(毎年実施した養護学校でのもちつき大会)
1978年、社会人になった私は、会社の先輩からの勧めでローターアクトクラブに入会した。今年で卒業して25年を迎えたので、振り返ってみることとした。ローターアクトクラブは、18歳から30歳(在籍当時は28歳迄)までの青年男女のための、ロータリークラブが提唱する奉仕クラブで、159の国と地域で7,833クラブ18万人の会員(2005年5月現在)がいる。
(緊張した会員大会にて体験発表)
18歳で入会したこともあり、年上の方が多く、最初は馴染めなかったが、知らないうちに活動の魅力に引き込まれていった。特に先輩達が役職を引き受け、その役割を果たしていくなかで成長していく姿は、とても眩しく思えた。いつかは自分も・・・と思うようになった。
(毎月開催した会員のための誕生会)
転機は22歳の時、クラブ奉仕委員会の委員長を引き受けた時のこと。これまでは誘われて行事に参加していたものが、企画する立場になり、意識が変わった。さまざまな行事の企画や準備をする中で、満足につながる企画づくり,事前準備の重要性、リスク管理、共同して進めることの大切さを学んだ。
(ツアーバスを仕立てて、故郷の魅力を再発見ツアーを企画運営)
(忘れられない大分臨海ローターアクトクラブとの交流)
ロータリークラブが提唱したローターアクトクラブは、「職業を通しての奉仕とは・・社会への奉仕とは、国際奉仕とは、クラブ内(会員への)奉仕とは」など、ロータリーの理念に基づく会の運営をしている。そして、その理念を自分達なりに理解しながら活動を進めていた。 一方、活動をしていく中で自らが企画したことで、みんなが喜んでくれることに充実感、やりがいを感じるようになった。振り返ってみれば、勉強が苦手だった私、人と交わることが苦手だった私・・そんな私も成長できたように思う。 そしてさまざまな大会や行事にも参加し、多くの友を得た。
(1986年 地区大会を延岡で開催)
(創立15周年記念式典の実行委員長を務めた)
年間の在籍中、主催行事が一番思い出に残っている。それは、延岡ロータアクト創立15周年記念式典だ。行事では、その意味と意義を考え、資料の収集整理やこれからの展望、関係者をつなぐなど、さまざまな取り組みをした。人生最初の大掛かりなイベントの成功が以後の活動へとつながった
(鹿児島での研修後の一枚)
こころの中には、たくさんの先輩達の想いが宿っている。それは、職業について、人生についてや遊び、友情や夢を持つことの大切さ、地域づくりや故郷を大切にすることなど、生きていく上でのバックボーンを得たように思う。
(いつも全力疾走だったあの頃)
それらの経験は仕事上でも役立った。会社の支店の開設や事業部の立ち上げ、社内の行事立ち上げやISO取得など、成果を出さねばならなかった時に、これまでの経験が活きた。仕事以外での活動で学ぶことの大切さを今、感じている。
(世界大会に参加)
卒業年には、イギリスで行われた世界大会に参加した。考えてみると結婚式の当日の朝まで、寝る間を惜しんで仕事をした。大会は10日間の滞在が必要だったため、長い休暇のとれるハネムーンを兼ねての旅行だった。
(ロンドンのシェフィールド大学で世界大会開催)
考えてみると青年の船以来、自分の中の地球のサイズは小さいと思えるようになった。
子ども達にも、海外へ目を向けるよう小さい頃から話していたが、そんな子ども達も自然と海外へ意識が高まったように思う。
いろんな出会いと学びがあったローターアクトクラブ。
その出会いと学びをまとめることで、遅らばせながら一区切りとしたい。
ローターアクトクラブ活動を通じての思い出
○組織と運営、連携
活動の方針を立てる・役員を決めるなど、組織づくりの要諦などを実践を通して学んだ。例えば、クラブの運営・行事の企画では、モチベーションを高めるための施策など、多くのスキルを磨いた。
行事の案内状、お礼状、企画書、決算書など、先輩方からアドバイスを受けながら、説得材料・検討材料としての資料のつくり方のコツを学んだ。
役職につくことで、役職の立場がわかり、人間的に成長する機会を与えられた。小さな団体ではあるが、1年での役員交代の役員改選は、平等に成長の機会を与えられ、また期間が限定されているため、集中して取り組めた。
ロータリークラブの会員の皆さんから、例会や例会後の懇親場などでも、いろんなアドバイスや叱咤をいただいた。
各県のクラブでは組織運営は同じでも、そのクラブの歴史や伝統、人員構成などから違いがあることを知った。
卓話を呼ばれる会員の3分間スピーチ。会員卓話では、職業観、家庭観など、いろんな視点でのお話に心が豊かになった。
○活動を通じてのエピソード
・入会したてで経験のない会員は、まず行事の開催会場で駐車場整理、その後受付。そして案内係、準備設営、企画運営と、少しづつ役割が与えられ、その度にこれまで経験してきたことを活用して、実りある運営ができるようになった。
・熊本県と宮崎県のロータアクトクラブでえびのループ橋付近を清掃する行事に参加。公園のトイレでのこと。便器の中に手を突っ込んで清掃する年下のメンバーを見たとき、ショックを受けた。汚いところの清掃に腰が引けていた自分が恥ずかしくなった。
・駅前の定期清掃でのこと。清掃途中でタクシードライバーより「カッコつけて」と言われたことがあった。その時は、カッコつけているという意識はなかったので、いろんな考えの方がいるのだと受け止めていた。清掃終了後終了のあいさつ方々、駅前派出所の警察官の方と雑談した際、先程の事を話すとそれを聞いた警察官が「あなた方が清掃していることはとても大切なことです。でももっと大切なことは、若い方が公共の場所を掃除していることを市民の皆さんが見る事の方が、駅前がキレイになることより重要なのですよ」と話してくれた。そこで学んだことは、人に伝えることの大切。伝えなければならないことを考え、情報に触れた方への、意識や気づきになることがあることだ。希望、モデルケースなることも重要だということを学んだ。
・養護学校に、毎年もちつき大会を企画。楽しいふれあいの中で、障害のある方の気持ち、支える方の想いを知ることができた。
・他のロータアクトクラブとの交流。熊本・大分・鹿児島・宮崎と四県で地区を構成した頃は、40近くのクラブがあり、いろんな先輩達や仲間との出会いが大きな刺激となった。仲間や先輩のひとことに感動したり、生き方に共感したり、地域を越えて交流の輪を拡げた。
・イギリスやオーストラリアへの渡航。世界の仲間達と民族や歴史の差を越えて、交流をした。これまで広いと感じていた世界が、身近に感じられるようになった。
○友情
・先輩や後輩と県内外を旅行した。また、飲み会も毎月のように行う。先輩たちの生き方、考え方に触れた。それらはすべて楽しい思い出になっている。
・延岡市内の他グループとの連携。延岡をどのようにして活性化させるか等の議論や企画を共同でおこなった。その友人関係は今も続いている。
・韓国岳の清掃登山。お酒を飲むことが一番の友情を深めることと感じていた私。清掃登山で打ち解け合った仲間とともに、友達づくりへの新たなアプローチを改めて知り感動した。今でもお酒は一番だけど・・・。
○その他
・奉仕について改めて考えさせられた。職業を通しての奉仕、社会への奉仕、国際的な奉仕、グループ内のメンバーへの奉仕などがあることを知り、それぞれの立場で何をなすべきかなど、考える機会となった。
・入会理由はほとんど会社からの命令というメンバーが多かったにもかかわらず、最終的には自分自身のためにと、こころをひとつにして頑張った仲間達。財産である。