青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

加積、青雲の志

2019年10月04日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(加積の郷の子供たち@早月加積駅)

古式蒼然とした駅を一人静かにまったりと味わっていると、駅前が少し賑やかになって、魚津方面の高校へ通う学生たちが構内踏切を渡って来ました。でっかいスポーツバッグを肩から背負った姿、バスケかバレーかサッカーか。これから部活の練習でしょうか。中加積の駅で見送った14760形の宇奈月温泉行きが、ゆっくりとホームに進入して来ました。休みの土曜日、ちょっと遅めの通学風景。学べ励めや加積の郷の子供たち、地鉄の大事なお客様。

滑川市から魚津市にかけて、滑川・東滑川・魚津と3つの駅しか設置をしなかった国鉄に比べ、中加積・西加積・西滑川・中滑川・滑川・浜加積・早月加積・越中中村・西魚津・電鉄魚津・新魚津・経田の12駅を設置している地鉄本線。それぞれの駅の乗降客は小さくとも、佐伯宗義翁の言葉通りに地鉄電車が富山圏内のニッチな輸送を担っています。西滑川駅は滑川高校、新魚津は魚津高校の最寄り駅ですが、駅で待っていた学生さんは宇奈月行きの列車に乗って行ったから魚津高校の生徒だろうか。滑川高校は千葉ロッテマリーンズのピッチャーである石川歩の出身校だが、ロッテは石川の他にも新湊高校の西野(高岡市)とか日本航空高校の角中(七尾市)とか結構北陸出身者が多い。

閑話休題。「官営鉄道との競合」に配慮し、この区間では旧・北陸本線のお隣で加積地方のニッチな需要を拾う地鉄電車。新幹線の開通後は、黒部宇奈月温泉から魚津・滑川市街へのフィーダー路線という新たな役割もありそうですが、実は地鉄本線で日中ダイヤが一番閑散としてしまうのが中滑川~電鉄黒部間。単純な列車本数では並行するあい鉄に大きく水を開けられているのが実際のようです。電鉄黒部~宇奈月温泉間の「エリア特急くろべ」の設定に伴って、電鉄富山から直通してくる「特急うなづき」の減便もこの区間の閑散化に拍車をかけているような。休日なら電鉄富山→宇奈月温泉に1・3・5・7号があったのが、今は1・3号の2便だけになってしまったし。

先ほどの14760と新魚津で交換した14720が、電鉄富山行きで戻って来ました。朝一番の常願寺川で見送った編成が、宇奈月温泉までの1往復。各駅停車で電鉄富山から宇奈月温泉まで乗ると53.3kmを1時間45分かかるのだが、往復100km超えというなかなかのロングラン列車。途中で乗務員の交替とかあるのかな・・・。木造の駅舎が見守る、すっきりと抜けるような秋の青空の早月加積です。

コメント
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