博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『楚漢伝奇』その2

2013年06月25日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』第7~12話まで見ました。

蕭何から300名の徭役要員を確保しろと言われて途方に暮れる劉邦。しかし蕭何の方が雍歯ら囚人50名を調達し、これで300名揃ったと大喜びの劉邦。それ、どう見てもアカンフラグなんですが…… 意気揚々と驪山へと出発劉邦たち。そこへ劉邦のペットの犬「虎子」がワンワンと追い掛けてきてご主人様のお供をすることに。これも何だか後の展開が予想できそうなんですが(^^;)

で、道案内役の盧綰が道に迷ったりして驪山への到着の期日に間に合わなくなり、また案の定脱走者も続出。
樊噲「アニキ、大変だ!また3人逃亡しやがった!」
盧綰「じゃあそこらへんの村から人を攫ってきて補充しよう!(提案)」
劉邦「イカンでしょ(´・ω・`) 」
ということで監視役の役人を殺害し、劉邦以下残る全員が逃亡の道を選ぶことに。

取り敢えず邙碭山に立てこもることにした一行ですが、たちまち食糧不足に陥ります。で、ペットの「虎子」が劉邦に無断で樊噲によって捌かれ、病気の曹無傷の療養食にされてしまいます。やっぱりそんなオチになりましたかorz 犬を食べたのが後に裏切る曹無傷というあたり、後々の伏線になったりするんでしょうか。

劉邦「しょうがねえ。おい、麓の村から食糧を調達してくるんだ。いざとなったら略奪はやむを得ないが、殺人はダメだぞ。そこから官憲に足が付くからな。」
部下「アイアイサー」
……部下「すいません、食糧は調達できたんですが、物の弾みで村人を殺してしまいました。」
劉邦「おお、もう……」
このドラマ、どうしてこういちいちフラグを立てるんでしょうかね(^^;)

一方、秦の側では巡幸中に始皇帝が沙丘で死去。趙高が遺詔を偽造して胡亥を二世皇帝として擁立します。そして陳勝・呉広の乱が勃発し、会稽に引きこもっていた項梁も挙兵を決意。しかしこの人、韓信は未だ無為の日々を送っております。


趣味は隠忍自重と、アリの動きを観察して兵法を学び取ること。『大漢風』の時のクソ生意気韓信とは打って変わってショボクレ韓信ですね(^^;)
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『楚漢伝奇』その1

2013年06月18日 | 中国歴史ドラマ
新版『三国』の監督高希希の新作『楚漢伝奇』を見始めました。『項羽と劉邦 King's War』の題で現在WOWOWでも放映中です。今回は第1~6話まで見ました。

劉邦(ここまでの展開では劉季という名前になってます)を陳道明が、項羽が何潤東(ピーター・ホー)が演じていることで話題の本作。





この段階では泗水亭の亭長をつとめる劉邦の側も、項梁に養育される項羽の側も、ともに大して話は進んでおりません。主要人物の顔見せ的な意味合いが強いパートですね。主な見所だけピックアップしてみますと……

第2話
酒宴に招いた賓客が生意気な口をきいたということでその場で刺殺し、項梁に好意的な地方官司馬欣のはからいで他の地方に逃亡してからも、秦の兵士に怪しまれそうになったということで酒場で乱闘に及ぶ項梁(と項伯)。色々言い訳はしていますが、要するにムシャクシャしたのでやったようにしか見えないんですよねえ。楚の名将項燕の一族にはバーサーカーの血が流れており、項羽の粗暴な性格も本人の個性というよりは一族の血のせいではないかという気が……


第3話
劉邦が呂雉(ここまでの展開では娥姁と呼ばれています)と婚約する場面。そもそも呂太公が一家を挙げて引っ越してきた理由が、呂雉が一方的に婚約を破棄し、それを恨んだ相手の男が徒党を組んで押しかけてきたからというのがもう…… そして劉邦が新居にまで押しかけてきた相手の男を追い返したことで呂雉に気に入られ、ストーカーよけの意味も込めて彼に結婚を申し入れることに。しかし愛人の曹氏(劉邦の行きつけの酒場の女将)が懐妊したのに、呂雉との結婚を承諾した劉邦がぐう畜すぎるw

第5話
豪傑の滄海君とともに博狼沙で始皇帝の行幸を待ち伏せし、暗殺の機会を狙う張良。しかし何で博狼沙での始皇帝暗殺未遂事件が、どこからともなく大きな火球がいくつも転がり出し、暗殺部隊が飛び出す一大スペクタクルになってるんですかねえ。 張良が剣を手にワイヤーで飛ぶ程度のアクションで良かったのですが…… そして秦将の章邯に追い詰められ、崖から飛び降りる張良。まさかこのドラマでも「崖から落ちて死んだ人なんていません」の法則が発動してしまうとは(^^;) 章邯の方も趙高や李斯に報告する際に、張良の扱いを死亡ではなく逃亡にしているのがもう……

第6話
蕭何から驪山への徭役の要員を100人徴発しろと無茶ぶりを命じられた劉邦。やっとのことで100人かき集めたと思ったら、蕭何から「悪い、300人に追加になったわ(´・ω・`) 」という無慈悲な言葉が。何というブラック国家……秦王朝滅亡の原因は、国民に過重な負担を強いるブラック国家だったからということなんでしょうか。そしてこのドラマから、ブラック国家には必ずや天誅が下されるという強いメッセージを感じます。

この題材では数年前に見た『大漢風』を超えるネタ作品は出ないだろうと、本作には大して期待をしていませんでしたが、序盤の展開を見ると、ひょっとするとひょっとするかもれません。今後の展開が楽しみです(^^;)
コメント (5)
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于正版『笑傲江湖』その7(完)

2013年06月09日 | 武侠ドラマ
于正版『笑傲江湖』第37~最終42話まで見ました。ネタバレありで行きます。

林平之に重傷を負わされるも、一度は令狐冲と任盈盈に助けられて一命を取り留めた岳霊珊ですが、結局嵩山で林平之に誤殺されてしまいます。このあたりの展開は呂頌賢版を踏襲してますが、霊珊の死に方ってこんな雑でしたっけ?(´・ω・`) そして娘の死と夫の変貌に絶望した寧中則も自害。令狐冲は岳不群に絶縁宣言を突きつけ、盈盈は脅しのために岳不群に偽の三尸脳神丹を飲ませます。

その後こっそり恒山に戻る令狐冲ですが、「唖婆婆」に化けた死んだはずのあのお方……すなわち東方不敗に捕らえられ、妹の儀琳を娶るよう強要されます。やっぱり崖から落ちて死んだ人なんておらんかったんや!でも普通のドラマなら、ここらでどうして崖から落ちて助かったのかという説明を入れると思うのですが、このドラマではそういう説明は一切ありません(^^;)

一方、岳不群は道端で拾った黒木令を悪用して日月神教徒を動員し、恒山派の尼僧たちを捕らえます。そして五岳派の面々を華山思過崖に招いて日月教教徒の使い手たちが残した壁画を見せようとしますが、ここで洞穴の暗闇の中で左冷禅・林平之・令狐冲らと乱闘に。乱闘を逃れた岳不群は令狐冲と盈盈を捕らえて三尸脳神丹の解毒薬を奪おうとしますが、助けに駆けつけた儀琳に刺殺されます。

令狐冲は朝陽峰で任我行と対面し、副教主への就任を改めて拒絶。恒山に戻って日月神教との決戦に備えます。ここでやはり呂頌賢版の展開を踏襲して霊鷲寺の方証大師らが仕掛け椅子と爆薬を持ち込みますが、呂頌賢版ではこれ、何の役にも立たなかったんだよなあと思って見ていたら、于正版でもやっぱり役に立ってなかった(´・ω・`) ならこの展開をパクる必要が無かったのでは……

黒木崖では任我行や「殺人名医」平一指が盈盈のために三尸脳神の解毒法を解明しようと尽力しますが果たせず、余命幾ばくも無い盈盈の求めに応じて令狐冲が密かに到来。そこを任我行に見つかって追い詰められますが、救援にやって来た東方不敗が任我行を成敗。そして三尸脳神丹を解毒するにはその抗体を持った人の心臓を移植するしかないという謎理論によって、東方不敗は平一指に心臓を差し出して盈盈の治療を託し、自らの遺体は湖の底へ。今度こそ死んだと思われた東方不敗ですが……



【総括】

『美人心計』『宮』の于正のプロデュース・脚本作品ということで本場中国でも賛否両論……というか非難囂々だったらしい本作。私はと言えば、どうせ「魔教を非難しなきゃ正派の人士に邪派扱いされる江湖」という原作のテーマを真正面から扱った映像化作品なんてこれまで無かったんだし、ラストの展開を忠実に映像化した作品も無い。なら于正流に無茶苦茶やったればええんや!……と好意的に見続けてきたのですが、さすがにちょっとこれは無茶苦茶すぎないでしょうか(震え声) でもどれだけ設定が破綻していようとも、于正作品特有のテンポの良さだけは最後まで維持されているので、そこそこ楽しく見られてしまうんですよね……

で、于正は本作に続き同じく金庸原作の『神雕侠侶』の制作を予定しているとのこと。熱烈なファンが多い作品なので、本作と同じように作ると本作以上に強烈なバッシングに遭うことになるでしょうが、個人的にはとても楽しみにしております。
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『グランド・マスター』

2013年06月02日 | 映画
『グランド・マスター』(原題:『一代宗師』)

舞台は日中戦争前夜の中国。北方武術界の領袖宮宝森は自らの引退試合のために広東仏山に到来。梁朝偉(トニー・レオン)演じる詠春拳の達人葉問が南方武術界の代表として挑戦を受けて立つことに。葉問との問答でその器量を察した宮宝森は彼に南北武術界統一の夢を託します。

章子怡(チャン・ツィイー)演じる宮の娘若梅は、碌すっぽ腕も交えないうちに父親から大任を託された葉問に反発しますが、彼との手合わせを通じて心を通い合わせるようになります。葉問は今度は自分が東北へと赴くことを若梅に約するも、日中戦争の勃発によってその約束が果たせなくなり、若梅も兄弟子の馬三に殺害された父の仇討ちに専念することになり……

ということで王家衛(ウォン・カーウァイ)監督のカンフー映画ということで話題の本作。王家衛の武侠物と言えば物議を醸した『楽園の瑕』(原題『東邪西毒』)が思い出されるだけに、猛烈にイヤな予感がしつつ見に行きましたが、意外と悪くなかったなというのが正直なところ。(あくまで『楽園の瑕』と比較しての話ですが。)『楽園の瑕』は張芸謀監督の『HERO』などスタイリッシュ系武侠映画(悪く言えば環境ビデオ的武侠映画)の走りですが、本作はその『楽園の瑕』よりは映像性とストーリー性・テーマ性とのバランスが取れていたと思います。ただ、張震演じる一線天は本当に必要だったのかという気もしましたがw

正統派のカンフー物を期待した向きには不満も残るでしょうが、そういうのは同じく葉問を描いた甄子丹(ドニー・イェン)主演の『葉問』『葉問2』を見て補充すればよいのではないかと。
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