博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『十月囲城』その3

2014年08月27日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第13~18話まで見ました。

李重光(阿四)が替え玉であるという証拠をつかもうとする重甲は、姉の念慈に真相を確かめさせようとしますが、阿四や執事の老丁から事の次第を知らされた念慈は却って重光を本物であると庇い立てします。重甲は尚も諦めずに叔父の部屋に忍び込み、生前の重光が孫文・秦少白ら革命党の面々と写っている写真を入手し、鉄山に提出。鉄山は取り敢えず革命党の一味ということで阿四を別件逮捕のような形で連行して投獄し、あとは拷問で替え玉の事実を自白させることに。

ところが阿四は意外に強情で、自分が革命党の一味であることは認めても替え玉であることだけは意地でも認めません(^^;)(革命党の一味であることを認めたのは証拠写真がある以上否認しても無駄だからですね。)業を煮やした鉄山は阿四を処刑すると見せかけて刑場へと引き立てますが、そこでも替え玉の自白は得られず。

さて、新妻となった区舒雲は重光の正体が香港で出会った人力車引きの阿四であると知りますが、阿四が赤の他人のはずの李玉堂を救出しようとしているのに心打たれ、また窮地に陥った李家の力になりたいということで、父親の区肇新に助けを求めます。区肇新も重光が替え玉ではないかと疑いながらも、重光が鉄山の拷問や脅しに屈しなかったことを評価し、密かに李父子の助命工作を開始。

重光の一件は広州将軍鉄山・広州巡撫区肇新と広州総督の三巨頭による裁判で処理することになりますが、父親の意を承けた舒雲が、重光が孫文らとともに写っている証拠写真が合成写真であると主張し、また阿四が革命党であると認めたのは鉄山の拷問によって自白を強制されたからであると証言を翻したことで、李玉堂・阿四とも無罪放免を勝ち取ります。かわりに新軍建設のための華南制造局を官府と李家による合弁とすることで手打ちがなされます。

阿四の頑張りにより危機を脱した李玉堂は彼を義子として迎え入れることにし、時期を見て留学先のイギリスに戻すという口実で替え玉の役目を終わらせ、阿純とともに今後も面倒を見ると約束。しかし区肇新が重光のイギリス行きを認めるはずもなく、彼を制造局の総裁に据えようと提案。一方、鉄山の方は総責任者に重甲を据えようとし……

阿四が目の治療で入院中の阿純に「オレ、今の仕事が終わったら香港でお前とお店を持つんだ」と、何かのフラグのような台詞を吐いている側から区肇新が李玉堂に重光を制造局の総責任者にするという話をしているのがなかなかに辛いですw 阿四はこれまで身内の李玉堂・区肇新にも敵側の鉄山にも下手に能力と根性があることを印象づけてしまいましたからね……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『十月囲城』その2

2014年08月18日 | 中国近現代ドラマ
『十月囲城』第7~12話まで見ました。

区舒雲との結婚を迫られ、李家から逃亡を謀る阿四ですが、ここで阿純のことを知った李玉堂が彼女の目の治療のために手を尽くしていることが判明。阿純の説得もあり、阿四は李玉堂のために尽くすことを決意します。ここらへんから偽の父子のはずの阿四と李玉堂が心を通わせていくようになります。

一方、秦少白ら革命党の一味は舒雲と阿四の結婚式を利用して鉄山の暗殺を計画。まずは来賓として式場となる李家へと移動しようとする鉄山を狙いますが、今度は鉄山が身代わり作戦を使って難を逃れ、ついでに身代わりつながりから、今の李重光は影武者ではないかと悟ります。しかしこの場面は革命党と鉄山を守る官軍による爆破&銃撃シーンが繰り広げられ、やたらと派手です。これですよ!こういうのが見たかったんですよ!!(゜∀゜)

そして鉄山は革命党の襲撃騒ぎで一旦中止となった結婚式を敢えて強行させ、李重光の正体を暴き出そうと探りを入れます。一方、革命党の方もメンバーの楊新が秦少白の制止も聞かず結婚式に侵入。祝いの劇を披露する劇団員の花青とともに鉄山暗殺を謀りますが、あえなく失敗。李玉堂が暗殺計画の黒幕だろうということで身柄を拘束され、阿四に李家を託して鉄山に連行されていきます。花嫁の父区肇新はこれ幸いと婚約を破棄し、舒雲を区家に連れ戻そうとしますが、彼女は李家を見捨てようとする父親に反発して実家に戻ることを拒否。

鉄山は李重甲を通じて、李家の機械工場を献上すれば李玉堂を釈放すると約束。機械工場を新軍(西洋式の軍隊)建設に利用しようという腹です。この話に乗ろうとする重甲ですが、阿四は献上しても鉄山が約束を反故にするのではないかと危惧。舒雲を区家に送還するのを口実として、区肇新に仲介を頼みます。区肇新の方も、李玉堂の次は自分が鉄山の標的ということで、鉄山と自分とどちらに着くか迷っている李重甲をいいように利用し、鉄山に拘束されている実行犯花青を毒殺に追い込んで口封じ。区肇新にしてやられた鉄山は、今度は李重光が影武者である証拠をつかんで李玉堂・区肇新を追い込もうとしますが……

ということで、阿四と李玉堂、阿四と区肇新とのやりとりなど、やはりアクションシーン以外にも見所があり、かなりの当たり作品ではないかと思えてきました。呉孟達(ン・マンタ)演じる区肇新はコミカルさと老獪さがにじみ出る人物像になってますね。


鉄山とともに本作のきたないなさすが担当要員です(^^;)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『十月囲城』その1

2014年08月06日 | 中国近現代ドラマ
『孫文の義士団』(原題『十月囲城』)のドラマ版『十月囲城』を見始めました。今回は第1~6話まで鑑賞。

1909年10月、中国同盟会13省代表者会議の開催地香港に孫文が到来し、彼を捕らえようと新任の広州将軍兼欽差大臣の鉄山が香港中に警備網を敷きます。孫文のシンパである中国日報社の秦少白は彼の影武者となって鉄山らの目を惹きつけ、その隙に孫文を香港から脱出させようと図り、本作の主人公車引きの阿四を雇いますが、孫文の機密秘書でイギリス帰りの李重光が勝手に秦少白に成り代わり、孫文の影武者として阿四の人力車に乗り込み、鉄山らをおびき寄せ、鉄山に弓矢で射殺されてしまいます。

と、この第2話まででおおむね映画版でのストーリーは終了し、以下、ドラマ版のオリジナルストーリーが始まります。まあ、全60話かけて映画版と同じくちんたら孫文の影武者護衛団の仲間集めとか、彼らのサイドストーリーが語られても困るんですが(^^;) ここで主要人物の紹介をば。


主役の王阿四。婚約者で盲目の阿純の目の治療費を稼ぐために秦少白に雇われたりと危ない話を渡ります。李重光と瓜二つ。というか鍾漢良(ウォレス・チョン)が李重光と1人2役で演じてます。


孫文ら革命党を追う清朝の軍人鉄山。新版『水滸伝』の林冲役などでお馴染み胡東が演じてます。


たぶん本作のヒロイン区(おう)舒雲。広東巡撫区肇新の娘で、秦少白と恋仲。その縁で革命党のシンパとなる。

重光の父親で広東の豪商李玉堂は、老太太(彼の老母)が今際の際に最愛の孫重光に会いたがっているということで、重光の死を隠し、彼と瓜二つの阿四を大金で雇って重光に仕立て上げて広東の李家に帯同。老太太がもうあと数日しかもたないということで契約に応じた阿四ですが、案に相違して孫の顔を見てて小康状態にまで回復してしまう老太太。

更に鉄山も孫文の香港脱出に李重光や区舒雲が関与していると突き止め、彼らの父親である李玉堂と広東巡撫区肇新(周星馳映画でお馴染み呉孟達が演じてます)を追い詰めるべく広東に到来。広東の地方高官や商紳が集まる公開の場で李家・区家と秦少白との関係(秦の父親がかつて広東の地方高官で、その縁で秦少白が区舒雲の家庭教師を務めたり、李玉堂が彼の新聞社に資金援助していたりしたらしい)を問い詰められ、答えに窮した区肇新は、中国日報社で李重光と区舒雲が逢い引きしていたということにし、帳尻合わせのために2人の婚約をまとめてしまいます。

しかし区舒雲については、李重光の従兄(李玉堂の亡兄の子)で区肇新のお気に入りの部下李重甲も叔父や上司に彼女との婚約を申し出ていたのでした。李家の長孫とはいえ父親のいない彼の立場は微妙なものがあり、彼は舒雲との婚姻によって自分の立場を強めようとしていたのです。重光と彼女との婚約を知り、悲嘆に暮れる重甲ですが…… 一方、阿四も阿純の存在をよそに勝手に婚約をまとめられて困惑し……

ということで『孫文の義士団』のドラマ版だということを気にしなければ、今のところ割と出来のいい作品ではないかと思います。第2話で繰り広げられるアクションシーンのほか、登場人物同士のやりとりもなかなか見せるものがあります。あとは60話までこの調子が続くかどうかですが……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2014年7月に読んだ本

2014年08月01日 | 読書メーター
日清戦争 (中公新書)日清戦争 (中公新書)感想
個人的には戦争の経過をまとめた第1~4章よりも、メディアや地方との関係、講和とその後の動きなどをまとめた第5章以下の話を面白く読んだ。日清戦争が朝鮮との戦争・清との戦争・台湾での戦争の3つによる複合戦争であること、三国干渉など日清戦争が外交で失敗した戦争であることについては納得。
読了日:7月3日 著者:大谷正

第一次世界大戦 (ちくま新書)第一次世界大戦 (ちくま新書)感想
開戦百周年ということで第一次世界大戦関連本が出まくっていますが、著者がこの分野の第一人者ということで、その真打ちとも言える書ではないかと。本書は大戦の背景・戦争の経過・歴史的な位置づけについて、新しい知見も交えつつ丁寧にまとめています。「第一次世界大戦」はどう呼ばれてきたかという呼称の問題、「総力戦」の定義、ヴェルサイユ条約はドイツにとって受け入れられないほど過酷だったのか等々、面白いトピックも盛り込まれています。
読了日:7月15日 著者:木村靖二

入門 老荘思想 (ちくま新書)入門 老荘思想 (ちくま新書)感想
最新の出土文字資料による研究の成果も盛り込まれているが、基本的にはタイトル通り普通の老荘思想の入門書。中国ドラマ『孫子大伝』で孫武・孔子・老子が会見するシーンがあることが取り上げられているが、この三者の対面シーンは他のドラマでも存在するので、春秋後期を舞台にしたドラマではお馴染みの展開ではないだろうか。
読了日:7月18日 著者:湯浅邦弘

「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学 (講談社学術文庫)「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学 (講談社学術文庫)感想
「カイザーの国」の歴史学の流儀を「ミカドの国」で貫き通そうとした男たちの苦闘と挫折の軌跡。本書で扱う久米事件や南北朝正閏論争はイデオロギー的な問題であるとともに、アカデミックな議論が一般にどう受け入れられるか(あるいは受け入れられないのか)という問題でもあるように思う。大河ドラマの『平清盛』で噴出した「王家」問題に見られるように、お雇い外国人リースによって形成された日本の歴史学界が今後とも同様の問題に直面することになるのだろう。
読了日:7月22日 著者:関幸彦

プリニウス (1) (バンチコミックス45プレミアム)プリニウス (1) (バンチコミックス45プレミアム)感想
話題になっていたので読んでみたが、残念ながら今のところ考証の部分の面白さが物語やキャラクターの面白さにつながっていない感じ。同じ西洋古代物では『ヒストリエ』より一段落ちるなと…
読了日:7月22日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき

白蓮れんれん (集英社文庫)白蓮れんれん (集英社文庫)感想
『花子とアン』の関係書ということで読んでみたが、ドラマで見覚えのあるエピソードがちらほら出てくる反面、ドラマに出てくる白蓮と伝助(本作の伝右衛門)は実際の人物像をだいぶ薄めていたんだなと思った次第。白蓮とともにその義妹の初枝を視点人物とすることで、伝右衛門だけでなく(こう言ってはナンだが)白蓮も相応にクズに見える。
読了日:7月25日 著者:林真理子

増補 靖国史観: 日本思想を読みなおす (ちくま学芸文庫)増補 靖国史観: 日本思想を読みなおす (ちくま学芸文庫)感想
元のちくま新書版に第四章と與那覇潤氏による解説を加えた増補版。新書版を読んだ時にも思ったが、靖国神社が正義の皇軍が敗北するという可能性を想定した施設ではなかったこと、かつ「モダン」じゃない普通の日本人の感性にマッチする施設であることが問題をややこしくしているのだなあと。
読了日:7月29日 著者:小島毅

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする