博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

巫鴻先生っ……!

2009年06月28日 | 中国学書籍
巫鴻 著、李清泉・鄭岩等訳『中国古代芸術与建築中的「紀念碑性」』(上海人民出版社、2009年4月)

元々著者のアメリカの大学での講義内容をまとめたもので、新石器時代の玉器から南北朝期に紙による書画が登場するあたりまでの芸術品や建築を「紀念碑性」という視点から論じています。

殷代から西周期の変わり目のあたりで青銅礼器の紋様の簡素化、銘文の出現とその長文化が進んだことを承け、青銅礼器は「見る」ものから「読む」ものになったとし、また長銘化によって当初祖先に捧げるために造られていた青銅礼器が、捧げる当人の功績を称えるという役割も担うようになったといったあたりが注目されます。

で、本書の339頁に以下のようなくだりが……

この種の随意に両手を使用する技能はある種の超自然的な能力を表現しているが、中国現代文学作品の中でもなお類似の神話を見出すことができる。例えば金庸は彼の著名な武侠小説の中で、両手で同時に異なった剣法を使用できる小龍女を描いている。彼女は二つの功夫を合わせて一つのものにすることにより、繰り出す技は変幻万変で入神の域に達し、これによって天下無敵の武林強手となる。

小龍女より周伯通を例えに出した方がより適切ではないかというツッコミは置いておくとして、この本、元々英語圏の読者のために書かれたんですよね?にも関わらず読者の多くが知らないと思われる金庸ネタを例えに出す辺りが何とも(^^;)

で、ここまで書いたところで皆さんお気づきかも知れませんが、今回はこの本のレビューをしたかったのではなく、このくだりを紹介したかっただけなんです。すんません……
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『武林外伝』その4

2009年06月27日 | 武侠ドラマ
『武林外伝』第23~30話まで見ました。

第23回 私塩を買って厨子 捜索に遭い、身分を入れ替えて賊頭 捕快となる
近頃私塩の取り引きが横行している七侠鎮。燕小六は同福客桟で跑堂人に扮して張り込みし、(替わりになぜか白展堂が捕快となって外回りをすることに。)私塩売りの元締めを捕らえようとするが、その元締めが伝説の侠客として恐れられる平谷一点紅であることが判明し、一同は戦々兢々。そしてその一点紅が店に現れ……

【今回の名言】「覚えておきなさい。女性にとって手の美しさは顔なんかよりもずっと大切なんだ。わかったかい?」
郭芙蓉に対する一点紅の台詞。この一点紅、恐ろしく強いくせになぜか潔癖性で、佟湘玉に特製のリンスインシャンプーや洗顔ソープを売りつけようとします(^^;) また、この回では芙蓉が自分に対する秀才の気持ちに気付くのも見所のひとつ。

第24回 算命人 祈祷をしてインチキを見破られ、郭芙蓉 洗顔して容貌を損なう
何だかんだで仲良くなった呂秀才と郭芙蓉。前半では秀才が芙蓉を好きになるきっかけとなった3ヶ月前の事件が語られます。インチキ算命先生が同福客桟にやって来て一同をカモにしようとするが、逆に散々な目に遭い…… 後半では芙蓉を怒らせてしまった秀才が、彼女と別れるべきではないかと真剣に悩み始め……

白展堂に口説き文句を教えてもらってもまともに反復できない秀才の不器用さに泣けた(;´д⊂)  この回では佟湘玉の洗顔クリームが小道具として出て来ますが、これは前回一点紅から押収した秘伝書によってこしらえたものでしょうか。

第25回 佟老爹 怒りて不孝の娘を嫁がせんとし、白展堂 誤りて別人を娶らんとす
店に佟湘玉の父親が訪ねて来て、寡婦となった娘を故郷の漢中に連れ帰ろうとします。一同は佟湘玉を店に留めるため、一芝居打って白展堂と彼女が結婚することにして漢中に帰らせようとしますが、肝心の湘玉は憎からず思っている展堂と偽の結婚式を挙げることに気が進まず……

佟湘玉の父親は龍門鏢局の元締めで、第17回に登場した衡山派の3人組も現在はそこで働いているとのこと。この回のラストでやはり偽の結婚式に耐えられずに湘玉は花嫁役を郭芙蓉と入れ替わり、一度は本当に湘玉と結婚しようかと思った白展堂もそれに気付いて激怒。そして次回へと続きます。

第26回 三行半を求めて小郭 断腸の思いをし、佳人を思いて秀才 酷く傷心す
前回の件ですっかりひねくれてしまった白展堂は、郭芙蓉を自分の嫁のように扱って佟湘玉を牽制。一方、その様子を見た呂秀才がやはり気分を害し、白展堂に離縁状を書いてもらうよう芙蓉に要求。実は展堂がこのように振る舞うのは2人に敢えて試練を与え、仲を取り持とうすするためでありましたが、意に反して2人は本当に別れようとします。始末に困った展堂は再度芝居を打つことにし……

芙蓉と秀才の仲が戻りそうになるたびに誰かが余計な一言を口にして元の木阿弥に……という負のスパイラルが続きます(^^;) ちなみに佟湘玉の父親は前回の終了後に里に帰った模様。

第27回 丐幇に入りて老邢 公職を失い、捕頭に昇りて小六 偉そばる
長らく都に出張していた邢捕頭ですが、道中トラブル続きで乞食となって七侠鎮に帰還。その姿を乞食の小米に見られたうえ、丐幇の先輩ということでいいように扱われるハメに…… 後半は丐幇に加入したことが上にバレて邢捕頭が免職となり、代わって燕小六が捕頭に昇格。鉄腕アトムのテーマを口ずさんで舞い上がる小六ですが、郭芙蓉と呂秀才の喧嘩に巻き込まれ……

邢捕頭が乞食になったということで自動的に丐幇に加入していることになったうえ、袋の数が上の乞食から身ぐるみまで剥がされるとは、げに恐ろしきは丐幇(^^;) 身ぐるみ剥いだ乞食たちはなぜか『滄海一声笑』(映画『スウォーズマン』のテーマ曲)を歌いながら意気揚々と帰って行きます。

第28回 銭夫人 財を貪らんとしてて毒計を生じ、莫小貝 恥を雪がんとして怒りて官に報ず
相変わらず夫人に虐待されている銭掌柜。同福客桟に泣きついて来た所を夫人が迎えに来て、2人して店で注文したキノコ料理を食べることになりますが、それが毒キノコであることに気付いた銭夫人は料理を食べて死んだふりをし、佟湘玉から土地財産を強請り取ろうと悪だくみ。ところが邢育孫と燕小六(邢育孫は前回の一件から平の捕快として職場復帰したらしい)が捜査に乗り出してきたことから事態は複雑化。おまけにうっかり毒キノコを取って来た当の莫小貝は行方をくらまし……

第29回 呂聖人 智もて姫無命と闘い、佟掌柜 展紅綾と張り合う
第8回で捕まったはずの「盗神」姫無命が脱獄し、再び同福客桟に出現。戦々兢々の一同だが、彼はまだ記憶を取り戻せないでいた…… 前半部は姫無命に殺されようとする呂秀才が「私は一体誰に殺されるのだ?」と叫び、姫無命が「私だ!」と答えると、すかさず「その『私』というのは誰だ?人間と宇宙の関係から話を始めようではないか」「人はどこから生まれてきてどこへと死んでいくのか」「世界が私を選んだのか、それとも私が世界を選んだのか?」「だから『私』というのは誰だ?誰が私を殺すのだ、私が誰を殺すのかーーーっ!」と、西洋哲学の知識を用いて姫無命を畳みかけ、自決に追い込むさまが圧巻(^^;)

後半は姫無命を死に追いやった功で秀才に「関中大侠」の称号が授けられることになりますが、その使者として都にやって来たのは過去に白展堂と因縁があり、(第5回を参照)現在は「天下第一女捕頭」と称されるまでになった展紅綾だった。しかし彼女は「女の直感」でムリヤリ事件を解決したことにするとんでもない人物で…… ということで最初から最後まで見所たっぶりの回です。

第30回 佟石頭 故郷を離れて江湖を闖がさんとし、郭芙蓉 家に帰りて父母を訪ねんとす
もうすぐ郭芙蓉の誕生日。彼女を散々いじめてから最後に誕生日プレゼントを渡し、彼女を驚かせようとエゲつない計画を立てる一同。そこへ突然佟湘玉の弟佟石頭が店へと到来。彼は父の命で白展堂・佟湘玉夫妻を漢中へと連れ戻しに来た(佟家では2人の結婚が芝居ということはまだバレてない模様。)ということで、戸惑う一同。おまけに事情を知らない佟石頭がいじめられている郭芙蓉を助けようとしてややこしい事態に…… この回のラストで佟湘玉の粋な計らいにより、郭芙蓉は一旦実家に戻ることに。

【今回の名言】「江湖は涙を信じない」「これこそが江湖の本来の面目なんだぜ」
いじめられて泣く郭芙蓉に対する白展堂らの言葉。「六扇門」と聞いてビビるようなヤツのどの口からこんな言葉が(^^;)
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夏の帰国

2009年06月25日 | 留学
留学延長の目途が立ったということで、一時帰国のチケットを確保しました。7月10日に帰国し、7月31日に長春へと戻る予定です。

先日紹介した長春-大阪便で帰ることにしました。で、チケットを取って分かったのですが、まず発着時間が長春からの便が7:40~13:30、大阪からの便が14:30~18:15と、大阪での発着時間がそれぞれ1時間ずつ遅れてます。先日新聞で見たのは発着とも中国時間での表記だったようです。何でこんな訳の分からんことを……(-_-;)

そんでフライト時間が5時間前後となると、ひょっとして直行便ではなく経由便では?と思って検索をかけてみると…… 予測は当たってました。下のサイトによると行き帰りとも大連経由です。

参考:中国南方航空 「大阪-長春線 新規就航のお知らせ」

何かこれを見ると既存の大阪-大連便の行き先に長春を加えたというだけという感じですね。トホホ……
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留学期間延長

2009年06月23日 | 留学
昨日、かねてから希望していた留学期間の延長が許可されたという連絡が届いたので、今日早速ビザと居留許可の延長手続きのため公安局に行って来ました。公安局はいつ行っても混み混みというイメージがあったのですが、新学期のシーズンではないせいかそんなに混んでなかったですね。一週間後にまた更新済みのパスポートを取りに行かなければなりませんが、手続きがうまく行けば来年の1月までこちらに居れる予定です。

それと歯医者の治療代払い戻しの件ですが、先週領収書を事務室に持って行ったら「医療保険は基本的に大学附属病院しか適用されないんだよ。だからたぶんムリだと思うけど、一応預かっておくよ。」とか言われました。そういう大事なことは最初に言って下さい(;´д⊂)  また払い戻し可かどうか分かったら電話すると言ってましたが、未だに連絡がありません。今日延長手続きの件で事務室に行った時についでに聞けば良かったですね……
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『武林外伝』その3

2009年06月22日 | 武侠ドラマ
『武林外伝』第15~22話まで見ました。

第15回 雷老五 県の衙門に潜入し、佟掌柜 牛の角に潜り込む
前回白展堂が佟湘玉に贈った盗聖の証の玉牌。展堂が初めて贈り物をしてくれたと舞い上がる掌柜的ですが、これが盗掘士の雷老五に盗まれてしまいます。雷老五は玉牌を役所の扁額の裏に隠し、どちらが先に玉牌を盗み出せるか勝負を挑もうとしますが…… 後半は結局役所に隠されたままの玉牌を、佟湘玉は何とか取り戻そうと無い知恵を絞りますが……

「それは展堂が初めて私にくれたもの。この人生、何回初めてがあるというの?あるいはこういう定めだったのかもしれない……」と郭芙蓉らに迫って玉牌を盗ませようとする佟湘玉が傑作。このあたりから彼女が展堂を憎からず思っているという描写が出て来ます。ちなみにサブタイトルの「牛の角に潜り込む」(原文は「鉆進牛角頭」)とは「どうしようもないことに頭を悩ませる」という意味の慣用句。

第16回 書商 あの手この手で財を掠め取らんとし、掌柜 肝を潰して証拠隠滅をはかる
前回雷老五の置いていった包みの中身が官憲が目を付けている盗掘品だと判明し、佟湘玉はその処分に頭を悩ませる。一方、呂秀才は武侠小説『武林外伝』の第1巻を書き上げ、出版の運びとなるが、書肆のオーナー范大娘は多額の契約金と引き替えに続編の執筆をせかし……

范大娘は『三国演義』『西遊記』『水滸伝』の続編・外伝の出版を請け負っているほか、羅貫中とも付き合いがあるという設定。明代という時代設定も影響しているのでしょうけど、このドラマ、ホントに白話小説ネタが好きですなあ(^^;) またこの回に出て来る恐妻家の銭掌柜は以後も時々登場。

第17回 莫小貝 初めて衡山派を掌り、銭夫人 二度同福店を鬧がす
衡山派の生き残り3人組が莫小貝を新掌門として擁立するべく同福客桟を訪問。路銀が尽きた3人は新掌門就任儀式の費用をどうするかで頭を悩ませるが、肝心の小貝は好物の糖葫蘆を3人からせしめることしか頭になく…… 一方、銭掌柜の妻は佟湘玉が夫に気があると誤解して店に襲来するが……

【今回の名言】「現在我々衡山派にとって最も重要なのは……今すぐ糖葫蘆を買って来て!」
莫小貝が衡山派3人組に語ったセリフ。小貝にかかれば掌門の地位も糖葫蘆をせしめたり学校をサボる口実にすぎないのがトホホです…… ちなみに衡山派が衰退した理由は、小貝の兄(名前は莫小宝とこれまたどこかで見たネーミング……)が佟湘玉との結婚資金の調達のために衡山派の財産を流用しようとしたのが門派の者にバレてしまい、それが原因で内紛が起こって莫小宝が死亡。その後更に衡山派幹部が掌門の地位をめぐって同士討ちを続けたからだそうです……

第18回 燕小六 酒に酔ってみだりに人を捕らえ、郭芙蓉 うっかり人に惚れる
邢捕頭の留守の間七侠鎮の見回りを任された燕小六ですが、早速酒に酔って郭芙蓉を手枷手鎖で捕縛、しかもどういうわけか柱に鎖が絡まって2人とも身動き出来なくなってしまいます。しかし芙蓉は自分の手を斬っても彼女を解放しようとする小六に惚れてしまい…… 後半は芙蓉が小六が自分のことをどう思っているかあの手この手で確かめようとしますが……

燕小六を振り向かせようと必死な郭芙蓉と、師父の邢捕頭と仕事のことしか頭にない小六がお茶目な回。小ネタでは前回の掌門就任儀式で莫小貝に贈られた引き出物が張三丰や小龍女、東方不敗など尽く金庸キャラのゆかりの品なのと、燕小六が『水滸伝』の燕青の子孫と称しているのが注目されます。

第19回 李大嘴 降龍掌を苦練し、郭芙蓉 生死劫より逃れ難し
李大嘴が密かに降龍十八掌の練功していることが判明し、不安を隠せない同福客桟の一同。特に李大嘴と諍いをおこしていた郭芙蓉は戦々兢々。しかし郭芙蓉が燕小六に惚れていたのが面白くない呂秀才が、うっかり李大嘴に小六を成敗するよう依頼して大騒ぎに……

この回では李大嘴の武芸の師匠として自称洪七公が登場(^^;) 呂秀才が郭芙蓉を憎からず思っているという描写は前回・前々回あたりからそれとなく出て来ます。

第20回 ゴロツキの侯三 客桟を引っかき回し、女侠芙蓉 年越しを取り仕切る
半年前の年越し、まだ郭芙蓉が雌雄双煞として悪名を轟かせていた頃、佟湘玉は雌雄双煞の悪口を言ったのをタチの悪い客侯三に聞かれてしまい、その弱みをタテに年越しの餃子を食べ尽くされ、正月気分を台無しにされてしまう。半年後、その事を知った郭芙蓉はその埋め合わせをしたいということで、対聯や爆竹、そして餃子を準備して佟湘玉に再び年越しのお祝いを迎えさせてあげようとするが……

ゆがんで貼られた対聯、火をつけても鳴らない巨大爆竹、不味すぎて誰も食べられない殺人餃子と、何一つ満足に準備出来ない郭芙蓉ですが、彼女の気持ちを思いやってツッコめない佟湘玉。何かもう当初の目的がどっかにいっちゃってますな(^^;) そして不発弾のはずだった爆竹がお約束のオチへと導いてくれます。まるでドリフのコントのような佳編。

第21回 思い詰めて老呉 魔女に見え、意固地になって小郭 武功を教う
武侠ツアーの団体客としてタイムトリップしてきた呉先生は、伝説の魔女として恐れられる莫小貝に会うために同福客桟を訪れるが、彼の目的は実は…… 後半は小貝が武功を学ぶべきか否かで一悶着がおこり、白展堂が小貝を、そしてなぜか郭芙蓉が燕小六にそれぞれ武功を教えて腕比べをさせることになるが、呂秀才は郭芙蓉と燕小六がペアになったことに頭を悩ませ……

第9回に続いてまたタイムトリップネタですが、莫小貝は後年江湖に血の雨を降らせる女魔頭になるはずだそうです(^^;) しかし「歴史を改変するようなことはしてはいけない」とガイドに言われつつ、呉先生は平気でこの時代に無かったはずの紙巻きタバコやらサプリメントを取り出したりしてます……

【今回の名言】佟湘玉「陰謀は愛情の敵」、呂秀才「それは数百年後のドストエフスキーの名言」
呂秀才、英語に堪能なだけじゃなくロシア文学まで読んでるのかよ!(^^;)

第22回 佟掌柜 喜びてドリアンを得、江小道 怒りて朴念仁を打つ
婁知県が店にドリアンを贈ってきたが、一同はそれが一体何なのか分からない。おそらく木の根を彫った芸術品だろうという呂秀才のいい加減な推測を信じて佟湘玉は店に飾ることにするが…… 後半は師父の葬式代を稼ぐために復讐屋となった江小道が店にやって来る。郭芙蓉が相変わらず燕小六ひとすじなのが気に入らない秀才は小六を痛めつけるよう彼に依頼するが……
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今学期受けた講義

2009年06月20日 | 留学
昨日で今学期の講義がすべて終了。ということで今回も受講した講義をアップしておくことにします。まずは古文字関係の科目から。

戦国文字研究
戦国金文・印璽などの資料をPower Pointでひたすら紹介していく。モニターを使った講義は外国人にとってはありがたいところ。

甲骨文字研究
『甲骨文合集』所収の甲骨文を賓組・出組など黄天樹の分組・分類に沿って講読していく。途中で分組・分類の解説や重要論文の講読を挿入。

古文字方法研究論
4人の教員によるリレー講義。各教員が研究における電脳の利用、音韻学と通仮、論文の構成と書き方、主要工具書の紹介といったテーマで講義。ここ2~3年ぐらいで新しく開講された科目らしい。日本語で説明されても分からなかった音韻学が中国語で説明されてある程度飲み込めたのは良い思い出(^^;)

古文字研究論著導読
ようするに博士課程の演習科目。毎回2人程度の院生が研究発表。私も1度発表しました。

以下は考古系開講の科目。

夏商周考古
『中国考古学 夏商巻』『同 両周巻』をテキストに夏商周三代の主要な遺跡について紹介・討論。発掘の成果を文献資料の枠組みの中でしか解釈しようとしない、政治・制度に関するものにしか触れないといった、中国考古学・先秦史の悪い面がモロに出ている講義でした(^^;)

両周考古文献学(仮)
(仮)としているのは、知り合いに誘われて正式な科目名が分からないまま受講していたため(^^;) 『詩経』『礼記』『逸周書』などの古文献から考古学・古文字学に関わる部分を紹介・講読。当世の信古的な研究に批判的で、先学期受けた「金文研究」とともに吉大で受けた中で最も面白かった講義。
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『武林外伝』その2

2009年06月18日 | 武侠ドラマ
『武林外伝』第8~14話まで見ました。

第8回 七侠古鎮にて寡婦 夫を尋ね、尚儒客桟にて一同 首を揃える
佟湘玉が白展堂らと出会い、同福客桟を開業したいきさつが語られる。元々は呂秀才が掌柜的だったり、(この頃の店名がサブタイトルにある「尚儒客桟」。)李大嘴が捕頭で邢育森がその部下だったりと意外な過去が明らかになりますが、これまでの話と微妙に辻褄が合ってないような(^^;) 白展堂の相棒「盗神」姫無命が初登場。この回で記憶を失い、邢育森に連行された(この功績で邢育森が捕頭に昇格。)彼ですが……

第9回 佟湘玉 小貝の教育に苦心し、莫小貝 夢に影視城に遊ぶ
七侠鎮の金持ちの子弟が囲碁や音楽などで賞を獲り、次々とお祝いをするのを悔しがり、佟湘玉は莫小貝にも何か習い事をさせようとするが…… 後半はそんな湘玉に反発した小貝が家出を敢行。夢の中で現代にタイムトリップして七侠鎮を再現した影視城(日本で言うところの映画村)に迷い込み、同福客桟で働くことになりますが…… ということで、この後半部では佟湘玉や白展堂が現代人として登場。小貝を色々と戸惑わせます。

【今回の名言】「這箇是張飛、那箇是岳飛、那箇是王菲。」
小貝が粘土で人形をこしらえ、その説明するシーンで発したセリフ。張飛・岳飛と来てフェイ・ウォンは無いだろうとツッコミたくなります(^^;) そう言えば周星馳の映画でも似たようなネタがあったような…… ちなみに下の写真は同じく小貝が作った人形ですが、なぜか忍者タートルズ。



第10回 空勇気を振り絞るべく捕頭 烈酒を飲み、恩恵を施すべく秀才 食べ残しを盗む
捕吏としての自信を失いかけている邢捕頭を励ますため、白展堂が一芝居打ちますが、それが思わぬ結果に。後半は同福客桟の向かいに同じく酒店の怡紅楼が開業し、お客が取られてしまう。佟湘玉は郭芙蓉に店の様子を探らせることに。一方、呂秀才は先祖の故事に倣って乞食に炊き出しをしようとするが、費用が捻出できないので客の食べ残しをくすねることにし…… 

第11回 扈十娘 駄々をこねて展堂の気を引かんとし、賽貂蝉 因縁をつけて湘玉を欺かんとす
前回郭芙蓉が怡紅楼の店内を破壊した賠償金を免除するかわりに、怡紅楼側は揚州の名妓扈十娘を同福客桟で3日間宿泊させることを要求。しかし我が儘な扈十娘に客桟の一同は振り回され…… 後半では扈十娘を充分に歓待しなかったということで怡紅楼の掌柜的賽貂蝉が怒鳴り込んでくるが、彼女の狙いは別にあり……

扈十娘が一向に美人に見えないのが何とも(^^;) お宝と見るとついつい手が出てしまいそうになる展堂がお茶目です。そしてこの回でも「張飛、王菲」ネタが…… 今回は莫小貝が扈十娘に張飛と王菲の形をした飴細工を買ってもらいます。

第12回 不当な仕打ちを受けて一同寝返りを装い、売り上げを求めて老板大判振る舞いを乱発す
怡紅楼の賽貂蝉が再度店にやって来て店員と佟湘玉との仲を引き割き、同福客桟を内部崩壊に追い込もうとしますが、店員一同は彼女の「反間の計」をお見通しで…… 後半は怡紅楼が新装開店し、やっぱり閑古鳥の同福客桟。佟湘玉は李大嘴に新メニューを開発させ、客の目を引こうとしますが……

第13回 自尊を争うべく大嘴 文豪を装い、危難を解くべく湘玉 大局を設く
店内で1人文盲の李大嘴は自分も何とか本を読んでみんなを見返してやろうとしますが…… 後半は生活に困った父娘が351羽の鶏を店に売りつけに来る。白展堂は父娘を助けるために「鶏王争覇賽」を企画。近所の店の主に1羽ずつ鶏を購入してもらい、最も美しい鶏を決めるというイベントだが、あまりの数の多さに段々収拾がつかなくなり……

後半の「鶏王争覇賽」のシーンは中国のテレビでよくある歌謡祭のパロディになってます(^^;)

第14回 邢捕頭 勇もて殺鶏案を破り、燕小六 力もて防賊法を推す
前回の「鶏王争覇賽」で李大嘴が引き取った鶏ですが、夜明け前から大声で鳴き叫ぶということで白展堂がブチ切れ、井戸に沈めてしまう。朝になって鶏がいないことに気付いた大嘴は大騒ぎし、邢捕頭に捜査を依頼するが…… 後半では邢捕頭から同福客桟の防犯チェックを任された燕小六は初めての単独任務ということで舞い上がり……

邢捕頭・燕小六コンビの過剰ぶりがまざまざと発揮される回。この2人が店で騒ぎ立てるたんびに客が勘定も済ませずに逃げていくのですが、これで店の経営が成り立っているのか不安になってきます……
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再来年の大河は……

2009年06月17日 | ニュース
再来年の大河のテーマはお江だそうで。

「11年度NHK大河ドラマは三代将軍・家光の生母・江(ごう)の生涯を描いた『江~姫たちの戦国~』に」(Yahoo!ニュース)

三姉妹のうち淀ではなくお江を主役に据えたのはやや目新しいですが、結局は信長・秀吉・家康の三傑から離れられんのね(-_-;) あと、お江となると当然春日局との絡みが出て来るわけで、単に『篤姫』に続いて大奥物をもう一回やりたいだけではないかという気が……

以前マイミクのArcherさんの日記で福井県が継体天皇を大河の題材としてプッシュしているという話を目にしましたが、個人的にはそろそろそれぐらいの冒険はしていただきたいところ。まあ、継体天皇については知名度以前に色々と問題があるのでムリだと思いますが。仮にこの情報が本当だとして、諸々の問題を踏まえたうえで福井県がこの題材をプッシュしているとすれば「ネ申」と言わざるを得ない(^^;)
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李家浩と李学勤の本

2009年06月16日 | 中国学書籍
こちらで講義を受けていると意外な研究者が高い評価を受けていることに驚くことがありますが、李家浩先生もその1人。

『著名中年語言学家自選集 李家浩巻』(安徽教育出版社、2002年)

この本は1999年までに発表された同氏の主要論文「先秦文字中的『県』」などを収録。「李家浩の論文は内容も良いが文章も良い。中文で論文を書くのに参考にしなさい。」と薦められて読んでみましたが、確かに文章は他の研究者と比べて読みやすいような気がします。反対に大物の某先生は「内容は良いが文章は下手くそ」ということですが(^^;)

それと今年の初めに上海で李学勤の『走出疑古時代』の新訂版を発見したという話をしましたが、これ以外にもここ2年ほどでいくつか同氏の旧著が復刊していた模様。

『李学勤早期文集』(河北教育出版社、2008年)

「帝乙時代的非王卜辞」、「戦国題銘概述」など1950~60年代に発表された主要論文のほか、単行本として刊行された『殷代地理簡論』も収録されているのが嬉しいところ。ただ、陳夢家を政治的に追い詰める原因のひとつとなったとされる「評陳夢家『殷虚卜辞綜述』」まで収録されているのはどうかと思いますが……

『東周与秦代文明』(上海人民出版社、2007年)

元は英文版として企画されたものが1984年に中文版が出版され、日本でも『春秋戦国時代の歴史と文物』の題で五井直弘氏による訳本が出版されました。そして1991年になって末尾にその後の発見と研究の成果をまとめた章を付け加えて増訂版を刊行。今回出版されたのは更にその増訂版で、1990~2000年代にかけての新成果を補足してあります。
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『武林外伝』その1

2009年06月14日 | 武侠ドラマ
『武林外伝』第1~7話まで鑑賞。

本作は基本的に2分の1話~1話で話が完結する読み切り形式なので、(ただし時々2話以上にまたがる長編となることもありますが。)各回ごとに内容を紹介していきます。また各回にそれぞれ章回小説に倣った素敵なサブタイトルが付いているので、訳出してみました。あんまりこなれた訳になってないかもしれませんが…… (サブタイトルの原文については新浪網のサイトの「分集介紹」を参照のこと。)

第1回 郭女侠 怒りて同福を壊し、佟掌柜 巧みに人を迷わす
「雌雄双煞」の郭芙蓉が同福客桟を客に非道をはたらく黒店と決めつけて殴り込み。ところがそれが誤解(というか勝手な思い込み)だと知った彼女は壊した備品の弁償のために店で働くことになるが……

第2回 佟掌柜 仮病患者を慰問し、跑堂人 郭芙蓉の挑戦をいなす
朝早くから働きたくない郭芙蓉は莫小貝と示し合わせて仮病を使うが、佟湘玉が必要以上に気を遣って病気を治そうとし、窮地に陥る。後半は芙蓉が点穴で病気を治そうとして却って彼女を苦しめた白展堂を恨み、何とか一杯食わせようとするが……

【今回のポイント】
「搞老荘」(老荘思想を研究する)と聞いて「猪八戒の住んでた所?」(すなわち「高老荘」)という反応をする展堂が素敵です(^^;) このドラマ、こういう細かいネタが多いですね。

第3回 一同謀られて通学の供となり、莫小貝 八大派を建立す
莫小貝が名門白馬書院に通えることになり、1人舞い上がる佟湘玉。おまけに小貝が学校でいじめられたりしないかと過剰に心配し、郭芙蓉らを学友や見送り役に仕立てようとし…… 当然嫌がる同福客桟の面々ですが、白展堂だけはなぜか孫悟空に扮してノリノリで、ドラマ『西遊記』のテーマ曲まで口ずさむ始末(^^;) 後半は小貝が校長の朱先生から褒められて図に乗り、クラスメートと「八大派」を結成するなどヤンチャを始め……

【今回の名言】「我的江湖我做主」(俺の江湖は俺のもの)
呂秀才が店にやって来た朱先生に「祖父は有名な知府だったのにその孫はまるでダメだ」とボロクソに言われて発憤し、武侠小説を書こうと決意した時のセリフ。最近たまたま現代物で『我的青春誰做主』というドラマが大ヒットしたのですが、妙にタイトルがこのセリフとマッチしたので笑ってしまいました(^^;) ちなみにこの時に彼が書こうとした小説のタイトルが『武林外伝』。

第4回 李厨子 智もて盲目の母と闘い、白盗聖 運悪く賭大王と遭遇す
李大嘴が盲目の母親に自分が武状元になったと嘘をついていたところ、よりによってその母親が李大嘴を訪ねて来ることに。同福客桟の面々は何とか母親を誤魔化そうとするが…… 後半は白展堂がイカサマ博打で李大嘴から母親の手土産の干し芋を巻き上げたところ、腹を立てた母親が展堂に博打勝負を挑むことに。展堂は余裕の表情だが……

第5回 展紅綾 千里を駆けて盗賊を追い詰め、郭芙蓉 一心に盗聖のファンとなる
同福客桟の面々は白展堂が実は伝説の「盗聖」白玉湯であることを知ってしまい、舞い上がる。特に郭芙蓉は展堂の熱烈なファンとなり、彼に義賊稼業を再開するよう希望するが……

前半の白展堂と展紅綾との思い出話は後々の伏線に。後半の展堂が義賊稼業から足を洗った理由を告白するくだりには不覚にも感動した(^^;)

第6回 楊蘭 比武もて郎君を招かんとし、李大嘴 招を施して煞神を
七侠鎮に比武招親にやって来た楊蘭に李大嘴が一目惚れし、彼女に挑戦しようとするが、男装した郭芙蓉が先に彼女に勝ってしまう。(この時に比武招親の参加料を求められ、手持ちの金が無かった芙蓉は取り敢えず呂秀才からお金を借りて間に合わせるが、これが次回の火種に……)芙蓉が女性だと知った楊蘭は憤激し、彼女の名を騙って近辺の山賊を退治。結果、山賊達に雇われた腕利きの刺客が次々と同福客桟を襲撃し……

この回では比武招親と、うっかり男装の麗人に惚れる女性という武侠物にありがちなファクターが2つも登場。楊蘭はこの後の回でも登場し、李大嘴の心を掻き乱します。

第7回 銀銭の取り立てに秀才心を煩わし、私憤を晴らすべく芙蓉いたずらに痛めつける
前回呂秀才からお金を借りたことをすっかり忘れている郭芙蓉。秀才は何とか彼女に思い出させてお金を返してもらおうと、あの手この手で迫りますが、それがなぜか2人のバトルに発展し…… ということで2人の口喧嘩が格闘ゲーム風になっていたりとこのドラマらしい悪ノリが発揮された回。



【今回のポイント】
佟湘玉の嫁入り道具の中から倚天剣を発見(^^;) 将来は莫小貝の嫁入り道具になる予定だそうです。
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