頂いた「北かりのかりんとう」の最後のひとつが、しばらく前から戸棚に入っているのを父しゃんは知っていた、もちろん、はなも。
戸棚の中にチョコレート菓子やポッキー、100円ショップの駄菓子などがあるうちは、その堅焼きかりんとうを、はなと父しゃん(母しゃんは辛党)はもったいなくて食する気になれなかった。でも、とうとう駄菓子類は尽きてしまった。父しゃんは意を決してかりんとうを袋から取り出した。しかし、かりんとうに一番乗りしたのは、はな。
はなは、まだらに地肌が透けるまで表面の黒糖をなめたのだが、父しゃんはどうしてもその無残なものをゴミ箱に捨てられず、しばらく眺めていた。次の瞬間、父しゃんは流しの蛇口にかけ寄り、かりんとうを水洗いすると、エイッと自分の口に放り込んだ。かりんとうは一瞬にして消滅した。残念ながら、母しゃんは写真を撮り損ねた。(2022.2.4)