博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『聊斎 小翠』

2007年08月30日 | 中国古典小説ドラマ
太常の王鴻智の子、元豊(ジミー・リン)は精神が子供のままの知的障害者で、両親は生涯彼の面倒を見てくれる嫁がいないものかと思い悩む日々を送っています。

王鴻智は若い頃に狐の精の虞姫の命を助けたことがあり、その恩返しとして息子の嫁を求め、虞姫は娘の小翠(李冰冰)を嫁として送り込みます。はじめは母親に捨てられたとふて腐れる小翠ですが、次第に彼と打ち解けていきます。彼女は母親のライバルである蛇精の姫の力を借りて元豊の障害を治そうとしますが……

狐の精に蛇の精が出て来て派手な妖術合戦を繰り広げ、おまけに終盤では天界の雷神まで登場し、神怪物っぽい雰囲気に仕上がっています。このドラマ、エピソードごとに見事に雰囲気が変わりますね。

ちなみに原典では小翠は玉帝の娘という設定になっており、また元豊の障害が治ってまずはめでたいという展開になるのですが、ドラマの方ではこれが一筋縄ではいきません。ただ、ラストの展開がちと急ぎすぎたのが残念……
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『甲骨文字の読み方』

2007年08月28日 | 中国学書籍
落合淳思『甲骨文字の読み方』(講談社現代新書、2007年8月)

殷代甲骨文字の解読の仕方や文章の読み方を初歩の初歩から解説した入門書です。

甲骨文の入門書としてはよく白川静の『甲骨文の世界』が取り上げられますが、あれはこの本に書いてあるようなことを一通り飲み込んでいる人が読む本で、入門書だと言われると少々違和感があるのも事実。また最近中国で(おそらくは殷墟が世界遺産に登録された関係なんでしょうけど)甲骨文の解説書が出まくってますが、それらも発見史・研究史を解説したものがほとんどで、文字の読み方から解説したものは無いと思います。

ただ、入門書として残念なのは参考文献の紹介が無いことですね。それこそ『甲骨文の世界』の末尾の参考文献欄を見ろということになるんでしょうけど、そちらの方は今から35年も前に出た本ということもあって、『甲骨文合集』などここ2~30年で出版された著録書・工具書については紹介されておりません。やはり21世紀の時点での参考文献一覧が欲しかったところです。
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『大漢風』第47話

2007年08月26日 | ドラマ『大漢風』
今週は妊娠した戚姫が劉邦に産まれる子が男児なら皇太子にして欲しいとおねだりする場面から始まります。その様子を側室二人とともに盗み聞きする呂后。三人して戚姫をシメる相談をしておりますが、このドラマ、どうやら劉邦の死で終わるみたいなんですね。残念ながら(?)戚姫が人彘にされてしまう場面は存在しないか、あったとしても大幅に省略されてしまうんじゃないかと(^^;) かたや戚姫の方も、呂雉と審食其がデキているらしいと劉邦に告げ口。劉邦は呂后に「身を慎め」と釘を刺します。

前回でそれぞれ朱家と韓信に匿われることになった季布と鍾離昧ですが、季布は朱家の奔走によって罪を許され、漢に郎中として仕えることになります。一方の鍾離昧は朝廷に降伏を申し出ようという韓信の説得に耳を貸さず、そうこうしているうちに鍾離昧が韓信のもとに匿われていることが朝廷にバレてしまい、鍾離昧は自殺、韓信は謀反人として捕らえられることに…… 

人の目のある所では韓信に冷たい態度を取りつつも、こっそり牢獄まで出向いて「俺もホントはこんなことしたくなかったんだよ。でも実は俺だってお前のことを信頼しているんだぜ?今度の恩赦でお前を許してやるからさ、それまでちょっと我慢をしろよ」と、韓信に心にもない温かい言葉をかける劉邦がなかなかイカします(^^;)

結局韓信は楚王から淮陰侯に格下げとなりますが、今の所まだ君姫は妙な動きを取っておりません(笑)
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鉄血大旗門ズ@ウサギ幇会

2007年08月26日 | 旅行・オフ会・展覧会
昨日は関西幇会の常連・大兎さんのお宅にお邪魔しておりました。

関西幇会の面々でお土産やらDVDを持ち込み、大兎さん宅のウサギちゃんと遊ぼう!という企画でした。めいめいウサギちゃんの様子を見てナデナデしつつ、チャンネルNECOで放映の『大旗英雄伝』を鑑賞してました。やっぱりこの手のドラマはみんなでツッコミ入れながら見るのが楽しいですね。で、ツッコミの対象はほとんど、凄まじいほどの思い込みの激しさとおバカぶりを発揮する雲錚になってしまうわけですが(^^;) 
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『聊斎 画皮』

2007年08月24日 | 中国古典小説ドラマ
このエピソードの主人公は江華演じる王安旭と潘儀君演じる陳楚彗の夫婦。王安旭は貧乏な家の出ながら科挙に及第し、更に画才によって皇帝・皇后のお気に入りとなった人物で、陳楚彗の方は翰林学士の娘で皇后の姪という名門の出です。王安旭は妻の従兄弟の依頼で人間の皮膚で作られた画紙に美人図を描くことになりますが、この絵から美人が浮き出て実体化し、王安旭の前に現れたことから騒動が始まります。

前回の『陸判』はコメディタッチで、ほぼ勢いだけでラストまで爆心して行きましたが、こちらの『画皮』は全体的にしっとりとして怪談っぽい仕上がりになっております。絵から実体化した美女は実は王安旭と因縁のあった人物の霊が乗り移ったもので、彼女によって王安旭の旧悪が暴露されていきます。

このエピソードの冒頭で陳楚彗が夫と侍女の紫嫣との仲を疑い、紫嫣に無実の罪を着せて屋敷から追い出そうとしたところ、彼女が自殺してしまい、以来屋敷で怪現象が頻発するというくだりがあるのですが、この紫嫣に関する話は後の部分で全く絡んできません。一体何の意味があったのか謎です……
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ハリー・ポッターと中華帝国?

2007年08月22日 | ニュース
よそさまのブログで取り上げられていた記事ですが、個人的にかなりヒットしたネタなので、うちでも取り上げることにします。

原作者は激怒!ニセ第8章「ハリーポッターと中国帝国」発見―上海市 (レコードチャイナ)

要するに『ハリポタ』のパチもんが上海で売り出されているという話なんですが、そのタイトルが『ハリー・ポッターと中国帝国』。内容は記事によると、「中身はハリーポッターの登場人物と中国歴史文学の有名人をごちゃ混ぜにして、そこに中国の武侠小説と西洋魔術の要素を取り入れた」というものだそうで、そうなると俄然、詳細なストーリー展開が知りたくなってくるわけであります(^^;)

以下、私が想像する『ハリー・ポッターと中国帝国』です。

復活したダンブルドアの口から、ハリーが実は岳飛、ヴォルデモートは秦檜の生まれ変わりで、二人は前世の因縁により戦う運命にあったことが明かされる。神仙や妖怪を次々と配下に収め、勢力を拡大するヴォルデモート。

天上の玉帝と西王母もこの事態を捨て置けなくなり、ハリーの助っ人として八仙を送り込むが、あろうことかそのうちの半数がヴォルデモートの配下となる。ハリーはやはり助っ人に駆けつけた孫悟空や 哪吒から九陽真功、乾坤大挪移といった絶技を授けられるが、一方のヴォルデモートも九陰真功と降龍十八掌を修得。そして更に『葵花宝典』を入手したことにより、最強の魔人へと変身した!ハリーは果たしてヴォルデモートを打ち破り、前世の因縁を断ち切れるのか!?

天界の神仙の存亡を賭けた戦いが、いま切って落とされる!!

まあ、実物を読んでみたら「俺の妄想の方が面白かったYo!」と嘆くことになるんでしょうけど(^^;)
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祖谷渓・かずら橋

2007年08月22日 | 旅行・オフ会・展覧会
外は突如として暴風雨が吹き荒れています。これで今度こそ涼しくなるといいなあ……

昨日は友人三人連れで徳島県は祖谷渓まで行ってました。春に行った長浜と同じくJRの日帰りツアーです。

まずは新幹線で岡山まで出て、そこから特急に乗り換え、瀬戸大橋を渡って大歩危へ。そして駅からマイクロバスに乗り込んで祖谷渓の旅館に向かい、そこで鮎の塩焼きや田楽、田舎蕎麦といった名物料理を味わうというコースです。

下の写真は旅館のベランダから撮った祖谷渓です。深いです……



食事の後は硫黄の香り漂う露天風呂に入り、(湯泉は谷底の方にあるので、旅館からケーブルカーで下っていきます)そして腹ごなしにとかずら橋を渡ることに。



かずら橋はサルナシ(しらくちかずら)という植物でできた吊り橋ということですが、(wikipediaに項目が立ってますね……)床の部分の横木の間隔が広いうえに、結構揺れます(^^;)

暑いうえに山道で車酔いにも見舞われましたが、楽しい1日でした。
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『興亡の世界史07 ケルトの水脈』

2007年08月20日 | 世界史書籍
原聖『興亡の世界史07 ケルトの水脈』(講談社、2007年7月)

ケルト人・ケルト文化と言えばアイルランドが思い浮かびますが、本書によるとアイルランドとケルトとの歴史的な関わりは存外に薄く、アイルランド人がそのルーツをケルトに求めるようになったのも20世紀に入ってからとのことです。

またドルイドも本来は古代ギリシアのピュタゴラス派の影響を受けた知識階層であり、現在我々がイメージするような呪術師・魔法使いとしてのドルイドは、本来ドルイドとは無関係であったシャーマンを古代ローマ人などがドルイドと取り違えたことによって作られたイメージであるとしています。

このように本書では我々がケルトに抱いているイメージというか幻想を打ち砕きつつ、古代のケルト人の状況から、近現代のフランス・ブルターニュなどでケルト文化が見出され、注目されるようになる背景を見ていきます。

個人的にはケルト文化を見ていく前提の話で、言語圏と民族の分布が必ずしも一致しないとか、古来の習俗はその継承を支える特別の事情がない限り生き残ることはないといった指摘が面白かったですね。
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『大漢風』第46話

2007年08月19日 | ドラマ『大漢風』
暑い日が続きます。私の住んでいる地域ではさきほどから雨が降り出しましたが、これでちっとは涼しくなるといいのですが……

で、今週の『大漢風』であります。群臣の推挙を受け、いよいよ劉邦が漢王朝を樹立し、皇帝に即位。呂雉も自らは皇后に、息子の劉盈が皇太子に冊立され、ご満悦の様子。

その陰で、うっかり生き残ってしまった季布と鍾離眛は漢の追っ手からの逃亡生活を送っています。季布は長かった髪をバッサリ切ってしまい、奴隷となって追っ手の目をくらまそうとしたところで豪族の朱家に買い取られ、事情を知った朱家に匿われることに。季布と朱家の話はスルーされてしまうかなあと思ってましたが、嬉しいことにきっちりやってくれるようです。

一方、鍾離眛は韓信を訪ねて匿ってもらうことに。このドラマでは韓信と鍾離眛とが仲良くしていた描写がなく、終始鍾離眛が韓信をバカにしていたようなイメージしかないので、この辺りの展開は苦しいところです。まあ、ジャイアンが都合のいい時だけのび太を心の友呼ばわりするのと同じようなもんでしょうか(^^;)
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『聊斎 陸判』

2007年08月17日 | 中国古典小説ドラマ
『聊斎志異』のドラマ版『聊斎』は全36集で、「陸判」「画皮」「阿宝」「小翠」「小倩」「小謝与秋容」の6エピソードからなります。(それぞれの原典は岩波文庫版の訳本に翻訳が掲載されてます。)現在Yahoo!動画で「小倩」が無料で鑑賞できますが、今回は中文版DVDで「陸判」を鑑賞。

このエピソードでは二組のカップルが主役となります。一組目は黄暁明演じる薬屋のせがれの白揚と、胡可演じる張小曼のカップル。二人は幼い頃からの許嫁でしたが、白揚の父が冤罪で処刑されてから、張家では小曼と白揚の婚約を破棄しようと画策します。二組目のカップルは愚鈍な文人の朱爾旦と、がさつで不細工だが気の良い妻の柯少容。悲壮感漂う白・張のカップルに対し、朱爾旦夫婦の緊張感の無いバカップルぶりは凄まじいものがあります(^^;)

しかし朱爾旦が冥府の官僚の陸判に目を付けられ、洪秀才の心臓と取り替えられてから事態は一変。そのおかげで急に頭が良くなった朱爾旦は、洪秀才殺人の罪に問われた白揚の無罪を証明して評判を上げる一方で、今度は陸判に妻の少容の頭を美人の頭と取り替えるように要求します。陸判は不運にも悪漢に殺された小曼と少容の頭を取り替えますが……

このエピソードの見所のひとつは朱爾旦夫婦の変貌ぶりです。科挙を目指しているくせに気の利いた対句も作れないものの、気の良い青年だったのが、心臓を取り替えられて以後、冷酷で狡猾な人物へと変わっていくさまを朱爾旦役の役者さんがうまく演じ分けています。胡可もおしとやかな小曼と、頭部が入れ替わったものの、性格は以前のままがさつな少容の二役を好演しています。少容は頭が小曼のものと入れ替わった後は服装が肩出しルックになるのに笑ってしまいましたが(^^;)

もうひとつの見所は、『大漢風』の李斯役でおなじみ李立群演じる陸判。心臓を入れ替えた後の事後処理をうっかり怠って人間界で騒動を引き起こしたり、自分の勝手で運命が変わってしまった朱爾旦の尻ぬぐいに奔走させられたりする役柄をコミカルに演じています。

後のエピソードもこの調子で展開するのなら、見ていくのが楽しみですね。
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