第17章 山寨招親(後編)
楊宗保と孟良が兵を率いて穆柯寨までやって来ると、穆桂英は全身に鎧を身につけ馬を駆って出陣し、罵って言いました。「物の道理がわからないやつだ、命ばかりは助けてやったやったというのに、どうしてまた戻って来たのだ?」楊宗保は言いました。「悶着を起こしに来たのではありません。あなたの砦に二本の降龍木があると聞き、敵陣を破るためそのうちの一本をお借りしたいと思ってやって来たのです。事が終わりましたら必ずお礼を申し上げに戻って来ます。」穆桂英が言いますには、「私の刀に打ち勝ったらお前にやってもよいぞ。」
楊宗保は激怒し、槍を突き出して穆桂英に向かって行きます。二人が三十合あまり打ち合うと、穆桂英はとても敵わないというそぶりを見せ、馬首を巡らせて逃げ出し、楊宗保が追って行きます。穆桂英が振り返って矢を放つと、楊宗保の馬がドサッという音をたてて地面に倒れてしまいました。穆桂英は馬首を巡らせ、楊宗保を馬上に引き上げ、砦へと引き返して行きました。穆桂英が手下に楊宗保を縛り上げるように言いつけると、楊宗保は大声で叫びました。「殺したいなら殺せ、どうしてこんな面倒なことをする!」
穆桂英は、楊宗保が言葉遣いが男らしく、意気盛んなのを見て、彼のことがとても好きになり、彼と一緒になりたいと思いました。そこで彼女は侍女の金萍に楊宗保に対して自分の気持ちを伝えてもらうことにしました。宗保はしばらくの間思案して、「私がもし嫌だと言えば、降龍木は手に入らない。ましてや桂英は才色兼備で、私と結婚してくれるなんて願ったり叶ったりではないか。」と考えました。思案がまとまると、彼は金萍に対して言いました。「寨主がここまで思ってくださるというのに、お受けしない道理がありましょうか?」
穆桂英は望みが適いそうなのを知ると、自ら楊宗保を解放しにやって来て、その後孟良を呼び寄せ、二人のために酒席を設けました。
三人はひとしきり談笑し、話が天門陣を破ることに及びました。桂英は幼い頃から武芸を学び、各種の陣法に精通していたので言いました。「この陣を破るのは、さして難しくありません。」楊宗保と孟良は大喜びし、彼女に下山するよう急かします。しかし思いもよらず桂英は冷ややかに言いました。「皇帝が自ら頼みに来るのでなければ、下山するわけにはいきません。」実は桂英はずっと朝廷を敵視していたのでした。宗保と孟良はその理由を知ると、下山を勧めるわけにもいかなくなります。次の日の朝、穆桂英は降龍木を取り、彼らに送って下山させたのでした。
楊宗保と孟良が兵を率いて穆柯寨までやって来ると、穆桂英は全身に鎧を身につけ馬を駆って出陣し、罵って言いました。「物の道理がわからないやつだ、命ばかりは助けてやったやったというのに、どうしてまた戻って来たのだ?」楊宗保は言いました。「悶着を起こしに来たのではありません。あなたの砦に二本の降龍木があると聞き、敵陣を破るためそのうちの一本をお借りしたいと思ってやって来たのです。事が終わりましたら必ずお礼を申し上げに戻って来ます。」穆桂英が言いますには、「私の刀に打ち勝ったらお前にやってもよいぞ。」
楊宗保は激怒し、槍を突き出して穆桂英に向かって行きます。二人が三十合あまり打ち合うと、穆桂英はとても敵わないというそぶりを見せ、馬首を巡らせて逃げ出し、楊宗保が追って行きます。穆桂英が振り返って矢を放つと、楊宗保の馬がドサッという音をたてて地面に倒れてしまいました。穆桂英は馬首を巡らせ、楊宗保を馬上に引き上げ、砦へと引き返して行きました。穆桂英が手下に楊宗保を縛り上げるように言いつけると、楊宗保は大声で叫びました。「殺したいなら殺せ、どうしてこんな面倒なことをする!」
穆桂英は、楊宗保が言葉遣いが男らしく、意気盛んなのを見て、彼のことがとても好きになり、彼と一緒になりたいと思いました。そこで彼女は侍女の金萍に楊宗保に対して自分の気持ちを伝えてもらうことにしました。宗保はしばらくの間思案して、「私がもし嫌だと言えば、降龍木は手に入らない。ましてや桂英は才色兼備で、私と結婚してくれるなんて願ったり叶ったりではないか。」と考えました。思案がまとまると、彼は金萍に対して言いました。「寨主がここまで思ってくださるというのに、お受けしない道理がありましょうか?」
穆桂英は望みが適いそうなのを知ると、自ら楊宗保を解放しにやって来て、その後孟良を呼び寄せ、二人のために酒席を設けました。
三人はひとしきり談笑し、話が天門陣を破ることに及びました。桂英は幼い頃から武芸を学び、各種の陣法に精通していたので言いました。「この陣を破るのは、さして難しくありません。」楊宗保と孟良は大喜びし、彼女に下山するよう急かします。しかし思いもよらず桂英は冷ややかに言いました。「皇帝が自ら頼みに来るのでなければ、下山するわけにはいきません。」実は桂英はずっと朝廷を敵視していたのでした。宗保と孟良はその理由を知ると、下山を勧めるわけにもいかなくなります。次の日の朝、穆桂英は降龍木を取り、彼らに送って下山させたのでした。