Bossa, Balanco, Balada/Sylvia Telles
(Elenco ME-5)
(Elenco ME-5)
本邦で最も聴かれていてポピュラーなボッサの女性シンガーはアストラッド・ジルベルトでしょうか?ゲッツが紹介した一連のVERVEのアルバムが米国でヒットし、その米国のボサノヴァムーブメントの影響をもろに受けた本邦のボッサシーンでもその名前、イパネマの娘の歌唱が広く知られていますよね。シルヴィア・テリレスはボッサ創成期に活躍した名シンガーで、ジョビンの名作でも知られる"DINDI"は彼女の愛称でもあります。また31歳の若さで自動車事故で夭逝してしまったためリーダーアルバムは決して多くなく、どれもが貴重な記録であろうと思います。
本日アップのアルバムは、バーデン・パウエルのところでも少し触れましたがブラジリアンインディースとも言うべきAloysio De Oliveiraが設立したエレンコの第1弾です。シルビアはこのアロイジオのワイフでもありましたよね。全編ポルトガル語ですが情感を込めた唱法とハスキーでキュートな声が彼女の持ち味です。ここでもジョビンの曲が多く取り上げられており、A-2の"Amor E Paz"(Once I Loved)のせりあげるような歌唱のがすばらしいです。B-2の"Samba Do Avio"(ジェット機のサンバ)はトニー・ベネットと並びこの曲のボーカルバージョンの白眉です。B-3の"Insensatez"(おばかさん)も出色の出来で彼女の美しい声がこの曲に素晴らしくマッチしているように思います。
エレンコは、ジョビンでもそうですが米国盤とダブルリリースの形で出ているアルバムが多いので重複する可能性が高いですが、やはりこのエレンコのオリジナルカバーの卓越したセンスがいいですよね。所有盤はおそらくブラジル・エレンコのオリジナルと思います。