博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『覚醒年代』その3

2021年05月30日 | 中国近現代ドラマ
『覚醒年代』第23~33話まで見ました。

蔡元培・陳独秀へのバッシングを続ける守旧派の面々ですが、陳独秀らも反撃を開始。


守旧派の旗頭林紓は新文化運動への攻撃のため、運動の関係者をモデルとする小説を発表していましたが、一旦発表を撤回したはずの小説『妖夢』が掲載されてしまったことに衝撃を受け、運動から手を引くことに。この前後に毛沢東が北京大学図書館員の職を辞し、湖南へと帰郷しています。


さて、パリ講和会議では山東問題で日本側の要求が通り、青島など旧独権益が日本に移管されることがほぼ確定的となります。中国代表団は最後の望みをかけてアメリカ大統領ウィルソンに直訴を行いますが、「早知今日、何必当初」とつれない返事。今になって取り返したいと言い出すぐらいなら21ヵ条の要求など受け入れるべきではなかったということのようですが……

また、このあたりで哲学者デューイの訪中が話題に上りますが、残念ながらデューイは登場しません……


現地での状況を知った中華民国大総統徐世昌は閣僚の意見を容れ、ヴェルサイユ条約の調印拒否を決定したかに見えましたが、その実代表団に調印を命じたことが明らかとなり、陳独秀らは決定を覆すべく行動を呼びかけます。ということで五・四運動が開始となります。

北京大学の学生を中心にデモ行進が行われ、後には日本製品のボイコットなども推進しますが、運動に関わった学生たちは警察によって次々と収監されていきます。そして学生たちは一旦釈放されたものの、後に裁判に掛けられることになり、蔡元培をそれを阻止するため、政府の求めに応じて北京大学校長の職を辞することを決意。

教員陣にも不協和音が生じ、運動に積極的な李大釗と消極的な胡適とが衝突。陳独秀は『新青年』『毎周評論』などで論陣を張り、運動の支援を図りますが、文章の印刷のために北京大学に足を踏み入れた所、大学が警察に占領されたような状況となり、運動に関わった学生たちの収監場所となっているのを目の当たりにしてショックを受け……
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『武当一剣』その7(完)

2021年05月27日 | 武侠ドラマ
『武当一剣』第37~最終39話まで見ました。

魏忠賢が無量を擁して第二次武当山掃討を決定。そして漁夫の利を狙うヌルハチも金鼎和らを武当山に派兵。


そして武当山を守ろうと駆けつけた耿玉京らに地元の土家(トゥチャ)族の有志の皆さんが合流。藍水霊の藍家も土家族の一員ということになるようです。

東方亮も人質に取られた水霊を助けようと牟滄浪に挑戦しますが、走火入魔して撤退。というか自宮したものの言うほど強くなってない??いつぞやの宋先生に助けられ、鄭巧児らと合流。自分の持つ「一剣」が武当派の秘伝を隠した倉庫の鍵であることを知らされ、倉庫の中で武当派の奥義の数々を即席で身につけます。

抵抗を試みた牟滄浪は、息子牟一羽に見とられつつ乱戦の中であっさり死亡。


そして「黒衣人」の正体も明らかに。彼は「小五義」の二番目王晦聞にして、武当派の不聞道長。身元を隠し、口のきけないふりをして30年以上もヌルハチのためにスパイ活動を行っていました。まあ皆さん大体予想がついていたと思いますが。 牟滄浪と同様にこちらの中の人も須藤正裕という日本人俳優とのこと。

戦いの舞台は武当山金頂へと移り、玉京、東方亮、郭璞が金鼎和、無量、黒衣人と対峙。


武当山の危機が去った後、改めて玉京に挑戦する東方亮。決闘の後、玉京らはすべてのケリを付けるために再び遼東へ。東方亮や水霊にもそれぞれの結末が用意されています。

【総括】
ということで最後まで20年前の武侠ドラマという印象が拭えない作品でした。「今時珍しい古風な武侠アクション」というよりはずばりそのもの「古い作品」なのです。去年見た『大侠霍元甲』も何だか懐かしい感じがしましたが、あちらはまだ古風な武侠アクションの段階で踏ん張ってたような感じです。取り敢えずこちらと『山河令』のどちらかを選べと言われたら迷わず『山河令』を選びます (^_^;)
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『武当一剣』その6

2021年05月24日 | 武侠ドラマ
『武当一剣』第31~36話まで見ました。

ヌルハチの本来の顔に気付いた耿玉京は熊廷弼を救出し、ヌルハチと袂を分かちます。そして遼東を出て京師へ。

一方、神農架では東方暁が息子に天下第一剣を目指せと遺言して崖落ち死。それにショックを受けた東方亮は藍水霊との暮らしを諦め、最強を目指して自宮。


そしてこうなりました (^_^;)


さて、京師では黒幕の魏忠賢が登場。元無頼漢というにはほど遠い風貌ですが……

その魏忠賢の手下である東廠に追われることになる玉京たち。ここらへんで西域からやって来た牟一羽&西門燕の兄妹が交流しますが、東廠の刺客に熊廷弼の身柄を奪われ、彼を守ろうとした鄭巧児も、東廠の使い手である許顕純によって建物の屋根の上から蹴落とされて死んでしまいます。彼女の亡骸は謎の黒覆面によって回収され……

「崖から落ちても死ななかったやつが屋根の上から落ちたぐらいで死ぬわけがあるか」と思うわけですが、彼女が死んだと信じる玉京はショックから失語症となり、酒浸りに。


そこへ魏忠賢に追われたと称する義父の不岐が飛び込んできます。もちろん彼に一芝居打たせて玉京らをおびき出そうとする魏忠賢のワナなわけですが、不岐は結局命を奪われようとする玉京を庇い、彼の父耿京士の死の真相を告白して懺悔し、帰らぬ人に…… そして熊廷弼は玉京に「遼東策」を託して刑死を選び、巧児の祖父鄭鉄崗も東廠に追われる中で命を落とします。

傷心の玉京ですが(このあたりでいつの間にか失語症は治ってます)、彼の前に二代目「七星剣客」の郭璞が登場(初代の息子とのこと)。


そして郭璞に匿われていた巧児も。やっぱり生きてましたw

玉京は魏忠賢のもとに忍び込んで警告を与えますが、それが逆効果となり、掌門の牟滄浪の監督不行き届きということで無量を新掌門に擁立することを決意し、武当山を掃討させることにします。武当山の危機を知った玉京らは一路武当山へ。ついでに事態を知って漁夫の利を狙うヌルハチの配下、そして藍水霊を牟滄浪に人質に取られてしまった東方亮も武当山へ……
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『覚醒年代』その2

2021年05月18日 | 中国近現代ドラマ
『覚醒年代』第12~22話まで見ました。


北京大学紅楼が落成。ここには図書館が大学図書館が入り、李大釗が館長として勤務することになります。作中でもここで勉強会が開かれたりと、舞台となることが多くなります。紅楼は現在は博物館になっているとのこと。

さて、北京大学では不適格教員として外国人教員であるカートライトを解雇しようとしたことがイギリスとの外交問題に発展。自分も不適格教員として処分されそうになった辜鴻銘が軍師役となり、イギリス公使館に談判するという事件が発生しております。

『新青年』の方は、周樹人が気の触れてしまった従兄弟の様子から着想を得て執筆した「狂人日記」が最初の近代的白話小説として評判となります。その原稿を書き上げた際に原稿への署名を求められ、「魯迅」と記入。これが周樹人が魯迅となった瞬間となります。


時を移さず『新青年』の同人たちは北大で新文化運動の連続公開講座を催します。銭玄同はそこで漢字廃止とエスペラントの採用を主張し、物議を醸します。白話詩を推奨する胡適の講座では「文言文の方が電報で簡潔な表現ができる」と守旧派の黄侃が反論しますが、胡適は白話文でも政府の役職への就任を断る電報で「干不了、謝謝」(私には務まりません、ありがとう)ともっと簡潔な表現ができると反撃。胡適の頓智力が光りますw


ここらへんで北京大学の学生として登場する傅斯年。後に「夷夏東西説」など古史研究において重要な業績を残すことになります。このドラマでは李大釗や学生たちとともに学内での運動の担い手としての姿が描かれています。


そして湖南より毛沢東が上京。蔡元培の差配により北京大学図書館の図書館員として勤務する一方で講義の傍聴が許されます。このあたりで彼が作中の主要人物として活躍するようになっていきます。

一方、北京大学では林紓一派による陳独秀へのバッシング運動が過熱。外では第一次世界大戦終結を承けて、戦勝国の一員となった中国ではパリ講和会議で日本との間の山東問題の解決に期待が高まりますが……
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『武当一剣』その5

2021年05月18日 | 武侠ドラマ
『武当一剣』第25~30話まで見ました。


耿玉京&鄭巧児は満洲人の商人蘇勒の知遇を得て、彼の商隊とともに18年前の父母の足跡を辿ることに。2人とも髪を整えてシュッとしてます (^_^;)


そして蘇勒。果たしてその正体は……

玉京は18年前に関わる事の情報収集とヌルハチに近づくため、彼の親衛隊に相当するらしい凌雪閣の一員となり、蘇勒ことヌルハチのお気に入りとなります。一度はヌルハチが一代の明君ではないかと感じたものの、謀反を画策した詹王一派への過酷な粛清に疑問を感じるようになります。そこへ明の守将熊廷弼が自らヌルハチ暗殺のために陣幕に突入し……

一方、物見遊山気分で遼東に入った玉京&巧児とは対照的に、藍水霊&東方亮の方は苦難が続きます。水霊は背中に重傷を負った東方亮のために野外で懸命な介護&キャンプ生活を送ります。その間に深まる2人の思い。「水霊さん、そいつ地雷でっせ」と声を掛けたくなりますが (^_^;)

介護の甲斐あって東方亮は無事回復し、武当山周辺の神農架の藍家に戻り、新婚さん同様の生活を送ることになります。ここで神農架の人々が土家(トゥチャ)族に属することが判明。水霊もそうということになるんでしょうかね。また武当山周辺で2人が薬草摘みをするシーンもありますが、確かに薬草は武当山の名産ではあるんですよね。こういう勘所は悪くないです。


そして学者の宋先生(『天工開物』の編著者宋応星ということなんでしょう)と出会い、玉京が水霊に託した武当山の鉄鞭の正体が上古の隕鉄であることが明らかに。彼の尽力により、隕鉄は鋭利な「一剣」として生まれ変わります。


幸せいっぱいの2人の前に長年行方知れずになっていた東方亮の父親東方暁が登場。第1話ぶりの再登場となります。何があったのか過去の記憶がかなり失われているようですが、息子に「神功を錬成するにはまず自宮せよ」という不吉な言葉を投げかけ……というあたりで次回へ。相変わらず力業の展開が続きます。

今回玉京&巧児、水霊&東方亮の二組のカップルのイチャイチャシーンでやたらと尺を引っ張ってるのですが、イチャイチャシーンのセンスも古くさい……(-_-;)
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『武当一剣』その4

2021年05月12日 | 武侠ドラマ
『武当一剣』第19~24話まで見ました。


恋敵ということで藍水霊を攫ったはずの西門燕ですが、道中ですっかり仲良くなり、おまけに水霊が悪漢から西門燕を助けたということで義姉妹の契りを結びます。2人の関係にもはや東方亮は邪魔者でしかないという気がw


そして崑崙宮の主殷明珠登場。夫の西門牧亡き後崑崙派の掌門として取り仕切ってます。かつて「天下第一美女」として知られたそうな。水霊は彼女からも気に入られ、義理の娘として武功を授けられることに。

崑崙山ではもうひとつ断魂谷という勢力がありましたが、黒衣人の手下となった地元の馬飼「陰間秀才」陸志誠の画策により、崑崙宮と対立状態に。この地に到来した玉京&巧児&慧可を崑崙宮のスパイとして捕らえてしまいます。

しかし牟一羽とともに断魂谷の客人となっていた東方亮が陸志誠らの陰謀を告発。更に西門燕&藍水霊も駆けつけて玉京らを救出。ともに崑崙宮を訪れますが、閑事に関わりたくない殷明珠は玉京との対面を拒否し、「七星剣客」の残した七星剣が死亡谷に残されているという情報を与えるのでした。

ならば死亡谷に挑戦するまでということで、谷に乗り込む玉京と巧児。しかしそこは崑崙派の歴代掌門が挑む難関なのでした。かつて死亡谷を突破した東方亮が密かに2人を見守り、七星剣の入手に成功。


黒衣人や牟一羽は、その間に守りが手薄な崑崙宮の攻略に乗り出します。崑崙宮には四門八卦陣という防禦の仕掛けが施されておりましたが、黒衣人は次々と陣の急所を破壊。殷明珠を追い詰めます。そしていきなり味方のはずの牟一羽を人質に取り、彼が実は牟滄浪と殷明珠との間の子であるという衝撃の事実がいきなり明かされます。西門牧と結婚する前に2人が恋仲だった時期があるらしい……


出生の秘密を知り、ヒゲを剃り落としてこれからは母のために生きると誓う牟一羽。いきなりキャラが変わりました (^_^;)

黒衣人が一旦引き下がったことで崑崙宮の危機が去り、玉京らは「七星剣客」が遼東にいるかもしれないということで、長城を越えて遼東へと入ります。一方、水霊と東方亮は武当山に戻ることにしますが、旅立ったところをいきなり武当山の秘伝を狙う黒衣人が襲撃。その配下の唐二&常五娘に捕らわれますが、何とか逃げ延びて……という所で次回へ。

何と言うか力業で無茶な展開が続きます……
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『覚醒年代』その1

2021年05月06日 | 中国近現代ドラマ
このドラマ、放映されていたということ自体知らなかったのですが、『大江大河2』『山海情』と並んで今年ナンバーワンの呼び声も高いということで見てみることに。今回は『覚醒年代』全43話中第1~11話まで鑑賞。

時は1915年、物語は袁世凱が21ヵ条の要求を飲むところから始まります。この報道は日本の中国人留学生にも伝わり……


ということで早稲田大学の留学生李大釗。主人公その1です。


主人公その2陳独秀。日本に亡命中のところ、早稲田大学で李大釗と出会います。ムサ苦しい格好ですが、ここからすぐに髭を剃って髪型をオールバックにし、こざっぱりしたナリになります (^_^;) 中の人は新版『三国』の劉備、『軍師連盟』の曹操、炎上版『封神演義』の姜子牙の于和偉です。

陳独秀は帰国後上海で『青年雑誌』、すなわち後の『新青年』を創刊。「科学と民主」を合い言葉とする同誌は当時の新文化運動の発信源となり、中国の行く末を憂う国内外の若者たちの心をつかみます。


青年毛沢東。処女論文「体育之研究」が陳独秀の同志易白沙に激賞され、『新青年』に掲載に至ります。


そしてこの人も…… ただ今のところ出番はここだけ。

陳独秀は北京大学校長蔡元培より同大学の文科学長として招聘され、『新青年』の編集部を北京に移すことを決意します。同じく北京で『甲寅日刊』を発行していた李大釗と再会し、協力体制を構築。


そして魯迅、アメリカのデューイのもとで学ぶ胡適らを北京大学の教員として招聘。ただ、胡適の招聘については学内の保守派辜鴻銘、劉師培らの反対も強く、またその間に張勲が北京に入城し、溥儀の復辟を図るなど、政治状況も不安定。


今回は辜鴻銘が張勲の復辟運動に関与していたことが取り沙汰され、学生たちが彼の解雇を求め……というあたりで次回へ。辜鴻銘先生、ガッツリ保皇派で王朝時代の辮髪や服装を崩さない一方で、専攻は英文学、エディンバラ大学に留学し、語学に堪能というキャラクターです。

ということで中国共産党建党100周年を記念した本作なのですが、創設者の陳独秀・李大釗が新文化運動の中心人物でもあるということで、非常によい新文化運動ドラマとなっています。


陳独秀が初対面の人と会ったり旧友と再会したりするたびに相手と熱い抱擁を交わしているのが印象的な作品ですw
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『武当一剣』その3

2021年05月06日 | 武侠ドラマ
『武当一剣』第13~18話まで見ました。


少林寺へと向かう途上ですっかり仲良くなって義兄弟のような関係となった藍玉京と東方亮ですが、東方亮の婚約者と称する崑崙派の西門燕が現れたことで、彼はパーティーから離脱。玉京&巧児と別行動をとることになります。しかし西門燕は東方亮と思い合っている藍水霊に嫉妬し、彼女を拉致して崑崙山へと去って行きます。


東方亮はその後牟滄浪の子の牟一羽と行動をともにすることとなり、少林寺に向かうことに。牟一羽は藍玉京への不信感をかき立てます。


藍玉京はといえば、常五娘&唐二から自身の出生の秘密を知らされ、父親の耿京士は後金に加担した裏切り者という言葉に衝撃を受け、巧児とともに崖落ち。何でや (^_^;)

しかし当然の如く途中で木に引っかかって二人とも助かり、駆け込んだ先の洞窟で出会った毒蛇の血を飲んで玉京は紅丸の副作用の治療に成功。更にはこの洞窟、実は武当派開祖張三丰の開いた三丰洞で、失われた武当派の秘伝・純陽無極功の後半部が隠されていたのでした。

清々しいほどのご都合主義的な展開を経て二人は少林寺に到着。二人に追いついてきた鄭鉄崗から、耿京士は裏切り者などではないと真相を知らされた玉京は、以後父親の姓に復して耿玉京と名乗ることになります。そして本無大師らから少林寺の武功を授けられ、メキメキと武功を上げていきます。一方、やはり少林寺に追いついてきた東方亮はそんな彼の様子を見てますます嫉妬に駆られ、袂を分かつことになります。

玉京&巧児は、少林寺で飯炊き僧として身を隠していた慧可とともに崑崙山へと向かうことに。慧可は出家前は義侠の士の集団「小五義」のひとりで、18年前に耿京士を助けた「七星剣客」とも関わりがあるとのこと。崑崙派の西門夫人が彼の行方を知っているだろうということで、ともに向かうことになります。時を同じくして牟一羽&東方亮、西門燕&藍水霊、唐二&常五娘も崑崙山へと向かっており…… 

ということで次回は崑崙山編です。
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『戦乱中国の英雄たち』

2021年05月01日 | 中国学書籍
GW開け、5/10頃より中公新書ラクレで『戦乱中国の英雄たち――三国志、『キングダム』、宮廷美女の中国時代劇』という本を出します。今回は中国時代劇ドラマ本です。Amazonでも目次は上がっているのですが、字数の関係からか一部省略されているので、こちらに目次完全版を上げておきます。



はじめに

第1章 虚実の狭間の三国志
演義から正史へ/名分と野心の両立/政治的な英雄たち/「毒親」曹操/歴史は繰り返す/影武者献帝/陰謀を拒絶する/オリジナル武将との共演

第2章 『キングダム』の時代と実力主義
下剋上と実力主義の時代/始皇帝ドラマあれこれ/時代の子/どうして秦が統一に成功したのか?/架空の春秋・戦国時代/「小鮮肉」たちの実力主義/キングダムかエンパイアか/君子とブレーン――「偽君子」孟嘗君/実力主義の陥穽

第3章 項羽と劉邦のタイム・パラドックス
始皇帝に会いに行く/スマホの充電器を自作する/中国版『イニョン王妃の男』/歴史は変えられない/清朝の皇位継承争い――雍正帝と私/タイムスリップ物は放映できないのか?/歴史を動かす「天意」/世界は変えられる

第4章 異民族? 自民族?
「中華民族」の祖先たち/草原を駆ける王昭君/中国式ポリティカル・コレクトネス/敬遠される岳飛/中華版『モンテ・クリスト伯』のスリーパー・セル/中国時代劇版『24』/国際都市長安の闇/遼と宋の間で苦悩する「大侠」/中国式ウェストファリア体制の可能性/「異民族」とともに生きる

第5章 ジェンダーの壁に挑む女帝武則天
後宮=中国版大奥の世界/皇帝の寵愛は我が目的にあらず/皇后を縛るもの/完璧すぎる皇后/女の学問/浮かばれない武則天/女暗殺者の城/男女が逆転した世界/主君か愛かという人生の選択/宦官も民衆のひとり/新天地に飛び立つ宦官

第6章 剣客たちの政治学
江湖、武林=剣客たちの世界/『笑傲江湖』の中の文革/武もなければ侠もない/狙われた少林寺/成就されない友情/十六年後の再会/雲深不知処に響く笑傲江湖/新たなる戦いへ

終章 中国時代劇のこれまでとこれから
中国時代劇のジャンル/時代劇になりやすい時代/中国時代劇のあゆみ/なぜ時代劇なのか?

あとがき
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2021年4月に読んだ本

2021年05月01日 | 読書メーター
戦後政治史 第四版 (岩波新書 新赤版 1871)戦後政治史 第四版 (岩波新書 新赤版 1871)感想敗戦から安倍政権退陣までの政治史、というか政界史、政局史になっているきらいがないわけではない。『小説吉田学校』とは別の視点からの戦後政治史が読みたいと思って本書を手に取ったが、社会党、民主党といった第一野党の動向も比較的詳しいのが特徴か。コンパクトにまとまっているだけに、便覧的な使い方もできそう。読了日:04月01日 著者:石川 真澄,山口 二郎

古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々 (中公新書 2636)古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々 (中公新書 2636)感想古代日本の状況はよいとして、著者は「専制君主国家」一般に対して幻想を抱いているのではないだろうか。中国を比較対象にし、唐代の例も挙げてはいるが、中国王朝全般が著者のイメージする「専制君主国家」を貫徹できたわけでもあるまい。中国には中国の「怠惰」と「寛容」があったはずである。(宋以後の胥吏のありようも含めたら相当イメージが変わるのではないかと思う)読了日:04月03日 著者:虎尾 達哉

つくられた卑弥呼 (ちくま学芸文庫)つくられた卑弥呼 (ちくま学芸文庫)感想『女帝の古代王権史』の刊行を機に、前考と言うべき本書を文庫版で再読。男王も女王もともに「見えない王」と「戦う王」としての性質を兼ね備えていたのではという所から、現在広まっている卑弥呼像が果たして妥当なのかという疑問につなげていく点、そして古代においては名前による男女の区別がなかったのではないかという発想はやはり面白い。読了日:04月05日 著者:義江 明子

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)感想現在の日本人の氏名のあり方はどのように誕生したのか?が本題なのだが、その前提として江戸時代の「名前」はどのようなものだったのかという説明に半分以上を費やしている。朝廷の常識と武家(というか広く朝廷以外)の常識とが大きく齟齬する中で、明治維新以後朝廷の常識に沿った形で是正が図られるはずだったが……と、複雑な「名前」のあり方や変化の推移を複雑なまま追っているのが面白い。結果として「日本人のお名前」は単純化されたが、それ故に削ぎ落とされてしまったものも多いと感じさせられる。 読了日:04月10日 著者:尾脇 秀和

後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線 (角川新書)後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線 (角川新書)感想日中戦争のうち、太平洋戦争勃発後の展開、特に第三師団の動きに着目。731部隊による細菌戦などを詳述。細菌戦は日本側をも苦しめることになる。目的もないままに始められたという日中戦争、蔣介石以下日本に留学経験のある中国側と日本側の将校とが実は旧知であったということで、本当に何のための戦いだったのかという思いを深くする。読了日:04月11日 著者:広中 一成

労働組合とは何か (岩波新書 新赤版 1872)労働組合とは何か (岩波新書 新赤版 1872)感想西欧での労働組合の起こり、日本での状況など、労働組合の歴史的な起源から語り起こし、日本でユニオニズムが根付かず企業別組合となってしまった歴史的な経緯を詳述。凡百の論者なら「だから日本でユニオニズムは無理なのだ」と結論づけられるだろうが、本書は企業別組合とセットになるべき年功序列が崩壊した今こそユニオニズムを創る好機なのだと言う。日本での成功例として関西の生コン業界を取り上げているのが面白い。読了日:04月14日 著者:木下 武男

中国語は楽しい ――華語から世界を眺める (ちくま新書)中国語は楽しい ――華語から世界を眺める (ちくま新書)感想大陸で話される中国語だけでなく、台湾華語や香港の粤語なども視野に入れ、基礎知識やよもやま話を展開。台湾語は書き言葉として規範化されておらず、結果台湾ではかつての「国語」と歩み寄りを見せていること、そして同様に書き言葉として規範化されていなかったはずの粤語が、「粤語白話文」という形で急速に書き言葉としての規範化が進んでいるといった現地事情が面白い。読了日:04月15日 著者:新井 一二三

中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国 (講談社学術文庫)中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国 (講談社学術文庫)感想太平天国から西安事変まで。軍事優先、独裁体制、党国体制など、現代中国の政治、政府のあり方として問題視される要素が、共産党政府独自の問題というよりも、孫文、蔣介石の姿勢を継承したものであるという歴史的背景、歴史的展開を随所で示している。なお、本書のタイトルにもなっているラストンペラーよりは魯迅の方が印象が強いし、本書においては重要な役割を果たしている。読了日:04月19日 著者:菊池 秀明

京劇―「政治の国」の俳優群像 (中公叢書)京劇―「政治の国」の俳優群像 (中公叢書)感想清代から21世紀初頭までの京劇と政治との関わり。西太后、袁世凱、毛沢東ら為政者との関わり、梅蘭芳ら有名俳優の銘名伝、新中国の京劇改革、文革と京劇、京劇を通じた日中交流等々。革命模範劇について、ありがちな否定的評価で一刀両断せず、伝統京劇が行き着いたひとつの帰結とする点、一次伝統、二次伝統と、京劇の「創造的破壊」(マイクの使用、女優の導入など)の話が面白い。読了日:04月21日 著者:加藤 徹

幣原喜重郎-国際協調の外政家から占領期の首相へ (中公新書, 2638)幣原喜重郎-国際協調の外政家から占領期の首相へ (中公新書, 2638)感想幣原外交なるものは存在したのか?あるいは田中外交との近似性、外相時代には発揮できなかったリーダーシップ、中国の革命外交に対する保守的な見方、そして憲法第九条の産みの親なのか?という問題など、幣原の功績よりはその限界性を強調する内容。それによって「あとがき」にあるように、「等身大」の幣原を描き出していることには成功しているかもしれない。読了日:04月23日 著者:熊本 史雄

三国志 きらめく群像 (ちくま文庫)三国志 きらめく群像 (ちくま文庫)感想正史『三国志』よもやま話というか銘々伝。正史の基礎というか読み込み方もわかるような設計となっている。個別の議論については要審議の部分もあるだろうが、歴史エッセイとしては上等の部類か。読了日:04月26日 著者:高島 俊男

八九六四 完全版 「天安門事件」から香港デモへ (角川新書)八九六四 完全版 「天安門事件」から香港デモへ (角川新書)感想天安門事件に関わった人々のその後。事件後に「ネットで真実」に目覚めて大変なことになった者もあれば、台湾で学生たちと接し、ヒマワリ学運に影響を及ぼした者もあり。そして天安門事件の負の部分は香港のデモに継承されていく。今回追加の新章ではその継承のありさまが語られる。大陸を見下す香港人の精神が、金やモンゴルに圧迫された南宋人、あるいは清に追い詰められた南明政権の人士と類似しており、ある種の「中華思想」をこじらせてしまっているのが何とも悲しい。読了日:04月28日 著者:安田 峰俊
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