博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2022年10月)

2022年10月11日 | 中華時代劇
『唐朝詭事録』
狄仁傑の弟子の文官と貴族出身の武官のバディ物にして伝奇風ミステリー連作ドラマ。2020年代『神探狄仁傑』という感じのテイスト。歴史ミステリーとして出来がよく、シリーズ化が望まれます。これもたぶんWOWOWが買い付けるんでしょうw 
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2022年9月に読んだ本

2022年10月01日 | 読書メーター
江戸漢詩の情景: 風雅と日常 (岩波新書 新赤版 1940)江戸漢詩の情景: 風雅と日常 (岩波新書 新赤版 1940)感想
タイトルに「江戸漢詩」とあるが、漢詩だけでなく広く漢文、俳諧、短歌なども取り上げ、漢詩文を中心とする当時の文芸よもやま話となっている。触れられる話題も、副題にある「風雅」から、夫婦愛、当時の詩人の生計、平均寿命、ペットの犬と猫、グルメなど幅広い。儒者が拳法を習った話など、意外な所で意外な話が出てきて興味を引く。漢文、江戸の文芸に興味がある人が読んで損はないだろう。

読了日:09月02日 著者:揖斐 高
中国注疏講義 経書の巻中国注疏講義 経書の巻感想
注疏を使って漢籍、今回は五経などの経書を読む方法ほ教えてくれる。辞書など工具書の利用について説明されているほか、特に音注を利用して読解する方法は日本語の漢文入門の類では今まで解説がなかったのではないかと思う。また、必ずしも訓読を前提としていない点も、この種の本としては画期的(附録として本文で取り上げた文章にピンインを振ったものを掲載)。諸子の巻など続刊にも期待したい。
読了日:09月05日 著者:古勝 隆一
皇位継承と藤原氏: 摂政・関白はなぜ必要だったのか (553) (歴史文化ライブラリー 553)皇位継承と藤原氏: 摂政・関白はなぜ必要だったのか (553) (歴史文化ライブラリー 553)感想
従来天皇の権力を抑圧するものとして否定的にとらえられがちだった摂政と関白。本書では皇室と藤原氏との関係の推移を年代順に辿ることで、実際には幼帝の即位、傍系からの即位などで皇位・皇統が不安定な状態となることが懸念された際に、外戚や廟堂の首班である藤原氏の氏長者が天皇の後見として摂政・関白となることで、皇位・皇統を安定させる役割を持っていたと結論づける。その他にも関白は摂政から派生したものであること、摂政・関白は原則として終身のものであったことなど、新たな知見が多い。
読了日:09月07日 著者:神谷 正昌
歴史学のトリセツ ――歴史の見方が変わるとき (ちくまプリマー新書 410)歴史学のトリセツ ――歴史の見方が変わるとき (ちくまプリマー新書 410)感想
要するにランケ以来の史学史を辿った本なのだが、「歴史はなぜつまらないのか」という問いを専門の研究者が突き詰めたという所に特徴があるかもしれない。ソシュールと「言語論的転回」については、中国先秦秦漢史の場合は、当該分野と古文字学とが密接に結びついていることである程度対応できているように思うがどうだろう?また、「言語論的転回」がジェンダー史学の誕生に影響していることや、冷戦終結による「記憶をめぐる構想」が90年代以降の従軍慰安婦問題の勃興を促したのではないかと気付かせるなど、入門書ながら学びが多い。

読了日:09月09日 著者:小田中 直樹
羅振玉自伝: 集蓼編その他 (908;908) (東洋文庫 908)羅振玉自伝: 集蓼編その他 (908;908) (東洋文庫 908)感想
羅振玉の自伝、旅日記など四編を収める。自伝あたる「集蓼編」は、羅振玉の官歴や家族のことが中心。若い頃は農学の研究に従事していたことや早くから藤田豊八や王国維と交遊していたことなどがわかる。文物・考古関係は山東・安陽・洛陽での旅日記「五十日夢痕録」の方が詳しい。来日した際の「扶桑両月記」「扶桑西遊記」は、当時の日本の諸制度、特に教育制度について細かく記録しており面白い。巻末の解説も羅振玉による王国維の著作盗作説の真偽など、興味深い話題が見える。 
読了日:09月13日 著者:羅振玉,深澤 一幸
16テーマで知る 鎌倉武士の生活 (岩波ジュニア新書 956)16テーマで知る 鎌倉武士の生活 (岩波ジュニア新書 956)感想
住居や食事といった学校の資料集でよく取り上げられる話題から、あまり取り上げられなさそうな武士の書風、暴力と信仰、女性の土地相続の問題まで幅広く扱う。ただ、絵画の食器の形状や盛り付けられてる食材など細かな部分に着目して言及する割には、カラー図版がないこと、図版が小さいことが難点といえば難点。
読了日:09月15日 著者:西田 友広
嘉吉の乱 ――室町幕府を変えた将軍暗殺 (ちくま新書 1683)嘉吉の乱 ――室町幕府を変えた将軍暗殺 (ちくま新書 1683)感想
赤松氏の起こりと義満との関わり、義満以来の有力守護大名統制政策から説き起こし、赤松氏と芸能、反乱の原因と経過、その後の赤松氏の状況と返り咲き、話は応仁・文明の乱まで及ぶ。嘉吉の乱というよりは、それも含めた赤松氏の歴史と言った方が適切か。義教の暗殺はその死を「自業自得」とする当時の評価を含めて何やら当世の元首相の殺害を連想させる。そういう具合に現在の鑑となるのも歴史を学ぶ醍醐味であろう。
読了日:09月21日 著者:渡邊 大門
古代ギリシアの民主政 (岩波新書 新赤版 1943)古代ギリシアの民主政 (岩波新書 新赤版 1943)感想
アテナイを中心とする、「順ぐりに支配し、支配される」ものとしての古代ギリシア民主政の歩みと実像。民主政に対する「衆愚政」という評価は、民主政に否定的だった書き手による史料が貼ったレッテルにすぎず、アテナイの民主政の黄金期はペロポネソス戦争の敗戦後だった等々、当時の民主政、陶片追放、そしてソクラテスの刑死について再評価を行っている。現在の研究状況では従来のイメージはもう通用しないようだ。そして現在の民主政は果たして民主政と言えるだろうか?という本書の問いかけは重い。
読了日:09月25日 著者:橋場 弦
今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢 (講談社現代新書)今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢 (講談社現代新書)感想
全体主義と権威主義、専制との違い、陰謀論はいかにして広まるか、社会科学や自然科学がなし得ない、政治に対する人文学と歴史学の役割等々、ハンナ・アレントの思想、考え方から、今の世の中で必要とされている要素を引き出して解説し、敷衍しているように思う。分量としては短くまとまっているが、内容は決して薄くはないし、(否定的な意味ではなく)わかりやすくもない。
読了日:09月26日 著者:牧野 雅彦,ハンナ・アレント
医学をめぐる漢字の不思議 (あじあブックス081)医学をめぐる漢字の不思議 (あじあブックス081)感想
医学関連の漢字、漢語に関する本だが、漢字や擬似漢字の造字原理、漢字廃止論、翻訳論など、医学を離れて漢字・漢語全般に関わる議論としても通用するというか、医学関連のものを取っかかりにそうしたことを考えるきっかけになる内容。個人的に眼科医の間で読みやすさや近視の予防を図るために漢字の簡略化(提示された略字に中国の簡体字と同様のものもある)、漢字の表音化が議論されていたというのが面白かった。
読了日:09月28日 著者:西嶋佑太郎

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