「人間力が大切で必要なことはわかったのですが、専門家は自分の専門だけに集中して、仕事をしたほうがその道のプロとして活躍できるのでは?」
-こんなご意見をいただいたので、
たしかに、専門家は自分の専門だけに集中したほうが一見能率が上がって良いように見えます。しかし、本当にそうでしょうか。自分の専門的な仕事の周辺知識や関連知識は不要なのでしょうか?それで本当にプロとしての質の高い仕事ができるのでしょうか?
たとえば「和菓子職人は和菓子だけを研究していても一流の職人にはなれない。」と言われます。
和菓子の歴史をひもとくと、和菓子は年中行事や茶道など日本文化によって育まれてきました。そのため和菓子職人は技術を磨くだけでなく、季節ごとの自然の変化を感じ取ったり、他の日本文化に親しむことにより和菓子作りに必要な感性を養うのです。そうすることによってはじめて和の文化を受けついだ和菓子職人として一流の仕事ができます。
これと同じことが他の職業でも言えます。自分の専門だけを磨き、研究するだけではなく、関連する他分野まで知識を広げ、理解して、はじめて自らの専門分野の質が上がるのです。つまり、いろいろな分野について造詣が深いほうが専門の仕事もより質が上がるのです。この意味で幅広い教養と人間力が自らの専門の仕事をいっそう高め、プロとしての質の高い仕事としているのです。