博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

于正版『神雕侠侶』その6

2015年03月27日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第25~30話まで見ました。このドラマ、原版(DVD収録に合わせて1話をOP・ED込みで45分程度に調整したもの)が前回見た第27話までしか上がってないので、今回から1話ごとの区切りが異なるテレビ版で視聴することに。

公孫止と裘千尺の馴れそめの続き。裘千尺に一方的に惚れられ、強引なアタックをかわせずに嫌々結婚することになった公孫止ですが、浮気相手が死に追い込まれたことを怨み、彼女を罠に掛けて絶情谷の地下石窟に落とすことに。コメディで始まったはずの二人の物語がホラーで締められます。


出会った頃の二人。公孫止は詐欺に掛けた相手から逃れるために、小龍女のような髪型をフライドチキン型の総角に変えて女装。

で、地下石窟から脱出を果たした楊過らは公孫止を打ち破りますが、情花の毒を解毒できたのは小龍女のみで、楊過は毒に冒されたままです。裘千尺の持つ情花の解毒薬を得るために、彼女の兄の敵である郭靖・黄蓉夫妻の首を持ち帰ることに。この時点で楊過の寿命は残り18日です。

郭靖らが駐屯する襄陽に到着した楊過と小龍女ですが、なかなか暗殺の機会がつかめず、更に楊過は国のために命を惜しまずモンゴル軍と戦う郭靖の姿を見て暗殺を躊躇い始めます。そんな中、どちらが郭芙と結婚するかで兄弟喧嘩をおっぱじめた挙げ句、彼女との結婚を賭けてフビライを暗殺しようと敵陣に忍び込んで囚われの身となったり、はたまた襄陽に乗り込んできたクドゥに「膿包」(役立たず)と言われ、それを黄蓉が否定しなかったことに傷つく武兄弟 (^_^;)

そしてモンゴル軍が押し寄せる最中に黄蓉が郭襄と郭破虜の双子の姉弟を出産。郭襄を託された小龍女は、郭靖・黄蓉の首のかわりに赤子を裘千尺に差し出して解毒薬を得ようと考えますが、赤子を楊過と小龍女の子と勘違いした李莫愁に奪われてしまいます。事情を知って李莫愁から赤子を取り返そうとする楊過ですが、そんな非常時でも兄弟喧嘩をやめない武兄弟…… 

二人の父親武三通に懇願されて喧嘩を止めるため、自分と郭芙が婚約していると吹聴する楊過ですが、それをうっかり小龍女が聞いて真に受けてしまい、「過児は自分より郭芙を愛している」と思い込んで傷つきますが、どうして情花の毒で余命6日しかない人間が将来のために結婚するという話を信じられるのでしょうか?このあたり小籠包効果というか小龍女のキャスティングミスにより、従来のドラマ版では何となく誤魔化されていた小龍女の行動や発想のおかしさが浮き彫りになってますね。

小龍女は更に襄陽にやって来た趙志敬と甄志丙との会話から、自分の貞操を奪ったのが楊過ではなく甄志丙であることを知ってしまい……
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于正版『神雕侠侶』その5

2015年03月21日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第22~27話まで見ました。

黄薬師と梅超風の昔話の続き。黄薬師と、人並みに言葉が話せるようになった元狼少女の梅超風は次第に互いを何となく思い合うようになっていきます。しかし自分が弟子を娶ろうとしているという噂が江湖に広まっているのを知ると、黄薬師はそれを打ち消そうとするかのように、『九陰真経』を研究する女性(すなわち黄蓉の母)と結婚。それに嫉妬した梅超風は、自分を慕う兄弟弟子の陳玄風とともに『九陰真経』を盗んで桃花島より逃亡、江湖に悪名を馳せるようになったのでした。

で、後年梅超風との感情を拒絶したことを後悔した黄薬師は、楊過と小龍女との師弟間の婚姻を支持する気になったという次第。愛妻家という原作の設定に反するかのような展開ですが、まるっきりドラマ版での創作というわけでもなく、梅超風が狼少女だったという部分を除いてはおおむね原作改訂第三版の設定に基づいているようです。

その頃、小龍女は原作より一足先に周伯通と出会っておりました。この周伯通なんですが、街角で手品を披露する女旅芸人(これがまた無駄にかわいい)にタネを教えてもらおうとまとわりつき、相手にされないと見るとイケメンに変装して気を引こうとしたりしております。こんな手段を使って周伯通をイケメンにしようとするとは…… そして周伯通が目を離した隙に小龍女が公孫止(イケメン)に拾われて絶情谷に連れられ、楊過を忘れるためにそのプロポーズを受け入れます。

一方、楊過は傻姑の話から郭靖・黄蓉が父の仇だと思い込み、程英・陸無双と別れたところを金輪国師らと合流し、色々あって絶情谷へと赴くことに。そこで引き合わされた公孫止の花嫁が小龍女であると知り、衝撃を受けます。この場面で、楊過「姑姑!オレだよ、探したんだよ!」 小龍女「人違いではありませんか?私の姓は柳です」 公孫止「ほら、柳妹も人違いだと言っているではないか!」というやりとりがなされるのですが、今回のドラマ版では楊過らの来訪に先立って、先に小龍女と知り合いになっていた周伯通が絶情谷に潜入し、彼女と対面して「あっ、小龍女!」と呼びかけたりしているので、公孫止も柳というのが偽名で楊過の言っていることが正しいとわかっているはずなんですよね……

しかし楊過への思いを押さえきれなくなった小龍女は一転して結婚を拒否。(冷静になって見てみるとここらへんの小龍女の行動は割と酷い)二人して公孫止に戦いを挑んで敗れると、ともに情花の毒を受け、更に楊過が彼を助けようとした公孫緑萼とともに地下に落とされることに。

で、地下で生き延びていた裘千尺と出会い、彼女と公孫止とのなれそめを語る回想シーンに入ったところで次回へ。何かイベントが始まるたびに昔のコイバナが挿入されるというパターンをいつまで続ける気なんでしょうか(´Д`;)
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于正版『神雕侠侶』その4

2015年03月15日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第16~21話まで見ました。

郭芙らと別れた後に迷い込んだ雪山で洪七公と出会い、また義父欧陽鋒と再会する楊過。そこへ洪七公の命を狙う女性秋意濃が来襲し、ドラマオリジナルとなる2人の過去のコイバナが…… 

秋意濃は実は金輪国師の妹弟子。金輪の命で洪七公を暗殺するべく丐幇に潜入→ところが洪七公といい雰囲気に→洪七公と一緒になるために、決死の思いで金輪の組織から抜ける→秋意濃が洪七公のもとに駆けつけると、肝心の彼は前幇主の娘と婚礼の最中→失意により一時的に視覚・聴覚を失った彼女を元の兄弟子龍九が介抱し、彼と結婚→しかし龍九が金輪の命で宋に潜入し、洪七公に倒される→以来仇討ちのため意濃が洪七公を付け狙うという取って付けたような展開です (^_^;) 金輪国師がなぜ男しかいない丐幇に女性を潜入させたのかはツッコんではいけないことなのでしょうか。(実際それですぐに刺客とバレる)

そして洪七公を刺殺する秋意濃ですが、そこで実は洪七公は前幇主の娘と結婚していなかったこと、失意の秋意濃を介抱したのは龍九ではなく洪七公だったことが明らかにされ、過ちを悟った彼女は自ら死を選ぶことに(´;ω;`) ともかくこれでやっとメインストーリーに戻るなと思ったら、今度は正気を取り戻した欧陽鋒の口から兄嫁阿雪との若き日の過ちが語られます。このドラマ、ちょっと視聴者を試しすぎじゃないですかね?

で、洪七公・欧陽鋒らの最期を見取った楊過は下山して郭靖・黄蓉夫妻主催で英雄大会が開催されることを知り、帰雲山荘に駆けつけることに。ここで原作の見せ場のひとつ金輪国師らとの三番勝負と小龍女の再会が描かれます。

動画サイトのコメント欄を確認しますと、中国人・台湾人の視聴者がこのあたりの小龍女の言動に対して厳しい感想を寄せていますが、正直なところ原作でも楊過と小龍女カップルの言動や性格にはかなりエキセントリックな部分があるんですよね。今までのドラマ版では美男・美女が演じているので、何となくビジュアルで誤魔化されてきたのが、今回のドラマ版では楊過はともかくとして小龍女のキャスティングに失敗していることで、主役カップルのアレな部分が目立ちやすくなっているのだろうなと。脚本・プロデューサーの于正が意図的にそうしているなら大したものですが。

郭靖・黄蓉らに師弟同志の結婚を反対され、楊過のもとを去る小龍女。彼女を捜索する楊過は陸無双・程英と再会。程英は幼少の頃楊過に妓楼に売られたことをきっちり覚えていましたw しかしそれがきっかけで黄薬師と出会えたということで、「縁份」の一言で済ましてしまう程英…… そして彼女を追って黄薬師が到来し、程英にかつての弟子梅超風との出会いを語り始めたところで次回へ。何か梅超風が狼に育てられた狼少女という物凄い設定になっているのですが (^_^;)


今回のドラマ版の黄薬師。中の人の李銘順は1998年シンガポール版『神雕侠侶』で楊過を演じたとのこと。なぜこういうセンスが小龍女のキャスティングで生かされなかったのでしょうか……
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于正版『神雕侠侶』その3

2015年03月09日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第10~15話まで見ました。

小龍女に弟子入りして4年、楊過が大人となり、本役の陳暁と交替。于正版『笑傲江湖』で林平之を演じていた人ですね。



で、野外で半裸で玉女心経の修業をしていたところを全真教の甄志丙・趙志敬に目撃されて内傷を負い、更にそこへ李莫愁が襲撃と、メインストーリーは原作通りに進んでいきますが、そこへ李莫愁の弟子洪凌波が狂言自殺して一般男性と結婚しようとしたり、趙志敬が次の掌教(教主)の座を狙って甄志丙を陥れようとしたりと、割とどうでもいいサイドストーリーが挿入されます。

しかし街の住民などモブ役も含めて作中の人物が小龍女をいちいち絶世の美女扱いするのは何とかならんもんでしょうか。洪凌波なんかも初めて小龍女を見た時に「こんな美しい人がいたなんて……」などとつぶやいていますが、自分の師匠の方がよっぽど絶世の美女でしょう。

李莫愁の魔の手を逃れ、古墓の壁画から学んだ九陰真経を修練する楊過と小龍女。しかし小龍女は楊過が刺激の多い街中で暮らしたがっているのを察し、思い悩みます。ここで楊過が棋をさすのが好きということで、趙志敬に陥れられている真っ最中の甄志丙が二人きりで小龍女に棋を教えるというエピソードが挿入されます。「また明日も教えてね」と言われていい気になり、翌日趙志敬に囚われの身となったところを何とか脱出して約束の場所に来てみると、小龍女が楊過とキャッキャウフフしてるところを見せられることに(´;ω;`)

ここで出てくる「棋」というのは下の画像のようなボードゲームなんですが、何か基づくところがあるのでしょうか?別の場面でドラマの舞台となっている南宋時代にはまだ中国では栽培されていなかったと思われるサツマイモを食べる場面が出てくるぐらいですから、さほどこの手の考証にこだわっているとは思えないのですが……



そして楊過を探し求めてやってきた欧陽鋒に小龍女が点穴され、媚薬を趙志敬に盛られた甄志丙に訳が分からないままに手籠めにされてしまい、楊過のもとを去るという展開に…… ここで欧陽鋒が小龍女を「臭丫頭」(クソアマ)と罵っているのが、絶世の美女扱いするよりまともな反応に見えてきます (^_^;) 

で、今回は小龍女を探し求める楊過が李莫愁に追われる陸無双と道連れになり、大人になった郭芙や武兄弟と再会するあたりまで。
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于正版『神雕侠侶』その2 ただしイケメンに限る

2015年03月02日 | 武侠ドラマ
于正版『神雕侠侶』第4~9話まで見ました。

誓い通りに10年後再び李莫愁が陸家荘に来襲し、陸展元夫妻は死を選び、2人の間に生まれた娘陸無双(原作とはとは異なり陸展元夫妻の娘という設定になっています)が李莫愁に攫われることに。ここで郭靖・黄蓉夫妻ら桃花島一門と少年楊過が登場。子役楊過は本役の陳暁に顔つきが似たイケメンです。



陸無双の従姉程英を妓楼に売り飛ばしたりと原作より二割増しぐらいで酷いヤツになっていますが、張紀中版『神雕侠侶』の時の子役とは違ってイケメンなので何となく許せる気になってきます。これが「※ただしイケメンに限る」というやつでしょうか。

で、桃花島に引き取られることになった楊過ですが、やはり行動が改まらず、かつての西毒・欧陽鋒との関係を疑われ(原作通り2人は義理の父子となっています)、全真教の総本山である終南山に送られることに。ここで楊過の父楊康と郭靖との因縁が回想シーンで語られますが、楊康が郭靖に戦いを仕掛け、黄蓉を攻撃した時に毒が付着した軟猬甲に触れて死んだという描写になっていますね。楊過にはまだ生前の父の所行や死の真相は知らされません。

そして全真教で趙志敬に弟子入りすることになる楊過ですが、ここでオリジナルキャラ趙志敬の愛人小翠ちゃんが登場。楊過がその存在を暴き立て、趙志敬の立場を守るために自害と、第7話で登場したと思ったら次の第8話でかなりぞんざいに死んでしまいます。それを怨んだ趙志敬があの手この手で楊過を陥れようとするわけですが、楊過も負けてはいません。

結局欧陽鋒との関係を知られて全真教のみなさんに追われていたところを古墓派の孫婆婆に庇われ、古墓派の主のヒロイン小龍女と出会い……という展開になるのですが、原作と違って趙志敬に対して楊過の方もかなりどぎつくやり返しているので、あんまり同情する気になれないのですよね。(すいません、さきほどの「※ただしイケメンに限る」の件、前言撤回させて頂きます。)今回の于正のクソアレンジにより、楊過を一方的に苛められる側に回して読者を同情させるという原作の展開のうまさを認識させられることになるとは……(-_-;)
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2015年2月に読んだ本

2015年03月01日 | 読書メーター
この日本、愛すればこそ――新華僑40年の履歴書 (岩波現代文庫)この日本、愛すればこそ――新華僑40年の履歴書 (岩波現代文庫)感想
中国出身のジャーナリスト莫邦富による自伝と今後の日中関係の展望。特に来日以後の部分の内容は莫氏の今までの著作の総まとめという感が強いが、中国が日本に学ぶ一方で、日本にとっても中国から学ぶべきことが多々あるという著者の主張には強く同意。個別に印象に残ったエピソードは、同じ被爆地の資料館でも、広島と長崎とでは中国人が受ける印象が異なるという話と、既に20年前よりタイタニックから逃れるネズミのように、中国人密入国者とエリート双方が日本から脱出する動きを見せているという話。
読了日:2月3日 著者:莫邦富

恋の中国文明史 (ちくま学芸文庫)恋の中国文明史 (ちくま学芸文庫)感想
漢族の文化に対する北方系民族の刺激によって中国の恋愛感が発展していったという観点でまとめる。特に『紅楼夢』が恋愛小説としてどう画期的だったのかという点が読みどころかなと。終章で触れる、清末の中国が西洋の思想や文学・芸術を下位文化と見なしたことの後果は、今の日本にとって教訓となるかもしれない。
読了日:2月6日 著者:張競

ナポレオン ~覇道進撃~ 8巻 (ヤングキングコミックス)ナポレオン ~覇道進撃~ 8巻 (ヤングキングコミックス)感想
大陸封鎖令の話題が出てまたひとつナポレオンの死亡フラグが。今回の主役は表紙にも出ているネイ……のはずなんですが、ルフェーブルの方が印象が強い。
読了日:2月7日 著者:長谷川哲也

イスラーム国の衝撃 (文春新書)イスラーム国の衝撃 (文春新書)感想
イスラム国の歴史的な位置づけを中心とする。本書に述べるように歴史的な流れの中でイスラム国が生まれたとすれば、今のイスラム国を壊滅させたとしても第二、第三のイスラム国的な組織が以前よりバージョンアップされた形で現れるということになるのだろう。そうなると次かその次ぐらいの組織に対しては、世界各国が好むと好まざると国家として承認せざるを得ない状況になるのではないかという印象を抱いた。
読了日:2月8日 著者:池内恵

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)感想
「鴨居の大将」ことサントリーの創業者鳥井信治郎の一代記と、サントリーの歩み。「マッサン」も一箇所だけ名前が出て来ます。マッサンの絡みに注目すると、日本でのウイスキーの普及には軍隊が深く関係していたんだなと。
読了日:2月10日 著者:山口瞳,開高健

憲法9条の思想水脈 (朝日選書823)憲法9条の思想水脈 (朝日選書823)感想
日本国憲法第9条に結実する平和を求める思想の流れを、世界の側と日本の側の両方から辿っていく。小野梓や中村正直らが明治の頃から世界連邦・世界政府の構想を抱いていたということに意外な感じがしたが、版籍奉還・廃藩置県からの発想という説明に納得。版籍奉還・廃藩置県の世界版を実行すれば、日本がそれによって中央政府による統合を成し得たように、世界連邦・世界政府も建設可能という発想だったようだ。
読了日:2月13日 著者:山室信一

中国古典学のかたち (研文選書)中国古典学のかたち (研文選書)感想
著者の古典文献学に関する論考を中心に集めたもの。原典とは別に注釈書はそれ自体が独自の世界観と価値を有しており、中国の思想家は注釈によって自己の思想を形成してきたというのが全体を通じてのテーマとなる。本筋とは関係ない部分であるが、134頁の補説[四]で清華簡『尚書』の発見が『偽古文尚書』のテキストの正統性を高めることになるというコメントは逆ではないかなと。咸有一にしろ説命にしろ、むしろ現行のテキストが偽作であることを示す材料ではないかと思う。
読了日:2月15日 著者:池田秀三

考古学入門 (講談社学術文庫 17)考古学入門 (講談社学術文庫 17)感想
元は戦前に書かれた児童向けの博物館と考古学の入門書ということですが、大人にとっても手頃な入門書となっています。(もちろん細部は今では修正が必要な所もあるでしょうけど)その多くが著者本人のものという挿し絵も見所。
読了日:2月16日 著者:浜田青陵

蒙古襲来蒙古襲来感想
従来蒙古襲来の主要史料のひとつとして扱われてきた『八幡愚童訓』の批判や、『蒙古襲来絵詞』の史料批判などが主な内容。指摘されている事柄についてはもっともなものが多いが、中国側の史料を扱い慣れてなさそうなのが気になる。
読了日:2月20日 著者:服部英雄

説文入門説文入門感想
副題にある通り、あくまで段玉裁『説文解字注』の入門書。ついでに同じく段玉裁の「六書音均表」解説のため、上古音研究に関してもまとめられています。面白く読んだのは説文会での会読の様子を再現した第三章第三節。昔の仏家で行われていたという「義疏家の方法」が取り入れられていますが、東洋でも西洋のディスカッションにあたるものが存在したんですね。
読了日:2月24日 著者:

袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)感想
辛亥革命以前の事績を重点的に検討したということだが、やはり辛亥革命以後の部分、袁世凱及び列強と中華民国側とで革命に対して認識のズレがあっただとか、袁世凱の時代的な限界といった話の方が面白い。手放しで袁世凱を賛美することはしないが、戊戌変法の時の動きについては是正を図っている。
読了日:2月25日 著者:岡本隆司

平安時代の死刑 (古代史)平安時代の死刑 (古代史)感想
嵯峨天皇の時の薬子の変から保元の乱まで死刑が廃止されていたという言説が流布しているが、実際には死刑の廃止ではなく停止措置であったこと、またそれにも関わらず実態としては死刑が執行されていたことなどを論じる。当時の実態の検証や保元の乱以後の状況との接続は詳しくまとめられているが、副題にある「なぜ避けられたのか」の説明は充分とは言えないのではないのかと感じた。
読了日:2月28日 著者:戸川点

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