博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『流星蝴蝶剣』その2

2011年04月26日 | 武侠ドラマ
『流星蝴蝶剣』第7~12話まで見ました。

老伯暗殺を命じられた孟星魂は、行き倒れの武挙人に扮して孫府の幹部呉大用に拾われ、彼の経営する酒場「会賓楼」で店員として働くことに。そこで孫蝶と出会います。孫蝶は男児を出産後、律香川へのあてつけのために毎晩会賓楼で男性客と飲み明かしていたのでした。呉大用に重用され、老伯とも接触できるようになった孟星魂ですが、そこへ功名に焦った何方が老伯を暗殺しようと孫府に侵入し、捕らえられるというアクシデントが発生。

何方の正体を計りそこねる老伯は、わざと彼を逃がして黒幕を探ろうとしますが、その意図を察した高老大は敢えて何方が孫府の追っ手に再度捕らえられるよう画策。このドラマでも「汚い!さすが!」を連発しなければいかんのでしょうか…… で、孟星魂の方もこの件から足が付くのを恐れ、十二飛鵬幇の刺客に殺されたふりをして一旦身を引きます

一方、孫蝶は律香川に暴行されたことを兄の孫剣(すなわち老伯の息子)に訴えますが、そこで律香川に子種が無いことが発覚。では自分が生んだ男児は誰の子なのかと恐慌に陥ります。(葉翔に抱かれたことは記憶にない模様。)それで律香川は赤子が自分の子ではないと断言し、老伯もそれを信じたのですな。しかし律香川が不能になった原因を作ったのは孫剣ということですが、一体何をしたんだ…… 

妹の告白により律香川を疑うようになった孫剣ですが、その彼も孫府と十二飛鵬幇との抗争の犠牲となった鉄兄弟の埋葬で十二飛鵬幇の幹部たちをおびき出すはずが、逆に返り討ちに遭って死亡。孫剣の陽動作戦が事前に十二飛鵬幇側に漏れていたことで、老伯は身内に裏切り者がいると察知します。

孟星魂の方は再び老伯暗殺の機会を狙いますが、そこでうっかり孫蝶に見つかり、「あれ?陳志明!?死んだはずじゃ……」と不審がられる始末。(会賓楼でそういう偽名を使って働いていたのです)しかし「オレは陳志明と瓜二つだが別人だ。ヤツの親友なんだ」という孟星魂の言い訳を素直に信じる孫蝶もどうかと思いますが……

そして孟星魂は北方から戻って来た四大殺手の最後の一人石群とともに何方を救い出しますが、この何方、孫府で監禁されている間にすっかり気が触れてしまっておりました。「もしもの時はこれを飲んで」と高老大から渡されていた薬を飲んでそうなったということですが、本格的に「えっ、なにそれこわい」な展開になってきましたね。当然の如く、高老大への不信感が増していく孟星魂。

そして老伯殺害の露払いとして、孫府最強の刺客韓棠を先に始末することになりますが、孟星魂が刃を交えようとした矢先に、同じく韓棠を始末しにやって来た十二飛鵬幇の幹部連が乱入し……

ということで武侠アクションを期待して見始めたはずが、すっかり武侠昼メロと化してますね。シナリオ自体の出来は良いのに力の入れ所が間違ってるような気が……って、『水滸伝』でも同じ事を言ってましたね(^^;) 今回出て来た孫剣殺害シーンのようにアクションの出来は割と良いのですが、いかんせんアクション・シーンの数が少ないのが残念。
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『ネット大国中国』

2011年04月25日 | 中国学書籍
遠藤誉『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』(岩波新書、2011年4月)

中国でのネットをめぐる状況を扱った本ということで、「08憲章」から「中国茉莉花革命」まで近年の主要事項は一通り押さえています。しかし「河蟹」とか「五毛党」といったネット用語が頻出する割には全体的にお上品な論調なのは、著者が年配(遠藤氏は1941年中国長春(!)生まれ)だからでしょうか、それとも岩波新書というパッケージのなせる業でしょうか(^^;)

ネットでの言論を担う「80後」「90後」(それぞれ1980年代・90年代生まれの世代)は良くも悪くも権利意識が強い現代っ子で、政府を転覆させようとは思ってないが、政府に服従しようとも思っていないという状況。著者から近年の反日デモがいわゆる官制デモではないかと問われた政府高官が「そもそも最近の若者が政府の言うことを聞くと思いますか。もし素直に政府のヤラセに応じるようなら、中国政府は苦労しません」というコメントを発したというくだりには笑ってしまいましたが。

それに対して当局側もさるもの。胡錦濤に至っては国家主席になる前の2000年からネットの力と危険性を見抜き、ネット統制の下準備を進めていたとのことですから、やはりこの方面にぬるかった北アフリカや中東の指導者とは訳が違いますね。本書を読んでいると、当局と網民たちとの戦いは一方がもう一方を圧倒するという形で結末を迎えることはないように思えてきますが……
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『プリンセス・トヨトミ』

2011年04月22日 | 小説
万城目学『プリンセス・トヨトミ』(文春文庫、2011年4月)

会計調査院の調査官松平・旭ゲーンズブール・鳥居の3人は出張で大阪へと赴くが、社団法人OJOの調査がきっかけで「大阪国」の存在を知ることとなる。大阪国に秘められた400年の歴史とは?真の大阪城とは?OJOへの巨額の補助金の用途とは?謎のスパコンに託された使命とは?大阪国が守るべき「王女」の正体とは?そして大阪国が存亡の危機に立たされた時、大阪の機能が全停止する……

万城目氏はこれまで『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』などで、京都や奈良といった関西の各地域を舞台に「んなアホな」と思わずツッコミたくなるような話を書いてきたわけですが、今回の作品は「んなアホな」の内容がこれまでの作品と比べて真に迫っているというか、現実味があるというか、うっかり大阪人なら誰でもするような妄想、もとい夢と希望を直撃してしまったというか……

大阪人なら誰でも持つような夢や希望というのは、要するに大阪の日本国からの独立ですね。橋下知事の大阪都構想などという、冷静に考えたらアホみたいな話が大まじめに議論されるのも、大阪人が潜在的にこういう願望を持っているからではないかと思うのですが、ともあれ活字媒体でこのテーマに真正面から取り組んだ万城目学はとても偉いと思います。

この大阪国の異様さに比べたら、主人公の真田大輔君(中二男子)が性自認の不一致に悩んでセーラー服で学校に行こうとすることなど、大変ささいな問題に思えてきます。何で主人公にこんな設定を……とも思いましたが、あるいはこれが狙いだったのでしょうか?
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『流星蝴蝶剣』その1

2011年04月21日 | 武侠ドラマ
なかなか出来が良いらしいということで、古龍原作武侠ドラマ『流星蝴蝶剣』に手を出してみることに。今回は第1~6話まで見ました。

「老伯」こと孫玉伯率いる孫府と、「万鵬王」こと趙瑋率いる十二飛鵬幇が熾烈な覇権争いを繰り広げる中、その二大勢力の緩衝地帯に位置しているのが快活林。しかしその快活林、実は十二飛鵬幇の動静を諜報するために老伯が作らせたものでありました。「高老大」こと高寄萍は女主人として快活林に君臨していましたが、彼女が最近妙な動きをしているということで、老伯は快活林の主人の座を孫府の若き総管・律香川に交替させることを決定。その決定にブチ切れた高老大は自らが擁する「四大殺手」のナンバー1葉翔に老伯暗殺を命じます。

しかし孫府に忍び込んだ葉翔は老伯の娘である孫蝶に惚れてしまい、彼女のストーキングに精を出す始末。葉翔の潜伏に気付いた律香川は、葉とともに孫府を出ようとする孫蝶を思い止まらせるためと称し、彼女に「合歓散」(武侠物によく出て来る春薬ですね(^^;))を飲ませて自らの欲望を遂げますが、葉翔もまた彼女の異変に気付き、「合歓散」の効力を打ち消すために彼女を抱きます。

その後、妊娠が発覚した孫蝶は父親に律香川の悪行を訴えますが、老伯は彼女の言い分を信じず、孫府から追い出してしまいます。一方、葉翔は孫蝶との一件以来殺しの仕事が手に付かなくなってしまい、酒浸りのすえ相も変わらず彼女のストーキング行為に励む始末。駄目だこいつ、早く何とかしないと……(-_-;)

高老大はと言えば、十二飛鵬幇の幹部である屠城と結託して老伯お気に入りの愛人を殺させたりして意趣返しをし、老伯から快活林の女主人の座を勝ち取りますが、その後も武林の手練れをけしかけて孫府の関係者を襲撃させたりと、色々裏工作に励んでおります…… 「四大殺手」のナンバー2孟星魂はそんな高老大に愛想を尽かし、快活林を出たいと訴えますが、彼女は脱退の条件として老伯の暗殺を命じ……

ということで、しょっぱなからドロドロです(^^;) 主人公は孟星魂……のはずですが、序盤ではほとんど見せ場がありませんね。ここまで「四大殺手」のうち葉翔・孟星魂・何方の3人が登場し、最後の1人石群は北方に出張して殺しの仕事に励んでいるようです。彼ら4人は元々戦災孤児で幼い頃に高老大に拾われたという設定ですが、このうち孟星魂は高老大に懐疑的。何方はクソ生意気な性格ですが、高老大を女神のように崇拝。葉翔はこの2人の中間……だったはずが、上に書いたような事情で今や殺し屋としては廃人同然という有様。3人ともイケメン俳優がキャステイングされているのですが、三者三様で物凄いだめんずに見えて仕方ありません……
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『水滸伝』その14(完)

2011年04月17日 | 中国古典小説ドラマ
『水滸伝』第81~最終86話まで見ました。

方岩山にて梁山泊軍の行く手を阻む「瓊矢鏃」瓊英。このドラマでは後周の太祖郭威の後裔で、朝廷から郡主に封じられているという設定になっております。同じ暗器使いの誼で「没羽箭」張清と恋仲になりますが、張清さん、事態を打開するために瓊英と結婚して軍を離れるふりをして、方岩山の内側から梁山泊軍に内応することに。汚い!さすが(以下ry ついでにこの瓊英戦の途中で林冲が公孫勝の説得であっさり戦列に復帰します。

色々あって瓊英も味方に加わり、蘇州、ついで方臘の本拠地杭州へと軍を進めますが、ここから王英・扈三娘夫婦を皮切りに好漢たちが続々と戦死。新婚ほやほやの瓊英もあっという間に未亡人となり、自身も夫の後を追うことに…… 

で、ラスボスの方臘は大方の予想通りカンフーマスターでした\(^o^)/ 単身で追い詰められてもなお張青・孫二娘を騙し討ちで葬り去り、最後は武松と壮絶な一騎打ちを繰り広げます。しかし陳龍演じる武松はおいしい所を取っていきますねえ……

多くの仲間を失いつつも使命を果たし、朝廷より論功行賞を受ける宋江たち。しかし高俅・蔡京・童貫ら四大悪人らの陰謀によりまず盧俊義が毒殺され、ついで宋江に徽宗皇帝からの褒賞と偽って毒酒が与えられます。毒酒と知りつつ杯を飲み干す宋江。そこへたまたま遊びにやって来た李逵も宋江と黄泉路をともにすべく、自ら毒杯を仰ぎます。そして夢によって宋江の死を悟った呉用は、宋江の墓前でかつての誓い通り花栄とともに縊死して果てたのでありました。最後まで何だかBLチックな雰囲気だったなあと……

【総括】

『三国』の件もあったのでハズレ作品だったらどうしようと不安を抱きつつ見始めたのですが、全86話通してアクション・シナリオとも高いクオリティを維持した作品に仕上がってました。特にシナリオ面では高島俊男『水滸伝の世界』(ちくま文庫)を読み返していて気付いたことが……

同書によると、元代の水滸戯では宋江が閻婆惜を殺した後、燭台を蹴飛ばして火事となり、役所を焼いてしまったという設定になっているそうです。それで今回のドラマでも宋江が閻婆惜を殺害した後、不注意から燭台を落として妾宅及び附近の建物を焼失させてしまうという展開になっており、当初はドラマオリジナルの展開だと思ってましたが、どうやら水滸戯での設定を踏まえたものだったようです。

更にもうひとつ。同書では潘金蓮について、小説中の作者のコメントでは彼女を悪女と決めつけていますが、よくよく注意して実際の人物描写を見てみると、下町の勝ち気で活発なおかみさんという感じで、決して終始一貫して淫奔な悪女として描かれているわけではないとしています。で、ドラマの方でも潘金蓮についてはもっぱらそのような描写がなされております。

これらの点から、今回の作品が研究書などを参照しつつ丁寧に脚本を練り込んで制作されたことが窺われます。つまり、このドラマは考証面では神レベルであるということになるわけですね。本作品の日本語版DVDリリース及びテレビ放映を待望するとともに、『三国』の方もこのぐらい丁寧な考証がされていれば……と思った次第です(´・ω・`)
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『詩経』と震災とスピッツと

2011年04月14日 | 雑記
Twitterの方でちょっと話題になっていたこともあり、ここんところずっとスピッツの「春の歌」を聞いていたのですが、歌詞を読めば読むほど今の日本の状況とシンクロしすぎてて怖いです…… (「春の歌」歌詞についてはこちらを参照)折良く(折悪しく?)春がテーマになっていることはもちろん、「実はまだ始まったとこだった」とか「『どうでもいいとか』 そんな言葉で汚れた心 今放て」といったフレーズが見事に今の状況に当てはまってるように思えて仕方がありません。

ただ実のところ、この楽曲が発表されたのが2005年の春ということなんで、本来は今回の震災とは全く関係のない歌であったわけなんですが……

しかしよくよく考えてみれば、元来詩や歌というのはそういうものだったのかもしれません。元々の詩のテーマから離れ、その時々の状況に合わせて違う文脈で解釈されるものであったと。要するに何が言いたいのかというと、『詩経』や『楚辞』の詩もそういうものであったのかもしれないということですね。先日読んだ「Herbs and Love songs」(『立命館文学』第619号)という論文がまさにその問題について論じていました。

だから『詩経』の詩なんてのは、その詩がその時々でどういう文脈で詠まれたのかが重要なのであって、その詩の本来の意味とかテーマを詮索することはさして意味のない行為かもしれないなあと思った次第です。
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『水滸伝』その13

2011年04月12日 | 中国古典小説ドラマ
『水滸伝』第75~80話まで見ました。

朝廷はいよいよ梁山泊の招安を決定し、使者を派遣しますが、阮兄弟や劉唐・魯智深・武松らは招安に不満で呉用に詰め寄ったりしております。使者がやって来てからも、阮兄弟が居丈高な李虞候らを水に沈めたり賜与品の酒を勝手に飲み干してしまったりとやりたい放題。おまけにその李虞候が自らが陥れられる原因となった高俅の宝刀を提げているのを見て、林冲の怒りと屈辱が甦ります。このドラマ、こういう演出が本当にうまいんだよな……

そして忠義堂で招安の勅書が読み上げられる段となり、天井の梁の裏に潜んでいた李逵が勅書の内容が威圧的なのにブチ切れて乱入し、勅書を引き裂いてしまって招安はまたもおじゃんに。……実はこれ、呉用の策略でした\(^o^)/ 呉用曰く「自分たちを貶めてまで無理に招安を受ける必要はない。俺たちがお安くないということを奴らに見せつけてやらないとな!」ということですが、汚い!さすが呉用さん、汚いw

朝廷は梁山泊討伐に童貫、ついで高俅を派遣しますが、それぞれ返り討ちに。高俅に至っては生け捕りにされてしまいますが、宋江は招安の仲介を条件に釈放を決定。それにブチ切れたのが高俅に恨み辛みのある林冲。高俅を誅殺しようとするも宋江に阻まれ、「妻の仇を討てないなら俺は最早林冲ではない。出来ることなら梁山泊に火を付けてやりたい」と憤懣をぶちまけます。そして前途に絶望した彼は魯智深らと別れの杯を交わして梁山泊を出奔。林冲さん……(´;ω;`)ぶわっ

その後燕青が再び李師師のもとに赴き、彼女に徽宗を説得してもらって再び招安の使者がやって来ることになりますが、この期に及んでも招安に反発する好漢たち。このドラマ、ほとんどの好漢が本音では招安など受けたくないのだということを執拗に描いてますね。しかし今回は恙なく勅書が読み上げられ、好漢たちは勅命で江南の方臘征伐に赴くことに。

それに先だって燕青が李師師に別れを告げに行きます。この頃になると李師師は燕青に好意を抱くようになっており、別れの印にと燕青と義姉弟の契りを交わすことにしますが、義姉弟というのは表向きで、彼女にとってそれは結婚の誓いに他ならないのでした。そしてそれを知りつつ誓いを交わす燕青。……燕青さん、あんた盧俊義一筋じゃなかったのかよ!(^^;)

で、第80話のラストで「瓊矢鏃」瓊英が登場。このドラマでは田虎・王慶戦をすっ飛ばしているので、彼女の出番はないものと諦めてましたが、方臘戦で登場してくれるとは……
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『水滸伝』その12

2011年04月08日 | 中国古典小説ドラマ
『水滸伝』第69~74話まで見ました。

宋江らが東昌府に駆けつけてみると、盧俊義らは飛石を操る「没羽箭」張清に苦戦を強いられておりました。これでは一向に埒があかないと見た宋江は、密かに燕青を東昌府に忍び込ませます。で、燕青は劉太守や視察に来た童貫の目の前で「張清は我ら梁山泊に投降した!」と宣言し、張清が本当に投降せざるを得ないところまで追い込むことに。汚い!さすが宋江さん、汚いw

この張清の推薦で「紫髯伯」皇甫端が仲間に加わったことで、いよいよ108人の好漢が勢揃い。時を同じくして公孫勝は石碣村で九天玄女の天書が納められた石棺と、108人の好漢の名前と序列を刻んだ石碑を発見。この石碑で宋江が序列第1位「天魁星」とされていたことで、やっとこさ新首領就任を承諾します。ここでOPの誓いのシーンがいよいよ……



……実はこの天書と石碑、呉用と公孫勝があらかじめ仕込んでおいたものでした\(^o^)/ 汚い!さすが呉用さん、汚いw でも108人の好漢が1人ずつアップで紹介されるシーンは感慨深くてなかなか良かったですね。「神機軍師」朱武や「混世魔王」樊瑞など、このシーンで初めて登場という人物が何人かいるのがナンですけど(^^;)

ここで宋江はいよいよ朝廷から招安を得るという大方針を全面に打ち出しますが、好漢たちは内心招安には不満な様子…… その不満に気付かないふりをしつつ、宋江は燕青や李逵らを従えて元宵節に湧く開封へと赴きます。目的は徽宗皇帝と接触することですが、その徽宗が妓女の李師師にご執心というとで、彼女に徽宗への橋渡しをつとめてもらうことに。



ということで安以軒演じる李師師が登場。時代劇というか武侠ドラマでお馴染みの女優さんですね。最近では『倚天屠龍記』で趙敏を演じてました。そこへうまい具合に微服私行してきた徽宗が登場し、接触には成功しましたが、タイミング悪く李逵が乱入して招安の話し合いは一旦おじゃんに……

その後は李逵と燕青が連れだって梁山泊に戻る2人旅の話が続きます。無事山東まで辿り着いたところで、腕自慢の任原が打擂台で宋江や盧俊義の偽物を仕立ててぶちのめす所に出くわすことに。これは梁山泊の好漢を誘き出して捕らえようとする官憲の罠だと悟りつつも、燕青は敢えて打擂台に登って任原に怒りの鉄拳をぶちかまし、官憲に追われることに……
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『水滸伝』その11

2011年04月04日 | 中国古典小説ドラマ
『水滸伝』第63~68話まで見ました。

梁山泊軍を分断して各個撃破したり、宋江自慢の戦車隊を1人で壊滅させたりと、物凄い無双っぷりを発揮する関勝さん。(下の画像参照)



もっとも、戦車隊とは言っても手押し車に鎗とか刃を取り付けただけのハリボテみたいなもんですが……

仕方がないので、梁山泊側は仲間になったばかりの呼延灼を偽って投降させて罠にかけ、関勝を捕らえることに成功。関勝ら三将や、ついでに「急先鋒」索超も仲間に加えて意気上がる梁山泊軍ですが、ここで突然宋江が腫れ物によって昏倒。これを治せるのは「神医」安道全しかいない!ということで張順が彼の住む建康府へ。

しかし安道全が妓女の李巧奴にお熱と知るや彼女を始末したりと、相変わらずやることが荒っぽい……(-_-;) 建康では張順に李巧奴殺害の濡れ衣を着せられ、宋江を診察したらしたで、「治療したのにどうして兄貴はまだ良くならないんだっ!」と王英・張順に責め立てられと、安道全先生、踏んだり蹴ったりです……

宋江が快癒した後は、いよいよ北京大名府へと侵攻して盧俊義らを救出。燕青に引っ立てられて来た李固と妻の賈氏をぶった斬り、梁山泊入りすることに。新たな仲間を迎えて酒盛りに忙しい梁山泊ですが、そこへ再び曾頭市との遺恨が発生し、晁蓋の復讐戦に突入。曾頭市の師範代である史文恭と盧俊義(と林冲・魯智深)とが兄弟弟子であったことは前に触れた通りですが、ここで史文恭が悪逆非道の行いにより破門されていたことが判明します。盧俊義は自ら門戸を清理すべく出陣を決意。まさかこのドラマで「清理門戸」という言葉を耳にすることになるとは……

そして盧俊義は激烈なバトルの末、史文恭を討ち取ります。ここで「史文恭を討ち取った者を梁山泊の次の首領にする」という晁蓋の遺言が問題となります。遺言を無視して宋江を首領にという声が大勢を占めるものの、宋江は原則論を楯に盧俊義を首領に推します。ならばということで、宋江が東平府、盧俊義が東昌府を攻め、先に攻め落とした方が首領に就任するという取り決めがなされます。

東平府攻めの際にいつの間にか仲間に加わっていた史進が馴染みの妓女李瑞蘭を頼って東平府に潜入しますが、李瑞蘭お付きの婆に官府に密告されて捕らえられと、何とも冴えません。史進も楊志と同様、このドラマでは割を食ってるキャラですね。

この東平府を守るのは、勇将として知られる「双槍将」董平ですが、このドラマでは東平府の太守程万里が実は董平の両親の仇で、彼自身はそれを知らずに程万里を親代わりとして慕っているという設定。事実を知った董平は梁山泊入りを決意し、逆に東平府を攻撃しますが、この時に恋人だった程万里の娘の婉児も自害。原典では董平が彼女を強奪して添い遂げることになってましたが……
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『大笑江湖』/『趙氏孤児』

2011年04月03日 | 映画
『大笑江湖』

大陸で人気のお笑い芸人小瀋陽主演の武侠パロディ。小瀋陽の師匠趙本山もついでに出演してます。

主役の呉迪は武侠漫画の世界に憧れつつ、街頭で靴の補修に励む毎日を送っていたところ、賞金稼ぎの月露と出会います。実は彼女、時の皇帝の婚約者なのですが、宮廷での窮屈な暮らしを嫌って江湖を漫遊していたのでありました。呉迪は彼女と武林大会に向かうことになりますが……

ということで、金庸作品はもちろん『スターウォーズ』『グリーンデスティニー』などのパロディが詰め込まれたお笑い作品に仕上がってますが、前に見た『越光宝盒』あたりと比べると、もうひとつハジケっぶりが足りないなあと…… あと、セリフが訛ってるキャラが多いなど作風に何だか既視感があるなあと思ったら、脚本家が『武林外伝』の寧財神でした。

『趙氏孤児』

陳凱歌監督で、葛優主演、范氷氷(肩は出してません)・趙文卓・張豊毅・黄暁明が脇を固めと、キャスティングが何気に豪華な作品です。春秋時代、晋の国で重臣の趙氏一族が屠岸賈の陰謀により誅殺され、医師の程嬰が趙氏唯一の生き残りの赤子趙勃を密かに養育することになり……という話で、基本的な展開は同名の元曲・京劇に基づいています。

重厚な歴史劇……と思いきや、前半で黄暁明演じる韓厥が程嬰から趙勃の入った籠を奪い取った後に、足を滑らせてその籠を放り投げるシーンにワロタw 一応確認しておきますけど、『PROMISE』みたいなお笑い大作じゃないんですよね?(^^;)

で、後半部では趙勃が父の仇の屠岸賈の義子となりますが、程嬰の思惑を超えて屠岸賈は趙勃を実の子のようにかわいがり、趙勃もそんな屠岸賈を慕うようになっていきます。この展開自体はとても良いと思うのですが、互いが互いの身の上を知った後の葛藤をもっと丁寧に描いてほしかったなあと。
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