博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『楚漢伝奇』その8

2013年08月31日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』第47~53話まで見ました。

韓信は諸侯分封を機に項羽に見切りを付けて楚軍より退役。封地へと移動中の漢軍に仕官し、蕭何の護衛となって売り込みをはかります。楚軍ではこの自己アピールのウザさが毛嫌いされたわけですが、張良が韓王のもとに召喚され、人材不足に悩む漢軍ではこれが功を奏し、治粟都尉に昇進します。で、治粟都尉として順調に功績を立てますが、そこから一向に昇進の音沙汰がないのに絶望して漢軍より逃亡。これを知った蕭何が彼を連れ戻すべく後を追います。

蕭何「キミ、どうして逃亡なんかしたんだい?」 韓信「だってオレを大将軍にしてくれないから(´・ω・`) 」 蕭何「キミにいくら才覚があってもいきなり抜擢できるわけないだろ、常識的に考えて」 韓信「でも大将軍以外やる気ないよ?オレ」 蕭何「……わかった。そこまで言うのなら私が何とかしてやろう。」……蕭何さん、そいつを甘やかしたらアカンでw

そして樊噲・盧綰ら宿将たちのブーイングを抑えつつ、大将軍に就任する韓信。まずは張良が去り際に焼却した蜀の桟道を修復させ、そこから関中を攻めると見せかけ、別ルートから陳倉を襲撃。そしてそこから更に廃丘を攻めたいところですが、南陽の王陵の動きが気になるということで、王陵と旧知の盧綰を呼び出します。

韓信「王陵が我が軍を支援するよう、あなたに説得に行ってもらいたいのだが」 盧綰「オレ、王陵とは知り合いでも何でもないっすよw」 韓信「えっ、だって二人とも豊邑の出身って……(´・ω・`)」 盧綰「確かにそうですが、だからって知り合いとは限らんでしょう。豊邑には何千人もの人が住んでるんですぜm9(^Д^) 」 韓信「」

まあ、実際のところは知り合いなのに、盧綰が意地悪して知り合いじゃないと言ってるだけなんですけどねw そして事が露見して劉邦に呼び出しを食らい、罵倒される盧綰さん…… そんな韓信も廃丘を陥落させ、章邯を敗死に追い込んだことで、次第に周囲の見る目が変わっていきます。そしてある日、彼にとっての生きる死亡フラグ蒯徹と遭遇。

一方、これと前後して中陽里の劉太公や呂雉のもとに、劉邦からのお迎えの使者が到来。しかし呂雉は曹姫・劉肥母子や、これまで散々自分をいびってきた劉仲の妻を置き去りにします。劉仲の妻は呂雉を「忘恩負義!」と罵っていますが、むしろ恩怨を忘れていないからこそ置き去りにしているんですよねえ……

しかし劉邦の根拠地檪陽に着いてからも彼女の試練は終わらず、今度は後の趙王如意を懐妊した戚夫人とのバトルが発生。戚夫人自身は呂雉と仲良くしたいのですが、世話係の叔母満姑に「お腹の子とあなたの将来のため」と入れ知恵され、呂雉から冷たい仕打ちを受けていると周囲に見せかけ、劉邦の呂雉に対する信頼失墜をはかります。……なんで『後宮甄嬛伝』みたいな展開になってるんでしょうかね。
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『楚漢伝奇』その7

2013年08月22日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』鑑賞を再開しました。今回は第41~46話まで鑑賞。

章邯率いる20万の秦軍の降伏を受け入れた項羽ですが、俘虜となった秦兵が龍且ら楚将や楚兵からあからさまな侮蔑を受け、更に食糧の配給も少ないということで、一気に不穏な雰囲気に。密偵によってその空気を察した司馬欣ですが、手をこまねいている間に秦兵が蜂起。項羽に寛大な処置を求める章邯ですが、結局秦兵を追い詰めて穴に生き埋めに。その虐殺を聞いて虞姫もドン引きしております……

さて、その間に劉邦は秦王子嬰の降伏を受け入れ、項羽に先駆けて咸陽に入城。宮城で胡亥の寵姫と遊びほうけている間に、呂雉や劉太公らが暮らす中陽里の実家では魏の逃亡兵が押し入って大変なことに…… 劉邦と対比させるかのようにこういう場面をねじ込むのはやめろ(´;ω;`) 結局呂雉が魏の逃亡兵を殺害して事なきを得ますが、数々の試練を経て呂雉がだんだん勝ち気な才女からデスクイーンへと変貌していってますね。

咸陽の劉邦も、崤関を守る配下の軍が項羽の進軍を阻止したことが指弾の的となり、項羽側から釈明を求められ、咸陽から㶚上へと退避。そして項羽・范増との会見、すなわち鴻門宴とあいなります。劉邦を出迎えた項羽が「おう、関中王のお出ましだな!」と、いきなり嫌味をかまししたりしてますがw

そして宴の場での項荘の剣の舞や樊噲の闖入などを経て厠へと退避した劉邦ですが、ここでいきなり雍歯が再登場。劉邦から追放された後に項羽の兵士となっていた模様。劉邦に散々悪態をつきつつも逃亡を手助けし、更に曹無傷が項羽・范増に通じていることを教えてやります。ひょっとしてこのことが後の雍歯封侯の伏線になるんでしょうか…… (史実では項羽を破った後、劉邦は以前の裏切りを水に流して雍歯を侯に封じている)

で、項羽が咸陽に入城すると、ともに入城した諸侯が略奪に走り、更に項羽は子嬰に自害を迫ったうえに咸陽を火の海に。その後改めて諸侯を分封しますが、范増らに咸陽に拠点を置いて天下の主となれと薦められても耳を貸さず、秦地は章邯らに任せ、自らは西楚の覇王として彭城に拠点を置くことに。

一方、劉邦は漢中王に封じられますが、そこへ項羽から「これからは戦の機会もないから諦めて故郷に帰れ」と言われた呂馬童が、武人としての活躍の場を求めて劉邦の配下になります。呂馬童と言えば垓下の戦いで項羽を討ち取ることになる武将の一人ですが、こういうキャラの配置だけは丁寧なドラマなんですよね……
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『風立ちぬ』【ネタバレあり】

2013年08月16日 | 映画
宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』を見てきました。

色々物議を醸している本作ですが、実際に見てみたところ、イタリアが生んだ偉大な航空技術者カプローニと夢の中で交信する能力を得た堀越二郎青年が、三菱に入社して人類の「呪われた夢」飛行機設計に挑むファンタジー巨編でした(^^;) そしてバッド・エンドのはずなのに、ラストシーンでこみ上げてくる謎の感動……

ジブリ作品で謎の感動と言えば、『もののけ姫』でもヒロインのサンがアシタカらに別離を告げるラストシーンでなぜか未来への希望のようなものを感じましたが(個人的にジブリ作品で一番好きなラストシーンです)、今回のラストシーンはそれに匹敵すると思います。

零戦など戦闘機とか、堀辰雄・トーマス・マンの『魔の山』など文学関係の予備知識については、あれば作品への理解は深まるでしょうけど、必須のものではないでしょう。これは『もののけ姫』を見るのに網野史学の素養が必須というわけではないのと同じですね。作品の背景については、それこそ『もののけ姫』の時みたいに解説本が出るんじゃないかと。さしあたって堀越二郎の設計した戦闘機が戦争に使われ、特攻などで多くの犠牲者を出したことさえ知っていれば充分ではないかと思います。……それでも小学生以下の観客にはかなり厳しい条件ですが。

前作の『ポニョ』を見た時は「宮崎駿は大丈夫なのか?」と思ってしまいましたが、今作に関しては大丈夫です。

堀越二郎と妻菜穂子の結婚生活については、作品中でも夫妻の居候先の黒川課長が言っていたようにエゴイズムには違いないでしょうけど、あれはあれで良かったんじゃないかと。当時の医療状況から考えると、結核の療養とは言っても要するに空気のいい所で日光浴をしながら静養し、栄養の付くものを食べるというだけのものなので、サナトリウムに戻っても回復する確率がどれほどのものだったのか……
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『ゲーム・オブ・スローンズ第一章 七王国戦記』その2(完)

2013年08月15日 | その他映像作品
『ゲーム・オブ・スローンズ第一章』第6~最終10話まで見ました。

キャトリンがティリオンを人質に取り、それに激怒したジェイミーがエダードを襲撃したことで、スターク家とラニスター家が一触即発の状態に。おまけにロバート王が猪狩りで重傷を負い、「王の手」のエダードに後事を託してそのまま永眠。前任の「王の手」ジョン・アリンの死因を探るうちに、王妃サーセイ所生の王子たちがロバート王の種ではないと察したエダードは、後継としてジョフリー王子ではなくロバートの次弟スタニスの擁立を図りますが……

一方、「狭い海」の向こうでは、デナーリスがカール・ドロゴの子を懐妊し、ヴィセーリスがDV男にふさわしい最期を遂げることに。しかしカール・ドロゴも刀傷の化膿がもとで危篤状態となり、デナーリスは魔女の力を借りて夫を快癒させようとしますが……

ということで、父の死を知ったロブが「北の王」となり、ティリオンがタイウィン公により「王の手」となることを命じられ、デナーリスのドラゴンの卵が孵ったところで第一章が完結です。終盤の合戦シーンが適当にいいように誤魔化されてましたけど、そう言えば同じくHBOが制作に関わっていた『ROME』でも最後の見せ場となるはずだったアクティウムの海戦が大省略されていたなあと思い出した次第(^^;)

本作の第二章は既にスター・チャンネルで日本語版の放映が開始されているとのことで、そちらのソフト化も楽しみです。原作にかなり忠実だった第一章に対して第二章からはオリジナルの要素が増えてくるようですが……
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『ゲーム・オブ・スローンズ第一章 七王国戦記』その1

2013年08月09日 | その他映像作品
『楚漢伝奇』をちょうど半分まで見たところで、インターバルを挟もうということでアメドラの『ゲーム・オブ・スローンズ』第一章を見始めました。制作には以前鑑賞した『ROME』のHBOが絡んでます。原作はJ.R.R.マーティンのファンタジー小説『氷と炎の歌』です。今回は全10話中第1~5話を鑑賞。

ロバート王がターガリエン王朝を滅ぼし、ウェスタロス大陸の新たな覇者となってより15年。「王の手」ジョン・アリンの急死を承け、幼馴染みのエダード・スタークに次の「王の手」を打診するべく、ロバート王が家族らを引き連れウィンターフェルを訪れたところから物語が始まります。

しかしロバート王の滞在中、エダードの次男ブラン少年が王妃サーセイとその双子の弟ジェイミーとの見てはいけない場面をうっかり目撃してしまったことで、口封じのために塔から突き落とされて半身不随の身に。エダードは逡巡しつつも「王の手」となることを承諾し、娘のサンサとアリアのみを引き連れて王都キングズランディングに入城するが、前任のジョン・アリンの死に不審なものを察知。

一方、「狭い海」の向こうではターガリエン王朝の生き残りの王女デナーリスが遊牧民ドスラク人の王カール・ドロゴに嫁入りし、彼女の兄ヴィセーリスがドロゴの力を借りてウェスタロスに侵攻しようと画策していた……

ということでファンタジーと銘打ってますが、実際にはファンタジー要素もある架空歴史物と言った方が適切かと思います。『太王四神記』とはまったく違った意味で歴史ファンタジードラマになってます。原作者もイギリスの薔薇戦争をイメージして書いたようですし。ただ、これも見た感じは西晋による統一が成った後の『三国志』とかの方が近いと思います。

原作の方もどぎつい描写が結構多いのですが、ドラマ版はR15ということもあってか、いわゆるサービスシーンが多めに盛り込まれています。レンリー・バラシオンと花の騎士ロラスがアッー!な関係になっているのは、どの方面へのサービスシーンなんでしょうか?
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『楚漢伝奇』その6

2013年08月02日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』第34~40話まで見ました。

胡亥より子嬰捜索の密命を受けた老侍女は、地方の農村に逃れて狂人のふりをしている子嬰を発見しますが、子嬰の方は警戒してなかなか正気に戻ってくれません。仕方ないので老侍女はなだめすかしを駆使して何とか彼を咸陽へと連れ帰るものの、やはり狂人のふりを続けます。なお、胡亥の方は気が触れたふりをしているのをあっさり趙高に見破られた模様。いつの間にか正気に戻っておりますが、やっぱりこのあたり必要なシーンが飛ばされているんじゃないかと……

宮廷では章邯の妻の晨曦公主と趙高の腹心崇信が趙高暗殺計画を謀議しますが、あっさり露見して2人は死ぬことに。このオリジナルキャラクターとオリジナルエピソードは出す意味があったのでしょうか(´・ω・`) ちなみに公主の夫の章邯もこの一件に絡んで咸陽に戻っておりましたが、彼自身は許されて前線の巨鹿に帰還。

この章邯ら秦軍に攻めこまれ、巨鹿に立てこもっている趙王を救うため、項羽率いる楚軍が進撃。秦軍を敗走させて巨鹿への入城を果たします。しかし何で項羽さんは他国の宮殿の広間で虞姫とキャッキャウフフしてるんでしょうか…… 一方、劉邦の方もいかにも食わせ物っぽい酈食其先生を配下に加えたうえ、張良と再会を果たし、順調に進軍しておりました。

巨鹿での大敗と劉邦の進撃により、秦国がもう持たないと察知した趙高はいよいよ謀反を決行。胡亥は最期はそれらしく決めようと辞世の詩(辞世の句的なものって中国でもあるのでしょうか?)を残そうとするも、詩句がひねり出せず、潔く自決しようとするも、怖じ気づいて剣で首筋を斬れず、最期まで醜態をさらしてしまいます(´;ω;`)


胡亥さんご近影。鬼気迫る暗君ぶりが印象的でした。

そして戦地で胡亥の死を知った章邯は、司馬欣の薦めで楚への投降を決意。項羽も叔父項梁を戦死させたことを水に流し、章邯に雍王の地位を与えることを確約。

趙高は胡亥の死後、秦を王国に戻したうえで子嬰を秦王とすることにします。子嬰はここらあたりで狂人のふりをやめております。そして病と偽って自分の寝所に趙高をおびき出し、誅殺。秦国の再建をはかろうとしますが、時既に遅く、劉邦の軍隊は咸陽まで迫りつつあったのでした。

ということで、ここまででちょうど全体の半分です。先はまだまだ長い……
コメント (2)
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