はなはネコだが、「母しゃんはどこ?」と聞くと、機嫌のいいときは母しゃんを走って迎えに行く。
父しゃんの手を獲物と間違って噛んだときは、必ず母しゃんの顔色をうかがう。
噛みちぎりそうになったら、母しゃんにすり寄って許しを乞う。
なので、はなは、半端なく賢いばかりか、感受性豊かで、並々ならぬ身体能力に恵まれ、ヒトとヒトとネコとの間の力関係や場の空気まで、的確に読める。
父しゃん相手に負けたことがない取っ組み合いを制したときの、はなの優雅な立ち居振る舞いは、ボテボテ父しゃんのムダな動きとは正反対で、気品さえ感じられる。今にも両足で立ち上がり、ジュリエット?になってしまいそう。
しかし、持久力は草食の父しゃんが一枚上手。
長い戦いが終わって、居間の床にはネコの遊び道具が累々と散らかっている。
はなはどこ? テーブルの下に腹出しポーズで寝転がっている姿は、なんと無防備、だらしなさの極み。野生の本能をいつまでも失わないネコ、そんなキャッチフレーズが的を射た表現とはとうてい思えない。(2020.8.3)