青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

西日の当たる部屋

2020年04月23日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(西日の当たる部屋@波久礼駅)

電車待ちのひととき、ガラス窓からのぞき込む駅の窓口。既に駅員さんの勤務時間は終わっていたようで、カーテンの閉ざされた部屋には、冬の日差しが射し込んでいました。壁に掲げられた安全綱領、昭和的な事務机に乗った有線の緑電話、ノートパソコンだけが場違いですが、傾きかけた光に淡く染まった部屋は、言うなれば郷愁の坩堝。訪れるたびに、 いつも新しい懐かしさがあるのが、この鉄道の魅力なのかなと思います。

駅務室の袖机に置かれているスタンプたち。秩父鉄道は、今でこそ自動券売機の導入が進んでいるけれども、10年前くらいまではだいたいどこの駅でも硬券のきっぷを扱っていたような記憶がある。そして、回数券や定期券は厚紙に駅名をシャチハタで捺す古風なスタイルを今も続けています。寄居の隣駅だけあって、東上経由・八高経由のスタンプは、連絡きっぷや定期券などには定番の押印でしょうね。SuicaやPASMOを未だ寄せ付けぬ古風な運賃の収受方式。使い込まれたスタンプの木目に、長く刻まれた駅の歴史を見る思い。

以前は駅員が常駐していた記憶があるのだけど、合理化が進んでいるのか、最近は駅員の勤務時間は短縮されているようです。島式ホームと本屋は構内踏切で結ばれており、本線の外側に長い副本線を持っていて、貨物列車の退避が頻繁に行われています。関東平野の西の外れに慎ましやかに佇む波久礼の駅、何となく惹かれて立ち寄ってしまう場所です。

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