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月夜草子(つくよそうし)番外編1 



キョコウノシンゾウミャクウツハナシヲ

8月28日(火)


※押し入れの中から出てきた、なつかしい絵本。悪戯に番外編を書いてみた。


「戻った時間 変わらぬ状況」

帰りが遅くなったので
タクシーを止めようと表通りに出た
週末の夜は なかなか空車が来ない
時計を見ると 午前零時になろうとしている

私は 少し焦りを覚えた
その時 急ブレーキの音が響いた
驚いて振り向くと 一台の車が電信柱に正面衝突していた
どうせ酔っぱらいだろうと 見ていたら
車から降りてきたのは タキシード姿の紳士だった

彼は 私が見ているのを知ると
「今宵も月が綺麗ですね」と声を掛けてきた
「そうですね」返事をすると 
「どうかこの件は、ご内密に」そう言って深々と頭を下げた
私は尋ねた「車をぶつけたことですか」
すると「車はすぐに元通りになります。ちょっと時間を戻すだけですから」
意味不明なことを言い 意味不明に微笑んだ そして次の瞬間 
夜空に向かって「エイヤー」と叫んだ
同時に お月様が二回くしゃみをした

私の目の前が真っ暗になった
軽い目眩の後 ゆっくりと視界が広がった
果たして そこにはもう紳士の姿も車もなかった
時計を見ると 午前零時になろうとしている
ふっと、ため息をついたら
目の前をさっきの車が通り過ぎた

「畜生! 片手落ちだよ」
電信柱が へこんだ体を見つめながら吐き捨てるように言った



「一週間絵日記」









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