写真師の「新カメラ日記」

JRP会員の橘が日々の事、撮影日記などを記録していきます。

木村伊兵衛の13万コマ・よみがえる昭和の記録

2006年03月21日 | 写真
18日にNHK教育ETV特集として放映された
「木村伊兵衛の13万コマ・よみがえる昭和の記録」1時間半番組を録画しておいたものを今朝見ることが出来た。
木村伊兵衛は土門拳と並ぶリアリズム写真の大御所、わたしが末席に所属する「日本リアリズム写真集団」の創始者の一人でもある。
これまでも折に触れて彼の写真集や彼に対する評論などには接していたのだが、今回の放送は彼が残した膨大なフィルムそのままのベタ焼きの一枚一枚の分析を通じて
彼が何に興味を持ち、あるいは興味の対象の移り変わる中で作品としての一枚を写し撮ってきたかを彼と親交があった写真家や被写体となった人などの言葉をとおして明らかにしたものだった。
ベタ焼きは作品となった一枚だけではなくその作品の前後の写真をもみることで一枚の作品がどんな過程で写されたかが良く分かる。
これは土門拳のベタ焼きの山を見たときにもときにも感じたことだが・・・
あれだけ名人、達人の域に達していると思える写真家でも人前に出せる作品の後ろには何十コマ、何百コマのフィルムがあるということに気づかされる。
そして現在の写真の技法といわれるものの源流がすべてその中にあるということに驚かされる。
もちろん写真・カメラの性能の発達のなかで、彼の時代にはとても難しく大切だったもの、たとえば瞬間的に焦点を合わせて撮ることなどはカメラのAF機能の驚異的な開発で簡単にクリアされていることも多くあるのだが・・・
それでもいまだに乗り越えられないものがたくさんあることに気づかされた。
それにしても「写真」を撮るということは、なんと簡単で難しいそして魅力的な文化なのだろう。
今回の写真はその木村伊兵衛の写真集「木村伊兵衛の昭和」の表紙です。
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