誤った政策を続けてきたことによって
国民が失ったものは
取り戻せない
だが
富を失わせていたそのメカニズムの実態を
政府と国民は承知しておかなければならない
起きていたことの経過の意味を知らなければ
これからも同じ失敗を繰り返し
貧困化するプロセスを永遠に続けるようになる
この国がもっていた経済活性を奪っていったのは
ドル資本と呼ばれる一群の行為
主に土地や企業買収などの工作の結果であった
その方法は
市場でだぶついているドルを回収し
それを売って円を買う
というドル安政策に則っていた
ドル余り現象を解消しながら
海外資産を増やすビジネスを世界中で繰り広げ
為替介入を誘発して
米国債を石油消費国に買わせてきた
あらゆる国がドル資本の跳梁跋扈に苦しんでいるのだが
先進諸国の国民が豊かであるうちは
貧困化する事実をそれと察することができない
最もその被害を大きく受けたのはタイであった
外資の流入を政府が急遽禁止したことによって
富の国外漏出を阻止した実績をもつ最初の国となった
当然ながらドル資本が一斉に引き揚げる対抗措置をとったのだが
それが却ってタイの経済を早く回復させることになった
外資がでていけば ドルを買い戻さなければならない
外貨の方がドルよりも下がっていたのであれば
ドルによる再投資の波がおきたとしても
それで獲得した収益を還流させることは困難だ
資本を回収するためには
ドルが相対的に安くなっていなければならない
このため海外からやってきたドル資本は国外へは出られず
ローカル市場に流動性の厚みを残し
それをより力強いものへと復活させることができたのだった
買収された土地の値段は
ドル資本が引き揚げる際売り急ぐと
必然的に値下がりする
このため
不動産市場を活性化させる効果や
企業買収だけではなく
その反対である企業売却が優勢となり
資産価値は若干低下しはするものの
購買力が上がることによって
適度なインフレ圧力が生じ
健全な経済成長を促すようになっていった
発行し過ぎて余らせたドルを手段として
ドル資本という勢力に
外貨を大量に手に入れさせる戦術のことを
ドル安政策というのである
この政策のもつ目的の意味が分かっていなければ
際限なく外貨準備高を増やす展開へと陥るのだ
濫発したドルが市場に滞留した状態のまま
そこに残されていると
ドルの需要がおきても
その市場にダブついているドルと交換されるだけとなり
ドルそのものの新規発行はできない
基軸通貨の発行事業で生計を立てている米政府にとって
ドルの追加発行を阻害するものはすべて
不利益の原因となる
ドルの需要を高めるために原油相場を
高値へとどれほど誘導していったとしても
ドルの発行権を拡大する効果を誘発できなければ
米政府が得るメリットはゼロなのだ
ドルを常に追加発行することができる状況こそが
アメリカにだけ富を積み上げさせる結果をもたらすのである
このような効果をもつドル安政策を続けてきたことによって
アメリカは軍備を拡張するための資本を
そこに集約することができたのだった
米政府はドルを新規に発行し続ける目的で
既発のドルを金利を上げて速やかに回収し
世界中から富をかき集めつつ
その外貨を用いて
当該国の市場でドル資本に利益を上げさせることによって
その収益が生む税収で潤っていたのだった
ドルを外国に売りつけるだけで
高くなった外貨で
ローカル市場で得てき収益を
より効率よく
ドルへと戻すことができたのだ
ドルの価値が利益回収の段階で相対的に下がっているのなら
少ない外貨でより多くのドルを手に入れることができる
ドルを押しつけられた国の政府と中央銀行とが
為替対策として高くなった自国通貨を売って
価値の下がったドルを有利な条件で買えるよう
米政府とドル資本とが共謀して
誘導してきたという一連の経過が
ドル安政策に更なる合理性を与えているのだが
それは見掛け上の利益であるに過ぎなかった
ドルの価値が下がっている間
ドル建ての在外資産は
アメリカから本国へ戻ることができない
損失が確定することになるだけだからだ
しかもドルの資産価値はドル安政策で次第に逓減していく
このため
債権国の保有資産は目減りする一方となり
資産価値は年々軽くなっていく
ドル建ての債券を処分することができないのは
損失を確定させることができないのと
長期金利を急騰させるという結果になるからだ
ドル資本がやってきた国の政府は
一見有利な条件で買ったはずの大量のドルを持て余し
安全確実な方法で運用する必要に迫られる
このため
米国債を好んで買うようになっていったのだった
国が所有するドル建ての債券や
ドル預金
金塊 などを総称して
外貨準備高と呼ぶ
これらはドル資本と呼ばれる勢力が
市場で余っているドルを回収し
投資する先の国がもっている固有の資産を
買収する目的で
再利用してきたその結果を表す指標でもあったのだ
ドルの通貨価値は
このようにしてファンダメンタルズの結果として
表向き一定の水準を保つよう
安定的に維持されていたのである
これが国際経済から公平性を奪っていた
ドル高外貨安という状態は
ドル資本が計上した外貨建ての収益が
大量にその国から流出した
ということを示す結果を伝えていたのである
ドル安外貨高という状態は
余ったドルの大量流入ということを意味していた
外貨準備高の累増とは 経過の推移を表すための指標であった
大量のドルが濫発されていたにも関わらず
原油相場を決定する機関であるWTIで
原油価格が高騰を続けていたブッシュ政権の間
ドルの需要は果てしなく高められていたのだった
サブプライムローンの破綻は
その経過を形成する氷山の一角
それが崩落しただけのことに過ぎなかった
日本がもつ外貨準備高は
一昨年の段階に於いて
邦貨換算で100兆円を超える規模に達していた
日本はこの外貨準備高を取り崩すことが
永遠にできない
何故なら
一旦回避したはずの円高が
政府日銀の手によって
たちまち再現されてしまうことになるからである
また
ドル建ての長期債を市場で大量に売却しようとすれば
その利率は高くならざるを得ない
売り急ぐ場合なら
長期金利の水準を急伸させるという結果さえ生むのだ
これは長期借入金で成り立っている企業の収益を
直接圧縮することでもあるため
法人が得るはずの収益を急速に低下させてしまうことになる
その企業の株価は従って急落し
市場経済システム全体に急ブレーキがかけられる
そのような展開を辿った事実を実際にひき起したのは
ほかならぬ日本の橋本元総理本人であった
日銀が為替市場に介入するための資本は
財務省が発行した短期証券である
毎年財務省は借り換えを行わなければならない立場なのだ
ドル安政策が続けられている間を通じて
日銀は円高を回避するために
市場介入を行なっていた
そのきっかけは ドル安政策のきっかけとなった
あのプラザ合意であった
85年秋のこと
回収される惧れのないドル資産がその結果アメリカに積み残され
外貨準備高は恒常的に増加するようになっていった
中国ではイラク戦争がはじまったころから
この経過が顕著になっていき
今では世界一だった日本を急追して抜き去り
今年その日本に倍の差をつけるまでに巨大化した
中国が軍事力を大幅に増強することができたのは
ドル資本によって売りつけられたドルで米国債を買わずに
軍備を増強するためにそれを使うようになったからなのだ
この間の経緯を知れば
アメリカが中国の軍事力をドルという通貨を用いて強化した
ということができるのだ
まことに愚かな結末であった
国民が失ったものは
取り戻せない
だが
富を失わせていたそのメカニズムの実態を
政府と国民は承知しておかなければならない
起きていたことの経過の意味を知らなければ
これからも同じ失敗を繰り返し
貧困化するプロセスを永遠に続けるようになる
この国がもっていた経済活性を奪っていったのは
ドル資本と呼ばれる一群の行為
主に土地や企業買収などの工作の結果であった
その方法は
市場でだぶついているドルを回収し
それを売って円を買う
というドル安政策に則っていた
ドル余り現象を解消しながら
海外資産を増やすビジネスを世界中で繰り広げ
為替介入を誘発して
米国債を石油消費国に買わせてきた
あらゆる国がドル資本の跳梁跋扈に苦しんでいるのだが
先進諸国の国民が豊かであるうちは
貧困化する事実をそれと察することができない
最もその被害を大きく受けたのはタイであった
外資の流入を政府が急遽禁止したことによって
富の国外漏出を阻止した実績をもつ最初の国となった
当然ながらドル資本が一斉に引き揚げる対抗措置をとったのだが
それが却ってタイの経済を早く回復させることになった
外資がでていけば ドルを買い戻さなければならない
外貨の方がドルよりも下がっていたのであれば
ドルによる再投資の波がおきたとしても
それで獲得した収益を還流させることは困難だ
資本を回収するためには
ドルが相対的に安くなっていなければならない
このため海外からやってきたドル資本は国外へは出られず
ローカル市場に流動性の厚みを残し
それをより力強いものへと復活させることができたのだった
買収された土地の値段は
ドル資本が引き揚げる際売り急ぐと
必然的に値下がりする
このため
不動産市場を活性化させる効果や
企業買収だけではなく
その反対である企業売却が優勢となり
資産価値は若干低下しはするものの
購買力が上がることによって
適度なインフレ圧力が生じ
健全な経済成長を促すようになっていった
発行し過ぎて余らせたドルを手段として
ドル資本という勢力に
外貨を大量に手に入れさせる戦術のことを
ドル安政策というのである
この政策のもつ目的の意味が分かっていなければ
際限なく外貨準備高を増やす展開へと陥るのだ
濫発したドルが市場に滞留した状態のまま
そこに残されていると
ドルの需要がおきても
その市場にダブついているドルと交換されるだけとなり
ドルそのものの新規発行はできない
基軸通貨の発行事業で生計を立てている米政府にとって
ドルの追加発行を阻害するものはすべて
不利益の原因となる
ドルの需要を高めるために原油相場を
高値へとどれほど誘導していったとしても
ドルの発行権を拡大する効果を誘発できなければ
米政府が得るメリットはゼロなのだ
ドルを常に追加発行することができる状況こそが
アメリカにだけ富を積み上げさせる結果をもたらすのである
このような効果をもつドル安政策を続けてきたことによって
アメリカは軍備を拡張するための資本を
そこに集約することができたのだった
米政府はドルを新規に発行し続ける目的で
既発のドルを金利を上げて速やかに回収し
世界中から富をかき集めつつ
その外貨を用いて
当該国の市場でドル資本に利益を上げさせることによって
その収益が生む税収で潤っていたのだった
ドルを外国に売りつけるだけで
高くなった外貨で
ローカル市場で得てき収益を
より効率よく
ドルへと戻すことができたのだ
ドルの価値が利益回収の段階で相対的に下がっているのなら
少ない外貨でより多くのドルを手に入れることができる
ドルを押しつけられた国の政府と中央銀行とが
為替対策として高くなった自国通貨を売って
価値の下がったドルを有利な条件で買えるよう
米政府とドル資本とが共謀して
誘導してきたという一連の経過が
ドル安政策に更なる合理性を与えているのだが
それは見掛け上の利益であるに過ぎなかった
ドルの価値が下がっている間
ドル建ての在外資産は
アメリカから本国へ戻ることができない
損失が確定することになるだけだからだ
しかもドルの資産価値はドル安政策で次第に逓減していく
このため
債権国の保有資産は目減りする一方となり
資産価値は年々軽くなっていく
ドル建ての債券を処分することができないのは
損失を確定させることができないのと
長期金利を急騰させるという結果になるからだ
ドル資本がやってきた国の政府は
一見有利な条件で買ったはずの大量のドルを持て余し
安全確実な方法で運用する必要に迫られる
このため
米国債を好んで買うようになっていったのだった
国が所有するドル建ての債券や
ドル預金
金塊 などを総称して
外貨準備高と呼ぶ
これらはドル資本と呼ばれる勢力が
市場で余っているドルを回収し
投資する先の国がもっている固有の資産を
買収する目的で
再利用してきたその結果を表す指標でもあったのだ
ドルの通貨価値は
このようにしてファンダメンタルズの結果として
表向き一定の水準を保つよう
安定的に維持されていたのである
これが国際経済から公平性を奪っていた
ドル高外貨安という状態は
ドル資本が計上した外貨建ての収益が
大量にその国から流出した
ということを示す結果を伝えていたのである
ドル安外貨高という状態は
余ったドルの大量流入ということを意味していた
外貨準備高の累増とは 経過の推移を表すための指標であった
大量のドルが濫発されていたにも関わらず
原油相場を決定する機関であるWTIで
原油価格が高騰を続けていたブッシュ政権の間
ドルの需要は果てしなく高められていたのだった
サブプライムローンの破綻は
その経過を形成する氷山の一角
それが崩落しただけのことに過ぎなかった
日本がもつ外貨準備高は
一昨年の段階に於いて
邦貨換算で100兆円を超える規模に達していた
日本はこの外貨準備高を取り崩すことが
永遠にできない
何故なら
一旦回避したはずの円高が
政府日銀の手によって
たちまち再現されてしまうことになるからである
また
ドル建ての長期債を市場で大量に売却しようとすれば
その利率は高くならざるを得ない
売り急ぐ場合なら
長期金利の水準を急伸させるという結果さえ生むのだ
これは長期借入金で成り立っている企業の収益を
直接圧縮することでもあるため
法人が得るはずの収益を急速に低下させてしまうことになる
その企業の株価は従って急落し
市場経済システム全体に急ブレーキがかけられる
そのような展開を辿った事実を実際にひき起したのは
ほかならぬ日本の橋本元総理本人であった
日銀が為替市場に介入するための資本は
財務省が発行した短期証券である
毎年財務省は借り換えを行わなければならない立場なのだ
ドル安政策が続けられている間を通じて
日銀は円高を回避するために
市場介入を行なっていた
そのきっかけは ドル安政策のきっかけとなった
あのプラザ合意であった
85年秋のこと
回収される惧れのないドル資産がその結果アメリカに積み残され
外貨準備高は恒常的に増加するようになっていった
中国ではイラク戦争がはじまったころから
この経過が顕著になっていき
今では世界一だった日本を急追して抜き去り
今年その日本に倍の差をつけるまでに巨大化した
中国が軍事力を大幅に増強することができたのは
ドル資本によって売りつけられたドルで米国債を買わずに
軍備を増強するためにそれを使うようになったからなのだ
この間の経緯を知れば
アメリカが中国の軍事力をドルという通貨を用いて強化した
ということができるのだ
まことに愚かな結末であった
