博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

絵本楊家将 第17章 山寨招親(後編)

2012年03月28日 | 絵本楊家将
第17章 山寨招親(後編)

楊宗保と孟良が兵を率いて穆柯寨までやって来ると、穆桂英は全身に鎧を身につけ馬を駆って出陣し、罵って言いました。「物の道理がわからないやつだ、命ばかりは助けてやったやったというのに、どうしてまた戻って来たのだ?」楊宗保は言いました。「悶着を起こしに来たのではありません。あなたの砦に二本の降龍木があると聞き、敵陣を破るためそのうちの一本をお借りしたいと思ってやって来たのです。事が終わりましたら必ずお礼を申し上げに戻って来ます。」穆桂英が言いますには、「私の刀に打ち勝ったらお前にやってもよいぞ。」

楊宗保は激怒し、槍を突き出して穆桂英に向かって行きます。二人が三十合あまり打ち合うと、穆桂英はとても敵わないというそぶりを見せ、馬首を巡らせて逃げ出し、楊宗保が追って行きます。穆桂英が振り返って矢を放つと、楊宗保の馬がドサッという音をたてて地面に倒れてしまいました。穆桂英は馬首を巡らせ、楊宗保を馬上に引き上げ、砦へと引き返して行きました。穆桂英が手下に楊宗保を縛り上げるように言いつけると、楊宗保は大声で叫びました。「殺したいなら殺せ、どうしてこんな面倒なことをする!」

穆桂英は、楊宗保が言葉遣いが男らしく、意気盛んなのを見て、彼のことがとても好きになり、彼と一緒になりたいと思いました。そこで彼女は侍女の金萍に楊宗保に対して自分の気持ちを伝えてもらうことにしました。宗保はしばらくの間思案して、「私がもし嫌だと言えば、降龍木は手に入らない。ましてや桂英は才色兼備で、私と結婚してくれるなんて願ったり叶ったりではないか。」と考えました。思案がまとまると、彼は金萍に対して言いました。「寨主がここまで思ってくださるというのに、お受けしない道理がありましょうか?」

穆桂英は望みが適いそうなのを知ると、自ら楊宗保を解放しにやって来て、その後孟良を呼び寄せ、二人のために酒席を設けました。

三人はひとしきり談笑し、話が天門陣を破ることに及びました。桂英は幼い頃から武芸を学び、各種の陣法に精通していたので言いました。「この陣を破るのは、さして難しくありません。」楊宗保と孟良は大喜びし、彼女に下山するよう急かします。しかし思いもよらず桂英は冷ややかに言いました。「皇帝が自ら頼みに来るのでなければ、下山するわけにはいきません。」実は桂英はずっと朝廷を敵視していたのでした。宗保と孟良はその理由を知ると、下山を勧めるわけにもいかなくなります。次の日の朝、穆桂英は降龍木を取り、彼らに送って下山させたのでした。

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TVB96年版『笑傲江湖』その5

2012年03月27日 | 武侠ドラマ
『笑傲江湖』第29~35話まで見ました。

盈盈を救うべく、令狐冲が邪派の面々を引き連れて少林寺に乗り込んで来ると知り、善後策を話し合う正派の領袖たち。そのドサクサに紛れて岳不群が恒山派の定間師太らを殺害。少林寺にやって来た令狐冲は今際のきわの定間師太から恒山派掌門の位を託されるのでした。

その後令狐冲は任我行や盈盈らと再会し、左冷禅・岳不群らと三番勝負を繰り広げることになるわけですが、岳不群が令狐冲との対戦中に娘との結婚と華山派復帰を認めることを仄めかしたり、令狐冲と戦ったことを批難する妻を言いくるめたりと、岳不群の話術が冴え渡ります(^^;)

三番勝負の後、任我行から日月神教入信のお誘いを断り、恒山派掌門の就任を決意する令狐冲。ここで、任我行「前は断られたが、今度こそ我が日月神教に入信してもらうからな!」 令狐冲「えっと、恒山派の掌門になる約束をしてるので入信できないのです。サーセン……」 任我行「なに、恒山派!?……面白いではないか!良い良い。」 令狐冲「(ホッ、何とかわかってくれたようだな。)で、皆さんこれからどうされるおつもりで?」 任我行「部外者に教える筋合いは無い!(キリッ」 令狐冲「」という会話がなされるのですが、任我行さん、怒ってないように見せかけてやっぱり怒ってますよねw

そして華山派では岳不群が辟邪剣法の修練に行き詰まっていよいよ自宮を決意し、次いで岳霊珊との結婚が決まった林平之もうっかり『辟邪剣譜』をゲットしてしまったことから、バラ色の新婚生活と両親の仇討ちを天秤に掛けたすえに自宮を決意し、偽装結婚の道を歩みます。

一方、令狐冲は恒山派が落ち着いたのを見て一旦恒山を離れ、任我行・盈盈らの東方不敗討伐に協力することに。東方不敗は序盤で出て来た男優さんがそのまま演じてます。東方不敗と言えば前々から疑問に思っていたのですが、去勢したからと言って単に性欲がなくなるのならともかく、女装・男色趣味に走るというのはおかしいのではないでしょうか(^^;) 同じく去勢した岳不群や林平之は男色に走ったわけではありませんから、東方不敗の場合は元々そういう趣味があったのではないかという疑惑が……

で、東方不敗が打倒された後は任我行が教主の座に返り咲き、正派では左冷禅が五嶽剣派合併に向けて各派の掌門を嵩山に招集しますが…… 
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絵本楊家将 第17章 山寨招親(前編)

2012年03月23日 | 絵本楊家将
第17章 山寨招親(前編)

佘太君は六郎からの知らせを受け取ると、ただちに出立しました。六郎の息子楊宗保は狩りから戻って来て、祖母が前線に赴いたことを知ると、やはりこっそり屋敷から抜け出して、祖母の向かった方角へと追いかけて行きます。佘太君が前線に到着すると、宗保も追い着いて来ました。六郎と佘太君は宗保のことを怒りはしたものの、彼がかなり陣法を会得しているのを見ると、陣中に引き留めます。

この日、六郎は兵馬を徴集し、かつ孟良を五台山へと派遣して五郎に下山を促させ、陣を破る準備を進めます。孟良は駿馬を駆って五台山へと赴き、五郎に対して天門陣を破るのを協力してほしいと告げました。五郎は孟良にまず穆柯寨で降龍木を取って来させ、それから下山することにします。

孟良は五郎の話を聞き、彼の指し示した方向へと進んでいくと、丘にやって来ました。この時、突然雁が孟良の馬前に落ちて来ました。彼が拾い上げて見てみると、矢がまさに雁の首に命中しています。孟良は心の中で見事な腕前だと喝采しました。

この時、山賊が五、六人連れ立ってやって来ましたが、その中の一人が奇妙な体型をしていて、顔は大きな冬瓜のようです。彼が孟良に向かって来て叫びました。「雁をうちのご主人様に返せば許してやるぞ!」孟良はこれを聞くと烈火のごとく怒り狂い、斧を振るって冬瓜そっくりの男と打ち合いを始めます。

ちょうどこの時、若い女性が「穆瓜、やめなさい」と言うのが聞こえました。冬瓜そっくりの男が手を止めます。孟良が振り返って見てみると、女の武将が手綱を緩めつつやって来るのが見えました。実は彼女こそが穆柯寨の主穆桂英なのでした。孟良の方は取り合おうとはせず、斧を振るって穆桂英に打ち掛かり、穆桂英の方も刀を挙げて迎え撃ちます。二人が四十数合打ち合うと、孟良は段々と受け止めきれなくなり、馬首を巡らせて逃げることにしました。しかしあろうことか彼女の手下によってとっくに道が塞がれており、孟良は大人しく雁を差し出さざるを得ません。穆瓜は更に通行料を要求し、孟良はどうしようもなく、金の兜を脱いで通行料替わりに彼らに差し出すほかありませんでした。

孟良は降龍木が得られず、あべこべに金の兜を差し押さえられ、気が塞いでしまいました。彼は五郎に会わせる顔が無く、軍営へと駆け戻って楊宗保に事の次第を説明し、彼を同行させて仇を討ってもらうことにしました。

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TVB96年版『笑傲江湖』その4

2012年03月22日 | 武侠ドラマ
『笑傲江湖』第22~28話まで見ました。

少林寺を跡にした令狐冲ですが、何だかムシャクシャしていたので魔教と嵩山派の一味に包囲されていた向問天を助けてしまったことで、杭州梅荘の地下牢に幽閉されていた魔教の前教主任我行救出の片棒を担がされた挙げ句、うっかり吸星大法を身に付けてしまうことに。令狐冲が娘の盈盈といい仲と知った任我行は彼を魔教の幹部にスカウトしますが、任我行の言動に何となく嫌悪感を覚えた彼は敢えてその誘いを拒否。

その後、たまたま出会った恒山派の尼僧一行を福州まで護衛することになり、彼女たちの信頼を勝ち得ますが、福州の林家旧宅で岳霊珊と林平之の窮地を救おうとしたところ、何者かに『辟邪剣譜』を記した袈裟を奪われてしまい、おまけにその後林平之や英白羅が殺傷されたことで、岳不群から更に猜疑の目で見られることに。

華山派「令狐冲?魔教と結託し、『辟邪剣譜』を我が物とした裏切り者ではないか!」 恒山派「キーッ!令狐大哥はそんな人じゃないんだからねっ!」という遣り取りを見てると、何だか微妙な気分になってくるのですが(^^;)

しかし林平之は、実は『辟邪剣譜』を奪ったのが他ならぬ岳不群であると、しかも彼が自分の命を狙っていることを察知し、自分の身を守るために岳霊珊との結婚を意識しはじめます。そして皆が寝静まった夜半に黙々と『辟邪剣譜』、もとい遙か昔に華山派より失われた『葵花宝典』の修練に励む岳不群。

一方、少林寺に任盈盈が捕らわれていると聞いた令狐冲は、恒山派の尼僧たちと別れ、邪派の面々と盈盈を救出するべく少林寺へ……

ということで令狐冲も岳不群も林平之も色々と引き返せない所まで来てしまいました(^^;)
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『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)

2012年03月20日 | 映画
『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)の中文DVDを見てみたわけですが、まずは↓の日本語版予告編をご覧あれ。



これだけ見ると「どんなトンデモ映画w」ということになりますが、実際のストーリーは……時は北宋。西夏遠征に出ていた楊家将の第3代当主楊宗保が戦死したという知らせが伝わり、悲嘆に暮れる天波府。しかしそこへ楊家唯一の男子となった楊宗保の子楊文広にただちに出征せよという非情な勅命が。実はこれは楊家の男を根絶やしにしようとする朝廷の奸臣たちによる陰謀であった!楊文広を守るため、楊家の実質上の主である佘太君、文広の祖母六娘柴郡主、そして文広の母で山賊出身の穆桂英ら楊門女将もともに出征することになり……

ということで、実体はごくありふれた中華アクション映画というか、『楊家将』映画です。本当の敵は西夏軍などではなく味方であるはずの朝廷の奸臣だったり、忠君愛国?なにそれ、おいしいの?という展開になる所までしっかり『楊家将』してます。中国ドラマの『楊家将伝記』(原題『少年楊家将』)など、近年の『楊家将』映像作品が忠君愛国の尊さを訴えているように見せかけて、実は忠君愛国のバカらしさをさらけ出すという原典のテーマをスルーする傾向にある中、本作では一応そのテーマに触れているあたり、評価すらできるぐらいです。

しかも「天門陣」とか「降龍木」、「太祖皇帝が柴氏皇族に授けた免死鉄券」(楊文広の祖母六娘は宋に禅譲した後周の皇室出身で、太祖の義妹として宋の皇室に準じた待遇を受けている)など、観客が『楊家将』の物語を大体知っているということを前提にした用語が何の説明もなく出て来るのですが、日本語字幕ではこれらがどう処理されてるのか不安でたまりません(^^;)

……まあ、この作品が色々とネタ要素に満ちているという点は否定しませんけど。でもこんなんで「史上最強のトンデモ映画」ということになるのなら、同じくセシリア・チャンが出演していた『PROMISE』は人類史上に残る世界遺産レベルのトンデモ映画とかいうことになるのでしょうかw
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『刀のアイデンティティ』

2012年03月19日 | 映画
昨日大阪アジアン映画祭の上映作品『刀のアイデンティティ』(原題:『倭寇的踪跡』)を見に行ってきました。

時は明代。舞台は江南のとある街。倭寇との戦いに従事した戚継光将軍の元配下が倭寇の日本刀を改良した長刀を手に、街を牛耳る四大門派に挑戦を仕掛けます。次々と使い手が敗れ去る中、四大門派最高の使い手裘冬月が隠居先より下山し、勝負を挑みますが……

ということで一応歴史的背景らしきものも設定されてはいるのですが、他の武侠映画とはかなり毛色の違った作品となっており、古龍小説式に話の筋など有って無いような展開となっています。まあ、ストーリーよりはシチュエーションを楽しむ作品ということになりましょうか。古龍小説との違いは、割とコメディ要素が強いという点と、登場人物が誰も死なない点です(^^;)

本作では裘冬月を金庸ドラマなどでお馴染みの于承恵が演じているわけですが、主役はあくまで長刀を操る戚継光の元配下だと思っていたら、EDのスタッフロールで一番上に名前が挙がっていたところを見ると、実は于承恵が主役だったようです(^^;) いつものカッコイイ于承恵に加え、武芸はまったくの素人という西域の娘にしてやられる于承恵とか、カッコ悪い于承恵も存分に拝めますw
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『物語 近現代ギリシャの歴史』

2012年03月17日 | 世界史書籍
村田奈々子『物語 近現代ギリシャの歴史』(中公新書、2012年2月)

19世紀のギリシア独立戦争から21世紀の経済危機まで、近現代のギリシャ史をまとめた本ですが、「どうしてこうなったorz」と言いたくなる話ばかりで読み進めるのが辛いです(^^;)

どうしてこうなった その1
独立後、共和制ではなく君主制を選択したことで、他国から国王を迎えることになりましたが、バイエルン王室から迎えられた初代国王オトンはクーデタで国を追われ、ついでデンマーク王室から迎えられた2代目のゲオルギオス1世は暗殺されるという憂き目に遭い、以後も国を追われる国王が続出し、最終的に1974年に君主制が廃止されることに。初代ギリシャ国王の座を寸手の所で辞退してベルギー国王となったレオポルドが超絶な勝ち組に見えてきます……

どうしてこうなった その2
近現代のギリシャでは民衆の口語であるディモティキと、文章語として継承されてきた古代ギリシャ語を口語と折衷させたカサレヴサという二つのギリシャ語が通行し、どちらが正しいあるべきギリシャ語であるか、どちらをギリシャの公用語とすべきであるかをめぐって国民が二つに切り裂かれた。これと比較すると、中国近代の白話運動なんかかわいいものに見えてきますなあ……

どうしてこうなった その3
1910年代から30年代にかけてギリシャの政治を牛耳ったヴェニゼロス。しかし彼の台頭により、ギリシャはヴェニゼロス派は反ヴェニゼロス派に二分され、国家の分裂をもたらした。これと比較すると、橋下派と反橋下派が対立する今の大阪の状況など(以下ry

どうしてこうなった その4
ナチス・ドイツによる占領を脱したのも束の間、今度は共産主義勢力に対する白色テロが横行し、ギリシャ人同士が殺し合うという「兄弟殺し」の状態に。やはりどうしてこうなったとしか……

おまけ
本国では食えないのでアメリカに移住してみたら、アメリカ人から「お前ら本当に古代ギリシャ人の子孫なのかよ?とてもそうは見えないぜw m9(^Д^)プギャー」と、あからさまに侮蔑されるギリシャ人。もうやめて、ギリシャ人のライフはゼロよっ!
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TVB96年版『笑傲江湖』その3 自決によって信念を表明するという文化について

2012年03月14日 | 武侠ドラマ
『笑傲江湖』第15~21話まで見ました。

内力がゼロになったうえ、『紫霞秘笈』を紛失し、仲の良かった陸大有を誤殺してしまったことで超絶に鬱になる令狐冲。(ホントはどちらも濡れ衣なのですが……)更に嵩山派の手先を独孤九剣で撃退して華山派一行の窮地を救うも、技の来歴を明かせないことで岳不群から猜疑を抱かれることに。

で、林平之の母方の実家である金刀王家に身を寄せることになった華山派御一行様ですが、そこで令狐冲の所持していた『笑傲江湖』の楽譜が『辟邪剣譜』と勘違いされ、令狐冲が『辟邪剣譜』を我が物にしたと疑われる事件が発生。しかし緑竹翁とその「姑姑」によって無実が証明されます。実は「姑姑」の正体は魔教の聖姑任盈盈で、令狐冲らは彼女が老婆だと勘違いするわけですが、このドラマでは顔を見せないだけで声は若いままなんですよね(^^;)

その後、林平之の旧宅がある福州へと向かう一行ですが、途中で神医の平一指や五毒教教主藍鳳凰ら邪派の怪人が令狐冲に面会を求めてVIP扱いし、ますます華山派の中で浮いてしまいます。

そして五覇崗で任盈盈と再会した令狐冲ですが、彼女が魔教の幹部であることが明らかとなると、岳不群は彼女をこの場で殺すよう命じます。しかし令狐冲はそれを拒否して華山派を破門されるという道を選ぶことに。ということで、魔教を批難しなきゃ正派の人士に邪派扱いされる状況がいよいよ令狐冲の身に降りかかってきたわけです……

ところで今回のパートを見ている時に、次のようなニュースがありました。

「信念ある人間なら自決の覚悟」維新府議が教員を批判

要するに大阪の学校の卒業式で君が代を起立斉唱しなかった教員に対して、大阪維新の会の府議がチベットのラマ僧の自決を例に挙げつつ「本当に信念ある人間なら自決するぐらいの覚悟があるでしょ」と発言したという話です。

そう言えばこのドラマ、今回見た部分で、令狐冲が岳不群から『紫霞秘笈』を紛失したことを責められる場面で、自決(するふりを)して師の赦しを得ようとする場面が出て来ました。これより前の場面でも魔教の曲洋との関係を問い詰められた衡山派の劉正風がやはり正派の人士の面前で自決(するふりを)して曲洋との関係を全うしようとしたりと、類似のシチュエーションが今まで何度か出て来ております。

自決によって政治的な信念を表明するという文化は、現代のラマ僧を例に挙げるまでもなく、東アジアでは殷末周初の伯夷と叔斉以来の古い伝統を持つものですが、これによって『笑傲江湖』という作品の持つ政治性が再認識されるとともに、維新の会の方々が東アジアの伝統(のダメな部分)を背負っていることが窺われるなと思った次第です。
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絵本楊家将 第16章 呂客布陣

2012年03月10日 | 絵本楊家将
第16章 呂客布陣

蕭天佐は敗北して幽州に逃げ戻ると、蕭太后に楊家将が復帰したことを話しました。蕭太后は楊六郎が死んでいなかったことを知ると、不安で居ても立ってもおられなくなり、全国各地にお触れ書きを発し、才能を持つ人を募集したのでした。

ある日、幽州城の番兵が椿岩という人を蕭太后の御前に連れて来ました。この人が城門に貼ってあったお触れ書きをはがしたというのです。実は、椿岩は自分の師匠である呂客を推薦にやって来たのでした。蕭太后はただちに呂客に昇殿するように伝えさせます。呂客がやって来ると、蕭太后は彼がさわやかで知的な風貌であるのを見て、奇才であるに違いないと思って尋ねました。「先生は仕官なさりたいのですか?」呂客は答えました。「私は仕官に来たのではありません。ただ陛下が宋と戦われると聞き、一臂の力をお貸ししたいと思ったまでです。」蕭太后は大喜びし、更に様々な攻守の策略を尋ねると、呂客はすらすらと返答します。そこで蕭太后は呂客を登用し、ともに宋を討つ計略を協議することにしました。

さて真宗はと言えば、汴梁に戻った後もずっと魏州で包囲された屈辱が忘れられませんでした。この年の春、彼は軍臣の反対を顧みず、王全節を南北招討使に任命し、遼国討伐の兵を起こさせます。

蕭太后はこの知らせを聞くと、すぐさま呂客を呼んで対策を協議します。呂客が言いますには、「小生は布陣に長じておりますので、今すぐ大陣を布きさえすれば、宋の君臣の心胆を寒からしめ、頭を下げて投降させることができましょう。」蕭太后は大喜びし、そこで全国から兵馬を調達し、また近隣の五つの国から兵を借りて、五十五万の大軍をかき集め、呂客に指揮させることにしました。呂客はこれらの兵馬を率い、九龍谷に凶悪な陣を布き、そうして宋軍に挑戦状を送りつけたのでした。

王全節は遼軍の挑戦状を受け取ると、次の日に部下を引き連れて陣を見に行きましたが、陣の中に陰気が満ちあふれ、殺気がみなぎっているのが感じ取られるのみです。王全節はこれが何の陣であるのかわからず、敵陣の情景を図にして描かせ、夜を徹して汴梁まで届けさせ、真宗に上奏させました。真宗は文武の大臣を招集し、陣形の図を逐一彼らに見せてみましたが、誰一人何の陣かわかる者がおりません。寇準が言いました。「やはり楊六郎を召し出してはいかがでしょうか。」楊六郎は命令を受けると、兵を率いて都に赴きます。そして図を受け取り、しばらく眺めてから言いました。「この陣は確かに複雑でございます。私が自ら陣前に赴いて見てみないとわかりません。」楊六郎はすぐさま兵を率いて九龍谷に赴きました。

蕭天佐は楊六郎が陣を見にやって来たのを目にして、全軍に軍令が行き渡るようにし、各陣の守将に声を揃えて掛け声を揚げさせます。蕭天佐が旗をふると、それに合わせて砲声が響き、まるで山が崩れ津波が押し寄せるかのように陣形が動き始めました。その変化の様子は予測しがたく、殺気に満ちあふれています。

六郎は陣前にやって来て長い間陣形を眺め、部下に対して言いました。「私は今までいろんな陣を布いてきたが、こんな変わった陣法は見たことがない。八門金鎖の陣にしては、門の数が六十四個多い。迷魂陣にしては、玉皇殿があるのがおかしい。確かに至極奇怪な陣形だ。私にも何の陣なのか見破れない!」王全節が言いました。「将軍にもわからないとなれば、見破られる者などおりますまい。これは一体どうすれば良いのでしょうか?」六郎が言いました。「私の母はずっと戦に出て、長い間戦場で過ごしてきたから、もしかしたらこの陣を知っているかもしれない。やはり見に来てもらうことにしよう。」

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TVB96年版『笑傲江湖』その2

2012年03月08日 | 武侠ドラマ
『笑傲江湖』第8~14話まで見ました。

林平之の一件が取り敢えず片が付き、いよいよ本題の衡山派劉正風の江湖引退の儀式が執り行われることに。しかしここで嵩山派の横槍が入り、劉正風が魔教の曲洋と知音という名のおホモだち的な付き合いをしており、今回の引退はそのカモフラージュにすぎないと暴露され、劉正風は一転魔教の一味として批難にさらされることに。いわゆる魔教を批難しなきゃ正派の人士に邪派扱いされる江湖がこの場面で描かれるわけですね。

ここで二人が今際のきわに笑傲江湖の楽譜を令狐冲に託すことになるわけです。今回のドラマ版の笑傲江湖のメロディはツイ・ハーク監督の映画版(邦題『スウォーズマン』)の曲「滄海一声笑」とは全く違うものになっていますが、これはこれで雰囲気は出ていると思います。少なくとも、李亜鵬主演ドラマ版での適当なメロディよりはずっといいんじゃなかろうかと(^^;) ということで、下の動画が今回のバージョンの笑傲江湖となります。



で、華山派一同が本拠地に戻った後、令狐冲は思過崖で1年間面壁の罰を受けることに。ここで岳霊珊が令狐冲から新たに弟子入りした林平之に心変わりしていくようになるわけですが、今作ではその過程をオリジナルエピソードを交えてじっくり描いています。岳霊珊が「よくよく考えてみたら、大師兄は私にとって恋人じゃなくお兄ちゃんみたいな存在だったんだわ!」と告白するのを物陰から垣間見て令狐冲がショックを受ける場面とか、誰得なんだという気もしますが(^^;)

そして岳霊珊との関係の変化やら、思過崖の洞穴に魔教の人士が残した壁画(華山派を含めた五嶽剣派各派の技を破る手筋が描かれていた)やらがきっかけですっかり修業する意欲を無くしてしまう令狐冲ですが、そんな彼の前に華山派剣宗の先達風清揚が出現。彼に天下無敵の独孤九剣を伝授され、再びやる気を取り戻します。

しかしそこへ華山派剣宗の残党が嵩山派の威を借りて師父の岳不群に難癖をつけにきたという知らせが。そして更に彼の前に不戒和尚の意を承けた桃谷四仙が襲来し…… という所で次回に続きます。桃谷六仙は「いちいち6人も出してられねーよ!」ということなのか、4人に減ってますw
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