絶対合格

熱血塾教師35年+教育コメンテーターのオールマイティー井澤が 「受験」、「子育て」の成功法を公開!

日本にただ一つの特色ある小学校(No.981)

2020年11月06日 09時32分04秒 | 受験・学校

 昨年12月に出版社の依頼によって執筆した原稿ですが、ご要望がありましたので開智についても以下公開致します。ご参考になれば幸いです。

開智小学校(開智学園総合部)に確実に合格する

 はじめに

 日本にただ一つの特色ある小学校(12年間小中高一貫学校)-それが開智学園総合部です。12年間を4-4-4と3つに分け、最初の4年間(プライマリー)が一つの小学校のようです。そして、小5~中2が在籍するセカンダリ-は一つの中学校、中高一貫部と合流する最後の4年間が高校+予備校のようです。実際8年生(中2)までに中学範囲は終了させて9年生から高1範囲に入ります。

 そして、プライマリーとセカンダリーでは4学年の生徒を合わせて異年齢学級を組織します。チームと呼ぶホームルームクラスにプライマリーでは小1~小4がおり、4学年共同のチーム単位で行動します。現代社会は一人っ子の家庭も多く、異年齢の子供達と触れあう機会が極端に少なくなっています。ですので、開智学園総合部で異年齢と触れあい、そして、学び合う貴重な機会を作っています。

 他方教科の授業は無論学年別で受けます。英語と算数では小1から習熟度別クラスになり、現在の習熟度によりお子様の学力にぴったり合ったクラスで授業を受けます。(クラス分けの基準や分け方は柔軟に運用しています。)

プライマリーでは異年齢学級、習熟度別授業とも比較的うまくいっているとのことです。

傾向分析と対策

‘(1)特色ある入試制度と受験者数の変化

 第1志望受験と併願受験で入試科目及び合格基準等が分かれています。一言で言えば、「第1志望受験の方は入試科目が1科目(ペーパーB)多いかわりに併願受験より合格基準ラインを下げるので合格しやすくなるが、手続きの延納を認めないし、手続き後に入学辞退しても一切返金しない。他方併願受験は5科目(ペーパーBなし)だけで受験できるかわりに、合格基準ラインが上がり、競争率も上がるが、延納手続きが出来る。」いうことです。他校にない複雑な制度ですので詳細は入学試験要綱等をご覧下さい。ここ数年第1志望受験のほうが有利だったとのことです。

 尚、開智望小学校開校の影響もあり、昨年までは総合部の受験者数が前年より減っていましたが、平成31年度入試では反転増加に転じました。令和2年度はさらに受験者が増えており、それに伴い難易度も若干上がりました。

(2)行動観察

傾向-生徒達を「素」にかえして判断!                             

平成28年9月-「2種類のボーリングゲームをして、どうすればたくさん倒せるのかグループで相談しながら遊びましょう。」

平成29年9月-「みんなで協力して御神輿の形の台をつかって様々な物を運ぶ」

平成30年9月-「みんなで相談して公園かお城のどちらか決め、みんなが笑顔になれる場所をつくろう。」材料置き場から協力して材料を運び作る。

令和2年9月―「いろいろな物が散らかった部屋をみんなで協力してきれいにする。きれいになった部屋でコップを積み上げるゲームをする。」

対策-「素」にかえったとき、初めて会ったお友達と仲良く行動でき、先生の指示(お約束)を理解してその通りに行動できるかが試されています。

(3)作業

傾向-条件絵画、貼り絵等が出題されています。「発想の豊かさやユニークさ」そして「豊かな色彩感覚等」、「作業の丁寧さ・緻密さ」が評価されます。

平成28年9月-「ドアの絵を切り抜き、それをもう1枚の画用紙に貼り、そのドアを開けたら何が出てくるかを想像して絵を描きましょう。」

平成29年9月-「画用紙に魚をかき、それをハサミで切り取る。切り取った魚を折り紙や毛糸を糊で貼り色をつける。」

平成30年9月―紙コップを使って「妖怪」を作ろう

令和元年9月―運動会でお友達を応援する旗を作りましょう。作った旗には折り紙で模様をつけましょう

対策-日頃からはさみやのりをつかって自由に工作したり、いろいろなものをつかって何かを作る習慣を身につけることが大前提です。そして、お子様の作品の良いところをほめ、お絵かきや工作で自己表現することが楽しみとなるようにもっていきます。(強所伸展法)

(4)ペーパー試験

傾向-中学受験(一貫部)の算数で良問出題で定評ある開智ですので総合部でもすばらしい良問が出題されています。基礎的な知識・常識を問う「ペーパーA」、と図形認識など応用力・思考力を問う「ペーパーB」に分かれており、他校に類のない特色ある問題が出題されています。

①ペーパーBについて

平成28年は図形の合成(テトリス型)問題が50%、約束問題(ルールにしたがって図形を塗り分ける問題)が50%出題されています。

平成29年は新型迷路と新型図形の合成が出題されました。いずれも一見すると初めて見る問題ですが、説明をしっかり聞くと、今までやってきた問題を同じ考え方で解けることに気付きます。

平成30年は回転重ね図形(そっくり問題が数年前に出題されて

いる)とルールに合わせて図形を当てはめる問題が出題されました。

令和元年は移動経路の問題と色の混合問題、図形の合成問題が出題。

平成24~令和元年とモデルなしの傾向が続き、初めて見た図形の問題でその場で知らされたルールを理解し、すぐにあてはめるという問題で、理解力と即答力が問われています。

②ペーパーA

平成30年は仲間探し、しりとり、お話の理解(記憶)、数量の違い、オセロ型問題が出題されました。

令和元年度は仲間はずれ、言葉の置き換え、お話の理解と記憶、数の認識が出題されました。

なお、それぞれの問題の試験時間が短いので即答力が試されています。今後もこの傾向が続くと思われます。

対策-初めて聞いたルールをその場で理解して、すぐにあてはめる能力と筋道立てて考える論理思考力を育成することが大切です。このような思考力重視の傾向に対しては、「基礎的な知識を身につけそれをベースとしてじっくりと考えぬく習慣」を身につけることが大切です。

生活常識の問題はそもそもお子様がそれを知らないとまったく出来ません。家庭内のコミュニケーションを深め、年齢なりの生活常識を身につけさせることが肝要です。

(5)個別面接(生徒本人面談)

傾向-なにか材料を与え、その場で考えさせ、話をさせる。その答えのユニークさよりもそう答えた理由説明がポイントであったと思います。発想の豊かさや自己表現能力(筋道立てて自分の考えを説明できる力)も問われています。

平成24年9月~令和元年9月と「何かを見せてそれについて答えさせたり、行き先を設定をして、何を持っていくかを質問する。」ことから話が始まり、受験者にいろいろなことを自由に話させる面接試験でした。他校のよくある生徒面接試験とはかなり違います。

対策-自分がどう思ったか、考えたかを相手に筋道立ててわかりやすく話す習慣をつけると良いと思います。

(6)運動

傾向

平成28年9月-マットで前転2回。跳び箱、バランス、大縄跳び(ゆうびん屋さんを10回跳ぶ)つなひき(網ひき)など。

平成29年9月―腕立てまわり、バランス渡り、両足跳び、マットで前転、ソリ綱引き

平成30年9月-ジグザク平均台、アザラシポーズ、マット前転、雑巾掛け、グージャンプ

令和元年9月ースパイダーマン歩き、給食パン運び、反復カップのせ、でんぐり山登り、コースタースラローム

毎年種目が大幅に入れ替わりますが、それほど難しい種目ではありません。子供達にとっては楽しいアスレチックコースのような感覚です。最初に先生が模範を示し、全員が1回練習した後に受験番号順に一人ずつ実施します。

対策

先生の模範演技を集中して見ていなかったり、練習で集中せずにいるとコースの種目の順番を間違えたりします。ですから、集中して取り組むことが合格の条件です。

まとめ

 結局、今年も開智はペーパー試験の知識・技術を磨くだけでは合格は困難です。ベースとなる知識に加えて、思考力・自己表現能力があり、「6歳なりの精神年齢がある子」が確実に合格しているのです。

 


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