「志」とは、読んで字の如く「十」の心を「一」にする心だと、以前お話で聞いたことがあります。心のなかで起こる、○○をしたい、○○もしたいと願う気持ちをひとつに絞ることだと理解しました。
しかし、ひとつに絞るということは他の願いを捨てる、または諦めるということになりますので、とても勇気が必要です。
一方、成し遂げたい願い・夢を完遂するには、選択と集中が必要です。しかし、「今日くらいは、休みたい」とか、「他にしたいことできた」などと、目移り、また目の前のことに振り回されそうになります。そんな時、志に試されている自分に気付きます。そこまでの思いだったのかと。
私自身、資格を取得する学びのプロセスを通して、志の大切さを学びました。そのエピソードをお伝えしたいと思います。
60歳までにある資格を取得したいと考えた私は、1回は落ちることを覚悟して4年間という期間を定めました。しかし資格取得には、23単位を評価「C」以上で修了させることが必要です。
受講にあたっては大学教授や専門職講師から、与えられる事前課題作成に2週間。講義への参加(単位によっては、6時間~24時間)、修了レポート提出に2週間。そして評価。それを毎月繰り返すというものでした。1単位を取得するのに3ヶ月の学びが必要なコースもあり、1ヶ月に2コースを併走し、正月休みもない年がありました。
具体的には、週末夜に宮崎を発ち、関東や関西方面への移動。研修後、クリスマス夜を過ごした大阪御堂筋。8月の暑い日のこと、1日8時間の勉強。昼過ぎには行水をして気持ちを切り替えたり、朝5時から単語帳や問題集を解き続けました。50歳を過ぎ、記憶力も落ちた私は、新聞や本、目の前の出来事から学べないかと、毎日、情報ノートを書き続けました。振り返ってみると、1年間に1,000時間以上勉強をしていました。
何度も、これくらいでいいかも・・と思いました。しかし、合格することが目的ではない、支援に必要な力を身につかなけ起業はできても、生き残ることはできないと、自分を鼓舞し続けました。
その後、試験に合格。振り返ってみると、資格取得のプロセスで得たことは、学びの習慣が身に付いたことでした。それは、これから生きる推進力と源となっています。これも、志を立てなければ得ることができなかったことです。
新しい世界で、新しい仕事との出会いするなかで、力不足を感じています。果てなく続く学びの世界ですが、学んだ分だけ人や組織を支援できる力がつきます。悩んだ時、壁にぶつかった時は、「志」を思い出して、気持ちを新たにすることが大切だと思います。
少子高齢化という事象のひとつをとっても、多様性・個の自立・社会環境など大きく変化しています。組織が働く人のキャリアをサポートする時代は、過去の出来事。私たちが自分らしいキャリアをつくっていくためには、どう生きるか、何かできるか、何をすべきかを考え、その中心となるものに思いを実現するために、すべてのことをエネルギーにし、その思いを実現させる。まさに標記の言葉の意味することだと思います。
(写真は松下村塾。標記の言葉は、以前同塾の記念館を見学した折、偶然目にとまった言葉で、大切にしている言葉のひとつです)