森安孝夫『興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国』(講談社、2007年2月)
というわけで今回は本編の内容についてです。中華主義的な見方を極力排して唐の建国や安史の乱を見ていくとこういうことになるのかと思いつつ読み進めていきました。隋・唐が鮮卑系の王朝であるという点はこの本のようにくどいぐらい強調して丁度良いぐらいかもしれませんね。
しかし序章・あとがきのみならず、本編でも以下のように森安氏のルサンチマンらしきものが見え隠れするのが何とも……(^^;)
○反シルクロード史観に異議ありッ!
近年中央アジア史やイスラム史の立場から、シルクロードによる東西貿易はほとんど実体を伴わないものであったとしてシルクロードの意義を抹殺するような見解が提出されていますが、シルクロード商業の実態を示す史料がたくさん存在するとしてこれに反論。またイスラム側からのみの視点で中央アジア史を見ることにも疑問を呈しています。
何かいろんな方面に喧嘩を売っておりますなあ(^^;) 実を言うと「シルクロードなんて実体のない怪しげなもんだ」という話は私も昔イスラム史の先生の講義で聞いたことがありますが、こうした声によっぽど悔しい思いをされていたんでしょうか……
○日本のソグド人研究は最先端を進んでいるはずなのに、欧米の研究者は日本人の研究をほとんど参照していないッ!
森安氏は「最先端の水準さえ保っていればいつかは報われるであろう」なんて書いてますが、これからはもう英語か中国語で論文を発表するしかないんでしょう……
以下は本書で面白いと感じた小ネタです。
○ソグド人は匈奴のことをフンと呼んでいた。
○ソグド人集団は『三国志』にも顔を出していた。
○751年のタラス河畔の戦い以前、8世紀の第1四半世紀には既にソグド本土で紙が流通していた。
○安禄山の禄山はソグド語の「ロフシャン」の音写で「明るい」の意。
……「米禄山」という同名の胡人が存在したとのこと。「安禄山の名はアレクサンドロスの音写」というのは俗説だったようです。そもそも安禄山の安姓は出身地の安国(ブハラ)にちなむもので、しかも母が再婚した際に康姓から改姓したとのことですしね。
というわけで今回は本編の内容についてです。中華主義的な見方を極力排して唐の建国や安史の乱を見ていくとこういうことになるのかと思いつつ読み進めていきました。隋・唐が鮮卑系の王朝であるという点はこの本のようにくどいぐらい強調して丁度良いぐらいかもしれませんね。
しかし序章・あとがきのみならず、本編でも以下のように森安氏のルサンチマンらしきものが見え隠れするのが何とも……(^^;)
○反シルクロード史観に異議ありッ!
近年中央アジア史やイスラム史の立場から、シルクロードによる東西貿易はほとんど実体を伴わないものであったとしてシルクロードの意義を抹殺するような見解が提出されていますが、シルクロード商業の実態を示す史料がたくさん存在するとしてこれに反論。またイスラム側からのみの視点で中央アジア史を見ることにも疑問を呈しています。
何かいろんな方面に喧嘩を売っておりますなあ(^^;) 実を言うと「シルクロードなんて実体のない怪しげなもんだ」という話は私も昔イスラム史の先生の講義で聞いたことがありますが、こうした声によっぽど悔しい思いをされていたんでしょうか……
○日本のソグド人研究は最先端を進んでいるはずなのに、欧米の研究者は日本人の研究をほとんど参照していないッ!
森安氏は「最先端の水準さえ保っていればいつかは報われるであろう」なんて書いてますが、これからはもう英語か中国語で論文を発表するしかないんでしょう……
以下は本書で面白いと感じた小ネタです。
○ソグド人は匈奴のことをフンと呼んでいた。
○ソグド人集団は『三国志』にも顔を出していた。
○751年のタラス河畔の戦い以前、8世紀の第1四半世紀には既にソグド本土で紙が流通していた。
○安禄山の禄山はソグド語の「ロフシャン」の音写で「明るい」の意。
……「米禄山」という同名の胡人が存在したとのこと。「安禄山の名はアレクサンドロスの音写」というのは俗説だったようです。そもそも安禄山の安姓は出身地の安国(ブハラ)にちなむもので、しかも母が再婚した際に康姓から改姓したとのことですしね。