こ と の 端

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夢 の 亦 夢

2017-04-09 09:17:02 | Weblog
知識をただ横ざまに

押し広げるだけの量的拡張

を目指してきたこの国の高等教育は

知識を掘り下げることに割くための

時間を惜しむことから離れられずに

思考することで得られる

愉悦というべき発見の喜び

を国民から奪い去り

持ち合わせの薀蓄を

傾けることで

座を盛り上げ

鬱積を晴らす機会を

探し求めて流離う習慣

を教育の高等化で

一様に身に着けた

現状の拙さこそ

その何よりの結果なのだ


教育投資の有効性を探り出そうとして

本質へと迫る探査の努力を怠る

理由へとスタンスを代えてきた

さまざまな意味のないこれらの行為

を黙過することでやり過ごそうとして

限りある時間を

意味のない知識獲得のために専ら使い

自らの身を窮屈な制度へと適合させ

ストレスを増幅する結果

にしかならない

無効な解を手探りし

無益な成果を掘り出しては

自慢する

時代がこうして

文明社会へとやってきた

この変化の実在を

当事者だけが

何故か未だに気づかない

教育の欠陥は

最早ここまで進んできている


止まらない温暖化と

有効需要の創出に

悉く失敗し続ける

という無駄な公共投資を積み重ね

その結果である税収不足を

歳入欠陥だと思い込み

増税で補填しようと謀り

消費税率を制御することで

財務体質の劣化を埋め合わせようとした


アベノミクスの失敗を認められないまま

漫然と下り坂を転がってゆく生活に

理由なく満足しているその姿は

いかにも あはれ


教育投資から有効性を失ってきた

これまでの無思慮な経緯が

公共投資の失敗に気づかない

官僚と選良との合作を

長期間温存させてきた


失われた拾年が

倍の二十年となっただけでなく

更に三十年へと引き伸ばされようとしている

思考力の不在がバブル経済を生み落し

判断能力を失った

空蝉の如き

空虚で大量の無意味な知識

に基づく誤った決断の連鎖が

バブル経済を最初に潰し

今に至る

経済の長期低迷を

国民へと押し付けた


考える力が残されていたのであれば

バブル経済を生み落した

ドルを基軸とする

世界規模に拡大した

資本のメカニズムを

防遏する程度のことは

おそらく

難なくできていた

その先例はタイバーツを巡る

過去のやりとりに残されている


この国の指導的立場にある全員は

止まらない円高の訳を悟りもせず

流入してきた外国籍の資本に

日本市場を易々と明け渡し

土地神話に基づく利益獲得法で

巨額の富を吸い上げながら

株式市場で得た利益をそこに上乗せし

円の通貨価値が高くなっているその傾斜を利用し

相対的に値を下げたドルを

その差の分だけ多く手に入れ

投資家一同に還元する

という行為で利益の効率的な

最大化を図っていた


バブル経済を崩壊させるある規制措置が

新年度から実施に移されることが決まった

その年の最初の株取引で

株価の下落が始まっていた

その意味を推し計ることなく

土地投機にウツツを抜かしていた

欲の深い国内の投資家気取りの連中が

その後の三か月間で

傷口をより大きくする行為に執着し

バブル経済が破裂したことを

長期間理解することができずに

土地投機を続けていた

ということが

失われた拾年を日本経済史へと

生み落すその契機となった


日本のバブル経済は

土地神話に基づいた価値の保証

が投資から投機へと至る過程

で内発的に生じたもの


土地を買っておきさえすれば

寝かせている間に値段があがり

売却する段階で

大きな利益が楽に得られる

という市場環境が資産効率を高めていた


銀行に預金を積み上げているよりも

遥かに高い利益が

売却益として

確実に得られていた

そんな時代が

バブル経済と呼ばれていた


このサイクルを断ち切ったのが

政府による

不動産融資の総量規制の実施

であった


政府与党を含む国会の成員すべては

この措置が生むことになる負

の効果を紛れもなく見くびっていた


総量規制の実施で

土地を仕入れるための

銀行からの融資に天井が設定されたことにより

土地を新たに購入する際に

銀行からの借り入れができなくなる限界

が俄かに設定されてしまったのだった

この効果の意味を

政策立案に関わった当事者全員

がまったく理解できていなかった

その状態は現在も尚

続いている

総括を行わない限り

経済認識能力の復活は

延々と先送りされるのみ


銀行借り入れができなければ

自己資本で対応する以外に

有効な手立てはない

そこで手持ちの資産を売却せざるを得なくなり

不動産市場で土地の売り物が俄かに増えた

上昇の一途を辿っていた不動産価格に

この総量規制がブレーキを掛けることとなり

土地の価格は規制措置が始まった

90年四月の終わり頃迄には

軟弱化しはじめていた


状況を認識できていなかった

欲の深い投資家たちは

土地神話を頑なに信じ込み

価値の下がりだした不動産を

強気で買い進める行為を

疑うことなく

熱心に続けていた


エコノミストがバブルの崩壊

を92年以降察知することができてからも



変化の意味を理解できずにいた

欲に目の眩んだ投資家たちが

土地の中間在庫の積み増しを

熱心に進めていた

という過去の事実

が損失による被害を

より甚大なものにした


国民の多くが真実に気づいたときには

資産効果だったものは既に失われており

価値はたちまち反転し

逆資産効果と呼ばれる

負の経過が

市場を支配するようになっていた


資産効果で

土地を寝かせておくだけで

富を生んでいたメカニズムが

土地を持っているだけで

損失がどんどん膨らんでいく事態となり

売却を急がなければ

損失が巨大化する

という状況へと

バブルを煽っていた勢力は

悉く追い落とされる結果となった


投資家だけでなく

実需で不動産を購入した罪のない人々も

担保価値が目減りして

銀行から欠損を埋めるための返済

を急がされ

損失が生じることを承知の上で

売却せざるを得なかった

これを貸し剥がしと呼ぶようになった


不動産を保有しているだけで

財産の価値が勝手に減っていく

この逆資産効果というものが

消費意欲を減退させ

守りの消費に徹することを強制し

GDP成長率に影響を与え

消費税が5%へと高められた年から

日本経済にデフレ基調

が舞い降りるきっかけとなった


この問題を理解できずにいる指導体制が

公共投資で経済の再興を図れると過信して

日本版ニューディール政策を打ち出し

300兆円規模の政策投資を

96年度予算で実施してからも

問題の所在を見失っている指導体制は

有効な打開策をその後も打ち出せないまま

失われた二十年へと突入し

最新の経済政策となったアベノミクスで

異次元規模の金融緩和を実行する

という大博打ちを打ったものの

案に相違してまったく機能しない状態が

現在まで続いている


インフレ率を横滑りさせたまま

引っ込みがつかない状況へと

自ら進んで嵌りこむ

結果へとそれが繋がった


アホノミクスと呼ばれる所以である


この経済政策で流動性供給を

毎年80兆円ずつ増やし続け

四年目となった去年の段階で

既存の135兆円だった通貨供給量に

四年分320兆円を上乗せして

455兆円規模へと増やしておきながら

意味のある経済効果を

未だに引き出せずにいる

という不毛な結果を

受け止められずにいる

このお粗末ぶり


政府日銀が国の経済に

一貫して有効需要を与えられずにいる

という現実を

指導階層に蔓延する思考力の不在

という認識能力の欠如

が確定させる事態となった


これが教育の高度化が

この国と国民のすべてに

与えている粗末な現実

の根源となったその経緯


判断の誤りを生んだのは

知識の量的拡大に特化した

高等教育のあり方

に潜む未解決の課題

だったのである


教育制度を見直すことができさえすれば

問題の本質は

合理化を経て消え去る

知識で人格や能力の差

を計ることは

無論できない

知識の使い方をみることこそが

ヒトと国家とを

世界の指導者へと

押し上げる

唯一の手段


判断を誤ったことに

30年たっても気づかないようでは

国家の自立など

到底覚束ない

夢の亦夢
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