博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『琅琊榜之風起長林』その1

2018年01月29日 | 中華時代劇
『琅琊榜』続編『琅琊榜之風起長林』を見始めました。今回は第1~4話まで鑑賞。

舞台は前作から数十年後の大梁国。皇帝は代替わりして前作では幼な子だった靖王の息子が継承しています。


そして前作では少年だった庭生(靖王の長兄祁王の遺児)が長林王となり、軍の重鎮として梁帝を支えています。しかし血筋と勲功により群臣からは警戒されている模様。演じているのは『趙氏孤児案』の屠岸賈役でお馴染み孫淳です。


その庭生の長男が黄暁明演じる蕭平章。大渝との戦いのため北境に出征しますが、来るはずの軍需物資運搬船が途中で沈没し、敵軍の猛攻撃により瀕死の重傷を負い、休演に駆けつけた父王に助け出されます。


こちらは庭生の次男蕭平旌。琅琊閣の藺晨のもとで修業していましたが、軍需物資運搬船の沈没は何らかの陰謀によるものではないかということで、医術に優れた少女林奚とともに船が沈没した大同府へと調査に赴きます。彼女は昔庭生とともに掖庭で労役に服していた少年の遺児で、父親同士で平旌と結婚させようと約束していた模様。庭生はともに労役に服していた少年二人と義兄弟になっていたという設定のようですね。

軍需物資運搬船の沈没は、長林王府の勢力を削ぐために、重臣の宋浮が弟子にあたる大同府の張府尹に指示してやらせたようで、宋浮から張府尹のもとに派遣されたらしい秦師爺があれこれと取り仕切っています。その秦師爺の正体は……琅琊榜排名第四位の使い手段桐舟なのでありました!ということで今作ものっけから割と武侠っぽい展開になっています (^_^;)

今回は平旌が林奚や従兄弟にあたる蕭元啓(梁帝の甥)とともに、口封じされそうになった張府尹を保護するあたりまで。

庭生・藺晨ら前作のキャラクターが登場するほか、さりげない役柄で前作の役者さんが出演したりと、前作のファンが楽しめる要素が盛り込まれています。早くも3月からの日本放映が決定した本作ですが、内容の方は今のところはぼちぼちですね。
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『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』その8(完) そして歴史は繰り返す…

2018年01月25日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』第41~最終44話まで見ました。

丞相の地位に昇った司馬懿ですが、淮南で太尉の王淩らが楚王曹彪を擁立して反乱をおこすと、自ら鎮圧に出向きます。で、あっさり王淩らが降伏し、司馬懿は自ら出頭してきた王淩を寛大に赦免するそぶりを見せますが、その実王淩らを許すつもりはありませんでした。その意を悟った王淩は司馬懿の放った兵士たちに棺桶を求め、司馬懿は更にその三族誅殺を命じます。

遠征に帯同した柏霊筠がこの措置に異を唱えると、「国法でそう決まってるからしかたない」と、どこぞの政治家のように都合良い時だけ国法を持ち出します。その不誠実な態度に彼女は「あなたも曹操と一緒じゃないの!」と罵り、軍船から下りて一人洛陽に戻ろうとしますが、帰路に王淩派の刺客に襲撃され、敢えて逃げようともせず火矢で燃えさかる馬車の中での死を選びます。

その頃、司馬懿の留守中の洛陽では曹芳の密勅を得た夏侯玄らが司馬氏排除の動きを見せますが、あっさり露見して投獄。司馬師はなおも義兄夏侯玄の翻意を信じて牢獄を訪ねますが、隠し持っていた棒のようなもので片目を突き刺されてしまいます。そして司馬師・司馬昭兄弟のもとで夏侯玄らが謀反人として処刑されることに…… 司馬懿の帰還後、兄一家の振るまいに心を痛めた司馬孚が柏霊筠と同じく「今の兄上は曹操と一緒ですな」という言葉を残して袂を分かちます。

唯一司馬家の執事の侯吉だけは変わらず「公子、実は私、柏夫人の侍女の小沅ちゃんと結婚したいんです///」などと脳天気に打ち明けますが、その頃司馬昭と司馬倫は夏侯徽殺害の秘密を察知したかもしれない小沅を殺害しようと密談していたのでありました…… そして侯吉が瀕死の彼女を発見し、犯人は司馬昭であると知ることに……


冷笑系を通り越して冷酷系となった司馬昭。父親から小沅殺害に加えて、司馬懿と曹爽との離間、夏侯玄の処刑、夏侯徽の殺害など、これまでの所業を問い詰められます。


愛妻の死が弟の手によるものだったと知り、血涙を流す司馬師。ちなみに夏侯玄を処刑する際にはもう片方の目で血涙を流してました。そして司馬師の決断は……弟を許す。えぇ……(´Д`;)

その後司馬懿は、小沅の死に納得していない侯吉の求めに応じて、位牌を置いての二人の結婚式を取りもってやります。そして長年連れ添ったペットの亀を川に放しに行くのでした。亀の名は「心猿意馬」。日本語では「意馬心猿」の方が馴染み深いかもしれません煩悩や妄念によって心が乱れるさまを指しますが、この亀が司馬懿の煩悩・妄念の象徴ということなんでしょう。それを自ら手放した彼は……

【総括】
実は亀を放す前に侯吉がこの亀を殺したかどうかでひと悶着あるのですが、最終回になってもしょーもないことでドタバタするあたりは却ってこのドラマらしいなとw(このレビューでは飛ばしてますが、この作品、実は各所に細かいお笑いシーンを挿入してます)

司馬師・司馬昭兄弟による続編を何となく見たいような気もしますが、これまでの展開で司馬昭・司馬倫・鍾会が本作の曹操や曹叡のような存在になるであろうこと、また司馬昭とその子の司馬炎・司馬攸の関係が曹操と曹丕・曹植の関係をトレースして毒親とアダルトチルドレンの関係になるであろうことが透けて見えるようになっているあたり、なかなかうまいと思います。そして司馬家による晋王朝も魏王朝と同じような暗い雰囲気に包まれつつ破綻を迎えることになるのでしょう……

蜀討伐などその後の状況については作中に挿入されるCMでちょっとだけフォローしています (^_^;)

蜀滅亡後の劉禅。お元気そうで何よりですw
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『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』その7

2018年01月21日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』第37~40話まで見ました。

妻張春華の死の衝撃で寝たきりとなり、かつ耄碌が進む司馬懿。一方、曹爽は何晏に乗せられてその気になり、天子の地位を窺うようになります。その際に「かつて文帝(曹丕)だって同じことをした。ましてや今回は曹家の内で皇位が移るだけではないか」という理屈が使われるのですが、曹操・曹丕・曹叡の三代にわたるアレっぷりを思い出すと、宗親権臣にいいようにされようとする魏王朝に対する同情が湧いてこないのがヤバいですね……

で、老化が進んでいるうえにかつてのシンパにも見放されて司馬懿にはもう何の力もないと油断した曹爽は曹芳とともに曹叡の高平陵へと参拝に赴きますが、もちろん司馬懿の耄碌は単なる仮病でした。


ということで「ワシはこれまで他人の懐刀として生きてきたが、これらはワシ自身がその刀の主人になるのだ」と息子や配下の者たちに号令をかけ、郭太后と曹爽の留守居役である何晏の身柄、そして武器庫を押さえて一気に洛陽を占拠する司馬懿。汲布は私兵の存在を隠しおおせた上に三百人から三千人への増員に成功したようですw 

しかしこの司馬氏の私兵、統一されたユニフォーム、覆面、司馬氏に対する鉄の忠誠心と、どうもイスラム国とかその手の集団の戦闘員をモデルにしているような気がするんですが、彼らは宗教的な信仰を背景にしているわけでもなく、どういうインセンティブで司馬氏に鉄の忠誠を誓ってるんでしょうか。彼らを仕込んだ汲布が洗脳とかヤクとか、その手のヤバい手段を駆使しているのではないかという疑惑が……

現地で事態を知った曹爽ですが、洛陽に残した妻子を思うと戦いどころではなく、将兵や曹芳も同様にそれぞれ残された家族を気にして動揺するばかり。曹爽は「兵権を奪うだけで爵位や宗親としての待遇はそのまま、家族も返す」という司馬懿の言葉を信じて降伏。

しかし司馬昭と鍾会は曹爽一派をこのままで済ませるつもりはなく、何晏を廷尉に任じて曹爽に帝位簒奪の意図があったと、曹爽一派とその家族の弾劾を行わせます。そしてこれで自分の身だけは助かると思っていた何晏も、司馬昭の「これで全部か?まだ一人残ってるんじゃないか?(ニヤニヤ 」という言葉で彼らの意図に気付きます。

結局曹爽はもちろんその三歳の子までもが謀反の罪により刑場に引き立てられることになり、司馬懿もそれを黙認。司馬懿から曹爽とその家族の命は奪わないという言質を取って降伏の仲介をした太尉の蒋済や、やはり三歳の子を処刑というところに反応した柏霊筠など、心ある人々が次第に司馬懿に反発するようになりますが、どうやら司馬懿は張春華が死んだあたりで闇落ちしていたようです……

そして父親に輪を掛けてアレな司馬昭の態度に、魏王朝もクソだが来たるべき晋王朝もおそらくクソという未来予想図を暗示させるこのドラマは本当に素晴らしいですね(白目
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『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』その6

2018年01月16日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』第31~36話まで見ました。

太傅となって長安防衛以外の兵権を手放さざるを得なくなった司馬懿ですが、実はこれに備えて山里で私兵を養っておりました。臣下が私兵を養うのは謀反の意志があるということで御法度のようで、私兵の徴収と練兵は司馬懿と司馬師、そして汲布の三人だけで秘密裏に進められますが、当然秘密が漏れない道理がないわけで、曹爽や何晏の察知するところとなります。

曹爽は司馬懿を呉軍に包囲された樊城の救援に追いやる一方で、自らの蜀討伐に司馬昭を帯同。司馬師は弟の護衛のために30名の私兵をつけてやりますが、実はこの蜀遠征事態が司馬氏の私兵の存在をあぶり出す罠なのでした。で、蜀軍の急襲と見せかけて手兵に司馬昭を襲撃させ、尻尾をつかもうとしますが、事態を察知した司馬昭は護衛として引き連れてきた私兵を全員処刑させます。しかし司馬昭の護衛が不自然に強いというので、曹爽は私兵の存在を確信。目的は果たしたということで蜀とろくすっぽ矛を交えないまま帰還します。

一方、司馬師の妻で曹爽の従妹にあたる夏侯徽は両者の対立に心を痛めますが、うっかり司馬氏の私兵の存在に気付いてしまいます。そしてそれを察知した司馬倫(司馬懿と柏霊筠との間に生まれた子)は兄嫁を密かに監禁。次兄司馬昭にその処置を委ねます。この司馬昭、実は昔から兄嫁を密かに恋慕していたという設定で(史実通り王元姫と結婚して子供も何人か産まれているのですが)、「昔から好きだった。私と誰も知らない所に逃げて一緒に暮らそう」と彼女に下心をぶちまけますが、さっくり拒否されてしまい、逆上して彼女を絞殺。

そして夏侯徽の遺体が発見されて司馬府へと運ばれると、早速曹爽が駆けつけて「私兵はやはり存在した!従妹はそれを目撃して口封じされたに違いない!謀反だ!」と騒ぎ出します。彼女が司馬師の装飾品を握りしめていたことで彼が下手人と疑われ、曹爽に連行されて拷問を受けることに。そのショックで張春華が昏倒。実は彼女は前々から病気を抱えていたらしく、司馬懿は医師から彼女は余命幾ばくも無いと宣告されてしまいます

騒ぎの中、柏霊筠は司馬倫が事件に関わっているに違いないと確信し、息子の裏の顔に気付いてしまいます。家庭環境から精神を病んだ曹叡とは違って司馬倫の場合はそういう外的な条件がないだけに、余計に闇の深さを感じますね……

司馬懿は妻が亡くなる前に何とか司馬師の身柄を取り戻して再会させようと、曹爽に見返りとして長安の兵権を差し出したり、亡き曹真の遺品に叩頭したりしますが、司馬師が母親の枕頭に駆けつけた頃には既に息を引き取っていたのでした…… ということで今回かなり無茶な展開がダマになってぶち込まれております (^_^;)
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『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』その5

2018年01月10日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』第25~30話まで見ました。

郭太后の死にショックを受けて長年司馬懿とともに「新政」を推進してきた盟友陳群が病没。曹叡の昏君っぷりに司馬懿の心がどんどん冷めていきます。曹叡はそんな司馬懿に「借刀殺人」とばかりに遼東の公孫淵征伐を命じますが、あっさり数ヶ月で勝利。かつ自分に判断を仰がず独断で公孫淵とその家族を処刑したことに衝撃を受けて昏倒。公孫淵征伐は台詞だけで済まされてしまっています。さすがにもう戦争の場面をやる予算が残っていないということなんでしょうね……

曹叡が危篤状態ということで、まだ幼少の太子曹芳の輔佐役をめぐって宗親諸臣のさや当てが始まります。焦点となるのは、曹操の末子の燕王曹宇と曹真の子の曹爽のどちらが大将軍の地位を得て政権首班となるかです。

重病で伏せって判断力が弱っているのに、曹宇・曹爽とその一派が押しかけて大将軍の地位をめぐってたびたび押しかけ、決定が覆るたびに反対派が押しかけ、体力がどんどん消耗していく曹叡。曹爽派の劉放と孫資に至っては、意識を失いかけた曹叡に筆を持たせてムリヤリ詔書を書かせ、いよいよ本当にダメとなると「陛下、せめて御璽を!」と言い放ちます。まあこれまでの曹叡の言動を思い出すと、かわいそうと思う前にm9(^Д^)と思ってしまうんですけどね…… 結局曹宇が退けられ、曹爽が大将軍となり、司馬懿が太尉として補佐とするという体制が採用されます。


すべての決定がなされた後、曹叡が司馬懿に「朕は幼い頃そなたに母上のもとから背負われてきて皇帝となったのだから、もう一度朕を背負って母上のもとに戻しておくれ」と頼み、そのまま司馬懿の背で亡くなる場面。曹叡が没すると、その腹心として方々の恨みを買っていたの宦官辟邪も処刑されることになり、文字通り身ぐるみ剥がされて投獄されますが、司馬懿は「今まで我らに尊大だったのはお主ではなく亡き陛下の意志だったのだろう」と、彼に衣服を与えてやさしさを見せます。何だか曹叡を暗にdisっているような台詞ですが……


最初は親の世代にあたる司馬懿を立てていたのが、段々司馬懿を排除して政権・兵権を独占したいと本音が隠せなくなる曹爽。


こちらは盟友曹爽のために暗躍する何晏。演じているのは女優の閻汶宣。声は男性の声優があてています。

曹爽は曹叡の側妾だった蒹葭を自分の妾としたうえ、彼女の求めに応じて曹叡秘蔵の宝物を勝手に我が物とし、更には宮中の宦官も配下に収めて我が物顔。蒹葭曰く「先帝はあんまり女色を好まれなかった」ということなので、そういうことなんでしょう…… 一応作中でも亡くなった公主や皇子がいたという設定にはなってますが。

そして曹爽が司馬懿を太傅に格上げして兵権を奪おうと画策するあたりで次回へ。太傅の任命を告げる使者丁謐に対して「いやいや、大将軍の曹爽より上に立つわけには……」とか「それでは三度辞退したうえで就任を」とか、あらんかぎりの言い訳を駆使するのを見ると、司馬懿は順調に食えない爺に成長しているようです (結局は太傅の職を受けざるを得なくなるのですが)今回曹芳の生母なる人物が登場するのですが、作中では彼女が任城王の妾という設定になっているので、曹芳=曹彰の孫という説を採用しているようですね。
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『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』その4

2018年01月04日 | 中国歴史ドラマ
『大軍師司馬懿之虎嘯龍吟』第19~24話まで見ました。

孔明との戦いを避け、ひたすら好機を待つ司馬懿。しかし次男の司馬昭は孔明の流した偽情報に引っかかり、独断で孔明が陣取るという上方谷へと出兵。そしてそれを知った司馬懿は長男の司馬師とともに救援に駆けつけ、孔明は司馬父子三人揃ったところで火計を仕掛けますが、そこへ恵みの雨が……


ということで第一部『軍師聯盟』配信の時点でアナウンスされていたこのカットがきました!とにかくこの機に司馬懿を葬ろうと馬岱が放った矢がその胸に命中しますが……懐にペットの亀が入っていたので助かりました!ってそんなのアリですかwww


上方谷の敗戦が良い教訓となったろうということで、これ以来蜀側とますます応戦しようとしなくなった司馬懿に、孔明は婦人服を贈って挑発しようとしますが、司馬懿はその婦人服を着用して渭水の川辺まで外出。対陣の蜀軍に向かって『出師表』を暗誦させます。このドラマ女装とか男装が好きなんですよね…… そして夫や息子たちが心配で前線に駆けつけた張春華が夫の寝床からこの婦人服を目ざとく発見し、「どこに女を隠している?また皇帝に美女を贈られたのか!?」と難詰し、司馬懿がこの服を着用して見せて「こんなデカい女がおるか!」と応酬する一幕も (^_^;)


そしていつぞやの空城の計の時と同様、司馬懿と孔明の異次元空間対話第二弾きましたw 「攻撃は最大の防禦。北伐を敢行しなければ蜀は滅んでしまう」と主張する孔明に対し、司馬懿は「北伐によって多くの兵士の命が失われている。あなたはそれでいいと思っているのか」と反駁。まあ今回は司馬懿の夢だったというオチなんですけどねw

蜀軍が撤退を始めているという情報を察知すると、孔明が死んだのではないかということで追い討ちをかけようとする司馬懿ですが、死んだはずの孔明の姿を目にして「罠だ!」と撤退。「死せる孔明、生ける仲達を走らす」となるわけですが、このドラマでは、実は孔明が既に死んでいるとわかっていて敢えて撤退したという設定。その理由は作中では語られませんが、「鳥尽きて弓蔵せらる」的な発想で、自分の保身のために蜀軍を追い詰めず、その軍事力を温存させておいた方がいいと判断したということかなと。

司馬懿は戦地からそのまま曹叡に兵権を返し、司馬昭とともに長安へと隠居。かたや曹叡の方は、孔明が死んでもう怖いものなしということで、飢餓をよそに民に土木工事を強い、「朕の愛娘が死んだのは郭照が呪ったせいに違いない」と、またぞろ郭太后を亡き者にしようとする始末…… このドラマの曹叡、誰がどう見ても暴君ですね。本当にありがとうございました\(^o^)/

で、巫蠱の術で曹叡の幼い娘を呪い殺したということで彼女に死を賜り、郭照の方も「もう疲れた。曹丕のもとに行きたい」と、長安から駆けつけた司馬懿の弁護も空しく、若き日の曹丕との駆け落ちを思い出しながら死んでいきます。

ということでちょうど折り返し地点で北伐編が終わり、「鳥尽きて弓蔵せらる」編が開始です……
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2017年12月に読んだ本

2018年01月01日 | 読書メーター
木簡学入門 (講談社学術文庫 (649))木簡学入門 (講談社学術文庫 (649))感想
居延漢簡などの簡牘学の成果を確認しようと読み直してみたところ、意外に木簡だけでなく執筆当時の新出竹簡である銀雀山漢簡や睡虎地秦簡にも目配りしているのに目が行く。鳳凰山一六八号墓出土の竹牘、いわゆる「告知状」と呼ばれているものと、居延漢簡の関連の書式との対比なども面白い。
読了日:12月01日 著者:大庭 脩

歴史の勉強法 確かな教養を手に入れる (PHP新書)歴史の勉強法 確かな教養を手に入れる (PHP新書)感想
最初に大学の史学科ではどういうカリキュラムで学習・研究を進めていくのかという説明があり、高校までの歴史の授業と大学での専門的な研究の違いがわかるようになっている。この部分だけでも読まれる価値がある。あとは某社会学者の歴史に関する対談のどこがおかしいのかというツッコミも読みどころ。
読了日:12月03日 著者:山本 博文

島津四兄弟の九州統一戦 (星海社新書)島津四兄弟の九州統一戦 (星海社新書)感想
九州統一のために兄弟四人手を取り合って邁進したというイメージが何となく持たれている島津義久・義弘・歳久・家久。しかしその実態は、長兄の太守義久の統治権が弱く、他の兄弟三人がそれぞれの思惑で動いており、島津家は彼ら近親や一門、老中らによる「談合」で動いていたというのが見えてくる。彼らの姿が「中世」のあり方を思わせるとともに、島津家が秀吉に屈服するさまが中世と近世への移り変わりを思わせる。義久と義弘の関係は足利尊氏・直義の関係と比較すると面白いかも。
読了日:12月03日 著者:新名 一仁,宮下 英樹

中国古代化学 新しい技術やものの発明がいかに時代をつくったのか中国古代化学 新しい技術やものの発明がいかに時代をつくったのか感想
王朝時代の中国の化学に関する事項を、冶金・丹薬・製塩・製糖・醸造・染料と幅廣く取り上げており、その概要を把握するには手頃な内容。ただ自然科学方面の研究者が翻訳に当たり、人文系の中国学研究者が関与していないということで、翻訳の不備が目立つのが残念。たとえばタイトルの『中国古代化学』は原書の書名を踏襲したものだが、中国の古代とは広くアヘン戦争以前の時代を指す。実際本書の内容は明清にも及んでおり、『中国化学史』あたりが適切な訳題だったのではないかと思う。
読了日:12月07日 著者:

死刑 その哲学的考察 (ちくま新書 1281)死刑 その哲学的考察 (ちくま新書 1281)感想
死刑廃止論の是非について、哲学あるいは道徳論から考える。池田小学校事件の犯人のように死刑になりたいがために殺人を犯す者に死刑は有効な刑罰なのか?冤罪は公権力の構造上避けられないものではないか?という二つの問い掛けが読みどころ。また「考え方は人それぞれ」という価値相対主義のもたらす弊害、マスコミが「印象操作」をしているのではなく、我々があらかじめ持っている「印象」をマスコミが映し出しているだけという指摘も面白い。
読了日:12月10日 著者:萱野 稔人

漢字 (日本語ライブラリー)漢字 (日本語ライブラリー)感想
字形の面からの漢字(学)の入門書は数あるが、本書字形だけでなく字音・字義の面についても相当の紙幅を割いている。漢字教育・漢字政策や韓国・中国などアジア諸国に関する章もあり、漢字(学)に関する総合的な教科書となっている。
読了日:12月13日 著者:沖森 卓也,笹原 宏之

世界神話学入門 (講談社現代新書)世界神話学入門 (講談社現代新書)感想
日本神話をゴンドワナ型神話とローラシア型神話の二大系から成る世界神話学説の中に位置づけ、神話の伝播と人類の移動の軌跡を関係づけようという試み。テキスト化された神話も元々は口伝であり、その集団の古来からの神話を止めているのだという前提で議論を展開しているが、『西遊記』はその種の神話の中に含めてしまって問題ないのだろうか?また『古事記』『日本書紀』の神話は成書の時点で編者が中国の古典から取り込んだだけのものは存在しないのだろうか?「書かれたもの」に対する無理解が気に掛かる。
読了日:12月16日 著者:後藤 明

全訳 封神演義2全訳 封神演義2感想
同じ筋立てでも安能務版と比べると随分味気ない印象を受けるが、安能版はその分編訳者の思想をゴッテリ読まされていたということになるのかなと。
読了日:12月17日 著者:

忍者の歴史 (角川選書)忍者の歴史 (角川選書)感想
江戸時代に忍術は武術の流派のようになっており、道場を開いていた(らしい)という話が面白い。近現代の忍術の展開は歴史学というより民俗学の領域ではないかと思った。
読了日:12月20日 著者:山田 雄司

ナポレオン時代 - 英雄は何を遺したか (中公新書)ナポレオン時代 - 英雄は何を遺したか (中公新書)感想
単なるナポレオンの評伝にとどまらず、「ナポレオン時代」の建築・ファッション・文芸・科学との関わりなど文化面に多くの紙幅を割いており、その時代性をうまく切り取っている。執政政府時代の第二執政カンバセレスがナポレオンによる統治に欠かせないやり手であったこと、蒸気船の発明者としても知られるフルトンによる潜水艦の建造案がスポイルされたことなど、小ネタも面白い。「官制新聞ひとつがあれば充分で他紙は必要ない」と言い放った彼による検閲制度のあり方は現代でも参照の価値が高いかもしれない。
読了日:12月23日 著者:アリステア・ホーン

義経伝説と為朝伝説――日本史の北と南 (岩波新書)義経伝説と為朝伝説――日本史の北と南 (岩波新書)感想
北海道ではアイヌの英雄譚が和人によって義経と弁慶主従の英雄伝説として読み替えられ、沖縄では源氏の血を引くとされた島津氏におもねる形で、為朝とその子舜天が琉球中山王朝の始祖と位置づけられる。本書ではこの北の義経伝説と南の為朝伝説とを対比し、それぞれが日本への「同化」「皇民化」を後押しするための道具となっていくさまを描く。中世・近世の「伝説」形成の過程と、近代の「伝説」が「史実」になろうとするさまの両方を均等に描けていると思う。
読了日:12月26日 著者:原田 信男

藤原氏―権力中枢の一族 (中公新書)藤原氏―権力中枢の一族 (中公新書)感想
始祖鎌足から五摂家の成立あたりまでを扱っているが、藤原氏が王権を打倒したり乗っ取ったりできる性質の存在ではないこと、藤原氏内部で北家が主流となることが確定したのが意外と時期が下ること、そして五摂家成立のあたりになると、摂政・関白が家業と化してしまって実際の天皇との外戚関係とは分離してしまうといった点が面白かった。前著『蘇我氏』に引き続き、庶流・末流の状況も触れているのが嬉しいところ。
読了日:12月29日 著者:倉本 一宏

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