博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『武神趙子龍』その5

2016年05月25日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第25~30話まで見ました。

師爺の楽淵から兵法書『楽毅百戦術』の下巻と「百鳥朝鳳槍」(要するに伝説の槍的なアイテムです)を授けられた子龍は、柳慎や地元の山賊のもとから逃れてきた趙拾妹らとともに趙家軍を組織し、地元常山を発って天下安寧のために戦うことを決意。

途中で常山郡治(=郡庁所在地)に立ち寄って軽衣と高則との婚礼のことを耳にし、子龍が下働きに扮して夏侯府に潜入し、軽衣と密会したりしていますが、このあたりのエピソードは本当にどうでもいいですね……

さて、幽州の公孫瓚に身を投じることにした子龍。下働きの身から袁紹配下の文醜に追い詰められた主君を救ったり、麹義を討ち取ったりと大功を揚げますが、出身の常山郡が袁紹の治下に属することとが警戒され、更に娘の宝月の猛プッシュが裏目に出て冷遇されます。一方で、公孫瓚の援軍に駆けつけた劉備や関羽・張飛からは高く評価される子龍。全体の半分近くになってようやく将来の主君と出会いました (^_^;)

宝月は父親から子龍が袁紹軍の大将の首を獲ったら将軍に取り立てるという言質をとりつけ、子龍に扮して袁紹の陣を急襲し、文醜と一騎打ちを試みますが、逆に囚われの身となり、子龍が救出に駆けつけることに。で、文醜と槍勝負の結果、実力を認められて宝月を解放。すっかり文醜と「強敵」と書いて「とも」と呼び合う展開になってますw ドラクエとかファイアーエムブレムのような展開が続く本作ですが、このあたりの展開はドラクエ三国志と呼ぶにふさわしいものになってます。

宝月が人質になったのも、もとはと言えば子龍のためということで、ますます公孫瓚から不興を買ってしまいますが、ここで子龍を父親夏侯傑の配下に迎えるべく、常山から軽衣が到来。実は夏侯傑、子龍が第1話で自分が手に掛けた兄弟子趙安の息子と知り、自分の手元に招き寄せて彼を始末してしまおうという魂胆なのですが、軽衣も子龍もそういった裏の事情は知りません。

そして長安では、以上のような本編の展開とは無関係に、いよいよ王允・貂蝉による美女連環の計が本格発動。貂蝉を奪われた呂布が義父董卓の殺害を決意し……
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『武神趙子龍』その4

2016年05月19日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第19~24話まで見ました。

長安では、司徒の王允が子龍のもたらした「青剣」と「倚天剣」を献上するという名目で董卓を自邸に招き、貂蝉と引き合わせるという美女連環の計がじわじわと進行中。一方、真定県では虎牙山に立て籠もる地元の山賊との対立が継続中。正直いつまで対地元の山賊戦で話を引っ張るつもりなのかと言いたくなりますが……

子龍は街中で義勇兵を募り、高則・耿純率いる官兵とともに真定城内に立て籠もり、横柄な耿純との対応に悩まされながらも、地元の山賊と激しい攻防戦を繰り広げることに。ここらへんはかなり見応えのある戦争場面となっておりますが、長坂坡でも赤壁でもなく、割とどうでもいい地元の山賊との架空の戦いに貴重なリソースを費やしているというあたり、見ていてかなり複雑な気分になってきます……

兵力では山賊側が圧倒的に有利ということで、子龍らは少人数で山賊側の包囲を突破し、公孫瓚らに援軍を求めます。公孫瓚の娘宝月率いる娘子隊(本作では彼女たちが公孫瓚の「白馬陣」の実行部隊という設定)の支援を得た子龍らは、山賊側の本陣を奇襲し、山賊の二当家を敗死させます。一方、山賊側の主力部隊は春秋・戦国時代に造られた地下道から真定城内へと侵入しますが、間一髪で子龍・宝月らが救援に駆けつけ、山賊側は撤退。

真定城の防衛に成功し、一躍地元の英雄となった子龍ですが、義勇兵と耿純ら官兵との対立が表面化し、義勇兵は解散。子龍も義勇兵に押し付けられた殺人の罪をかぶって投獄させられてしまいます。軽衣の懇願により釈放される子龍ですが、恋仲となった彼女は父親のもとに帰ることとなり、かつ入獄中に子龍に嫉妬した高則により三年殺し的な薬を盛られてしまいます。

で、釈放後に趙安・李全らの師楽淵が実はまだ生きているのではないかということで捜索に赴く子龍ですが、その途上の川辺で高則に盛られた薬が効いてきて一時的に失明。黒覆面をまとった高則に襲撃され、行動をともにしていた児が彼を庇って死亡。子龍は意識を失って川に流され、流された先で気がつけば彼が探し求めていた師爺(師匠の師匠)楽淵と、ついでに伝説の槍が目の前に……ということで次回に続きます。何かもう三国志とは関係のない世界に突入してしまった感がありますが (^_^;)
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『武神趙子龍』その3

2016年05月12日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第13~18話まで見ました。

董卓が長安遷都を強行し、反董卓連合軍が解散するという歴史イベントの裏で、我らが趙子龍は虎牙山に立て籠もる地元の山賊との抗争を継続中。たまたま真定県にやって来て抗争に巻き込まれた公孫瓚の娘宝月と子龍が知り合いとなり、これでようやく子龍が公孫瓚の配下になるのかなと思いきや、公孫瓚と出会いすらしませんでした。

そうこうしているうちに今度は軽衣が山賊に誘拐され、彼女を救うために子龍と、真定県県令に復帰した高則が官軍を率いて山賊討伐に一致団結。


キム・ジョンフン演じる高則。呂布のはからいにより一旦は華雄の副将になったはずが、華雄が討たれた後はあっさり反董卓派に寝返ってます。本作では割と人格者の呂布にかわり、彼が裏切り者枠ということなのかもしれません……

しかし軽衣の父夏侯傑の名代として派遣された耿純が高則の指揮を無視して突出したため、官軍側が敗北。子龍も一旦は囚われの身となりますが、かつて山賊の手から救った美女が男装(と言っても単に兵隊の格好をして付け髭をつけただけ)して虎牙山に潜伏しており、彼女の手で軽衣ともども虎牙山から脱出。しかし追っ手に絶命谷への崖っぷちに追い詰められ、谷底へとダイブ。子龍も軽衣も墜落死したかと思われましたが、もちろんこの手のドラマで崖から落ちて死んだ人なんていません。おまけに谷底で武術の秘伝を記した壁画まで発見し、無事谷から脱出して真定県へと帰還。

師叔の李全は二人の無事を喜ぶも、軽衣の父親が夏侯傑と知って複雑な表情。実は子龍の父母を殺害し、更にそれより昔、趙安・李全の師にあたる楽淵を殺害して一門の秘伝書『楽毅百戦術』の下巻を強奪したのが他ならぬ夏侯傑ではないかと目星をつけていたのでした。


ということで夏侯傑。ドラマ内の設定では趙安・李全が師から独立した後に楽淵に弟子入りした「小徒弟」ということになっていますが、趙安・李全と同年代にしか見えません。

子龍は軽衣となるべく距離をとるようにという李全の忠告を適当に受け流し、地元の山賊討伐のための義勇兵を街中で募りますが…… このドラマ、割とどうでもいい山賊の話をいつまで引っ張るつもりなんでしょうか……
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『武神趙子龍』その2 仮面の武侠趙雲

2016年05月05日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第7~12話まで見ました。

王允と貂蝉が美女連環の計の仕掛けに取りかかるという歴史イベントが展開される裏で、父趙安の弟弟子李全から紹介された三人の師に即いて武功を修練する趙子龍。一方、軽衣の父親夏侯傑は反董卓連合軍に身を投じることを決意し、そのとばっちりを受けるような形で子龍のライバル高則は夏侯傑の部下に襲撃されますが、軽衣の依頼で子龍が彼を助け、二人の間で友情が芽ばえていきます。

その高則、何とか董卓のもとに帰還したものの、「青剣」「倚天剣」の奪取という任務には失敗したということで処刑を免れないところを呂布に助けられ、更に呂布の進言により、反董卓連合軍を迎え撃つ華雄の副将に推薦されます。


髭面なところは微妙にコレジャナイ感が漂っていますが、本作の呂布は割と人格者。

その「青剣」「倚天剣」は李全の命を受けた子龍が王允に献上することになりますが、「いっそこの手で董卓を」ということで董卓の屋敷に殴り込み、呂布と戦ったりしております。子龍もさすがに呂布には勝てないと思いきや、この前のお返しとばかりに仮面で顔を隠した高則に救出されます。

その後、歴史イベント反董卓連合軍の話が展開。関羽が華雄を斬り捨てるとか、劉備・関羽・張飛の三兄弟が呂布と互角に戦うといったお馴染みのエピソードが挿入されますが、その一方で子龍に武功を授けた三人の師匠があっさり華雄に殺害されてしまっています。このあたり、架空の武侠系キャラクターと原典の『三国』に登場する猛将とのパワーバランスは一体どうなっているのでしょうか……


関羽・張飛は「まあ大体こんな感じ?」というコスプレ状態ですが、劉備はなかなかのイケメン……というか、『新蕭十一郎』の主演厳屹寛が演じています。今年放映の『五鼠鬧東京』にも出演していますし、ちょっと仕事しすぎでしょう (^_^;)

子龍は柳慎や李全とともに地元常山郡で彼らの活躍ぶりを聞いているだけという状態。子龍が華々しい歴史イベントの世界に飛び立つ日はいつになるのでしょうか?そしてここで李全の娘の飛燕が地元虎牙山の山賊に攫われるという割とどうでもいいエピソードが…… ここでも柳慎が子供用の仮面をかぶって救出を試みていますが、このドラマの仮面へのこだわりは一体何なんでしょうか?
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2016年4月に読んだ本

2016年05月01日 | 読書メーター
戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)感想
第二次大戦中に兵士や看護婦として従軍したソ連の女性たちのインタビュー集。出征したことで戦後周囲の女性から白い目で見られた人、身体に障害を負った人、「戦地妻」として父親に認知されない子供を産み育てることになった人、それぞれの形の悲劇を伝える。日本や中国・台湾・韓国に関しても同様の試みが存在すれば、日中戦争や太平洋戦争に関して随分印象が変わっただろうと感じた。
読了日:4月4日 著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

「歴史とは何か」の歴史「歴史とは何か」の歴史感想
前半は単なる史学概論のテキストだが、読みどころは1970年代以降の関連書を紹介した第5章。史学史に関するブックガイドとして使うのが正しい読み方かもしれない。現在まで続々と関連書が刊行されているのを見ると、近代以降の日本人にとって「歴史とは何か」というのは永遠のテーマなのかもしれない。
読了日:4月5日 著者:楠家重敏

漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)感想
思う所あって再読。「漢字」と言いつつ、伝世文献や考古学の発掘の成果も引用しつつ中国古代の文化誌・民俗誌的な作りになっていたり、「サイ」(裁判の「裁」から「衣」を抜いた字)「蔑暦」といった出土文献特有の文字や語彙について、日中の学者による先行研究を参照しつつ説明したり、漢字単体だけではなく出土・伝世の各文献の読解を意識した作りになっているのが、他の字源本とは一線を画する特徴となっていると思った次第。
読了日:4月7日 著者:白川静

歴史を冒険するために―歴史と歴史学をめぐる講義歴史を冒険するために―歴史と歴史学をめぐる講義感想
史学概論(的な講義)の講義録。以前から史学概論に関する本はどうも内容につかみ所がなくて読みにくいなと思っていたが、本書のような取っつきやすい文体でも同じような感想を抱いたことからすると、史学概論自体が私にとってつかみ所のないテーマということになりそうだ… 本書で私自身の問題意識と最もマッチした話題は、第五回の現在とつながる過去と、現在とはつながらない異世界としての過去の話。
読了日:4月8日 著者:中谷功治

「文系学部廃止」の衝撃 (集英社新書)「文系学部廃止」の衝撃 (集英社新書)感想
先般の国立大学法人での文系学部解体のニュースを肴にした著者なりの大学改革論。そもそも国立大学の理系偏重は今に始まったことではないということ、文系学部における少人数のゼミ(演習)の重要性、人生で三回大学に入る社会をめざすべきといった著者の意見にはおおむね同意。特に卒業に必要な履修科目数を減らして、そのかわりに単位認定を厳格にし、学生にもっと濃密な学習を求めるという案には全面的に賛成。講師はともかく、学生の負担は今より増えることになるだろうが…
読了日:4月11日 著者:吉見俊哉

『論語』と孔子の生涯 (中公叢書)『論語』と孔子の生涯 (中公叢書)感想
皇侃の『論語義疏』を基礎とした割と珍しいアプローチの『論語』本。『論語』本も出尽くして、今後は注釈にこだわるのがトレンドになるのだろうか。しかし顔回と孔子の息子孔鯉、どちらが先に死んだのかといった本書の話題を見ていると、『論語』の内容もまだまだ突っ込めるところが残されているようだ。
読了日:4月13日 著者:影山輝國

わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史 (阪大リーブル013)わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史 (阪大リーブル013)感想
歴史教育に特化した史学概論本。前半が日本の歴史教育と歴史学研究の問題点について、後半が著者の専門とする東南アジア史の教育について。歴史用語の暗記にこだわる日本の歴史教育は、長文の暗記(論理の暗記もその中に含まれる)を求める中国・韓国の教育にかなわない、日本の文化は中世までは東南アジアの文化と類似していたが、江戸時代の「鎖国」によって東南アジア的な文化が失われたなど、本筋とは関わらない小ネタもなかなか読ませる。
読了日:4月15日 著者:桃木至朗

継体天皇 (人物叢書)継体天皇 (人物叢書)感想
中公新書の『蘇我氏』の前段的な内容として面白く読めた。継体の時代に氏姓制・部民制・大后制・日継制の端緒が形成されたことなど、この時代が古代史の画期となった点については納得。ただ、本書では継体が応神五世の孫であるという伝承については否定しているが、歴代の大王が中国の皇帝(漢の劉氏など)のように多く子孫を残したとすると、その程度の血縁の「宗室」など、当時掃いて捨てるほど存在したのではないだろうか。
読了日:4月17日 著者:篠川賢

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)
読了日:4月27日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)感想
やはり本物は違う。上下巻を通読してそう感じた。人は以前におこったことについては警戒できるが、以前におこったことのないこと、おこるはずのない(とされている)ことについてはどうだろうか?
読了日:4月30日 著者:ティムールヴェルメシュ

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