ここまでいろいろ書けるようになるまで1週間。昨日まで全然だめだったんです。いろんな思いがありました。
80食のランチ、それだけでもすごい食数。加えてまかない分や予備を含んだから100食計算で試算とプランニング。
実際に、当日100名近くの方にごはんを食べていただき、最後余った分は「今晩のおかずにどうぞ」と分けさせていただきました。
余ったのは多めに頼んだ岩手の根菜類と白菜を使ったおかずのみ。だいたいの試算が合っていてうれしかったです。
ランチにお越しいただいた方の感想は概ね好評で、ホール担当の話では「おいしかった」と行って帰られた方も少なくはなかったとか。
また、「厨房に返ってきたお皿を見てて、残してる人はほとんどいなかったよ、さんまがひと切れあったのは見たけど」と言ってくれたのは、さて誰でしょう(笑) すごいなー、ちゃんと見てるんやなー、と尊敬。
「おいしい」と食べて帰ってもらいたい、楽しい時間を過ごしてほしい・・・という願いはある程度叶ったのかもしれません。
でも、いくつか配慮が行き届かないことがありました。ひとつひとつは小さいことかもしれないけど、それは実際心配りが足りなかったから起きたのだと思います。
たとえば、この日のお茶は京都の「柳桜園」の「香悦」。私のいっとう好きなほうじ茶です。
いろいろ考えた末に選んだお茶ですが、注いだ時に茶葉が出てしまう急須を茶こしなしで使ったために、茶葉が湯のみの中に入ってしまい、入れ直す時間がなくそのままお出ししたのもあったようです。
また、チーズケーキはフォークを添えてあると思い込んでいたのだけれど、実際にはお箸で食べることになってしまったようです。
・・・こんなことあんなこと後日知りました・・・。あちゃーっ。
いずれも代表の私がそこまで細やかな意識を持ち、伝えたり確認していれば、よりよい形で提供できたのではと思います。ごはんはお茶や甘味まで含めた全体だから。料理のチーフとして、もっと全体を見る必要がありました。
他にもきちんと整理をすれば、もっとこうすればよかったということが出てくると思います。
当日スタッフ全員、ホールも厨房も気持ちをひとつにして頑張っていました。それはきっとお客様に何らかの形で伝わったのではないでしょうか。
また、お料理も普段の10倍以上の量になっても、いつもと同じようにひとつひとつていねいに作ったつもりです。塩加減やココだ、ピタッというさじ加減はなかなか難しかったけれど、できるだけ普段の味に近づけるように集中して頑張りました。
しかし、余裕がなかったなあ・・・って今思います。私がです。
これでは人をもてなすことはできないと思います。遊びというかゆとりというか、そういうのが心にもものごとにもある時こそ、プラスアルファのおもてなしができるんじゃないかしら。難しいけど。
でも、それはどうしたって、あれだけの量をこなすイベントのランチでは、なかなか不可能な願いな気がします。ただ作るのはできるの。だけど、人に食べていただくものに思いをこめたいじゃないですか。
私の作るごはんはふつうのごはんで、おなじみのもので。だからこそ心を尽くして作りたいのです。お出ししたいのです。
サポートスタッフのみんなは本当に大変だったと思うけど、「勉強になった。また手伝わせて」「楽しかった」「声かけてくれてありがとう」
・・・とってもうれしいことばをくれました。
「次はいつですか」「また食べに来ます」「今回行けなかったけど、次回の予約今からしとく」・・・ありがたくて涙が出るほどうれしいです。
かかわった人がみんな元気で笑顔になるランチ・・・目標は達成できた気もします。
でも、肝心の私は心から笑うことができませんでした。これは一番ダメなこと。周りがどうだろうといつも笑っていたい自分なのに。
だから、また一からスタートです。一度空っぽになったから、これからどういう形にでもなっていけるって思っています。
自分で自分を縛るのはやめよう。せっかくお料理という楽しいことをしているのだから、楽しいことを考えよう、そう思います。
高畑さんの作品とタカコちゃんの字からは心が伝わってきます。温かくてやさしい心と一緒にお出しできた私のごはんはしあわせもの。
でも、上の写真のボードの上に乗るごはんを、今の私は描けません。
ここに乗せるごはんを心から作りたいと思えたら、またやってみたいと思います。
それまでは、毎日淡々とごはんを作り、きれいなもの、楽しいことに心を躍らせ生きていきたいと思います。そうしながら、自分の身の丈に合った、心を届けることのできるごはんを続けていきたいです。
そして、いつかうちに大切な友だちをお招きするように、心を尽したごはんを作れると思えたなら、また、人の和・輪・・・でできたランチをやってみたいです。
それは数ヶ月後、半年後、1年後・・・もっと先かもしれないし、明日ふと浮かぶものかもしれない。
その時が来たら、またみんな力を貸してね。そして、みんなの心も伝わるランチをいっしょに作りましょう。
みなさま、本当にありがとうございました。