博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『媚者無疆』その4

2018年08月29日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第16~21話まで見ました。

ようやく晩媚と再会できた長安でしたが、長安が自分を裏切ったと思い込む晩媚の方は絶許モード。これに関しては「そらそうやろ」という感想しかありません…… 時に彼らが滞在する陵城では疫病が蔓延しておりましたが、流行した疫病の発生源は、月影によって晩媚に注入された蠱毒でした。取り敢えず血蓮教の教主代理・藍若なら解毒薬を盛っているだろうということで、長安は彼のもとに赴きます。藍若は李存勗に仕える越軽涯の養子ということですが、デキる人オーラが漂っているのがいい感じです。

藍若から与えられた蠱毒を服用すればその血が解毒薬になるということですが、そのかわり飲んでしばらくは激痛が襲うとのこと。しかし晩媚は今更激痛などものともせずに蠱毒を服用し、陵城で疫病治療を行います。すかさず晩媚を「聖女」に仕立て、手をこまねいて疫病の流行を見守ってただけの藍若に血蓮教教主の交替を迫る月影。月影きたないなさすがw

藍若は「自分はあくまで教主代理。教主の越軽涯をさしおいて勝手な真似はできない」ともっともな理由で教主の座を明け渡すことを拒否し、晩媚も月影への不信から強いて教主の座は求めません。しかし色々あって、藍若が好意を寄せていたものの実は血蓮教の壊滅を図っていた側近の女性と差し違えての死を選ぶと、教団は大混乱の状態に……

陵城を後にして姽嫿城に帰還した晩媚と長安。任務失敗を理由に処刑も覚悟していた晩媚でしたが、案に相違して姹蘿城主からのお咎めはなし。長安は以前から気に入られていた流光の「影」となります。


姽嫿城の絶殺の一人で、姹蘿のお気に入りの流光。物語冒頭で黄校尉の魔の手から晩媚を救った人物でもあります。

精神の面では拷問や長安との絡みてでボロボロとなり、武功の面でも廃人となった晩媚ですが、公子の指導で密かに血蓮教の心法を修練し、以前より強大な武功を獲得します。そして姹蘿城主は晩香に天殺の姹嫵の殺害を命じ、更に晩媚にその督戦を命じます。姹蘿と姹嫵は同期の入門ですが、やはり絶許の関係にあるようです。


晩媚と同期の晩香。やはり物語冒頭から彼女と因縁があります。そして今回のターゲットの姹嫵は、実は晩香の生き別れの母親なのですが……

互いを母子と知らぬまま戦いを始める晩香と姹嫵。そして姹嫵の死とともに真相を知った晩香は、いつか姹蘿から城主の地位を奪うことを決意。晩香は姹嫵から天殺の地位と彼女の「影」を引き継ぎ、不要になった自分の「影」の二月を晩媚に押っつけます。そして晩媚は武林で名高い人士秦雨桑を殺害し、その罪を武林盟主方歌になすりつけるという無理ゲー的任務を命じられます。

一方、長安がいつまでも旧主の晩媚のことを思い続けるのに不満の流光は彼に春薬を飲ませ、「その気になったら部屋まで来て」と誘いをかけますが、長安はその気になっても脳裏に思い浮かぶのは晩媚の笑顔ばかり… ということでこのドラマで武侠でお馴染み春薬ネタがきたのに困惑しております……
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『媚者無疆』その3

2018年08月21日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第10~15話まで見ました。

南疆は璇璣林にやってきた「公子」・晩媚ら一行。実はこの地にある魔教「血蓮教」の施設・璇璣殿には、「公子」は外祖母・藍沁が生ける屍となって眠っているのでした。李存勗の重臣・越軽涯が実はこの「血蓮教」の教主なのですが、「公子」の母方の一族とは色々因縁があるようです。「公子」の狙いは生ける屍となった藍沁が守る「璇璣盒」という薬箱で、ドジッ子の晩媚が出来心で藍沁を目覚めさせるというトラブルがありつつも、「璇璣盒」の入手に成功。

で、お次は越軽涯の特務機関である妓楼・摘星楼のボス阮娘を暗殺せよという指令を受け、現地へと向かう晩媚&長安。難なくターゲットの阮娘の暗殺に成功……のはずでしたが、実は阮娘の正体が生き別れになった主家の娘・謝瑩であると気付いた長安が土壇場で暗殺を阻み、晩媚は越軽涯に捕らえられてしまいます。


少年・少女時代の長安こと謝歓と阮娘こと謝瑩。このドラマ、回想シーンはこういうアニメーションが挿入されます。要するに回想シーンで子役とか別の俳優さんを配役する手間と予算を省いているわけですが、こういう演出も却ってアクセントになっていいなと。

越軽涯のもとで激しい拷問を受け、更に長安に裏切られたと思い込んで心身ともにズタボロの晩媚ですが、「公子」が越軽涯に招かれて顔合わせをしても口を割らず、更には摘星楼の分舵図まで引き渡し、さすがに良心がとがめた公子は月影を晩媚の救出に赴かせます。そして旧主の謝瑩の足止めをくらっていた長安は、彼女を振り切って晩媚の救出に向かおうとします。謝瑩はとうとう根負けしますが……


そこで出た言葉が「臣女謝瑩叩見殿下」ってどういうことやねん(´Д`;) 長安は実は武則天の娘の太平公主の子孫で、謝家はそれを知ってみなしごであった彼を受け入れ、そして彼を匿ったがために謝家が滅ぼされたということのようです。唐皇室の子孫ならともかく太平公主の子孫にそんなバリューがあんの?と思ってしまいますが、武則天が太平公主に授けた「無字詔」がその鍵を握っている模様。

そして直接謝家に手を下した姹蘿城主ですが、実は少女時代に謝家の主・謝停雲の婚約者だったのが、婚約の約束を反故にされたうえ殺害されかけ、そこを「公子」の母親・藍禾に救われたという因縁がある模様。その時に彼女は謝家に婚約の印として収めた化粧箱を取り戻しますが、実はその化粧箱の中に「無字詔」、あるいはその在処を示すヒントがあるらしいということで、長安は敢えて姽嫿城へと舞い戻ります。


一方、恐るべき手際の良さで越軽涯のもとから晩媚の救出に成功した月影でしたが、晩媚への嫉妬心とか、任務に失敗したということで姽嫿城に戻ってもどうせ死罪は免れないとか、そういった諸々の事情で、「晩媚を生きて姽嫿城へと連れて帰れ」という「公子」の命令をスルーし、彼女を奴隷商人に引き渡し、次なる任務に関わる「血蓮教」の地盤の陵城へと向かわせます。彼女の受難はまだまだ続くようです…… その始末を知って激怒した「公子」は月影に晩媚の身柄を取り戻させに向かわせますが、途中で同じく晩媚を捜索していた長安と合流。

一方、「公子」の方も李存勗に呼び出され、越軽涯とともに後梁から後唐への投降を希望する武将・斉威のもとに向かわせますが、李存勗に降りたいというのは斉威のワナで……というあたりで次回へ。
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『媚者無疆』その2

2018年08月15日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第4~9話まで見ました。

最初の任務は「神医」沈墨を暗殺し、彼の持つ「掛剣草」を持ち帰ること。「地殺」への昇格を賭けて晩媚と晩香が臨みます。


任務開始時にこういう具合にターゲットのデータファイルみたいなのが表示されます。

晩媚は「掛剣草」の奪取には成功しますが、ターゲットの殺害に忍びず、そのまま逃がしてしまいます。で、後から晩香が沈墨を殺害。2人がそれぞれ任務に成功したということで決着は「影」同士の決闘に委ねられますが、任務の最中に「七殺」の毒を身に受けた長安は戦える状態になく、晩媚は敗北を認めます。ならばということで姹蘿城主は2人の処刑を命じ、月影の擁護にも「冬に雷が落ち、晴天に雪が降らない限り決定は覆さない」と宣言。そこで「公子」が自らの武功で本当に粉雪を降らせ雷を打ち鳴らし、死罪の免除を勝ち取らせます。この「公子」が雪を降らせる場面で、このドラマがどんな無茶をやらかしても許せる気になりましたね。


公子御近影。後梁の皇子で幼い頃後継者争いから逃れるために、母の藍禾から目を潰され盲目となり、姽嫿城へと送られたという設定ですが、この後晩媚が持ち帰った「掛剣草」により視力を取り戻します。姽嫿城はもともと武則天の特務機関だったのですが、その後主を失い、後唐の先皇(李克用?)の寵姫であった藍禾が城主に任命されたといういきさつがあり、藍禾と現在の城主姹蘿との間には確執があった模様。

ここでこの「公子」が実は「大太保」李嗣源であったことが明かされます。そして視力が戻ったことを伏せたまま現在の王である李存勗と対面することに。


『北斗の拳』の悪役のような李存勗。李嗣源が年齢的に若すぎたり李克用の実子のように描かれていたりして色々史実と合わないところがありますが、そこは李嗣源が武功で雪を降らせる世界線の話であると割り切りましょう。

一方、長安の尽力で名誉挽回の任務を与えられた晩媚ですが、今回もターゲットの殺害に逡巡。しかし最後はターゲット自身が死を選び、任務を果たしたということで「地殺」への昇格と、自分の根城となる邸宅を与えられます。

ここで何を思ったか長安が夜な夜な姹蘿暗殺を謀って失敗し、「公子」のもとに逃げ込むという事件がおこります。実は長安はもとの名を謝歓といい、主家の謝一族が彼女に抹殺されたことにより、その仇討ちを誓っていたのでした。姽嫿城で「影」となったのも仇討ちの機会を狙うためという次第。姹蘿らは刺客の後を追って「公子」の邸宅「聴竹院」へと押しかけますが、騒ぎを知って駆けつけた晩媚が体よく彼女たちを追い返し、事なきを得ます。ちょうど体調を悪くしていた「公子」(病弱という設定らしい……)を救ったということで、晩媚は褒賞として功力を飛躍的に高める「血蠱」二匹を体内に注入されます。

更に晩媚&長安主従は、「公子」の余命を保つ秘薬「九命」捜索のため、「公子」&月影と南疆に赴くことになり…… ということで所々で挿入されるアクション・シーンは派手さはありませんが、しっかり見せてくれます。
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『媚者無疆』その1

2018年08月09日 | 武侠ドラマ
YOUKUオリジナルドラマ『媚者無疆』を見始めました。今回は第1~3話まで見ました。

舞台は五代十国。ヒロイン蘇七雪はしがない薬草摘みの父親と弟と三人で暮らしていましたが、心ならずも口減らしのために父親に妓楼に売り飛ばされてしまいます。そして妓楼の上客・黄校尉に襲われそうになりますが、そこに傘を持った謎の女刺客が…… 彼女は「姽嫿城」の暗殺者で、元々暗殺のターゲットだったらしい黄校尉を斬殺しますが、七雪の妓楼からの脱出までは面倒を見てくれず、「自力で脱出して紀要の日没までに乱墳崗に辿り着けたら姽嫿城にお前を匿ってやろう」と言い残して立ち去ってしまいます。

七雪は黄校尉の鎧を身にまとって変装したり慣れない馬に乗ったりして何とか乱墳崗近辺まで辿り着いて力尽きますが、既に日は暮れており、女刺客は立ち去ったあと。しかし入れ替わるように「姽嫿城」の「公子」と呼ばれる男性と、彼のお付きの女刺客・月影がやって来ており、月影の計らいで気を失っていた七雪は「姽嫿城」へと運び込まれます。

目が覚めた七雪は姹蘿城主によって「晩媚」の名を授けられ、新入りの女刺客として遇されることに……


「姽嫿城」の城主・姹蘿。「姽嫿城」の女刺客は新入り→地殺→天殺→絶殺の順にランクが上がっていき、城主が最高権力者……と思いきや、別格の存在として月影(彼女自身は絶殺)の主人の「公子」がおり、目の上のたんこぶの彼を何とか排除しようと目論んでいる模様。月影によって運び込まれたということで、晩媚も姹蘿からこころよく思われておりません……


七雪改めヒロインの晩媚。李一桐が演じています。貧乏な家の出身なので武芸もダメなら教養もないという状態…… 新入りの彼女は一人分しか枠のない地殺への昇格をめぐって5人の同期の新入りと競い合うことになります。地殺になれなければ、良くて放逐、悪くて死が待っているとのこと。


晩媚が「影」に選んだ長安。「姽嫿城」の女刺客には一人ずつ助手兼世話係兼武術等の指導者の「影」という男性がつけられます。主人の女刺客とは運命共同体的なつながりになるようで、長安は前の主人を任務中に死なせてしまっており、七日以内に新たな主人が選んでくれなかったら殺されるところだったようです……

そして地殺昇格試験の日まで長安からひたすら琴棋書画を仕込まれる晩媚。地殺あたりまでは実戦というか殺しは「影」に任せてもオーケーのようです。そして長安と城内の池に舟を浮かべたと思ったら水中に突き落とされてしまう晩媚ですが、それには長安の深謀遠慮が。実は晩媚、新入りの歓迎会の際に姹蘿から紅を賜ったのですが、それを付けると水中で目が見えなくなってしまうというシロモノだったようです。

で、昇格試験の一次試験は城内の池に潜って水底の石碑から「姽嫿城」の元の名を読み取るというもの。長安の計らいで水中で紅を落としていた彼女は何とか試験をクリア。そして彼女とライバルの晩香の二人が地殺候補者として残りますが、そのうちのどちらが地殺に昇格できるかを賭けて第二の試験が……というところで次回へ。今のところ派手なアクションシーンはありませんが、今後の展開に期待できそうです。
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『天意 超能篇』その2(完)

2018年08月06日 | 中国科幻ドラマ
『天意 超能篇』第4~最終9話まで見ました。

第4話は「流血的門徒」。本編では影が薄めだった隠鬼門の話。墨遠が実はライバル団体幽冥教のスパイだったという事実が明らかに…… 36人の「隠鬼」の中から彼と墨舞の2人が門主・墨非の直弟子となるまでの顛末が描かれます。

第5話は「天依的使命」。韓信の斉国征服の際に天依が滄海客に連れ去られてから張良のもとに戻されるまでの間の話。

第6話は「烏江!烏江!」。「覇王別姫」の裏側で、韓信が滄海客に頭を下げても項羽を救おうとした顛末が描かれます。結果はやはり……なわけですが。

第7話は「漢宮異聞録」。これも本編終盤の挿話で、女羲と滄海客が韓信を放棄して劉邦に乗り換えるあたりの話。滄海客を劉邦の新たな寵姫と勘違いした呂后が彼女を排除しようとしますが、最後は劉邦と彼女の信者となります。滄海客を「お前ホントに神の使者?」と奇跡を見せられても信じなかった韓信の強さを感じます……

『天意 超能篇』第8~9話は「逆転未来(上)(下)」。本編最終回の続きです。韓信と女羲との戦いは「平行宇宙」を舞台に続けられていたようで、本編のラストも平行世界のひとつという位置づけになるようです。平行世界の存在を認めてしまうと、本編の文明が女羲の介入によって作られた世界もそのうちの一部にすぎないということになるわけで、歴史改変を御法度としてきた当局の姿勢を思うと、危険な領域に足を踏み入れた感があります。


第8~9話の韓信。中の人的にはこういうナリの方が似合うような……

【総括】


これは毎回オープニングの最後で出てくる「おことわり」ですが、この護符の力でどこまでやれるか挑戦したような作品でした。

韓信・蕭何・張良らの人物設定が史実(というよりは『史記』など史書の記載)と合わないのは、平行世界の存在を前提としているから、あるいは女羲による「歴史改変」の結果、この時代の中国に唐辛子が存在するのも同じ理由と、歴史物としてはいわゆる「史実厨」とか「ジャガイモ警察」の類を虚仮にしているかのような描写も目立ちました(原作者は中学の歴史教師とのこと)。

もっとも、虚仮にしたいのは一般の歴史ファンではなく、もっと別のものなのかもしれません。本作のタイトル『天意』は作中に出てくる台詞「天意難違」から取っているわけですが、この作品自体にとっての「天意」とは何でしょうか。あるいは作中の「神」こと女羲は自らの目的遂行を第一とし、人類の歴史への介入や改変など意に介さないわけですが、本作にとっての「神」が存在するのでしょうか。こういうメタ的な視点から見ると面白さが一層増す作品なのではないかと思います。
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『天意』その10(完)&『天意 超能篇』その1

2018年08月03日 | 中国科幻ドラマ
『天意』第44~最終46話まで見ました。

死刑にされるはずの韓信を張良手製の「亀息丹」で仮死状態にし、蕭何が死刑を監督するということで何とかごまかし通し、韓信を蘇生させます。

そして韓信・銭小芳・張良・天依と、彼らに着いてきた墨舞は「神」こと女羲の計画を阻むため、彼女の星槎(宇宙船)が眠る焔尾島へ。そこに滄海客と漢の水軍が待ち受けていましたが、 韓信らは焔尾島に火山があるのに目を付け、船から「曳影剣」(例のバズーカ)で島を撃って噴火させ、女羲を動揺させます。

そして島で滄海客と決戦となりますが、そこで滄海客が800年前にまだ人間だった頃のこと、「神の使者」となった事情が明かされます。女羲の言うがままに計画を進めれば、彼女の力によって形成されたこの世界の文明が消滅してしまうのではないかという言葉に心を動かされ、韓信らの味方につこうとするが、その長命は女羲から与えられたものなので、その意図を察した彼女によってたちまち消されてしまいます……

滄海客が残した「秦天宝鑑」を使って星槎に乗り込んだ韓信たちですが、クローンとなって甦った項羽たちと戦わされたり、それぞれ幻想の世界に飛ばされて自分の理想を見せられてもとの世界に戻るかどうか逡巡するという割とベタな試練が……

で、天依が実は女羲によって作られた実験体のひとつで、彼女と「精神統一体」であったことが明らかにされる一方で、小芳の「雉神」で女羲が発生させたのと別のワームホールを発生させることに成功した韓信は、敢えて小芳をワームホールに吸い込ませて21世紀の上海へと戻らせます。そして一年後、自らの体験をSF小説としてまとめてベストセラー作家となった彼女の前に……

本編のストーリーはここまでですが、引き続き番外編の『天意 超能篇』(全9話)へ。今回は第1~3話まで鑑賞。

第1話は「韓信捉妖」(実は中国ドラマには珍しく、本編にも1話ずつサブタイトルがついています)。少年韓信が師匠尉繚と出会うまで。

第2話は「大秦秘史」。冒頭で荊軻による秦王暗殺が成功しちゃった!?と思ったら、話は後の始皇帝こと少年趙政と東海君(=滄海客)との出会いにさかのぼります。荊軻の秦王暗殺は東海君による干渉、すなわち歴史改変の結果だったという衝撃的なオチ。


本編では第1話から思わせぶりに登場した割には出番が少なく、ナレ死した始皇帝。喬振宇が演じています。


本編ではOPにだけ登場した荊軻。今回のオチがその説明になっているような気がします。おそらく本編に史実(ここでは史書に書いてあることの意)が歴史改変の結果という話を入れるのはNGだったと……

第3話は「帝国之殤」。引き続き始皇帝がメインですが、彼が慢心によって不老長寿を求めて神に成り代わろうとし、東海君との関係が破綻するまでの話に、孟姜女の話を織り交ぜてます。この話で東海君が始皇帝の天下統一のためにどれだけ力を貸したか、そして始皇帝の不老長寿への関心が東海君と接することで芽生えたことが描かれますが、これもやはり天下統一と不老長寿の探求が歴史改変の結果だったということになりますよね……
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2018年7月に読んだ本

2018年08月01日 | 読書メーター
世界がわかる地理学入門――気候・地形・動植物と人間生活 (ちくま新書)世界がわかる地理学入門――気候・地形・動植物と人間生活 (ちくま新書)感想
高校の地理の復習のような本。自然地理の部分が網羅的なのに対し、人文地理というか民族誌的な部分が個別的・各論的になるのは紙幅上やむを得ないのだろうか。小ネタが楽しいのもこの部分なのだが、後は自分で旅行するなり現地で暮らすなりして内容を補充せよという著者のメッセージが託されているのかもしれない。
読了日:07月04日 著者:水野 一晴

歴史学者と読む高校世界史: 教科書記述の舞台裏歴史学者と読む高校世界史: 教科書記述の舞台裏感想
各分野の研究者が高校世界史の記述の問題点や変遷を追うという内容かと思いきや(当然そういう話も多く盛り込まれているのだが)、教科書を執筆する立場や入試問題を作る側からの見方 教科書を検定する側の言い分、教科書を採択する側である高校教員による「現場」からの言い分も収めており、「ここが変わった歴史教科書」式の類書と比べて厚みのある内容となっている。
読了日:07月07日 著者:長谷川 修一,小澤 実

あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼるあだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる感想
ヨーロッパ中世の「短軀王」「獅子心王」の類のあだ名から出発して、それが公然性を持つものであったこと、中世の命名法と主導名の誕生、祖先の認識、家系・同属意識・家名の形成と、議論がどんどん広がっていく。特に同属意識が可変的であるという話は日本・中国など他の地域の王侯を考える際に示唆を与えてくれる。
読了日:07月10日 著者:岡地 稔

世界史序説 (ちくま新書)世界史序説 (ちくま新書)感想
昨今流行のグローバル・ヒストリーを、西洋中心史観から脱却したものではないと批判し、梅棹忠夫・森安孝夫・杉山正明らの研究や、「東部ユーラシア」の視点も取り入れつつ、日本人によるアジアから見た世界史を構想する。アジア史は中世を持たなかったとする点など面白い指摘もあるが、全体として西洋中心史観による通史の裏返しにしかなってないのではないかという気もする。また、日本史はアジア史と本当に違うのかという疑問もある。
読了日:07月12日 著者:岡本 隆司

古生物学者、妖怪を掘る―鵺の正体、鬼の真実 (NHK出版新書 556)古生物学者、妖怪を掘る―鵺の正体、鬼の真実 (NHK出版新書 556)感想
鵺や一つ目入道など妖怪として伝えられている存在は、実は実在の動物だったのではないかという視点から古文献の記述を探る。ならば実在の動物と妖怪の境目は何だろう?と疑問に感じたところで用意されている、「妖怪」は「ゴミ箱分類群」としてのカテゴリーだったのではないかという指摘に納得。本書は古生物学と妖怪学との連携のたまものだが、古生物学と美大との連携についても言及されており、多分野間の連携についても考えさせられる。
読了日:07月15日 著者:荻野 慎諧

近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで (講談社選書メチエ)近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで (講談社選書メチエ)感想
戦前・戦後の主に東洋史学者による中国観や議論を追う。明清をつきつめて研究しなかった内藤湖南と明清を専門とした矢野仁一との対比、時代区分論争で対立しているようで共通の議論の土台に乗っていた歴研派と京都学派の宮崎市定の話など、話題の詰め込みようを見ると、戦前・戦中編と戦後編で分冊した方が良かったようにも思う。「中国という対象は、きわめて難解」と言うが、アメリカや西欧、インドなど他地域を対象とするより難解なのだろうか?いずれにせよ問題なのは、むすびのタイトルにあるように「日本人のまなざし」なのだろうが…
読了日:07月18日 著者:岡本 隆司

古典学入門 (岩波文庫)古典学入門 (岩波文庫)感想
著者は『源氏物語』の研究で著名であるが、東西の古典を対象とし、古典の損傷・書写の誤りから始まり、本文批評(テキストクリティーク)、解釈の問題、「原本」はどのように生成されるか、源泉(出典)研究等々、古典を研究の対象として扱ううえで考えなければならないことがあらかた盛り込まれている。
読了日:07月23日 著者:池田 亀鑑

戦国大名と分国法 (岩波新書)戦国大名と分国法 (岩波新書)感想
内容が整理されておらず、結城政勝が独力でまとめたのではないかという「結城氏新法度」、犯罪被害に遭った場合は被害者が自分で証人=容疑者をつかまえなければならなかった「塵芥集」など、戦国大名による分国法の実際と当時の社会のあり方を描く。分国法を定めた大名たちの多くが悲惨な運命をたどっているというパラドックスは、中国史では法治にこだわった秦の運命とも通じる問題かもしれない。
読了日:07月23日 著者:清水 克行

物語 アラビアの歴史-知られざる3000年の興亡 (中公新書)物語 アラビアの歴史-知られざる3000年の興亡 (中公新書)感想
全体の半分以上がイスラーム以前の時期に充てられているのが出色。その前半部ではローマ(→ビザンツ)帝国、サーサーン朝、アクスム王国の「三強国」に囲まれたアラビア半島の諸勢力の興亡を描く。イスラームの誕生についても、イスラームを「ネイティビスト・ムーブメント」のひとつと位置づけたり、イスラーム誕生後は政治・経済の中心地がシリアやイラクに移り、半島が却って過疎な田舎に逆戻りし、それが非主流派が半島に流れ込む要因となったりと、面白い着眼点によってまとめられている。
読了日:07月26日 著者:蔀 勇造

牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか (星海社新書)牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか (星海社新書)感想
インパール以前の牟田口の軍歴にかなりの紙幅を割かれている。二二六事件のあおりで左遷的に北京の前線勤務に回されて以来、「葉隠武士」的な性格の牟田口が、その時々の現場で「支那事変を引き起こしたのは自分であるからその埋め合わせをせねばならない」というような身勝手な責任感で職務に精励したことがインパール作戦につながっていくさまを描くと同時に、牟田口の上官河邊正三の対応や日本陸軍の人事自体も問題とする。不合理な人事によるミニインパールは今日の日本でもあちこちに見られるのでは思わせられる。
読了日:07月29日 著者:広中 一成

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