こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

無 限 軌 道 ①

2009-09-19 06:23:30 | Weblog
国家として自立しているところの政府は

独自の戦略に基づいた計画をもっていなければならない

独立した状態にあることを証明するには

明確な哲学をもち

長いスパンの行動計画を実行する体制が整っているかどうかを

みれば よい


国際社会の中で

日本が

アメリカの属国という身分に甘んじていたのは

この度終息した旧政権が奉っていた

日米同盟のカタチに歪みが生じていたにもかかわらず

55年体制を構成していた

くぐつ

のまま従順に振る舞って

しかも恥じない歴代の内閣とその成員たちの行動の結果であった


特異な政治を行ってきた者たちに共通する

防衛に関する偏った認識が

敗戦を受け容れた時代に刷り込まれていたのだったが

その事実に目をふさいで

アメリカのためにしかならない不正な愛国心を醸成しようとし

防人として機能するための軍事力を急いで整えただけでなく

太平洋海域における米軍を再編するための費用さえ

負担することに率先して応じてきたその経過には

属国以外のなにものでもない日本の姿が明瞭に映し出されていた


その桎梏となっていた主なものは

安全保障政策と呼ばれていたのだったが

この国に最もふさわしくない

条約となっていた


日本とアメリカの関係は

日米和親条約に始まり

戦後の安全保障条約を経て

連綿と続く不平等条約が成り立たせてきた近代史にみるごとく

顕著 な優劣の関係が成り立っていた

安全保障に基づく日米同盟が不平等なものでなかったのなら

国民がこれほどの困窮生活に陥ることはなかったであろう


平等性の欠けた条約を押し頂いてきたこれまでの戦後政治の経過が

アメリカのいいなりになって恥じない政権を育んでいたという事実

自覚なき者どもが国民から拒絶されたことにより

この国は

ようやく健全化へと向う道を遅ればせながら歩みだせるようになった

国家としての戦略をもつ必要がある

という認識は

核の傘の下に入ることで得られていた不健全な安全性から離れ

独自の方法で安全を保障する制度を確立する

という意志を体現させることを意味している

運用方法が正しければ

日本は世界を指導する立場へと

嫌でも押し上げられていくであろう

健全な認識は国をたすける


誤った方法に準拠していると

止まらない軍拡と温暖化

そして貧困に国民が苛まれる結果を招くだけとなる

アメリカ型の資本の論理と

力による防衛力の増加に基づく見かけ上の平和状態とは

密接不可分の関係にある

それを生み出してきたのはアメリカ建国に始まる

歴史的な背景にあった


正視に絶えない血塗られた過去の存在は

米国民に自衛しなければならないという強烈な意識を与え

有害であることが分かっている銃の保持を

法律で規制しようとする運動を繰り返し拒絶する結果を生んできた

アメリカがもつその強迫神経症ともいえる病根は

その建国の歴史に原因をもっている


アメリカの防衛本能に

日本が倣う必要などなかったのだが

同じ病に罹ってしまった

侵略するという行為を歴史にもつ国は

侵略された状態の意味を体験から学んでいる


侵略者となったことがある国では

未知のあらたな侵略者からの襲撃に備えなければならないのだ

自分たちがかつて行ってきたのと同じことを

どこかの第三国がやらないというという保証は ない

同盟を結びたがるのは

侵略という経過をどちらかの形で体験したことがある国に限られる

ネイティブアメリカンを滅ぼしたのは

アメリカ人たちの祖先に他ならない

その時から

インディアンの逆襲が永遠のテーマとして

米国人の深層心理に重大な影響を与えるようになったのだ


日本は  

ドイツ第三帝国がやったような人種の殲滅工作こそ行わなかったが

東アジアの複数の国から支配権を奪ったという歴史をもつ

一度でも侵略を行ったことがある国は

侵略される事態となることを

恐怖するようになるのだ

防衛力を強化しなければならない

と思い込んでいったのは

自衛する以外に侵略を防ぐ有効な手段がなかったからである


アメリカが防衛力を強化すると

ミリタリーバランスを維持しておくために

その他の国々までが

自動的に防衛予算の比率を基本の状態へと戻そうとする

軍拡が止まろうとしないのは

力の政治を行ってきたアメリカに通底する宿痾の病が

防衛予算を増やし続けることで

世界一優れた軍事力を誇る国へと押し上げていたからだった


アメリカは最高の軍隊をもつことで

敵からの攻撃を防止していると信じているのだが

民間組織に過ぎない拠点なきテロリストの集団を

中東から排除することさえできずにいる

防衛力の増強という単純な構造の枠組みから離脱しない限り

地球に平和という状態はやってこない


ドルの発行益を与えている原油の価値が高まっていれば

アメリカはエネルギー資源を供給するビジネスを

円滑に運用管理することで

軍事力を高めていくことができる身分を継続しようとする

防衛能力が平和の基礎だと信じられている世界では

軍拡と温暖化とはセットで同時進行する循環へと

必然的に陥る定めとなる

貧困化とテロリストの増加とは

その結果として

産み落とされたものだった
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする