の推移、秀吉、家康ら時の権力者をどう見ていたかなど、心情に関わる話の方を面白く読んだ。保春院による政宗の毒殺疑惑についてはまだまだ検討の余地があるようだが。
読了日:12月20日 著者:佐藤 貴浩

古典と日本人~「古典的公共圏」の栄光と没落 (光文社新書 1233)古典と日本人~「古典的公共圏」の栄光と没落 (光文社新書 1233)感想
「古典的公共圏」に着目した日本古典学史(≠古典文学史)。テキストの伝承と校訂、注釈の成立などが古典の基準というのは、中国学で「古典」とされている書を挙げると納得しやすい(古典の幅がやや狭くなってしまうのが気になるが)。印刷術技術の導入が古典の普及に大きな影響を与えたというのも、中国など諸外国の事例と符合する。昨今の古典教育批判も意識した議論となっている。近代化が古典の地位を低下させたという話はともかく、著者の対案が取り敢えず丸暗記では、暗記自体が忌避される風潮の中では支持を得られないだろうけど。
読了日:12月22日 著者:前田 雅之

マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国 (岩波新書 新赤版 1954)マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国 (岩波新書 新赤版 1954)感想
マルクス即位の背景となるハドリアヌス以来のスペイン系の躍進、ハドリアヌスに対してマルクスが立ち入った評価をしなかった背景、マルクスの治世において長く続いた疫病と、即位まで従軍経験がなかった中での戦争の指導、「哲人皇帝」ではなかったマルクスなど本人に関しても面白い話題が盛り込まれているが、それよりも第五章「死と隣り合わせの日常」で展開されるローマ人の死生観や、意外に衛生的でなかった公衆浴場の話の方に興味が惹かれた。
読了日:12月24日 著者:南川 高志

風神雷神 Juppiter,Aeolus(ユピテル アイオロス)下 (PHP文芸文庫)風神雷神 Juppiter,Aeolus(ユピテル アイオロス)下 (PHP文芸文庫)感想
上下巻合わせての感想。プロローグを読んだ限りでは和製『ダ・ヴィンチ・コード』を思わせる展開で嫌な予感がしたが、本編そのものは俵屋宗達と原マルティノら天正少年使節、そしてカラヴァッジョとの友情と芸術への情熱を描いた歴史小説である。史実の狭間に、俵屋宗達が天正少年使節に同行した等々大胆な仮想を加えたスケールの大きな、そして美しい物語に仕上がっており、一気に読ませる力を持った作品になっている。
読了日:12月29日 著者:原田マハ

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