こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

価 値 基 準

2017-06-25 08:42:06 | Weblog
これまで価値の基準とされていた

富に関するその量的拡大

という上昇志向のベクトルは

利益を追求してゆく貪欲な姿勢を

それと知らずに追い詰め

市場規模の一方的拡大へと

遮二無二国際社会を走らせたことにより

その結果の一つとして

二国間協定であるFTA

を手掛かりとする

市場規模の拡大を目指し

収益を積みあげることを

善と信じて努力してきた


地域連携協定となる筈だった

TPP

の成立を目論みはしたものの

合意を形成する以前に

呆気なく頓挫した


欧州では市場統合と

政治統合を含む

連盟形式のEU

と呼ばれる組織体

をその頃既に

成立させていた


これら一連の変更は

グローバリズムと呼ばれ

統一的な市場

となることを国家と経済界が

同時に目指した

ということが

温室効果ガスの濃度を高めさせ

デフレ経済の拡大を

同時並行的に

急がせた


市場統合では生産コストの差が

市場占有率の差となって現れ

物価の上昇がシェアの縮小を誘発して

富の獲得を制限する

共通の要因となって

共有化されたその市場で

一様に作用した


この相対化と呼ばれるプロセスを経て

市場を共有するようになった地域で

産業別の新たな南北問題が発生し

人口流入の拡大が

地域間格差と人種的格差

そして宗教的格差を

俄かにのっぴきならないものにした


得べかりし利益を

共有化した市場によって

縮小され

シェアを狭められた

先進的経済を先行させていた富める国家は

コストアップで生じた乖離幅の分だけ

発展途上国によるコストダウン効果で

物価の下落に苦しみ

所得水準を低迷させて

デフレサイクルへと組み込まれ

それによる財政悪化が

増税を急がせて

若年層の就職率を引き下げた


格差是正が進んで

所得水準がある程度均質化

するまでの間

不利な状況で

待ち続けることを余儀なくされた


このようにして先進市場では

コストダウンで停滞するようになった市場価格を

デフレ対策の低金利政策で

ソコアゲを図るようになっていき

後進性に縛られたままのローカル市場に於いては

コストアップ可能な余地

の存在に注目が集まり

それを富へと振替えようとする

無言の要請が

一般化することとなっていった


イギリスのEUからの離脱は

この反グローバル化の最初の波


市場を拡大して利益の拡張を目指した

ということが

デフレ経済を普遍化する経過を逆に生み

富の量的・質的劣化へと

繋がった


目先の利益に執着すると

このようにして大局観を見失い

当初の目論見を否定する

粗末な経過と結果の到来

を却って急がせる


思慮に欠けた浅薄な判断と

それが生み出す行為のすべては

自業自得と呼ぶべき結果となって

失敗をより一層際立たせる


相対化を急いだことで

飽和状態となることを速めた市場は

デフレ圧力を市場全体へと

等しくかけるものとなる


後進性を有する市場では

コストアップ要因は

所得の増加を導きはするのだが

目標をキャッチアップすることはできても

市場を牽引してゆく能力には

欠けていた



経済成長を牽引していた先進市場では

相対化プロセスが経済の停滞を生み

反転した状態を顕在化させる

後進市場の固有の価値

を取り込むことで

うまくコストダウンを図ってきた日本では

地理的に最も近い後発の市場を有する国家

であった韓国のもつ通貨価値との差

に目をつけ

円の十分の一

の通貨価値に過ぎない韓国の労働市場で

高い労働生産性を生かした

収益の確保に着目し

最初の海外生産となった

逆委託加工貿易を

70年代までに成功させていた


委託加工貿易は本来

アメリカが日本に対して行っていた制度

日本が諸外国に対して行うものを

明確に区別するために

当時の通産省では

逆委託工貿易と呼んでいた


その先鞭をつけたのが

電機製品の下請けの役割を担っていた

墨田電機という名の中小企業


これが突破口となり

成功事例を踏まえた海外生産の波

が台湾へと瞬く間に波及し

やがてタイへと広がって

その後

80年代から90年代にかけて

中国市場を発展させると同時に

13億人規模の広大な消費市場が

世界中から注目される転機となった


共産党政府が広東省周辺を

経済特区へと認定し

一国両制という

共産主義体制下での自由主義経済

を採用させて現在へと至る道

の建設に着手した


アメリカが抱えていた深刻な課題

であった過剰流動性

と呼ばれていた

アメリカが発行し過ぎた大量のドル

を速やかに回収し

新たな仕向け先を開発する任務が

国際経済にとって喫緊の課題となった


そこでドルの過剰流動性を消す目的で

中国を中心とする後発市場向けの

資本移動が方向づけられたことにより

その後の僅か三年ほどの短い期間で

世界最大の資産を擁する金満国家

へと共産党政府をドルの発行国であるアメリカが

押し上げた


アメリカは石油の決済通貨となっている

ドルを

世界規模で供給し続けることが義務となり

過剰発行したドルが

世界規模のインフレの原因

となることを早い段階で察知しており

過剰流動性を安全裏に始末するための方策として

ドルの仕向け先の確保を急いでいた

その対策を実施するための準備

を密かに進めていたのだった


その最初の事例が

ドル安政策というものだったのである

その起点となったのが

85年のプラザ合意


地下資源の決済に欠かせない通貨

の地位にあったドルは

世界中から買い手がつき

ドル高が募り続けるようになっており

工業国であると同時に

農業国でもあったアメリカを

貿易赤字と財政赤字からなる

双子の赤字で

大いに苦しめるようになっていた


このドル安政策は

アメリカの貿易赤字を緩和させると同時に

貿易黒字を謳歌していた日本経済に打撃を与え

輸出産業は利益の殆どを

長期間失い続ける事態

へと追い詰められたのだった


だがその反面

国内要因として

日本市場へと流入してきた

大量のドルが

その後長くドル安円高を演出する効果を残し

在外資本によって買われた大量の円

による土地投機へとそれが発展していった

ということが

土地神話に基いた

あのバブル景気を四年半もの間持続させ

日本が保有するようになった大量の資産で

アメリカが買えるほどまで豊かになり

過剰流動性が世界の富を

極東へと集中的に移動させっる契機となった


このバブル景気は

政府与党の判断ミスによって

文字通り

うたかた

の如く消え失せた

だが

海外から流入してきた壮大な規模の資本は

為替市場を大きく動乱させないよう

制御裏に流出を続け

その大半は中国市場へと向うこととなったのだった


残りの一部は米本土へと一旦帰還して

利益を確定させて投資家へ還元された後

再投資の波となって

ドル安政策を推進するツールとなって

国際経済の反応場で

幾重にも用いられていったのだった


日本に残った嘗てドルだった流入資産は

主にM&A(買収と合併)

の市場を形成するための資本として

それ以降積極的に利用されていた


この時代に世の注目を集めたのが

ホリエモン

フジテレビを買収しようとして

大株主であったニッポン放送株を

大量に買い占めたのだが

その戦略は成就しなかった


中国大陸への上陸を目指した

過剰流動性を消す密かな目的を帯びた

大量のドルは

人民元の安売りを続けていた中国

への攻撃材料として再活用され

生産コストの低下を目指す目的で

実需のドル売り

を推し進めるきっかけを提供した


人民元が高くなることを回避しようとして

中国政府はドル売りに対して

大量の元売りドル買いで対抗した


こうしてアメリカは中国を世界の生産基地にする

というフレコミで人民元を大量に買い進め

ドル安元高を演出しようとしたのだったが

ドル高元安に拘った中国政府に

カウンター攻撃を仕掛けられ

膠着状態へと陥った

この経過が中国政府にドルを大量に買わせ

獲得したドルによる資産が巨大化し

中国を世界最大の債権国へと

短期間で押し上げさせた


その結果中国は労せずして

大量のドルを手に入れることとなり

積みあげたそのドル資産が

人民元の追加発行を可能ならしめた


ドルの剰流動性を消すことに成功したものの

円高の定着を成功させたドル資本の実績は

中国にはまったく通用せず

元高の定着に

アメリカは失敗し続けた


中国が入手した大量のドルが

それを上回る規模の人民元を

追加発行することを許したからである

こうして遅れてきた農業国

に過ぎなかった中国は

世界最大のドル資産保有国となり

世界中で爆買いを横行させる経過を生んだ


この人民元の通貨価値は

ドルの過剰流動性が支えている

ドルの信認が何らかの理由で揺らぐなら

壮絶なインフレが

アメリカより先に

中国大陸を襲うであろう


リーマンショックが起きた後

IMFに対する資本の追加供給を行い

G20を創設する端緒となった経緯に於いて

その規模が最大だったのが

他ならぬこの中国だった

これは必然の経過と言ってよい


中国を金満国へと押し上げたのは

アメリカとその通貨である

ドルの持つ

過剰流動性という

今まで注目されてこなかった

機軸通貨としてのドルがもつ

その強い属性だったのである


国際経済はこうした

危ういバランスの上で

かろうじて成り立っている

とても剣呑な状態の上

に置かれている


グローバル化を目指す市場経済と

その循環による流動性供給機能を果たしている

機軸通貨のドルにのみ付随する

過剰流動性が引き起こす多様な変化が

拡大する一方となった

市場のグローバル化が

壮大な規模の変化

つまりデフレ経済の普遍化を齎した


このような国際経済の反応場

に於ける潜在的危機は

これかも常に淘汰圧となって作用しつづける


価値の基準となるべきものが

従来の富ではなく

恒久平和の実現にある

ということを

総ての市場参加者が認識しない限り

テロと革命の発生余地は

これからも

末永く残される
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする