こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

実 効 欠 如

2015-12-20 10:22:41 | Weblog
地下資源を燃やすことによって

熱エネルギーへと変える仕組みの

最初の動力源

となったのが

蒸気機関

というもの


産業革命は石炭を燃やして

蒸気圧を高めること

によって

動力を取り出すことに成功し

文明をそれまで

考えられないほどの速度で

豊かなものへと

押し上げた


エネルギー効率の向上は

資本効率の進化と発展を伴い

市場原理に基づいた

資本の論理



それ以降の経済を

弛むことなく

成長増殖させていき

間断なく

活性化するよう

しかと方向づけする展開を維持し

現在の相へと

過去を繋げてきた


その後

液状の石油が発見されたことによって

外燃機関は内燃機関

へとシフトすることとなり

熱エネルギーは

石炭窯

という形式の開放系の炉から

シリンダーという形式の

閉鎖系が生み出す高い運動エネルギーを

動力とするようになった


動力源は

これ以降

急速に小型化され

自動車などの機械産業で

流れ作業による大量生産を

可能にしただけでなく

世界大戦中に於いて

航空機の発展にも

大きく寄与してきた

その航空機による爆撃

を多用したことによって

前線で戦っている

兵士以外の無辜の民を

大量殺戮する

という不幸な結果へと繋がった


その最初のナチスドイツによる航空機爆撃が

スペインで7000人の犠牲者を生み

その村の名であるゲルニカ

と呼ばれる絵画の大作を

ピカソに描かせた


空軍を充実させていった国は

アドバンテージを手に入れ

航空機からの攻撃を

効率的に遂行することが

可能となった


更に下って

大量破壊兵器を搭載する能力をもつ

大型の爆撃機が誕生するに至り

核攻撃で戦争を終結させはしたものの

核実験競争が始まり

核分裂反応による原爆のエネルギーで

核融合反応を引き出す

方式の水爆の開発競争へと発展し

危機感を募らせた大国同士が

そこへ至って漸く

核がもたらす深刻な危機

に対する文明の認識能力を高めさせ

核実験を大気圏内で行うことを

核保有国の間で相互に禁止する

という取り決めが合意され

成立した

それ以降

核爆発が起きるその直前で

反応を止める

という未臨界核実験へと移行した


石炭と石油

そして

天然ガスなどの地下資源は

核燃料と対比して

化石燃料と呼ばれるようになり

温暖化の原因物質である

二酸化炭素を大量に排出する

有害なエネルギー資源

と位置づけられた


そこで自然エネルギーが注目されたのだったが

太陽光発電と風力発電では

出力を安定させておくことができない

という制約から抜け出せず

水力発電と地熱発電だけが

「有効な」自然電源だと見做された


文明は

要するに

旧来の化石燃料を

遠ざけることができなくなっていた

のである


そこで少しでも炭素系酸化物

つまり二酸化炭素CO2を少なくするために

天然ガスの比率を高めていったのだったが

それは降水量を増やす

という別の副作用をもっていた


天然ガスを燃やすと

それに含まれている水素が

酸化反応を引き起こし

水分子H2Oを量産して

降水量を増加させ

洪水を世界各地に生み出しながら

山崩れなどの土砂災害を

新たに発生させる

という経過を生むこととなった


天然ガスの基本成分はメタンであり

これは

炭素原子一つに

水素原子四つが結びついている

化合物

CH4と表記する炭化水素のことであり

総体的に

温室効果ガスを少なくする効果がある

として天然ガスの消費比率が

次第に高められるようになっていった


天然ガスの主成分であるメタンは

炭化水素を代表する気体

ガス係の地下資源は

温暖化の原因となっている

二酸化炭素を相対的に減らしたが

温暖化の結果である

海面水位の増加を逆に急がせた


単純な水素酸化物が

水だということは

子供でも知っている

基本中の基本

その事実を

高等教育を受けている筈の

知識階級に属する全員が

想起できなくなっている

これこそが

教育制度の欠陥が引き起こした

稚拙

な事態


炭素を燃やせば二酸化炭素になることを

承知している知識人たちが

水素を燃やせば水になる

ということを

何故かすっかり忘れ去っている


思考力を涵養することに価値を置かない

高等教育が

この状態を文明へと連れてきた


炭化水素係資源を

地底から

効率よく取り出す術が

アメリカで開発され

シェール革命と呼ばれる変化となった


既存のエネルギーコストを高くする

という相対化がその段階で生じることとなり

高価な資源である原油価格を

連日のように引き下げている

この変化が

世界市場から流動性の厚みを消し去らせ

経済成長率を鈍化させ

デフレが循環を繰り返す

スパイラル構造へと

市場経済を引き込んだ


国際経済全体が

デフレ化の圧力を強く受け

GDP成長率を停滞させるようになったのは

エネルギーコストの低下による

資本力の喪失に先立つ

環境投資の失敗

の連鎖

がその根源となっている


温暖防止対策は

いまや世界中で実施されているのだが

その効果はいつまでたっても

ゼロのまま

大気中の二酸化炭素濃度は

年々着実に増えつつけるようになっており

400ppmの壁を

二年前の段階で

既に突破してしまっていた


この環境投資のすべてが

実効なき温暖化対策

という共通認識を成り立たせたのだったが

その原因がどこにあるのか

ということを文明は探ろうとしてこなかった


これが環境投資のすべてから

有効性を奪っていながら

損失の巨大さに

誰も気づけない

という状態へと引き込んでいた

その理由


結果として損失を積み重ねる

という無駄な経過を

世界規模で強要し

経済成長率を抑制してきただけでなく

いまや

世界規模でのデフレ経済へと

文明社会全体を

こうして追い詰めた


経済を成長させることのない

無駄な投資のあれこれが

悉く損失の原因となっている

これは

総ての国家が

有効需要の創出に失敗した

ということを意味していた


経済の国際的な低迷は

環境投資の一律な失敗

に基づく


止まらない温暖化を産み落とした

メカニズムを発生させた

背景を追及せずに

効果のないことが分かっている

既存の方法を

相変わらず踏襲し続けている

というそのことが

国際経済に強い負圧となって作用し

国家財政を

一斉に赤字化

させているその一方で

温暖化の結果である

気候変動にまつわる

降水量の増加を

ガスの燃焼量を増加させたことで

一層募らせ

海岸線を縮小させながら

南太平洋に点在する

島嶼国家群を水没させる

行為から

エネルギー消費国のすべてを

離れられなくさせている


水は水素と酸素の化合物

それぞれの分子が

不安定な状態でいることを

絶えず強いられており

安定化するための相手との結合を

切実に求めあう

という特殊な関係性を

お互いに保ちつづけている

ということが

極めて活性の高い

水素と酸素とを結びつかせ

安定した化合物である水

が大量に生まれるメカニズム

を地表に成り立たせている


水は自然条件の下では

絶対に分解しない

化合物としての

高い安定性をもっており

それが地球を水の惑星

と呼ばせている


炭化水素を燃やすことは

温室効果をもつCO2と

分解することのない安定な物質

つまりH2Oとを

同時に生み出す

というプロセス

を与えるということ


水素と酸素の関係性は

独身の男女間のそれ

とよく似ている

婚活に熱心な独身者同士が

結婚して安定した家庭をもつ

その姿

に擬えることができるだろう


炭化水素の燃焼は

大気中の酸素を得ることで

安定性を確保し

一酸化炭素ではなく

安定した二酸化炭素になると同時に

気体と液体の水を

それぞれ生成させることになる



一旦水となった化合物は

外部から電気エネルギーを与えるか

または

二千度以上の高い熱を作用させない限り

地球を緩慢に水没させてゆく


温暖化という現象は

要するに

環境の劣化と経済の劣化を

伴って

文明が築き上げてきたその成果を

意味のないものにする

それは

文明に対する

地球からの報復

という意味をもつ

変化のこと

一切の起源は

有効需要を失っていることにさえ気づかない

指導者たちと

無効な投資に終始してきた

豊富な知識をもつ

だが

その使い方をまったく知らない

強欲で愚かな

ヒトびと

がもつ意識の中

に埋もれている
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする